チート一族になりたくて   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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照継の龍退治

 大内の大軍を追い払ったという武名、更に奇襲隊を各家の連合としたこと、亀井からの命令により動いたということで元就は尼子派各各に多大な恩をばらまいた

 

 これにより大内は毛利が厄介な敵にしておくは惜しいと感じ、対して尼子経久は頭を抱えた

 

 経久にとって毛利家は使い潰した後に安芸の拠点として重臣の所領にしようと画策していたが、尼子の諸将に恩を売ったことで毛利は使えるという共通認識ができてしまい、更に国人衆も毛利のお陰で武功を稼げたため、もし毛利を潰せば尼子の信用は地に落ちる

 

 元就は目的を達成するだけでなく、鏡山城攻めで落ちていた信用の回復、恩を売ることで信頼をも獲得していた

 

 武田援軍がなったことで尼子連合軍は解散

 

 大内も2万5千の大軍の維持を継続できるとは思っておらずこのまま引き分けで大内は撤退するだろうと考えていた

 

 しかし、大内の威光と資金力は健在であり、桜尾城は包囲に屈して落城

 

 これを確認した大内義興は息子の大内義隆と共に周防国・長門国(山口県)にある大内館へと帰還するが、陶興房を大将とする2万の軍勢が安芸に留まった

 

 安芸侵攻の全権を手に入れた陶興房は毛利元就と接触することとなる

 

 

 

 

 

 

 

 毛利領 東源神社

 

 陶興房は面識のあった志道広良を通じて元就との面会が行われることとなり、場所を宮永照継が神主を務める東源神社を場所とした

 

 照継は接待役となり、椎茸を贅沢に使った吸い物や炊き込みご飯、寒天に果実のエキスを混ぜ色をつけた菓子、酒の麹で膨らませたあんパン、蜂蜜を使ったクッキー等毛利で出せる限界の料理を接待として出した

 

 元就も数度しか食べたことの無い試作品の数々であり、博多や京にて様々な物を食べ、文化人としての一面もある陶興房をもっても知らない料理や椎茸をふんだんに使った贅沢な品に大内と敵対したくないという毛利の本心を陶は読み取った

 

「お初ですな、元就殿。大内の家臣陶興房です」

 

「毛利家当主毛利元就でございます」

 

「いやはや見たこともない菓子や食事誠に見事。毛利では一般的な物で?」

 

「いえ、宮永照継がどれも作り出した物でございまする」

 

「毛利家家臣の宮永照継でございまする」

 

「黄泉帰りの噂は聞いておる。この度は鬼を率いていたともな。元就殿は良い家臣をお持ちで」

 

「私にはもったいないほどの器で、幼き頃から支えて貰っています」

 

「ほう、まるで私と殿(大内義興)の様だ。……毛利の軍略誠に見事。殿も誉めておりました。今は敵味方にわかれておりますが、是非とも今一度大内に与して頂きたい」

 

「即答致しかねまする」

 

「大内と尼子を天秤にかけるは国人として生きるためには必要な事故に、私達大内からは寝返る条件として1300貫(2600石)分の土地を渡そう。川沿いの豊かな土地ぞ」

 

 一度裏切っている毛利家に対して所領安堵どころか加増をもって引き込みを仕掛けてきた

 

 元就はこの条件に大いに驚いたが、更に陶は続ける

 

「当面の間は尼子に服従の構えを解かなくて良い。ただ大内とも契りを結び、二重服従で構わぬ」

 

「よ、よろしいので!?」

 

「その方が毛利には動きやすかろう。我が殿は元就殿を高く買っておる。ゆくゆくは安芸国を任せるつもりぞ」

 

「そ、それは……」

 

 安芸国20万石を最終的には託すということである

 

 現状の毛利家は1万石にも満たない国人である

 

 大内の加増をもってようやく1万石になる程度の弱小国人である毛利家を……いや、元就を大内は国持に値すると言っているのだ

 

「元就様、受けましょう。尼子は毛利家を使い潰す気です。大内に臣従し、安芸国を大内の派閥にするべきです」

 

「そうだな。陶殿、この話受けさせて貰う。ただ当面は尼子として動くが、大内の得する様に動こう」

 

「毛利の知略楽しみにしておりまするぞ!」

 

 陶興房と元就の面会は終わり、その1ヶ月後陶興房率いる大内軍は安芸東部に侵攻を開始

 

