人形ノ詩 鴉ノ詩   作:白黒モンブラン

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chapter 00-51 silentline Ⅷ

灰色に彩られたAC、Re:LOADER4がHC機体へと迫っていく。

ブースターから激しく迸る炎が夕暮れ時の空を彩り、その姿はあの本物を彷彿とさせ、そして左肩部に装備したBML-G1/P32DUO-03(三連双対ミサイル)から一斉射されたミサイルの軌道が鴉の翼を描く様に飛び出していく。

機体越しから伝わる圧、絶望…そして死の予感。

あの時とは格段にとも言える程に感じ取れるそれらが番人に纏わりつき、耳元で囁く。

 

──足掻くな、運命を受け入れろ──

 

──恐れるな、死ぬ時間が来ただけだ──

 

「ふざ、けんな…!」

 

何が、運命を受け入れろだ。

何が、死ぬ時間が来ただけだ。

 

「ふざっ…けんなッ!!!」

 

やられ役に成り下がった覚えなど無い。

今も、そしてこれからも無知で無能で時代遅れのグリフィンの人形ども殺し続けていく。

これこそが愉しみ。その愉しみを奪われるなど真っ平ごめんだ。

 

「たかが部品の寄せ集めが…調子づくんじゃないわよ!!!」

 

激高からの突撃。

レーザーブレードの出力を最大モードへと移行。

襲い掛かるミサイルの被弾など知った事ではないと言わんばかりに、爆炎の中からHC機体が飛び出してくる。

向かってくるのであれば、此方も向かうまで。

突撃してくるHC機体から放たれる圧。

明らかに雰囲気が変わった事にエアの表情が険しくなる。

 

「レイヴン、気をつけてください…。明らかに様子が違います」

 

「ああ。…今度は逃がさん」

 

迫る。そして迫る。

ACが、HC機体が迫っていく。

狭まるお互いの距離。そしてその距離がほぼ間近となった時──

 

「…!」

 

HC機体が先に動いた。

特大とも言っても過言ではない程の膨大なエネルギーで生成されたレーザー刃。

一撃で仕留めんと言わんばかりに振りかぶった瞬間だった。

Re:LOADER4の蹴りがレーザーブレードを振り下ろそうとした腕よりも先にHC機体の胴体に突き刺さった。

装甲の一部が欠け、火花が散る。

体格が勝っていると言えど、高速接近から放たれる蹴りの威力は機体は何とも無くてもパイロットからすれば凄まじいまでの衝撃を誇る。

 

「ぐっ…!」

 

強烈な蹴りに勢い良く揺さぶられる番人。

そのせいもあって手元が狂い、Re:LOADER4を仕留める為の振り下ろしたレーザーブレードの攻撃は空を切った。

生まれる一瞬の間と沈黙。両者の目に映る光景がスローモーションがかかったように流れていく。

極限にまで高められた集中力。そして──

 

「「!」」

 

全てが元の速度へと戻る様に、時が動いた。

握った操縦桿を傾け、ペダルを踏む。

ブースターが火を吹き、両機はそれぞれ別方向へとステップを踏み互いに距離を取る。

Re:LOADER4のアサルトライフルがHC機体へと向けられ、HC機体のパルスシールドがRe:LOADER4の攻撃を防ぐ。

ゆったりとした速度。だがそれは接近する時を定めている様などっしりとした動きを披露するHC機体。

アサルトライフルやミサイルによる攻撃を回避とパルスシールドによる防御で対応しながら、コクピットに座る番人がRe:LOADER4…もとい、それを駆るレイヴンへと向かって叫ぶ。

 

「一介の傭兵如きが、戦いに首を突っ込んで何がしたいのよ…!!」

 

『…!』

 

「勝手に現れて、勝手に暴れてぇッ…!英雄でも気取ろうっての、えぇ!?」

 

いきなり何をとレイヴンは思った。

それはエアも同様であり、困惑していた。

 

「レイヴン、相手は何を…」

 

「…様子の可笑しい奴だとでも思っておけ」

 

ニードルミサイルを展開。発射と同時に三連双対ミサイルを発射。

高弾速を誇る杭と計六発のミサイルがHC機体が構えるパルスシールドを剥がしにかかる。

とは言え、大きな効果はない。それなりのACS負荷を与えた程度であり、動きを止めるには至らない。

やはりかと口にしながらもレイヴンはトリガーを引き続ける。

相手を仕留める為、ただただ目の前に立つ障害を消す為にレイヴンの駆るRe:LOADER4は攻撃を続ける。

その間にも敵である番人の怒号は続く。

 

「所詮、金でしか動けない小汚い存在が……何で、そんな風に至るのさ…!」

 

