ちがう! 『電子光虫』たちが勝手に!   作:ウェットルver.2

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 気が向いたので投稿します。


オワタ式…って、コト!?

 遊戯王ARC-VのRTA、あーじまーるよっ。

 嘘ですボクには実行できませんゴメンなさい。

 

 マジでやるなら融合次元の人間に転生してアカデミアに潜入し、次元統合装置を爆破して内部エネルギーを暴走させ、ユーリごとアカデミアを汚ねえ花火にするほうが早いと思います。

 が、自分の初期設定(デフォルト)は『エクシーズ次元の人間への転生』なのでRTA攻略の足しになりません。

 仮に融合次元へ行けたとしても、次元統合装置のありかを調べる時間を稼げない立場なので本編沿いに攻略したほうがマシの可能性さえあります。

 ユート×瑠璃とか黒咲さんとか好きな人には嬉しくないED(エンディング)1でザ・エンドってね。

 

 クソわよ。

 つーかボクの残機は1なんだからさ。

 発狂しようがRTAに挑戦する余裕なんざねえわ。

 

「マジかよぅ……」

 

 前世の記憶を叩き起こしたやべーやつらを紹介するぜ!

 おっす、ボクはハートランド・デュエル・スクールのダイヤ校の桜木(さくらぎ)健児(ケンジ)

 そして、この子は昆虫族の《電子光虫ライノセバス》!

 前世のつよつよ(よわよわ)デッキを手にして「え、俺なにかやっちゃいましたか?」と最強コンボで天地無双だ! ハーレムだ! やったね健児ちゃん!

 

 んなわけねーだろ、できるかボケ。

 

「エクシーズ次元、リア充の巣窟なんだよなぁ……」

 

 素敵なカップルも紹介するぜ!

 

 まずはワンペア! スペード校から!

 白馬の王子様ならぬ黒竜の騎士様、ユート!

 に、惚れこむ、眠れる森の美女ならぬ眠れる獅子(ライオン)どころか眠れる猛禽類(サヨナキドリ)、おとなしい顔や服装をしていながらも内なる願望(カオス)がストロングすぎるぜ、黒咲瑠璃!

 

 続きましてのツーペア! クローバー校から!

 無鉄砲な頑固少年、神月アレン!

 に、引きずり回される、ちょっと臆病っぽくて引っ込み思案気味な眼鏡少女、笹山サヤカ!

 

 こいつら、みんな仲いいんだよっ……!

 なんならボク、こいつらの恋やら青春やらを応援したいんだよぉ……っ!

 

「先攻NTR発動で俺の勝ちアザッシターイタダキマス!

 は、ぜんっぜんボクの趣味じゃねえのですが……?」

 

 イカサマで初手エクゾディアさながらの恋の勝負を開幕からやって、*1原作の関係性をぶちこわしながら女を奪い取るってそれ”読む”ならとにかく、”自分でやる”のは違うじゃん。

 

 なんか罪悪感っていうかさ。

 遠回しに敗北感があるじゃん。想像つくじゃん。

 あっ……自分、こんな真似(こと)しなきゃ原作キャラに勝てねえんだ、って。

 

「まあ、あいつら、

 スペード校やクローバー校の生徒だから、今は関係ないけどさぁ……?」

 

 ボクだって男なんだ。女の子に愛されたいとか甘やかされたいとか、チヤホヤされたいとか、かっこいいだのたくましいだの言われたいとか、ちゃあんとした欲求くらいはある!

 

 恋愛対象に選択されるなら、ちゃんと健全に選択されたいし!

 恋愛対象を選択するのなら、ちゃんと原作とは無関係に選択したいのだ!

 

 前世を思い出すまでを、思い出してみる。 

 彼ら彼女らの恋愛模様を破綻させる要素(やらかし)は、まだやらかしてない。

 たしかハートランド・デュエル・スクール……面倒だから以後はHDSと呼ぶとして、HDSでの交流デュエルで、それぞれの学校の生徒としての面識こそ(たぶん)あっても、交友関係ではない。

 

 つまり、ダイヤ校の生徒である自分は、リア充2組には深入りしていない。

 乙女の恋の予感から間男やNTR男になってしまう危険性があったりも、しない。

 

「いやいや、逆に考えればいいのさ健児くん。

 こう考えるんだ、―――『モテちゃってもいいさ』、と。」

 

 自分が間男やNTR男になりかねないのなら!

