ちがう! 『電子光虫』たちが勝手に! 作:ウェットルver.2
リア充爆発しろ!
とか思ったら、街が爆発した件について。
ついに始まりましたアークファイブ次元戦争編。
実況、解説は私でお送りいたします……いや実況解説してる場合じゃねえ!
彼女できない、フラグ立たない、無双しない、ほかいろいろナイナイづくし。
へたすりゃ死ぬ物理攻撃あり、へたに目立つと敵戦力に袋叩きにされて負ける危険性あり。
ルート分岐次第では、一生カードに封印される可能性あり。
ほかいろいろアリアリづくしの人生アリーデ・ヴェルチ。
こんなんでデッキ渡されて人生を「再走しろ」って?
なにひとつも! 割に合うわけねえ!
いや転生自体が、こう、前世であんまり報われなくて? 今生で報われるみたいな?
そういう前向きだか後ろ向きだか、自分でも解釈に困る人生でもないと割に合わない気はするんよ、だって「社会人として生きる」ことって大変だし……ただ「普通の人生を送っていた」だけだと、転生で人生の苦労を二度も繰り返すなんて、しんどいだけだと思わなくはないのよね。
しんどいだけだと思うのよね。大事なことだから二回言った。
となると、やっぱり転生には必要だと思うわけですよ、
「クソがよ。」
で、昆虫嫌いの女の子に振られたり。
彼氏はもういる女の子に振られたりした結果が今ってわけ。
アカデミアの侵攻軍に抵抗するレジスタンスに加入してもなお、いまだ女っ気に恵まれない……お友達から始める恋愛すらないってどうしてだろうね。
異次元からの侵略者を相手に戦えども、惚れたはれたの浮いた話はなく。
どれだけ民間人を助けても、感謝はされようが恋心を持たれることはなく。
いかにレジスタンスで活躍しようとも、べつに飯が豪華になるわけではなく……!
ちゃっかりお金をいただこうとも!
お金を使う先なんて、どこだろうと軒並み廃墟と化している……!!
金! 暴力! 女!
悪役とかの台詞でよくある話題だけど、これは意外と馬鹿にならない。
たとえば、暴力や仕事がデュエルに変わったところで、やった後でまるで評価されない……「やって当然」「できて当然」みたいな態度を周りからされれば、そりゃあ誰だって次第にやる気を失うだろう。ヒーローだって救った誰かの笑顔という報酬がほしいのだから。
そんな子供みたいな話を……なんて思うかもしれないが、「よくやった」「頑張ったな」の一言は、みんながみんな「子供のうちに親にされる態度だから」と必要としないわけではない。
評価を伴う態度とは。
親にやってもらえなかった側の人間にとっては、あまりにも価値がある報酬なのだ。
24時間戦えたサラリーマンは、24時間仕事に費やせば報酬が弾むから頑張れたのである。
24時間戦うことを「当然だ」とされてしまえば、ただの当然のサービスだと扱われてしまえば、求められているものが努力による
本当は24時間も頑張れない人間が頑張るためには、24時間も頑張ってよかったと思わせてくれる報酬が必要だ。それなのに「24時間頑張る才能」を問われれば脱落者が現れて当然だ。
頑張れないはずなのに頑張ることを、古くは根性と呼び、才能や実力とは呼ばない。
根性を、ひとの意思や感情を軽んじれば、サービスを提供する側は愛想を尽かすのだ。
そのへん、侵略者たるアカデミアの上層部は巧いと評価せざるを得ないが。
このあたりのカリスマの問題がそっくりそのまま、レジスタンスに起こるとどうなるのか?
飯は配給。
べつに成果に応じて、商品の質や量が変わったりはしない。
金は無報酬。
というか、仮にもらえたとしても、現状ではほぼ使いどころがない。
物々交換のほうがまだマシで、ケツを拭く紙になればマシ、という程度。
暴力(デュエル)は何ももたらさない。
敵を倒しても、敵の増援が絶え間なくやってくる。
疲れていようが精神的にまいってしまおうが、関係なく現れる。
みんながみんな侵略者に抗うことがあたりまえで、抗う意思、立ち向かう勇気を「戦士として」は評価しても……「そうであって当然」「やってもらって当然」の態度なのであれば最悪だ。
こうなると戦う決闘者は、戦わない常人からは尊重されない。
極論を言えば、決闘者が恋愛に恵まれないのだ。
こんな状況、収入も高待遇も期待できないなら、貧乏くさくて疲れ果てた顔の企業戦士もどきがひとりできあがるだけでしかない。そんなやつをみて恋をする人間がいると思うか?