 鏡山城奪還を目的とした一連の作戦では元就が暗躍を続け、尼子の国人達の援軍に入る振りをして、口説き落としたり、偽書を使い国人と尼子直臣の絆を切り裂いたり、時に鏡山城への援軍を送らないことで大内に許しを貰うように仲裁したりと毛利は直接動かした兵は300にも満たないにもかかわらず、平賀家、天野家に多大な恩を売り、毛利と大内を裏切られないように恩で漬け物にするがごとく恩を押し付けた

 

 以後平賀家と天野家は尼子ではなく毛利に臣従するようになる

 

 更に尼子の安芸国統治の要鏡山城を陶と協力することで無血開城することにも成功し、憎き亀井秀綱を安芸から追い出すことにも成功、尼子の安芸国支配は僅か2年で終息したのだった

 

 

 

 

 

 

 大永5年(1525年)4月 郡山城にて

 

「元就様、今季の税収でございまする」

 

「おお、照継、今季の税収はいかほどぞ」

 

「は、まず毛利家の戦が落ち着いたことで商人が戻ってきまして、椎茸等の乾物の種類を増やしたこと、絹の生産がようやく軌道に乗り、大内領という貴族と金持ちばかりの国が近くにあるため経済圏で接続されたこと、尼子にまだ臣従しているため尼子方の商人も入り交じり、商戦が加熱し、乾物で4000貫、絹の束で2500貫、更に金屋子神の教えを受けた鍛冶屋も育っており、東源郷より作りし妖刀や妖槍も売れに売れ、無名の刀でも5貫(約60万円)以上の値がつくこともあり、税分でも500貫が納められました」

 

「秋には米や芋が多く入るので更に儲かると思われます」

 

「総すると幾らだ?」

 

「は、約7500貫程になりまする」

 

「小さき毛利領でよくもまあここまで稼げるな照継は」

 

 7500貫を石高計算すると1万5千石に当たり、更に税収を2回に分けていたので秋にはこれよりも多くの税収が入る

 

 それを合計すると約4万5千石に当たる税収を得れており、土地だけだと8000石以下の毛利領にとって照継が稼いでくる税収は毛利家の懐事情を大幅に改善させていた

 

 というか照継が財政管理官就任前と後では税収が5倍近く違っており、前任の井上はそれ故にどれだけ懐に入れていたと皆から疑われ、欲深い奴というレッテルが張られることとなる

 

「照継、毎度確認するが、民に無理はさせてないのであろうな」

 

「勿論ですよ元就様、中抜きを禁止したこと、毛利領でも着々と産業が育っていることで税収が増えているのです」

 

「それならば良いが」

 

「照継~!」

 

「おお、太郎様! 元気にしておりましたか?」

 

 太郎とは元就の長男であり、後に毛利隆元になる人物である

 

 生まれは少し前倒しされ大永元年(1521年)生まれとなっていたので4歳のわんぱく少年であった

 

「照継殿、お久しぶりですね」

 

「照継師匠!」

 

「おお、妙玖姫に静姫、お久しぶりでございます。相変わらず仲むつまじい様で……お腹が膨らんでおりますな。妙玖姫は6人目で静姫は初子でしたな」

 

「武家の女として子供を多く産めるのは良きことです。米和姫に加護を貰えているようで」

 

「米和の神も妙玖姫や静姫とお喋りするのは楽しいと言っておりましたな。あいつもまた孕んでおりまするゆえに神社から動くことができませんが、産んだらまた郡山城に登城させまする」

 

「いえいえ、こちらから向かいますよ」

 

「師匠! また薙刀を教えてくださいよ!」

 

「はは、私の薙刀は我流故に他の者に教わったほうがよろしいかと」

 

「いやいや、妖力を纏い薙刀を振るう技は他の者ではできません」

 

「では子供が腹にいてもできる体操を教えましょう」

 

「本当に照継は博識だな」

 

「いえいえ、元就様、私以上の知を持つもの等京にはゴロゴロ転がっておりますし、元就様の軍略には遠く及ばず……」

 

「照継遊んで~」

 

「はい、太郎様も体操をやりますか?」

 

「やる~」

 

 照継と姫達の仲も良好で、静姫は武芸を教える仲であった

 

 元就自身も照継と一緒に鍛練したり、夜には妖怪退治に出掛けることもしばしば

 

 元就は陰陽師の者達に教えを乞い、結果天候を読む術や千里眼には及ばないが遠目の術を覚え、更に軍略に磨きをかけていた

 

 陰陽師連中も照継や元就と一緒に妖怪退治に参加していたことで貴族でありながら武士顔負けの武芸を身に付けていた

 