 そうなるよりも先に、『逆に!』

 『彼女を作っちゃえばいいのだ!』

 

 もとより、原作キャラに惚れられる可能性なんてゼロに等しいはずだ。

 あくまで特異な経歴によって「原作キャラを自分の恋人にしてしまうかも……!?」なんて自意識過剰を起こして原作CP(カップル)の崩壊を気にしてしまうだけで。

 

 とはいえ、念には念を入れよ、なのだ。

 

「ふっふっふッ……待ってろ未来のマイハニー!」

 

 最高に高めたボクのモテ☆パワーで最高の彼女を手に入れてやるぜ!!

 なら散髪屋(サ店)に行くぜ!

 うおおっ、もっと早く疾走(はし)れぇっ!

 

 数か月後。

 

「モテませんでした。」

 

 そりゃあそうだ。

 元が昆虫族使いである。

 都会であるハートランド住まいの女の子では観慣れないがゆえに、あんまりにも女性からの人気は低いであろう昆虫類をモチーフとした、メカメカしい昆虫族を操る決闘者である。

 

 男連中からの人気をどれだけ得ようと、ロボに目を輝かせてくれる女子は少ないのだ。

 虫とロボの相性は男性特攻でしかない(=女受けしない)点はおわかりいただけただろうか。

 

「そんな気はしてたんだよ……っ!

 やる前から、そんな予感はっ……!

 でも、やらなきゃ結果はわからんだろっ……!?」

 

 なにごとも「やればわかる」とはいうが。

 異世界転生の自覚から間もない時期になにを考えたところで、実行すれば異世界転生がだいすきなオタクの妄想が現実になって中二病と自己愛をこじらせた蝶☆痛いアホのできあがりだ。

 

 なにごとも「かっこいいからだ!」では済まないのだ。

 身綺麗で清潔感もある女の子に対してのアピールであれば、特にそう。

 

『虫は……ちょっと。

 趣味じゃないの。ごめんね。

 それに、このあと■■くんから野球部のマネージャーの仕事(ついで)で呼ばれてて……』

 

『え? んあ~っ……お友達じゃダメ?

 あ、もしもし■■■? 今日さ、映画館(デート)行かね?』

 

 特に、そう。

 

「めっちゃわかりやすく!

 『彼氏がいます』ってやらんでも! いいじゃないかっ!?」

 

 だったら言えよ!

 「彼氏がいます」って素直に!

 でも、そんな言い方が、よりにもよって告白を断る側なりの”誠実で”、まだまだ”優しい”対応だったりするのだ。ひどいときは「キモイ」「虫野郎」などと言いふらされもした。

 

 誰が思いついたのやら、なんて冷徹(れいてつ)で的確な悪口なんだ。

 そうだよなぁ、セミとかは夏場の求愛行動(ミーンミン)が有名だもんな。泣きそう。泣いた。

 

「いい女には……大抵(たいてい)()()()()()()()()……!!」

 

 漫画版【遊戯王ZEXAL】で有名なセリフだ。

 あれ? 原作でこんな感じに言ってたっけ。なんか微妙(びみょう)にちがう気がするな。

 

「くそう、リア充爆発しろぉっ!」

 

 そう叫んだのがマズかったのか。

 あるいは、原作崩壊を避けるためにモテ活動に全力を注ぎすぎたのが、アホだったのか。

 

 ハートランドシティのシンボル。

 遊園地ハートランドの塔にある、ハートのモニュメントが爆ぜた。

 

 融合次元の軍学校(アカデミア)による侵攻。

 その始まりを意味する、開戦の狼煙があがったのだ。

*1
エクゾディアとは、ある5枚のカードをそろえればゲームに勝利できてしまうカードの通称である。「初手エクゾディア」とは、この特殊な勝利方法の条件が最初の手札5枚で満たされてしまった奇跡的な状況のことを指す。




 気が向いたら投稿します。

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