フツーはいない。もっと楽しそうなツラした余裕のある相手を選ぶ。
この戦場で”そう”あれる決闘者とは誰か?
我らが憎きアカデミアの戦士である。
まあ、そら裏切られるわな。
総評。
レジスタンスはブラック企業も同然だ。
デュエルで戦っても報われない。
だから、自分を幸せにするために裏切るやつが出てくる。
裏切られたくないなら、それなりの報酬や労いがないといけない。
……こんなことを馬鹿正直に考えているレジスタンスの人間は、ひょっとしたら俺くらいなのかもしれない。そう思える理由はひとつ。
「かといって、レジスタンス外部の女の子をスカウトするわけにはなあ。」
レジスタンスは元を正せば、榊遊勝を中心としたデュエルサークルが前身にあるからだ。
信用、信頼できる身内同士が集まってできた抵抗勢力であって、赤の他人の同志を募って結成された義勇軍かと言われれば、すこし断言しきれないところがある。
中心的な人物たちは一枚岩だが、その周り……外様のデュエリストはそうでもないのだ。
さきほどの裏切りの話は、まさに結束力の偏りがひどい証明となるだろう。
アカデミアからの甘言を真に受けて裏切ったやつもいれば、ボクの想定通りにやってられなくなり辞退したやつもいたのだ、こうなると新規メンバーの募集も難しくなってくる。
だって労働環境が改善されてないし……!
たとえば、だれかひとり、新しく女の子を非戦闘員であれ迎え入れたとして、
「レジスタンスを裏切った後でのアカデミアからの高待遇を夢見て、ハニートラップをやってでもレジスタンスの情報を引き抜こうとしかねない。」
……と、いう疑惑を持たれないはずもない。少なくともボクは疑う。
しかも、だ。
デュエルサークル時代からの主要なメンバーは恋人持ちか、恋愛する気がない。
外様のメンバーに至っては、榊遊勝先生の指導を受けていないので強いわけではない。
戦時中なので空気は緊張感が続いているし、みんな裏切りを警戒して新人には心を開かない。
女からすれば、「いい男を捕まえられない」というわけだ。
こうも居心地悪い、いい出会いもない環境で、長く務めてくれるはずもないだろう。
その人材に、裏切りのリスクが最初はなかったとしても。
ビジネスライクに後方支援や慰安活動に徹してもらうには、充分な報酬がない。
差別や区別のない配給を続けるということは、報酬としての配給にも差をつけたりもしないのだから、どれだけ活動がクリーンだとしても、いちいち気を配るなんてやってられなくなるだろう。
「うーん……つんでる……?」
よっぽど高潔なひとでもないかぎり、レジスタンスの構成員になってくれるはずがない。
そうでもないのに構成員になりにきた時点で、裏切りの疑惑がついてまわってしまう。
黒咲もユートもそうだが、この現状でよく「アカデミアに勝とう」と思えるものだ。
こういうところでアカデミアに見劣りするのが、自分たちレジスタンスなのに。
「!? レジスタンス……!?」
「ん?」
とかなんとか思慮にふけっていれば、不審者発見。
ぼろきれじみた外套を身にまとう、声色からして女性であろう人間がいた。
こちらに駆け寄るかのような走り方からして、なにかから逃げていたのだろうか。
それにしても、女性のわりには図体がいいというか、身長が高いな。
「お願い、どいてちょうだい!
あなたたちと敵対する気はないの、いえ、むしろ
「ゑ?」
彼女の後ろから「いたぞ!」「あそこか!」と声が聞こえてくる。
あまりよくは見えなかったが、白光りする仮面と宝石らしき輝きからして、アカデミアの先兵、それもオベリスクフォースと呼ばれる連中が彼女を追いかけてきたのだろう。
だいたい彼らは三人一組で敵兵を追い詰めるスタイル、なの、だが……あれ?
なんか、どう見ても、ひとで道が埋まっているように見える。
「いや頭数多くね!?」
「だから逃げてって言ったじゃない!」
ここが細道なら「なんだ六人くらいかー」なんて目算もついた。
ところがどっこい、今歩いている道は住宅街の道である。車一台が余裕を持って通れる道幅であれ、人間で埋めて道を塞ぐほどとなると四人二列の行列くらいは作れてしまう。
そんな道が三の倍数ほどで塞がれるとなると……最低でも九人くらいはいるな、これ!?