『…』

 

「何なんなのよ、お前は…。お前は一体何なのさッ!!!」

 

答えない。そもそもにして答える義理すらない。

レイヴン(C4-621)は淡々と攻撃を続けていく。

クイックブーストによる生まれる若干の前傾姿勢からの三連双対ミサイルを発射。

前傾姿勢による発射位置のズレはミサイルの軌道を変え、まるで大きく横へと広がって突撃していく。

何処となく面制圧を思わせる挙動。迫り来るそれらに合わせてHC機体はブーストを吹かして前へと踏み込む。

 

「殺してやる…殺してやる…!」

 

『…!』

 

「私の目の前から…消えろよぉッ!!!!!」

 

高速接近から間合いを詰めて、ブレードを振るう。

AC規格の物とは性能も出力も段違いな武装。巨大な青い刀身による薙ぎ払いを見舞うも、それを見越していたかのようにRe:LOADER4は上昇し、攻撃を回避した時だった。

 

『貴女には無理です』

 

突如として、エアが番人へと告げた。

 

「…あ?」

 

『貴女なんかに…このACは、"彼"は倒せない』

 

消えろと言ったのだ。であれば、現実を突きつけてやる。

あの星で、幾多の猛者と戦い、そして生き残って来た鴉。

たかだがHC機体を駆れるだけの能力を有していた所で──

 

『消えるのは…貴女の方です』

 

レイヴンには勝てはしないのだから。

 

「あ"ぁ!?やってみろよッ!!!!」

 

エアの挑発に益々激昂する番人。

だが、感情的に成り過ぎている為か、動きに精細さを欠き上方へと回避されたRe:LOADER4の攻撃に反応が遅れる。

降り注ぐようにしてアサルトライフルの攻撃が、パルスシールドの防御範囲外から襲う。

装甲が厚かろうとダメージは入る。飛んでくる弾丸にHC機体の装甲の一部が吹き飛び、番人の怒り(恐怖)は益々湧き上がってしまう。

モニター越しに映る灰色の機体はこちらを見下ろしてくる。

その姿は気に入らない、気に食わない。

 

「ざけんな…!」

 

フットペダルが壊れるのではないかと言う勢いで踏み込む番人。

HC機体のブースターを最大出力で吹かして、上昇突撃。

見下ろしてくる灰色のAC(空高く飛ぶ鴉)を斬り殺してやると言わんばかりに接近戦を仕掛ける。

レーザーブレードの刀身と出力に物を言わせた機動戦闘。それでも攻撃はあっけなく躱されていく。

後方に逃げられ、再度迫ろうと機体を反転、操縦桿を押し込もうとした時、それは番人の目に映る。

 

「!?」

 

構えるRe:LOADER4の左腕に装備された小型の装置。

バックラーの様にも見えるソレは姿を変えて、エメラルドグリーンに輝く巨大な刀身を生み出していた。

そしてそれを装備したRe:LOADER4が突進、至近距離にまで迫っていた。

 

「ひっ…」

 

咄嗟の判断でパルスシールドを前面に展開。

だがそれが愚かな選択だった事を知るのは直後の事だった。

Re:LOADER4の左腕に装備されたパルスブレード(HI-32: BU-TT/A)が振り下ろされ、HC機体のパルスシールドと激突する。

これが鉄血の技術で修復される前であれば、高周波による斬撃を幾らか防げたであろう。

だがこのパルスシールドは独自の技術で修復した不完全なもので出力も以前のものと比べて落ちている。

故に、パルスブレードの高周波による斬撃がパルス防壁を相殺し、貫通するのは当たり前の事であった。

 

「なっ…」

 

パルスシールドを相殺し、振り下ろされた高周波の刃がHC機体のコクピット付近を切り裂いた。

飛び散る火花と吹き飛んだ部品が番人の体に突き刺さり、流血する。

同時に機体はACS負荷へと陥り、制御負荷。

それでも番人は火花散るコクピット内で操縦桿へと手を伸ばそうとする。

 

「ま、だ…おわって、ない…!」

 

──死に、たく…ない…──

 

口にした言葉と胸の内で呟いた言葉が番人を動かす。

だが、それすらも許さないと言わんばかりにRe:LOADER4がすぐそこまで接近。

Re:LOADER4のコア背部が展開され、同時に激しく迸る稲妻らしきものがバチバチと音を立てながら収束。

そして次の瞬間──

 

パルス波による閃光が高らかに開花した。




という訳で…そろそろ終わりかな。

中々投稿できなくてすまねぇ…そんでもって描写下手ですまねぇ。

では次回ノシ
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