「様々な美味しい物を好き嫌い無く食べ、体を動かせば筋肉が付いて更に力が湧きますな」

 

「しかりしかり、確かに貴族は政を行うこと、文芸こそ誉れとするが、体が弱い者も多い、ろくに食べれないこともあるが、運動が少ないからであろうな」

 

「しかし、照継殿の奥方の葉子殿も初めはガリガリであったが肉付きが良くなりましたものな」

 

「初めはあばらが浮いておったのに、今では鍛練しているためか全身に張りがあるものな」

 

 陰陽師連中に照継が声をかける

 

「そういえばお前さんらの嫁貴族じゃないけど良かったのか?」

 

「何言ってるんですか照継殿、我ら地下家の者(昇殿 天皇の生活する屋敷で働く事が許されない貴族のこと)ですぞ。我ら陰陽師は技術と能力の継承で京を守って参ったが、応仁の乱以降食うに困るようにもなった。一応尊貴の末故に先祖には悪いが血を残すことの方が大切であろう」

 

「なるほど」

 

「できれば将来は我らが子を照継殿の子供と婚姻を結ばせて照継殿の一門になりたいものですな」

 

「おいおい、武士以下の農民の一族だぞ私の血筋は」

 

「ならば我らが補強するのみですぞ。幸い葉子殿の子は尊貴の血が混じりますし、神々の血も入っている子が増えますからな」

 

「しかりしかり」

 

「まぁお前らが納得しているなら良いが……よっと!」

 

「耳無し豚ですか。……最近多いですな」

 

「ああ、下級妖怪の移動がやたら多い……北から東源郷をめがけてというわけでもないようだが」

 

「妖怪が暴れて高橋家や吉川家に被害が出ているとも聞きまする。普通の忍びでは異変を察知することもできないでしょうに」

 

「いや、忍びに調べさせる。何かが起きている場所には必ず異変が存在する。妖怪が見えなくとも暴れればおかしな点があるであろう」

 

「なるほど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 照継が北の異変を探すこと数ヶ月、忍びから石見の地にて牛が食い殺されていたり、人が踏み潰された様な死体が見つかったりと異変が次々に報告されてきた

 

「石見、大内の領か」

 

「は! 石見は石見銀山周辺で大内と尼子の戦が度々発生しており、その邪気を取り込んだ妖怪が出たのではと」

 

「お主は少し妖怪が見えるのであったな」

 

「はい、鬼に鍛練を頼み妖怪を見え討つ力を身につけました。道中でも下級妖怪や首無し武者が街道に出ておりました」

 

「荒れておるな……」

 

「それと部下から気になる点が1つ」

 

「なんだ?」

 

「約1年前に尼子がヤマタノオロチを祀る社に陣を置いた際に兵の不始末で社が燃えたとのこと、ヤマタノオロチの体の一部を封印した樽もその炎で燃えたとのこと」

 

「……それだな。ヤマタノオロチが復活したか、その腐肉を食った妖怪が力を付けたかのどちらかであろう。元就様に文を、大内、尼子両氏に恩を売る好機ぞ」

 

「は!」

 

 照継は元就に書状を送った

 

『元就様、石見の地にてヤマタノオロチに匹敵する怪物が復活した可能性が高く、多くの妖怪が石見から逃げるために各地で暴れておりまする。今は毛利領は防げておりますが、直に危ういと思い原因の排除を提案致します。そこで大内、尼子両氏に恩を売り付けることは可能でしょうか。ヤマタノオロチ復活の原因は尼子の兵の不始末故というのも付け足しておきます』

 

 元就はこの文を読み終わるとすぐに策を練り動いた

 

 まずまだ尼子派ということを利用して尼子経久と武田光和に連絡を取る

 

 経久は石見での変死や怪物を見たという兵からの情報を持っており、それにより兵が怯え石見侵攻に支障をきたしていたことを問題視していた

 

 更に不始末をしたのが経久の三男塩冶興久の兵であり、文武に優れていたが亡くなった長男、武将としては尼子一、領地経営もそつなくこなす次男に比べ、欲深く、兵の統率もまともにできない興久に経久は頭を抱えていた

 

 そこで尼子経久は先にその怪物を退治することで石見の民の心を掴もうという策を行うこととする

 

 武田光和に連絡を取ったのは光和がこういった妖怪退治の話が好きだからで、連絡を受けた光和は自身は大内監視で動けないため、毛利家の監視役であるが、毛利が尼子派になっていたこと、前の武田救援の奇策などで実質役無しになっていた熊谷信直とその家臣達を怪物退治に向かわせた