「だとしてもっ……馬鹿か!?
すし詰めになったら追いかけにくいだろ!?」
思わず叫び、背中を向けて逃げる。
不審者じみた彼女の横を併走しながら、すこし話しかけてみる。
「きみ決闘者だろ、デュエルしないの?」
「しているのよ!
でも、あんまり一か所に留まると、どんどん増援が……!」
彼女の周囲を見回す。
よくよく見れば、彼女の隣を機械の猟犬が追いかけている。
オベリスクフォースの猟犬とおなじモンスターなのだが、つやのある金属の反射光を持たない錆びついた姿は手入れがされておらず、どこか野犬を思わせるワイルドな風貌となっていた。
《古代の機械猟犬》……その名にふさわしい老犬にも見える。
どうやら、この老犬が彼女の相棒らしい。
「……つまり、あれを一掃できれば。
きみは別動隊や増援とは距離は取れるんだね?」
「え、ええ。そうだけど、そんな簡単な話じゃあないわよ」
「いけるね、相棒」
デッキに眠る精霊へと語りかける。
ウ゛ン、と音を立てて勝手に起動したデュエリストの武器「デュエルディスク」は、オベリスクフォースたちのデュエルディスクへと電子攻撃を始めた。
『Battle Royal Mode-Joining !』
強制バトルロイヤルモードの起動。
本来であれば乱入ペナルティを受ける途中参加だが、なぜか戦力の随時投入が可能なオベリスクフォースたちは乱入ペナルティを受けずにデュエルできている。
なんらかの方法や特殊裁定で乱入ペナルティを回避しているのだろうが、
『乱入ペナルティ、2000ポイント!』
「な、」
それは許さない。
オベリスクフォースのひとりが異変に気づいたが、もう遅い。
「ぐわっ!?」
「なんだ、どうし……ぎゃあっ!?」
次々とデュエルディスクからの電撃を受けて倒れ伏すオベリスクフォースたち。
電気ショックを突然に受けて不意を突かれたからか、立ちあがるまでに時間がかかっている。
状況を掴めず呆然と立ち尽くす彼女の手を引き、改めて逃走を続ける。
「な、なにが起きているの?」
「ボクの相棒がやらかしてくれたのさ」
相棒の《電子光虫ライノセバス》のおかげだ。
バトルロイヤルモードで乱入すると同時に、乱入ペナルティを受けていない決闘者へと、《電子光虫ライノセバス》が問答無用で乱入ペナルティを受けさせるバグを発生させたのだ。
もっとも、この場合は乱入ペナルティの回避をさせなくさせているので、そのあたりのプログラムをバグらせた、と言うのが正確なのだろうが……。
「この状況なら、いっきに頭数を減らせる。
ボクのターン、ドロー!」
『乱入ペナルティ、2000ポイント』
「あばばばば!?」
ボクにも電流が走る。
まあ、それは別にいい。
くるとわかっていれば耐えきれる。
相棒たちのクラッキングが成功していれば、今日の手札は、っと。
―――よし、
「ボクは手札から、レベル3の《電子光虫―センチビット》を召喚!」
ボクの腕に巻きつく、ICチップを連結させたムカデ。
「続けて手札から、レベル3の《電子光虫―レジストライダー》を特殊召喚!
