第一次世界大戦
それは歴史上始めての世界大戦であるが、主戦場は欧州
世界の中心が欧州であったことから当時は欧州大戦とも呼ばれていた
「情勢が緊迫化しており、きっかけ1つで爆発しかねないと思っておりましたが連鎖的に破裂しましたな」
「欧州からの肥料の輸入も止まると思われます。今の農法では肥料に依存していますからな」
「うむ···」
宮永財閥の唯一の弱点は化学製品に弱いことであり、窒素肥料の合成に手こずっていた
それでも石炭の液化技術やら合成樹脂やらは強いが、石油の精製技術が弱かったりと得意不得意がハッキリしていた
なお一番強いのは農業であり、沿海地方(沿海州)で大規模農園を多数経営し、日本の米と小麦、甜菜を使った砂糖を大量に作っており、日本の食料自給率の30%はこの地域によるものである(北海道約40%、樺太10% この時の日本の食料自給率125%)
そんな農業を支えていたのが欧州から購入する肥料であり、肥料が無ければ収穫量は半減してしまう
幸い2年分の肥料の備蓄はあるものの、それ以上長引いた場合は米価等が上がると見られていた
「それと政府は今回の大戦を同盟国のイギリス側の連合国陣営で参戦すると決めたようです」
「よし、国が決めたのならばその賭けに全ツッパだ。工場をフル稼働させ、船や武器、缶詰、衣服を造り、戦争中の国々に輸出すると同時に重桜に実践経験を積ませる」
重桜···宮永財閥が育ててきた傭兵部隊であり、2個師団クラスの陸軍兵力と駆逐艦4隻、軽巡洋艦2隻の実働部隊の海軍戦力を有していた
ただ伊土戦争、第一次バルカン戦争では国民感情と友好国であったオスマン帝国側に立って支援したものの500名近くの戦死者を出し、負けたために弱兵のレッテルが貼られていた
しかし、新兵器や新戦術に対する思考は柔軟であり、まだ信頼性の低い戦車をいち早く受け入れ、それを使った戦術構築に躍起になっていた
シーメンス事件が金剛型巡洋戦艦の国内製造により発生していないため、強力なリーダーシップを持つ山本権兵衛首相が早期に連合国入りを打診し、連合国陣営として参戦が決定
ドイツがフランスの反撃により戦線が停滞する中日本海軍はドイツ東洋艦隊撃滅に向けて動き出し、ドイツの租借地の青島に海軍陸戦隊による強襲上陸で陥落させ、青島近辺での海戦にて戦艦下総を旗艦とする艦隊がドイツ東洋艦隊の一部を捉え、砲撃を開始
戦艦下総はこの時の戦いで有効射程から9割のところから射撃し、砲弾命中率50%(演習等でゆっくり直進する標的艦に対しての命中率でも普通は10%前後である)というとんでもない伝説を生み出し、4隻の船を一方的に撃沈させる
ほぼ同じ頃、宮永財閥が持つ貨物船団20隻が武器や傭兵を引き連れて欧州に先んじて到着し、フランスに入港する
塹壕戦に入っていたフランスでは2個師団とはいえはるばる東洋から来た援軍を歓迎し、イギリス大陸派遣軍BEFの指揮下に入る
そこで彼らが目にした戦場は地獄であった
配給遅延は当たり前、黄色人種として差別され、弾丸飛び交う中ひたすら塹壕を掘る毎日
持ってきた重機はイギリスやフランスに使われ、持ち主の重桜には戻ってこない
ただそんな状況下でも彼らは学習することを怠らなかった
塹壕の効率的な建造法や機関銃等の効率的な配置研究、不味い配給品をいかに美味くするか、凍える冬で暖を取る方法等初歩的な事から、そこらにうようよいる天使を捉え、羽から衣類を、血肉を捕食し、霊的能力を高めていった
この時の重桜の兵士のことを現地視察したイギリスの海軍大臣のチャーチルはこう語る
『彼らは最初弱兵と呼ばれ、肌の色で馬鹿にされ、更に傭兵という立場からいつ逃げ出すか、発狂するか、兵士の間で賭けの対象になるほどであったが、彼らはどの国の兵士よりも勤勉で仲間思いであり、知恵を振り絞り、被害を最小限に抑えると共に、多くの兵士がやつれていく中、彼らだけは生き生きとしていた。なぜ戦えるのか。聞いたところ、彼らは「それが戦闘民族宮永の血」と答えた。彼らは同じ祖先を持ち、その逸話や威厳を誇りとし、それを護るために戦うのだと知った』
『我々が王室に忠誠を誓うように、彼らは祖先に忠誠を誓う。血の団結である』
と···
「天使の肉は美味いな。そこらで魂を天に持ってく為にうようよ居るわ」
「柔らかい子羊の肉に近いな。罰当たりとか聞こえてくるが食わにゃ飢えるからな」
「血がぶどうの味するからなあいつ等。まぁやってることは悪魔みたいな感じだが」
鬼の血とか妖怪の血が入りまくっていることと、重桜所属の兵士達は妖力を取り込む訓練を積極的に行っておりその力を持って人ならざる物や目に見えな者を食べるという行為ができていた
「まぁたまに俺達の行動が見える者も居るが、大多数からしたらそいつの方がおかしく見えるからな」
「霊的守護術式や妖力コア···まったく上は考えることは凄まじいが、欧州の近代兵器はそれをも上回る技術力ってか」
「産業の蓄積と、こちらに比べての技術伝播の速度の違いだろう···まぁこの戦いでその差も縮まるだろ。宮永財閥はこの戦争に全ベットしたからな。ドイツや二重帝国の技術を根こそぎ奪うようだ」
「おっかねぇなぁ。上は」
「でも冬が終わればあれが到着するらしい」
「あれってまさか」
「量産型陸上戦闘車···壱式戦車だな」
大砲の直撃にも耐えられる装甲をと想定以上の馬力を誇る妖力コアを使ったモーターを使った車両であり、正面を50mmの装甲、重機関銃と4cmの榴弾砲を回転砲塔に乗っけた時速30キロで走る宮永財閥の切り札である
「完成していたのか」
「ああ、軍に売り込んだがガラクタ扱いで陸軍から見向きもされなかった零式試作戦車を改良を繰り返した正規量産型らしい。それが40両送られてくるとのことだ」
「ありがてぇ。これで塹壕の中での生活はおさらばだぜ」
青島で東洋艦隊を壊滅させたことでイギリスから欧州に援軍を要請された
陸軍は政府の要請に渋々といった形で2個師団を
海軍は低評価の戦艦上総と下総他軽巡洋艦4隻、駆逐艦8隻と大盤振る舞いを行った
それだけ自信があったのだ
宮永財閥ではいかに弾を大量にばらまくかが勝敗に左右することを痛感し、前線から送られてくる兵器の改善要求を受けて抜本的な兵器開発が進められた
まず大砲であるが既存の大砲では射程不足であることが指摘され、75mm口径、全長6mの砲身の大砲を開発
独自開発していたフランスでは導入されていた液気圧式駐退復座機を導入
他十一年式軽機関銃に匹敵する軽機関銃を開発し前線に送ったがあまりに故障が多い事から改良が繰り返され、様々なタイプが造られ、試作品は100種類を超えた
最終的にDP28軽機関銃の弾倉を円盤型から縦の弾倉に変えたような物が完成し、その副産物として自動小銃の開発にも1915年に完了する
このような努力が続けられた結果、兵器はどんどんと不思議な方向にどんどん進んでいくこととなる