 

 その家臣の中には照継から名字を与えられた高鴨又兵衛の姿もあった

 

 次に元就は安芸国人衆に文を出した

 

 尼子の石見にて怪物が暴れているゆえに退治に向け武士を集めようと

 

 武士として後世に名を轟かせるチャンス

 

 しかも妖怪退治の大将として黄泉帰りの宮永照継が当たると聞いて安芸国人衆は各家から武名轟く家臣達が集結し、高橋家、吉川家、平賀家、天野家、宍戸家、野間家、武田家、阿曽沼家と各家の利害を超えて家臣達で協力の契りを結ぶ

 

 吉川、高橋、宍戸は毛利家の親戚であり。平賀、天野は毛利に臣従、武田は毛利派の熊谷殿が、野間と阿曽沼、小早川は国人一揆で契りを結んだ間柄の家々であった

 

 各家の家臣達は照継の東源神社に集まり、対妖怪の鍛練を半年積む事となり、各々に合った武器を金屋子神が作り、神具を持って討伐に挑むこととなる

 

 最後に大内に安芸国人を束ね、今回の妖怪退治をもって各家と協力関係を再構築し、謀略をしやすくする土壌を作りたいこと、妖怪退治の暁には褒美をこっそり各家に渡して欲しいということを伝え、怪物の素材は大内に渡すことで了承を得た

 

「くく、毛利元就なかなか面白いことを考えるのぉ、なぁ陶興房」

 

「そうですな殿(大内義興)、我らは褒美を与えることで何もせずに石見の地が安定し、怪物を解き放った尼子の民意が離れ、安芸を制御下に置くことができる。尼子も身から出た錆故に国人衆を脅すこともできぬ。あちらも少なくない褒美を出さねば離反され故に少なくない身銭を支払うことになろう」

 

「父上、もし怪物討伐がなされた暁には宮永照継なる者と面会しとうございます。確か年は31か32、私は18故に2回りも年が離れてるゆえに食指が動くことは無さそうですが、一武士として話を聞きとうございます! 黄泉帰りや鬼を従えた経緯も」

 

「毛利の家臣なのが惜しいな。できれば大内で召し抱えたい逸材なれども宮永照継は毛利元就に友と呼ばれるほど結束が固いそうだな」

 

「彼らの仲を引き裂くは私と殿の仲を引き裂くこと、義隆様と隆房(正式名称問田隆房 陶興房の甥に当たり後々陶家に養子となり陶晴賢と呼ばれる人物 大内義隆の男の恋人 肉体関係あり)の仲を引き裂くのと同じこと」

 

「なるほどそれほどのダンケツを崩すのは忍びないな」

 

「ええ、それは大内に災いとなるでしょう」

 

「陶だけ良いな、もう会ったことがあって」

 

「若様、面白き男でしたぞ。惚れ惚れするほどの美男でもありますからな」

 

「ほほう♡それはそれは♡」

 

「じゃが全ては尼子の動き次第じゃな」

 

「伝令! 尼子が石見の地にて敗走したとのこと」

 

「どこでじゃ?」

 

「塩冶興久を大将とした1000の兵が山を登り、一刻もしないうちに逃げたとのこと」

 

 

 

 

 

 

 

 塩冶興久は怪物討伐に失敗し、尼子経久はしぶしぶ安芸国人衆の討伐に許可を出した

 

 経久は塩冶興久の時の5分の1以下である200名ならば必ず怪物の討伐を失敗するであろうと読んでおり、そうすれば安芸国人衆の国力を損なわせる事ができるだろうと思っていた

 

 そんな討伐隊の照継達はというと

 

「これが鍛冶の神金屋子神が打ちし武器……」

 

「惚れ惚れするほどの美しさ」

 

「我が愛刀がなまくらに見えてしまいますな」

 

「どの武器も主家の家宝でも及ばない本当の国宝ですな」

 

「鎌倉の時はこれに近い刀を打てる刀鍛冶が居たけど……時代の流れかねぇ」

 

「照継殿、金屋子神様、怪物を打ち倒した暁には今の武器を貰って本当によろしいので!!」

 

「男に二言はない! 討伐した暁には他に多くの褒美も出よう! 武名も天下に轟き、日ノ本一の武士の国が安芸だと示せようぞ! ただ全員必ず生きて討伐するぞ!」

 

「「「おお!!」」」

 

 半年の鍛練で妖怪の攻撃を見ることはできるようにしたし、宝具である武器を使うことで怪物にダメージは与えられるだろう

 

「いざ行かん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 忍びの道案内で高橋領を通り石見のヤマタノオロチを祀っていた社の近くに行くと瘴気が漂い、第六感が警鈴を鳴らす

 

 道中は武器自慢をしていたり、怪物なんぞ一捻りと意気込んでいた武士達も異様な雰囲気に当てられたからか口を閉ざし、黙々と山を登っていく

 

 登っていく途中に食い殺された尼子兵の亡骸や折れた旗が転がっていた

 

 GAOOOOO!! 

