人形ノ詩 鴉ノ詩   作:白黒モンブラン

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chapter 00-41

サイレントライン攻略作戦のブリーフィングを終えた後、基地はいつも以上に慌ただしくなった。

職員は戦術人形を輸送する為の航空機の燃料や弾薬が再確認の為に走り出し、作戦の参加する戦術人形らは己の半身とも言える銃のメンテナンスや使用する弾薬の確認などを行っていた。

AC乗りも例外ではなく、ラスティとヴォルタは作戦の情報をコンソールパネルに打ち込んだ後、機体の挙動や内装に不調が無いか入念に調べており、チャティもフィオナを手伝いながら、此方が頼んだ事に関して色々としてくれている。

誰しもが作戦に向けての準備を整えている中、先に準備を終えた自分はRe:LOADER4の足元に腰かけて、静かに遠くを見つめていた。

基地の中は慌ただしく騒々しいが、それに反して外は静かだった。

風が吹く音も音も、草木が揺れる音も、虫の音も聞こえない…只々静かだった。

 

「…レイヴン?」

 

この静けさに身を任せていると、後ろから声が掛かる。

声の主の方へとゆっくりと振り向けば、いつでも出撃できるようにしているのかパイロットスーツに着替えた617が立っていた。

 

「準備は終わったのか」

 

「ええ。後は機体に乗って向かうだけ」

 

「そうか。…今の内に休んでおけ。休める内に休んでおかないと体がもたないからな」

 

それに彼女は子供だ。

幾らACという兵器を乗りこなせたとしても、腕がいいとしても体力に関しては大人に負ける。

休める内に休んでおくのは大事と言える。

 

「貴方は休まないの?」

 

「…少ししたらそうする」

 

何てことを言うも、休む気など無かった。

第四世代ではないものの自分は強化人間である事は変わりない。

それ故か休息を必要とすることが余りない…というのが建前。

本音は、あのサイレントラインに居るであろう大事な友人…エアの事で頭が一杯だった。

今すぐにも飛んで行って助けに行きたい。

彼女を道具の様に扱った上層部の連中をこの手で殺しに行きたい。

ここに腰を預けてからはと言うものの、そんな感情が胸の内でずっと渦巻いていた。

何とか落ち着かせる為に黄昏る様に外の静けさに身を預けていたのだが、そう簡単には行かないものである。

こうしていれば、している分だけ感情の渦巻きは酷くなっていく。

表に出していないだけマシとも言えるが。

 

「隣、座っていい?」

 

てっきり休みに行ったと思っていた617が傍に立ち、そう尋ねてきた。

 

「…ああ、構わない」

 

少しだけ体を横へとずらして、隣に座れるようにする。

ありがとうと一言だけ礼を言って隣に座る617。

小柄な少女なのは前々から知っていたが、足を抱えて座り込めばもっと小さく見えた。

 

「左腕の装備…パルスブレードからグレネードに変えたのね」

 

「キサラギ社が送って来た。フィールドワーク中に見つけたのを回収して修理したのを送って来た」

 

「まるでこの時に合わせて送って来たのは気のせいかしら」

 

「気のせいだろう。偶然だ」

 

ちらりと装備を変更したRe:LOADER4を見る617。

その表情に込められた感情。生憎と自分には分からなかった。

 

「アサルトライフルにグレネード……619を思い出すわ」

 

「!…そうか、あの作戦で619はアサルトライフルに大豊製のグレネードを装備していたんだったな」

 

「両肩に12連装垂直ミサイルを装備して、ね。……618を一瞬で失った様に、619も一瞬で失った。その最期すら見届ける事すら出来なかった。足を止めてしまえば、振り返ってしまえば死ぬのは自分だったから…」

 

619はあの基地でその命を散らしたが、618はそれよりも前に命を落とした。

誰にやられたのか、それはあの場所で、ウォッチポイントでの戦闘であの男は言った。

 

─617と20はどうした。死んだか?─

 

─私が殺ったのは何番だったか─

 

雨が降りしきる場所で、そう言った。

617も620も619もあの場所でその命を散らした。

そして理解した。あの場所に居なかった618はあの男…C1-249『スッラ』によって討たれたのだと。

 

「…レイヴン、死んじゃ駄目だからね」

 

肩に617の頭がのしかかる。

 

「…誰かを失うのは辛いから」

 

仲間を失い、最後の一人になっても尚、戦い続けた彼女がそう言うのだ。

小さく紡がれた言葉は紛れもない本心。

腕をそっと617の肩へと回し、優しく引き寄せる。

 

「ああ、分かっている」

 

心配はいらない…といった言葉はでなかった。

戦場はいつ死ぬか分からない場所。適当な言葉を口にする事など出来なかった。

 

「…一度生まれたんだ。そう簡単に死ぬつもりはない」

 

何もなかった時から、こうして生きてきた。

大事な友人をこの手で抱きしめるまでは、死ぬつもりなどない…。




サイレントライン攻略作戦のブリーフィング後のレイヴンを描きたくなったので…つい、ね。

募集締め切りは2024/5/17 20:00までですが、まだ募集はしております。
※活動報告にも記載してありますが、此方の都合上、募集締め切り期日を一日延長させていただきます。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=312562&uid=146595

ご興味あればどうぞ。
またコラボ参加について質問等あれば活動報告によろしくお願いいたします

ではではノシ

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