人形ノ詩 鴉ノ詩   作:白黒モンブラン

7 / 78
──壁越え──


chapter 00-06

同時に動くRe:LOADER4と戦術人形621。

打ち合わせもしていないにも関わらず、両者は何をすべきかを理解していた。

 

(こちらの装備ではアレを止められない)

 

(正面は硬い。狙うは背後)

 

(止めは彼の方が適任。なら私がすべきことは…!)

 

(攪乱ならアイツが適任か。であれば…)

 

刺客から一斉に放たれるロケット弾。残骸を盾にしながらも小刻みに動く戦術人形621。

誘導性はなくとも、その弾速は早い。だが彼女の脚を止めるに至らない。

背後から爆風が駆け抜け炎の中を走り抜ける中、戦術人形621が大声で叫ぶ。

 

「C4-621!背後を任せます!あれの注意はこちらで引きます!!」

 

『無理はするなよ』

 

「そう言われても…今は無理しないといけない時なので!!」

 

つい先ほどまで絶望だったというのに、彼女は笑みを浮かべていた。

残骸の僅かな間を滑り抜け、回転と同時に飛び越える。

満身創痍だというのに、その動きは実に軽やかだった。

 

「…!」

 

ターゲットサイトに刺客を捉える。

同時に頭部のバイザーが下ろされ、隻眼を守る防盾へと変形。

そしてC4-621はRe:LOADER4をアサルトブーストによる強襲へと移行させた。

環流型ジェネレータによりブースターから青い炎が噴き出し、機体を一気に押し進める。

10メートルはある筈の巨体が見せるその速度。それが急速に接近している事を察知したのか刺客は超反応とも言える速さで上半身を反転、迫りくるRe:LOADER4へとロケットランチャーを一斉射。

迫る攻撃を前にRe:LOADER4のメインブースターと肩の装甲に内蔵されたサイドブースターが青い炎が一瞬だけ吹き出し攻撃を回避。そのままアサルトライフルを連射、刺客と距離を詰め始めた。

適正距離ではあるものの放たれる弾丸の幾つかは分厚い装甲に弾かれる。

だがC4-621は気に留めず、トリガーを引き続ける。

 

(これでいい)

 

近づけさせまいと撃ち続けるロケットランチャーに加える様に連装砲を放つ刺客。

しかしそれすらも躱し、刺客の横を一気に駆け抜ける。

そのまま大回りに旋回するかと思われると思いきや、C4-621は左右の操縦桿をそれぞれ別の方向へと動かした。

それを合図にRe:LOADER4はその体を僅かに曲げつつ、右肩のサイドスラスターと脚部に内蔵されたスラスターを僅かに吹かして一気に、かつ素早く180°反転。

がら空きとなった刺客の背後を見据えるとミサイルを放ち、流れる様にアサルトブーストに突撃を敢行。

ライフルを連射しつつ、C4-621は左の操縦桿のトリガーに指を掛けた。

 

(パルスブレード…最大出力で展開)

 

Re:LOADER4が構えを取った時、左腕に装着された装置が変形。

通常形態とは異なる形へと変形し、展開された基部からエメラルドグリーンの光が発生。

次の瞬間、刺客の図体を大きく上回る程のパルス波が収束した巨大な刀身が形成された。

 

「あれは…ブレードなのですか!?」

 

ACという存在を初めて見た戦術人形621にとってRe:LOADER4の左腕に装着された兵器の存在に驚愕した。

何かしらの装置だと思っていた彼女だが、まさか近接兵器だとは微塵にも思っていなかったのだ。

そんな驚きを他所にブースターから吹き出る青い炎をより一層激しく吹き出しRe:LOADER4が刺客へと突進。

その図体へと向けてパルスブレードを振り下ろした。

 

〔#%&$!?!?!?〕

 

高周波による斬撃が刺客を襲う。

加えて最大出力で展開されたパルスブレードの一撃は、分厚い装甲で覆われた刺客の体を容易く両断。

直撃の反動も相まって、その巨体は大きく吹き飛ばされ残骸の中へと激突する。

巨体を操作するAIは、想像以上の威力に困惑を示し、それが決定打にはならずとも、致命傷まで追いやられた事実は受け止める他なかった。

傷つきながら残骸の中から這い出るも、Re:LOADER4の右肩に装備された双対三連ミサイルが放たれ、刺客へと襲い掛かった。

脆くなった装甲を木っ端微塵に吹き飛ばし、刺客の機能停止寸前までに追いやる。

 

〔!!!/:::……!!!〕

 

このままでは何も出来ずに終わる。

そう判断したAIは連装砲を動きを止めた戦術人形621へと向けた。

爆発の連鎖に飲まれながらも、自身を消そうとする刺客の動きに気付いたのか戦術人形621は若干反応に遅れながらも走り出した。

 

(不味い…狙いから逃れられない!)

 

狙いから外れる前に撃たれる。

戦術人形621の表情に焦りが生まれる。

刺客の連装砲が放たれそうになった時、その巨体に強烈な衝撃が走った。

鉄と鉄がぶつかる鈍い音。連装砲は明後日の方向へと向き、その体は再び残骸の中へと叩きつけられる。

その光景を見つめていた戦術人形621は唖然としながらも、その光景を言葉にした。

 

「け、蹴り飛ばした…?!」

 

突進から繰り出された強烈な蹴り(ブーストキック)

その様な芸当も出来るのかとRe:LOADER4を見つめる戦術人形621。

対するC4-621は残骸の中へと蹴り飛ばした刺客をじっと見つめていた。

 

「…来るか」

 

その言葉通り、残骸の中から刺客が這い出てくる。

しかしその動きは非常に鈍く、躰の節々から炎と火花を撒き散らしていた。

その執念は認めるべきだろうが、彼には関係ない。

 

「…」

 

無言のまま、パルスブレードを最大出力で展開。

これで止めと言わんばかりにC4-621が駆るRe:LOADER4は刺客へと目掛けてパルス波で形成された巨大な刀身を叩きつけるのであった。

 

 

 

戦いの臭いと、鉄が焦げる臭いが漂う。

静かに昇る朝日がこの前哨基地を照らし始める中、壁と超えた私は残骸の上に座り込みながらそこに鎮座する人型兵器を見つめる。

 

「気になるか?」

 

つい先ほどまで、この人型兵器を操縦していた彼、C4-621が歩み寄りながら私へと問う。

 

「ええ、まぁ…」

 

気にならないとは嘘にはなる。

この人型兵器は何なのか。そしてこれを駆る彼は何者か。

そういった疑問が尽きなかった。

 

「貴方は…何者なのですか?」

 

ふと、浮かび上がった疑問の一つを彼にぶつけてしまう。

その問いに彼は静かに答えた。

 

「…独立傭兵だ」

 

「独立傭兵…。C4-621と名乗りながら活動していたのです?」

 

「いや…違う」

 

そう言って彼は静かに、あの人型兵器の方へと向いた。

片膝をついて鎮座する機体を見つめながら、彼は答えた。

 

「レイヴン。そう…名乗っていた」

 

借り物だがな、と締めくくる彼。

しかし、あの戦いぶりは飛んでいる様で。

レイヴンの名に相応しいと思ってしまったのは、胸の中に収めておくとしよう。




短い上にクッソ下手な描写で、あんまり細かくないですけど、壁越え完了です。

前話のあとがきで確定ではないけど戦術人形621の容姿を明らかにしようと思いましたが、内容が戦闘描写で埋まったので、またの機会とさせていただきます。

では次回ノシ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。