自分の吐瀉物にまみれた帰路をたどって、船は港に到着した。
際限なくゲロは吐かれ胃のなかは文字通り空っぽであるが、
そんな腹の具合を俺は無視して海洋ギルド──冒険者ギルド海洋部門──に足を進める。
そのギルドがある港町「ジグラート」はとても賑わっており、所々で笑い声が聞こえてきたりする。
また多種多様な屋台も様々な場所に乱立しており、またそれも町の賑やかさを助長している。
ああ...メシ食いたい。特に焼き鳥。
そんな事を思いながらギルドへ向かって歩き回っていると、ヒソヒソと噂話が聞こえてくる。
船乗りは、たったひとつの情報不足で自分の首を閉めることがある。そんなことにならないように噂話に耳を傾けていると、その中に「白鯨」という言葉が聞こえた。
...
その言葉を耳にしたとたん一瞬足が止まったが、その噂話をしていた人たちに目もくれず俺はギルドに向けて全力で駆け出す。白鯨の発見記録はギルドに管理されている為、わざわざ噂話を聞くよりもギルドのほうがもっと詳しい情報が手っ取り早く手にはいるのだ。
なぜそこまで急ぐのか、それは白鯨の最新情報を持たないことは船乗りどころか海に直接関わる仕事にとっては死活問題であるから。
そして、
港町の人混みをかき分けながら走り抜けた俺はギルドにたどり着いた。
海洋ギルドの中は港町ほどではないがよく賑わっている。他国からの冒険者が集まるからだろう。
そして受付まで行き依頼の達成を報告する...のだが、
「冒険者ギルドへようこそ。こんなところでどうしましたか?」
「依頼達成の報告だ。あと他に報告したいことが有るからギルドマスターとの面会を願いたい」
「すみません、こちらは海以外の依頼の受付をしていないんです。陸上の依頼はあちらで受付できますよ」
職員はそういって横を指す。その方向は壁だった。せめて隣っていえよ。
この冒険者ギルドは海洋ギルドと繋がっているためまあまあわかりづらい。そのため、たまに陸専の冒険者*1が迷い混んでくるときがある。俺の身長は結構小さい。陸専には子供の冒険者がわりと、というか結構いるらしいのでそれに間違えられているのだろう。
「あっ、カード忘れてた」
なにかを忘れていたと思っていたらギルドカードを出していなかった。
それに気づいた俺はすぐさまカードを出す。
受付はカードを受け取り、途端に顔を白くする。
「あー...そうだったんですね...申し訳ございません。依頼の方は──達成されてますね。こちら報酬ですけども、手渡しと預け入れどちらにいたしますか?」
「預け入れで頼む。あと、面会の方だが...」
「そちらに関してですが、上の者に確認をとって参りますので少々お待ちください」
そういって職員は受付の奥側に引っ込んでいき、すぐに帰ってきた。はやっ。
「ギルドマスターがお呼びです。どうぞこちらに」
そういって案内された応接室にはギルドマスターがおり、そのギルドマスターは両肘を机の上に立て両手を口元で組んでいた*2。
そして彼は口を開き意味ありげにこう言いはなった。
そんなギルドマスターの脳天に俺はおもいっきり手帳を叩きつけた。