チート一族になりたくて   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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安土時代
天照時代


 照継は死ぬ間際に曾孫の天照にこう話した

 

「私は転生者であり、本来の歴史であれば織田信長は天下を取ることはできない人物であったが、ここでは天下を取ることができ、約15年近く平和を手に入れることができた。信忠公もあと20年は何事もなければ現役であろう。天照には今後どの様な動きを取るべきかを」

 

「……初代様」

 

 照継は織田政権は遅れながら大航海時代に参加し、東南アジアへの拡張をするように誘導していたが、どうやら信忠公は父信長よりも保守思考が強いらしく、キリスト教の暴れ具合によっては鎖国もあり得ると考えていたが、50年以内に樺太に進出し、大陸への足場をなんとしても作り、新しい中華王朝と交易を行うこと

 

「蝦夷南部では目立つが、樺太を島津の琉球王国のように間を挟むことにより密貿易は可能だ。なに、樺太に新王朝を作ったとして朝貢貿易にすれば問題ないだろう」

 

「初代様は経済に関しては本当に飛び抜けていますね」

 

「あと欧州とのパイプを作っておけ。地球の反対側だが各国が近い分、戦争も多くて技術が発展しやすい。船の長旅だと栄養分が足りなくなるから柑橘類の飲み物を用意して定期的に接種すれば南蛮人が苦しんでいるような壊血病になることはないが、長期航海となるとなかなか難しいだろうからもやしを食べることでもある程度の予防になる。肝なのは新鮮な野菜や果実に含まれる栄養素だ」

 

「なるほど」

 

「船の改良は幕府が禁止しても続けろ。その為の樺太の架空国家化だ。あと米和が居るから大丈夫だと思うがお家騒動は絶対に起こすな。五大妖(照継の仲間の初期メンバーの妖怪達)に守らせる。変え子を使ってでも宮永本家を断絶させるな」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、初代の照継様に言われたものの、うちはまだ恵まれた方かな」

 

 二代将軍の織田信忠は1592年に全国に検地令を発表

 

 蝦夷は米が作れないとされていたので検地は見送られたものの、海産物が多く取れることから5万石の大名として扱われることが決定したが、蝦夷守、北狄総大将、北方探題という役職を3つも兼任したことでそれに見合う家臣団と家格を用意しなければならず、出費は15万石相当となってしまった

 

 更に信忠は身分制度を幕府領500万石では厳格化したが、他の藩は北条や宮永、長宗我部家は結構なーなーで終わり、宮永家は半商半武の身分を安土時代貫いた

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、全く大名は疲れるよ。俺も算盤弾いていた方が楽だな」

 

 初代蝦夷藩藩主宮永天照

 

 照継が表向きは失踪したが、最後は東源郷で死に場所を選んだだけで、親族はちゃんと葬儀を執り行い、供養した

 

 1600年の段階で天照は26歳

 

 若者ではあるが脂ののり始める頃合いであり、彼はポコポコと温泉を湧かせてくる祖父と鉱山を見つけてくる自由すぎる父達、妖力を身に纏い、常人の数倍の速さで開拓を続ける親族達、国宝級の刀や武具を量産する金屋子神に振り回されながらも日々の行政を行っていった

 

「今日も今日とて図面を引いて……町作りは楽しいか天照坊主」

 

「坊主って歳ではもうないでしょ。羽衣様」

 

 羽衣蘭……照継が最初に仲間にした化け狐だが、九尾まで成長し、美しい雪の様な白毛の尻尾を携えて天照の前にやって来た

 

「どいつもこいつも港が欲しいだ、新しい製鉄法を試したいから金くれとか、酒倉増やしたいから金出せとか……確かに商家から藩に収入を得るためには税と株の配当金になるが、融資どんだけ欲しいんだよ。本家にもそんな金ねーよ」

 

「商人である彼らにとって金はあるだけ良いですし、銭座の権利が織田に移ってから独自に通貨を発行するのはできなくなりましたからね」

 

「まぁ硬貨が禁止であって、藩内部で回せる紙幣なら許されるが、貨幣量的には十分に回っているからなぁ」

 

「今後はどの様に?」

 

「どの様にもなにもバカスカ子供を産んで、頭数増やして、開拓しての繰り返しですよ。俺の代は延々と開拓三昧……さて俺の代で石高はどれくらいになるのかな?」

 

