人形ノ詩 鴉ノ詩   作:白黒モンブラン

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──狼と鴉──


chapter 00-45 silentline Ⅲ

 

「あれは…」

 

サイレントライン城塞前。

コールサインV.Ⅳことラスティはコクピットで誰よりも早く城塞前にたどり着いた部隊を発見する。

 

「成る程…早いな」

 

フェンリルのヒロが駆る『セラフ』にヴァルキリー小隊。

一番にたどり着いたのが彼、彼女達だと認識しながら頷く。

このまま城塞内部に侵入するのだろうかと思い、ヒロへと通信を繋ごうとした矢先、彼の手が止まる。

ラスティが駆るスティールヘイズ・オルトゥスが立つ地点から少し離れた場所。

そこに存在する城塞内に繋がる入口から飛び出す黒い影。

人型。黒い装甲。背部のバックパック。

スティールヘイズ・オルトゥスに気付いていないのか、ソレは近場にあった廃ビルの屋上に降り立つとゆっくりと振り返り、セラフとヴァルキリー小隊を見下ろす。

刹那、セラフと新たな敵…LC高機動型が戦闘を開始した。

 

《司令官!/指揮官!》

 

《皆下がれ!!》

 

混線が発生してしまっているのか、ヒロとヴァルキリー小隊の戦術人形の叫ぶ声がラスティの耳に届く。

砲台を潰した後、居住区画へと急行し安全を確保するのが作戦の流れだ。

だが味方が、協力してくれている人物がLC高機動型と戦闘を繰り広げているのを見て放置できるだろうか。

 

「済まない、戦友。君と合流するのは少し先になりそうだ…!」

 

否、出来る筈がない。

作戦が始まってから一度も連絡してこない戦友にへと言葉を送りつつ、ラスティは操縦桿を押し込む。

全エネルギーをブースターへと移し、長距離航行モードで機体が飛翔。

オレンジ色の炎が空を彩り、スティールヘイズ・オルトゥスは空を駆ける。

両機が戦闘を繰り広げる地点まで少し距離がある。その間、ヒロとヴァルキリー小隊のメンバーの行動がラスティの目に映る。

置いてはいけないと叫ぶ戦術人形とその彼女を引っ張る二人の人形の姿。

言い争っているのが良く分かった。

 

『こちらヴァルキリー分隊、シズカ。フィオナ指揮官、これより私たちはサイレントライン内部へ突入します!』

 

自分達ではあのLC高機動型は相手できない。

相手をしているヒロ、もとい彼が駆るセラフだからこそ相手できる。

そして何より自分達にはやらなければならない事がある。

冷静ながらも、通信を寄越したその声に何処かやるせなさをラスティは感じていた。

二機の戦いから離れる様にして、サイレントライン内部へと向かっていくヴァルキリー小隊。

突入を告げたシズカに対して、ラスティは通信を繋ぐ。

 

「こちら、V.Ⅳ。フェンリル・リーダーの援護に入る」

 

『!……ヴァルキリー分隊からV.Ⅳへ、指揮官を頼みます!』

 

「了解した。君たちはそのままサイレントライン内部に入ってくれ。此方の仕事が済み次第、私も内部に突撃する」

 

ペダルを踏み、操縦桿に備えられたスイッチに手を掛ける。

ソレに反応するようにスティールヘイズ・オルトゥスの背部が変形し、機体がアサルトブーストによる強襲モードへと移行。

長距離航行とは比較にならない程の速度で、スティールヘイズ・オルトゥスがLC高機動型の背後から迫る。

セラフの攻撃をまるで嘲笑う様に避けるLC高機動型。回避行動に交えながらミサイルを小出しにしながら放ち、回避と攻撃を両立させていた。

だがそれが仇になり、背後から迫るスティールヘイズ・オルトゥスに気付いていなかった。

 

「…!」

 

左腕のレーザースライサーを起動。

唸りを立てて回転する発生器とレーザーの刃が展開と同時にブースターが噴射、スティールヘイズ・オルトゥスがLC高機動型の背後から迫る。

背後から迫るスティールヘイズ・オルトゥスに気付き、セラフの攻撃が激しきなりLC高機動型の注意を引き付けた時、まるで超反応とも言える様な速さでLC高機動型がスティールヘイズ・オルトゥスに反応。

その場から上昇する事でレーザースライサーを躱そうとするも、その刃が肩の装甲を切り裂き爆発。

それによってLC高機動型の態勢が崩れ、透かさずセラフがLC高機動型に蹴りを叩きこみビルへ激突させた。

当然この程度で倒れる様な相手ではない。崩れるビルの中からLC高機動型が現れ、その目を光らせた。

 

「相手は執行機体か」

 

バートラム旧宇宙港にも現れたLC高機動型。

あの時はHC機体が居て、戦友(C4-621)が居たが今は違う。

セラフの隣にスティールヘイズ・オルトゥスを並び立たせると、ラスティはヒロへと通信を繋ぐ。

 

「待たせたな、フェンリル・リーダー」

 

あの時とは場所も味方も違う。

だが、それでもラスティは変わらない。

軽く息を吐き、操縦桿を握り直す。

 

「初めての共闘だ。助け合いの精神で行こう」

 

熾天使と狼の共闘戦線が今、始まる。

 

 

 

 

 

 

 

サイレントライン城塞外部後方。

戦場と化している居住区画と比べて、そこは不気味なほどに静かだった。

地面に転がるは何者かに破壊された兵器群。

真っ黒に染まった装甲、吹き飛んだ四肢、静かに上る黒煙。

物言わぬ墓場がそこに出来上がっており、それを背後に灰色のACが城塞内部に侵入していく。

ブースターから噴き出す青い炎と共に広い通路を駆け抜けていき、コクピットに座る彼は軽く息を吐く。

 

──レイヴン…──

 

声が聞こえる。

透き通る様な綺麗な声、一度手放してしまった大事な友人の声が響く。

幻聴などではない。ここに、この世界に、このサイレントラインに彼女が居る。

 

──あなたも来ているのですか、レイヴン…──

 

「ああ。自分はここに来ている」

 

届かないと分かっていても尚、彼は答える。

大事な友人の声に、発せられる様になったこの声が奇跡的に届くと信じて。

 

──私は…──

 

それでも届かない。

だが、鴉の意思は変わらない。

 

──…ここに居ます、レイヴン…──

 

鴉は諦めない。そして止まらない

 

「今、迎えに行く」

 

届かないと分かっている。

それでも答えなくてはならない。

 

「エア」

 

借り物では無くなった黒い翼が、意思の象徴たる鴉が動き出す。




なーんか、LC高機動型が出ちまってるんで…V.Ⅳを援護に向かせます。
良い感じに使ってね!

そしてコールサインG13ことレイヴンも後方からサイレントライン内部に侵入です。
さぁて…そろそろお仕置きしねぇとな。


















「G4、そちらに近づく反応がある」

「ハッ!予定外の客ってか。どこのどいつだ?」

「識別反応を確認。これは……G2ナイルだと?」

「ハァッ!?」
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