このモンスターは、昆虫族・レベル3のモンスターの召喚成功時に、手札から特殊召喚することができる!」
続けて頬に張り付いた、抵抗器を胴体とするアメンボ。
それぞれがボクに触腕を突き刺し、ボクの全身を走る乱入ペナルティの電流を吸い取った。
「この瞬間、それぞれの効果が連動する。
《電子光虫―レジストライダー》は自分フィールドの昆虫族モンスター、《電子光虫―センチビット》の表示形式を変更させ、《電子光虫―センチビット》は守備表示に変更された時、デッキからレベル3の昆虫族モンスターを特殊召喚する。」
ボクの頭を鷲掴みにするように、
「来い、《電子光虫―ウェブソルダー》!」
はんだごての足を持つ蜘蛛が乗る。
「さらに手札から《オーバーレイ・ネットワーク》を発動。
手札からレベル3の《電子光虫―コクーンデンサ》を特殊召喚する。」
巨大な蓄電器の繭が背中へとくっつき、全身を漲る電流を溜め込んで怪しく輝く。
「最後に手札から、速攻魔法《バグ・ロード》を発動。
おたがいに場のレベル4以下のモンスターとおなじレベルを持つ、手札のモンスターを1体特殊召喚できる。ボクは手札からレベル3の《バチバチバチ》を特殊召喚。
さあ、おまえたちも特殊召喚しろ!」
なぜだかドン引きしたかのような表情を唇からうかがわせるオベリスクフォースたちは、ひとりひとりが《古代の機械猟犬》や《古代の機械兵士》といったモンスターたちを特殊召喚していく。
よし、これでもう、―――あいつらには逃げ場がない。
「ボクは、レベル3の
《電子光虫―センチビット》と、
《電子光虫―レジストライダー》、《電子光虫―ウェブゾルダー》、
《電子光虫―コクーンデンサ》、《バチバチバチ》で、オーバーレイ!」
「モンスター5体でエクシーズ召喚ですって!?」
隣の彼女が驚いているが、べつにこれくらいは普通だ。
カードの積み込みがなくったって、3体くらいならば普通にならべられる。
そう、電子光虫ならね。
……まあ、上には? 上がいるんですけどもね!
「いでよ、ランク3!
《電子光虫―スカラジエータ》!」
全身の電子光虫たちが銀河の渦へと飛び立つ。
銀河系の最奥よりひとつとなって現れるは、巨大な放熱装置を転がすスカラベ。
またの名をフンコロガシ。
ここまで見れば、薄々と女の子にモテない理由がわかろうものである。
なんでだよ、スカラベってなんか神秘的じゃん!
おなじ太陽絡みでテントウムシのほうが人気あるってどういうことよ!
クソを転がしているからよ。それはそう。
「この瞬間、エクシーズ素材となったすべてのモンスター効果が起動する。
《電子光虫―センチビット》が持つ力は、
『エクシーズモンスターに全体攻撃の能力を与える力』
《電子光虫―レジストライダー》が持つ力は、
『エクシーズモンスターの攻撃力を1000アップする力』
《電子光虫―ウェブゾルダー》が持つ力は、
『敵陣すべてのカードを守備表示に変更し、その守備力を奪う力』……!」
気分は海馬剛三郎の《エクゾディア・ネクロス》。
あらゆるエクシーズモンスターの中でも多様性を秘めた電子光虫の力は、素材となったメインデッキの電子光虫たちの秘めたる能力に応じて増幅され、
「だが、そんなもの!
俺たちの罠カードの効果で破壊すれば、」
「《電子光虫―コクーンデンサ》が持つ力は、
『バトル中に相手の発動する、あらゆる効果を許可しない力』……!」
あらゆる小細工を無力化し、
「なんだと!?
じゃあ、この《聖なるバリア―ミラーフォース》は使えない!
だが、すべてのモンスターが守備表示なら、おれたちにダメージは―――」
「さらに《電子光ちゅ……ではなく。
《バチバチバチ》が持つ力は、
『エクシーズモンスターの攻撃を貫通させる力』!」
いかなる障害も乗り越えて、
「そうか、貴様のモンスターの攻撃力は2800!」
「そして、きみたちのフィールドには、
《バグ・ロード》で呼び出されたモンスターを含めて、守備力ゼロのモンスターが2体ずつ。
一度に発生する戦闘ダメージは2800。これをひとりにつき、2回も繰り返せば?」
「全員、合計5600のダメージだと!?」
問答無用でオベリスクフォースを叩き伏せるパワーをも得る!
初期ライフ4000で開幕5600のダメージは防ぎきれない!