「今どれくらいでしたっけ?」

 

「東源郷が30万石、蝦夷は5万石程度……寒冷に耐えられる稲の品種改良が進むのと田を切り開けば更なる増収になるだろうけど」

 

「幕府は俸給を米にしたそうじゃないですか」

 

「ああ、どうしても米を単位にしたいらしい。まぁ全国に行き渡らせられるほど銭が無いのもあるけど」

 

 幕府の様子を知るために、天照は親族達とローテーションを組み、安土の情勢を確認していた

 

「他には主要な鉱山が幕府直轄地となったり、日明貿易が再開したりがあるが、強烈なのは伴天連追放令だな」

 

「踏み切ったよね」

 

 1602年伴天連追放令を発表、宣教師達を国外追放とし、交易もスペインを締め出してポルトガル、オランダ、イギリスに切り替えていた

 

 また太平の世となったことと、明が混乱期に突入したことで明の儒教学者や職人が日本に流れ込み、儒教の教えが広まりを見せていた

 

 これが後々神仏分離運動に発展していくこととなる

 

「初代様は明確に明は滅亡して新たな王朝ができると言っていたから、あと50年以内に新しい王朝ができるんだろうけど」

 

「中華か、私の前に九尾となった玉藻前は中華から流れてきたって話は聞いたことがあるけど……中華は妖怪と仙人でうようよしているらしいからなぁ。今の平穏な生活に慣れてしまった身としては中華に行きたいとは思えないな」

 

「考えがお婆ちゃんへぶ!?」

 

「誰がババアだ!」

 

「妖怪なんて人間からしたら皆ババアみたいなもんだろ! 歳考えろ」

 

「ピッチピチの120歳じゃボケ!」

 

「人生50年2回超えている時点でババアじゃ!」

 

 ひとしきり取っ組み合いをしたあと、乱れた衣服を正し

 

「蝦夷開拓が始まって約10年だが、人口が足りないよなぁ……僻地の蝦夷に来たい人なんか少ないし」

 

「となると平和になって迫害される妖怪達を受け入れるのが吉だろうね。大妖怪を幾人も抱えているから呼び込みは楽だよ」

 

「そこら辺は頼むわ、さて、俺はオランダから来た南蛮人の相手をしてくるわ」

 

「こんな僻地に?」

 

「幕府との取引ができなかった商人らしいからな……とりあえず会ってみる」

 

 

 

 

 

 

 

 

「オランダから来たノクターン商会のジェノスと言いまス。以後お見知りおきヲ」

 

「はるばるオランダからここまでよく来たな。まだ何も無い所だか歓迎するよジェノス殿」

 

「領主様にそう言ってもらえるとよかったデス……時に町中にてこの様な物を買ったデス……」

 

 ジェノスが出してきたのは春画であった

 

 しかも過激なヤツ

 

「そ、それは……(うちの一族にそういう絵を描くのが好きな奴が居たな)」

 

「素晴らしいデス! 私感動しましタ! 刀も素晴らしいですがこの絵! ぜひ壺等に描いて欲しいです! 絶対に売れマス」

 

「う、売れるか?」

 

「屏風や扇子にも描いてくだサーイ! 堕落とエロスの中に新たな芸術が生まれマース」

 

 どうやらコイツは頭がイッてるらしい

 

 そりゃ、幕府からこんな商人は追い出されるわ

 

「まぁうちの領土は商売は基本自由だから自由にやりんさい」

 

「おお! 領主様のお墨付きデス! 領主様は何か欲しい物はありますか?」

 

「人が欲しいな。うちの国移民募集しているのに全然来ないし、絵描きになりたい人や芸術家さんとか衣食住保障するから呼べない?」

 

「オケーオケーわかりましタ! 私に任せてくだサーイ!」

 

 ルンルンと帰っていく彼を見てそこはかとない不安を覚えたが、苫小牧の町の宮永一族の絵描き達に壺や扇子等にインモラルな絵……特に少女や幼い少年、天使の堕天した姿、交わっている最中等を浮世絵風に描かせたのをキャラック船いっぱいに積んで帰っていった

 

 一部同志となった宮永一族の者が彼に同行して旅に出ていった

 

 

 

 

 

 

 

 3年後

 

