「…信じられないな」
ブースターを吹かしホバー移動で機体が地を駆け抜ける中、コックピット内で呟く。
機体の頭部を介して得られる地形情報を元にここが何処なのかを調査していたのが数十分前の事。
それなりに情報は拾えたであろうと判断しデータベースから類似、或いは該当する地形情報、また何の惑星かを調べていた訳だが、何かの間違いではないかとつい思いたくなる様な結果が表示されていた。
「ここはルビコン3ではなく、地球」
太陽系第三惑星、地球。
登録されていたデータベースの照合結果はそう示していた。
最初は機器の故障かと思い、何度か照合しても結果は変わらず、ここを地球だと示すばかりだった。
「AC単機でルビコン星外に行ける筈がない。一体どうなっている」
ずっとルビコン3の何処かだと思っていた。
地形情報が一致しないのも、未だに訪れたことの無い場所だと思っていた。
不測の事態に備えていたつもりではあったが、まさか地球に居るなど誰が思うか。
「…エア」
あの時、突如として聞こえた大事な友人の声。その声の主の名を口にする。
もう聞けなくなった筈の彼女の声が聞こえた事により、自分はこの地球にいる。
まるで呼び寄せられた様に…。
「…」
信じたくは無いが、信じる他ない。
理屈では説明出来ない事が起きているのは間違いないのだから。
ならば、この現実を受け止めるしかない。
何よりこの地球に彼女が本当にいるのであれば、会いたい。
気を失う前に言った言葉が嘘ではないのだ。
喧嘩別れしてしまった
「何処か身を寄せる事が出来ると良いが…」
ここはルビコン3ではないが独立傭兵として再び活動再開したとしても不味い。
自分は星一つ焼いた主犯なのだ。
レイヴンの名でやっていくのは都合が悪い。身分を隠し、どうにかしていく必要がある。
ウォルターなら的確な指示をくれるだろうが…彼はいない。
不測の事態真っ只中の状況で、自力でどうにかしなくてはならない。
「どうしたものか……ん?」
ACのセンサーが何かに反応したのだろう。
操縦桿を手前に引き、ペダルから足を離して機体を停止させる。
突っ立ったままでは目立つ為、片膝をついた状態へと移行させて待機モードへ移した後、ACの望遠カメラを用いてそこで起きている状況を見つめる。
「あれは……BAWSの新型か?」
周囲を森林に囲まれた小さな基地。
前哨基地なのだろう。そこに配備されているMTモドキの存在が気になった。
あの企業が作る重四脚MTは何度か見たことがあるが、あれもそうなのだろうか。
四脚である事以外は随分と形が異なる気もしなくはないが、それ以上に気になるものがあった。
「重四脚MTモドキに加えて、交戦しているのは銃を携行した少女兵か。一方は光学兵器、一方は…炸薬を用いているのか」
バイザーを装着し、妙に露出が多い衣服を纏い光学兵器を装備した少女兵。
個体差はあるが、サブマシンガンらしき光学兵器を持った少女兵は全員同じ姿をしている。
もう片方は纏う衣服も、装備している銃もバラバラ。光学兵器ではなく、炸薬を用いている。
だがその分、統率が取れている。バイザーを装備した少女兵らが如何にも機械的と思わせる一方で、炸薬を用いた銃を使う少女兵の動きは人そのものだ。
「下手に手出しすべきではないな…。一旦様子見か」
何処かの組織である事は間違いない。
だが不用意に飛び出すのは避けるべきだろう。ウォルターみたく、売り込む事には長けてはいないのだ。
前線で戦う少女兵らには悪いが静観を決め込ませてもらおう。
…にしてもあの少女兵らからは生体反応が検知されない。義体でも用いているのか?
筆が進んだので、最新話投稿。
まだchapter00なので、展開としてはあまり進みません。
それと、この作品ではAC6のネタバレを含みます。
今更と思うかもですが、何卒留意していただけると幸いです。
では次回ノシ。