「転がし潰せ、《電子光虫―スカラジエータ》!」
あ、よいしょ、とでもボヤくように放熱装置を蹴り飛ばしたスカラジエータ。
ごろごろと転がる巨大な装置を前にしてモンスターたちは逃げようとするも、ここは住宅街の幅員狭い道だ、ましてや自分たちの御主人様共が道を塞いでいて横にも後ろにも逃げられない。
「ぎゃああっ、こっち来るな……うわーっ!?」
悲鳴をあげるオベリスクフォースたち。
ライフがゼロになると同時にオベリスクフォースたちのデュエルディスクに内蔵された次元転送装置が、敗者であるオベリスクフォースたちを敵から逃がすために起動され、その姿を彼らの本拠地……融合次元へと送り込む。
光の粒子となって消えた彼らを見送り、逃げていた彼女がつぶやいた。
「……ほ、本当に、みんな一掃したの?」
「いや? まだだと思うよ……ほら。」
速攻魔法《バグ・ロード》には欠点がある。
通常のデュエルであれば相手がレベル4以下のモンスターを場に召喚していない場合、そもそもの発動自体ができないという欠点だ。
この欠点はバトルロイヤルモードであれば敵の誰かが条件を満たしてくれていれば発動できるため問題はないものの、いかに発動条件を満たしていようが、相手の手札にレベル4以下のモンスターがいなければ特殊召喚をさせることはできない。
また、「~~できる」という任意の効果であって、べつに相手は特殊召喚をしなくてもいい。
なんらかの理由で特殊召喚をしなかったやつは、今のコンボを受けても生き残れるのだ。
だからこそ、事前に乱入ペナルティを正しく受けさせる必要があったわけだ。
「う、うそだろ?
俺たち以外が、ぜ、全滅……?
でも相手はひとりだっ。俺のターン!
俺は手札から《古代の機械猟犬》を召喚し、その効果でダメージを、」
「《電子光虫―スカラジエータ》の効果を発動。
エクシーズ素材をふたつ取り除き、相手のモンスターの効果を無効にする。
さらに、その表示形式を変更、これで戦闘・効果によるダメージは発生しない。」
「……くそおっ!」
「《電子光虫―スカラジエータ》のエクシーズ素材は5つ。
いや、さっきの戦闘によってモンスターを吸収できる効果もあるから、6つ。
そこから2つ使って……うん、あと2回は効果を無効にできるね。
ちょうど、そこのきみたち2人のぶんも止められる。」
「ひっ。」
こんな戦況を冷静に直視できるほど、彼らは精神的には強くないらしい。
「じゃあ、あとはよろしく。」
「ええ、任されたわ。」
これだけ盤面をひっくり返せば、あとは追う者と追われる者が入れ替わるだけだ。
《古代の機械猟犬》を従える彼女の活躍は、眺めるのも退屈な消化試合でしかなくなっていた。
「私は、永続魔法《古代の機械城》の効果を発動。
その効果により《古代の機械巨人》をリリースなしで召喚できる!
現れなさい、《古代の機械巨人》!」
だから、ヒマつぶしで。
とりあえず、彼女の名前を聞こうとして……振り向いて、気がついた。
「手札から《古代の機械融合》を発動。
フィールドの《古代の機械巨人》と、
デッキの《古代の機械巨人》2体を融合!」
フードから零れる金髪。
いつかに耳が馴染んだ女性の声。
「現れいでよ、《古代の機械超巨人》!
このカードは、融合素材となった「古代の機械巨人」モンスターの数まで攻撃が可能!」
振るわれる巨人の剛腕による風によるものか、彼女のフードが脱げる。
目鼻立ちの整った容姿には、見覚えのある黄金色の瞳があった。
「すべての《古代の機械猟犬》に攻撃!!」
そして、敵を一掃する際の凛々しい表情。
「……ありがとう。助かったわ」
「きみ、名前は?」
「私?」
彼女の特徴だけを見れば、思い当たる人間がいる。
「私は、天上院明日香。あなたの名前は?」
容姿端麗。
戦える、高潔なる決闘者。
恋人なし、デュエルに恋をする性格。
あと、スタイル抜群。
「……
「そう。あなたはレジスタンス……で、いいのよね?」
つまり、憧れの恋愛対象だ。
独身な男子学生には刺さる、とびっきりの美女。
「もちろん。
そういう明日香は、オベリスクフォース……だったのかな?」
「ええ。」
金、暴力、女!
裏切りを防ぐためには、それ相応の報酬がなければならない。
ましてや男所帯になりやすい労働環境では、女という可憐な花ならぬ芳醇な果実がなければ心癒されず、いつまでもは仕事をやっていけない側面はある。
性別をひっくり返しても同じだ、仕事場に男がいるからやる気が回復する女性もいる。
つまるところ、ささやかな恋が仕事のモチベーションをアップさせるのだ。
ひとが自分自身を愛するための、ささやかな労いとしても恋は有用だ。
「で、わけあって追われる身、そうなんだね?」
「そうよ。あなたたちの傘下に加えてほしいの。いいかしら?」
……よし。
「いいとも!」
これで裏切り問題の半分は片付いたなっ!!!
余裕ができたら続きを書きます。
今回の話は?
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いいね!
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まだまだだね…