 苫小牧の港にガレオン5隻が入港してきた

 

「ヘーイ! 同志天照! 約束を守りに来ましタ!」

 

 ゾロゾロとガリレオン船から白人の男女が大量に降りてきて

 

「蝦夷の絵を学びに来ました!」

 

「作品を理解してくれると聞いて!」

 

「邪教扱いしないと聞いて!」

 

「ろりろりろーりろり」

 

 ヤベー(変態)5000人がやって来た

 

「ど、どういうこと?」

 

「天照様、私が説明します」

 

 宮永一族で旅に同行した者が説明をすると、卑猥な絵や壺が基本的にキリスト教の教義では禁止なのだが、どこの領地にもそういうのが好きな金持ちが居るらしく、欧州各地の同志に自慢しているうちに高値で取引し、芸術品として莫大な利益になったらしい

 

 更に今欧州では八十年戦争とか紛争が多発しており、更にこういった淫乱的な物への取り締まりが厳しく、パトロンが付き辛い背景があり、更に同志の民族もバラバラであるがゆえに多様性を受け入れられる場所を探していたという

 

 そこにジェノスが

 

「ジパングの蝦夷という場所はインモラルをも受け入れてくれ、差別されません! キリスト教も表向き禁止の様ですが、話を聞くと個人の宗教の自由は保障されているようです! 周りに宗教を押し付けなければ自由でーす! あと東洋人は年齢より10歳は若く見えます。超童顔です! 妖精みたいです」

 

 と話しまくったそうな

 

 事実同行した宮永一族の面々は妖怪か神の血が入っており、とても若く見えたし、長旅にもかかわらず健康そのものであった

 

 更に勤勉であり、船旅で何度も助けられた事をジェノスや船員達が話すと一度ジパングに行ってみたいという商人や差別を受けないということ、戦から逃れたい、ロリを抱きたいといった者達が集まり、ジェノスが稼いだ金に更に追加で商人達が金を出し合い、新造のガリレオン船5隻を購入

 

 また80日近くの航海をして日ノ本に戻ってきたとのこと

 

「いやぁ欧州の文化、勉強になりました。大砲についても学んできましたよ」

 

「お、おう」

 

 なおジェノスは確かに変態ではあるが商人の顔の方が強く、淫乱の物が増えるとキリスト教に捕まるので、次は香辛料を大量に購入して戻っていった

 

 ジェノスは欧州と日本往復を10回も成功させ、成り上がるのだが、息子の代になると運の揺れ戻しか、航海の失敗が相次ぎ没落していくこととなる

 

 ただ、ジェノスが連れてきた5000人の白人(その後の航海でもアラブ人、ユダヤ人、東南アジア、インド人、黒人等)各地から変態を集め、多くが蝦夷に移住した

 

 その中で同化が進み、安土時代が終わる頃には混ざりあった血統で漫画の住民みたいなイケメンや美女が大量に現れ、別の人種に定義した方が良いみたいな風潮が出る

 

 大抵それらを蝦夷民族と言われることとなる

 

 

 

 

 

 

 

 天照時代1592~1625年まで(その後は隠居)は多様性の時代として語られ、和洋折衷の文化的土壌を育み、独自にガリレオン船の造船や西洋式の大砲の開発にも成功したものの、成人人口の爆発が1620年頃からだった為、開発は緩やかに進んだ

 

 ただ苫小牧の他に函館、白老、日高、北広島、千歳、新冠といった7つの町を作り、米が育たない土地とされながらも10万石程度の米を作れるようにするなど農地の基盤を作り上げた

 

 また時代に逆らい神仏習合や他の宗教の神々も八百万の神に組み込む独特な宗教が流行りだし、和暦と西暦の混在、両方の新年を祝う、クリスマスに鶏の丸焼きを食べる、パン文化の普及、じゃがいも料理の発達等文化的に大きく成長した期間であった

 

 天照の偉業として語られるのは公衆浴場の整備であり、迦具照が堀当てる温泉を中心とした温泉宿や娼館を整備し、体の清潔を保つことで病気を予防し、食料もなぜか十分に行き渡っていたことで人口爆発のきっかけを作ることに成功した

 

 まぁ天照時代はどちらかというと基盤作りの時代であり、大きく飛躍するのは次の豊照時代である

 

 

 

 

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