 

 咆哮が聞こえると亡骸達が動きだし、折れた刀や槍を持って襲いかかってきた

 

「落ち着いて対処せよ、亡骸故に動きは鈍い! 半年鬼相手に鍛えた力ならば負けることはないぞ!!」

 

 照継は亡骸を切り捨てながら兵を鼓舞する

 

「うおおお!」

 

 ザシュッと兵が一太刀入れると亡骸の肉体が崩れ灰となって消えてしまった

 

「我らが持つは神より与えられし武器だ! 恐れるな!」

 

「「「おおお!!」」」

 

 犬や牛、猪の亡骸も出てきたが照継は一閃

 

 首を落とし消し去りながら更に山の奥に進む

 

 登ること半刻……怪物が現れた

 

 その姿は2つ首の龍であり、大きさは10メートルはあると思われる

 

 ヤマタノオロチが不完全な姿で復活したと見え、一度死んだことで死者を操る能力を会得しているようだ

 

 GAOOOOOOO!! 

 

 再びの咆哮! 

 

 至近距離の咆哮に耳を塞ぎ立ち止まる兵達

 

 そこにしっぽによるなぎ払いが襲いかかるが、照継は飛び出し、しっぽの付け根を切断

 

 振るう途中であったしっぽはあらぬ方向に飛んでいき木々をなぎ倒して山を転がり落ちていった

 

 どばぁぁぁと大量の血液が飛び散るが、気にせずに叫ぶ

 

「かかれぇぇぇ!!」

 

 照継の号令に我に返った武士達は龍に突っ込んでいき、体に宝具を刺したり切り裂いたりしていく

 

 痛みで龍が体勢を崩した瞬間に右の首を切断し、続けて左もと飛んだ時に龍は首を振るい、照継に頭突きをしてきた

 

 空中にいた照継はもろに攻撃を受けてしまい、10メートルほど吹き飛ばされる

 

「「「み、宮永様!!」」」

 

「死んではおらぬ! 早く首を飛ばせ!! ごぽ!」

 

 鼻血が喉に溜まってしまい、それが吐血みたいになってしまったがそれが逆に武士達の士気を上げた

 

「「「「うおおおお!!」」」」

 

 武士達は残った首に張り付き、思い思いに武器で首を切断しようとする

 

「大骨が切れぬ!」

 

「任せろ!」

 

 鬼吉川と呼ばれた吉川の家臣が太刀を鞘に納めて殴り、骨を砕く

 

 そこに小早川の家臣が太刀を入れると暴れ狂っていた龍は動きを止め、絶命した

 

 残念ながら全員無事とはいかず15名ほど犠牲が出てしまい、照継もあばら骨数本と左手を折る大怪我を折ったが龍の討伐に成功した

 

 龍の首は尼子派、大内派各々家の立場があるということでちょうど首が2つあるので分けて各々の家に届けた

 

 残った腐臭漂う胴体は火にかけて燃やしたが、火は三日三晩燃え続け、煙は天に登っていったという

 

 燃えた跡には剣が現れ皆口々に神話の天叢雲剣ではないかと言い、流石にこれは尼子や大内に渡せば怒った片方の家から攻撃を受けかねないとしてその場に居た安芸国人の連名で将軍から天皇に奉納するようにお願いすることとなる

 

 将軍は安芸国人が神具を幕府に献上したことで幕府の権威が上がると喜び、天皇も神具奉納に喜んだ

 

 大内義興も尼子経久も仕方なしとし、としたが龍の頭が渡されたことで良しとした

 

 そして参加した各家は龍の爪を1本ずつ持ち帰り、討伐は完了した

 

 この龍退治で指揮をとり、皆が怯むなか一太刀目と片首を落とした照継は日ノ本一の武士と呼ばれ、参加した安芸国人衆は照継の武功を自分の武功とセットで語り、毛利家に宮永照継あり、毛利の飛龍宮永のあだ名が更に広まることとなる

 

 

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