一級呪詛師の青江さん   作:白白明け

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アマプラで呪術廻戦0の映画を見て、夏油様かっけぇ!と勢いで書いた文章。
そして、久々に装甲悪鬼村正に出てくる屈指の悪役、”ニッカリ”青江貞次の画像が見たいなーと思い、検索した際に知らない緑髪のイケメンが出てきて衝撃を受け、こんなイケメンを俺は知らない!俺の知っている”ニッカリ”青江貞次は「仕手の心を惑わし女子供ばかりを殺す殺人鬼に変貌させる特性を持つ妖甲なんだ!」と思い書いた文章です。

呪術廻戦0までのストーリーを書く予定です。
皆様の暇つぶしになれば幸いです。m(_ _)m






クソな先輩

 

 

「すみません。三色チーズ牛丼の特盛りに温玉付きをお願いします」

 

神奈川県横浜市某所。風俗店が立ち並ぶネオン街の牛丼チェーン店にて緑色の髪をした男が食事をしていた。百九十八センチの体躯を屈ませ、一杯五百円以下の牛丼を掻き込む姿は、その奇抜な髪色も相まって売れないバンドマンといった様相。あるいは売れない俳優志望か。兎も角として顔だけはそこそこ整って居る緑髪の男が食事をしている最中、緑髪の男が食していた牛丼が唐突に()()()

 

店内に響く爆発音。何事かと周囲の客達の視線が注がれる中、至近距離で牛丼爆弾を受けた緑髪の男は、顔中を米粒まみれにしながらぷるぷると震えた後、箸をへし折り立ち上がる。

 

「ぶっ殺してやる‼」

 

店内の客達が緑髪の男の殺人発言に我先にと逃げ出す中、店内に一人残ったのは袈裟を着た胡散臭い大男。その袈裟男の姿を視界の端に捕らえた緑髪の男は舌打ちをしながら、大股で袈裟男の方へと向かって行く。そして、顔同士がふれあうのではと心配に成るほどの至近距離でガンを飛ばしながら、緑髪の男は言う。

 

「なんの真似だ?夏油(げとう)

「や!そんなに怒らないでくださいよ。青江(あおえ)先輩」

 

気さくに片手を挙げながら挨拶をしてくる嘗ての後輩を前に、緑髪の男-青江(あおえ)貞次(さだつぐ)は青筋を浮かべていた顔を更にせい惨なものに変えた。

 

「俺様のスペシャルディナーを台無しにしておいて、怒らないでくださいってのはどういう鳴き声だ?あ?暫く会わねぇ間に呪力無くして猿にでも落ちたのかよ」

「あんな残飯(もの)で良ければ私が幾らでも奢りますよ。私、青江先輩と違ってお金持ちですから」

「相変わらずクソみてぇな価値観でクソみてぇな真似をクソひねり出す様にやるクソだな」

 

青江は苛立ちを押さえられない様子で爆ぜた牛丼を指さす。一般人の目には突如として爆発したように見えた牛丼だったが、()()()()()、呪力が有るものがみれば、牛丼に集る蠅頭(ようとう)(四級にも満たない蠅っぽい雑魚呪霊)に気づくだろう。

 

「俺様のスペシャルディナーに蠅集らせておいて、謝罪と賠償程度で済む筈がねぇよなぁ。加えてテメェは謝罪もしねぇ。殺されたって文句は言えねぇんじゃねぇのか?夏油」

「ははは、やだな。私は先輩と呪い合う気なんてありませんよ。だって、先輩、死んじゃうじゃないですか」

「か、かか、かかかかかかー!殺す!犯す!クソ夏油!ゴング鳴らしたのはテメェだからな‼クソが‼」

「相変わらずの漫画に出てくる雑魚敵みたいな笑い声に安心しましたよ。青江先輩。貴方は猿ではなく人だが、貴方の様な人なら使い潰しても心が痛まない」

 

五分後、後輩との再会。衝突。そして、敗北を好タイムで終えた青江が床に転がっていた。

特級呪詛師-夏油(げとう)(すぐる)。現代最強の呪詛師と名高い夏油は、気絶して倒れる尊敬出来ない先輩である青江を引きずりながらに店を出た。

 

「き、君たち!なにをしているのかね!止まりなさい‼」

 

時間を駆けたつもりはなかった。しかし、店を出ると警察が到着していて二名の警官が夏油に拳銃を向けていた。それを見て夏油の顔から、青江に対して浮かべていた薄ら笑いすらも消える。

 

「猿が・・・死ね」

 

瞬間、二名の警官の身体が潰れる。達磨の様な呪霊が警官二人を圧殺していた。

夏油は二人の人間の死に様をつまらなそうに見送って、手に持つ尊敬出来ない先輩に視線を向ける。夏油は非術師()が嫌いだ。そして、青江もまた非術師を猿と呼ぶ。

 

(高専の頃から、この人はそうだった)

 

東京都立呪術高等専門学校。呪術高専で呪術師は自らの呪力(チカラ)の扱いを学び、生き方を学ぶ。

 

(日本国内での怪死者、行方不明者は年平均で一万人を超える。その殆どが“呪い”の被害。フフ、懐かしいな。呪いに対抗できるのは呪いだけだと初めての授業で聞かされた)

 

呪術高専は呪いを祓う為に呪いを学ぶ場所。その中において青江貞次は異様な存在だった。

 

(呪力量は上の下。術式は並。だが、この人は高専に在籍時から非術師()を猿呼ばわりしていた)

 

誰に対しても隠すことの無い差別。誰に怒られても怯むことの無い区別。いっそすがすがしいほどの夜郎自大さを発揮しながら、青江は呪術高専での四年間をやり遂げた。呪いを祓い、呪霊を殺し、非術師()を助けた。

そして卒業後、青江貞次は立派な“呪詛師”になった。

 

(一級呪詛師、青江貞次。二重の意味での私の先輩)

 

気絶して不様を晒す青江を見て、夏油の顔に薄ら笑いが戻る。

 

「私の計画には、是非協力してもらいますよ。青江先輩」

 

夏油はそのまま家まで青江を引き摺って帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤベーことに成ったと思ったのは、小学六年(しょーろく)の夏だった。

 

「すみません。三色チーズ牛丼の並盛りをお願いします」

 

オレ的ミシュラン七つ星、スペシャルディナーの牛丼を喰っている最中に思い出した前世で()()()()()()()()。脳裏を駆ける単語。『呪術』に『呪霊』。『呪術師』と『呪詛師』。

 

「・・・ヤベー、此所、『呪術廻戦』じゃねーの?」

 

前世の記憶を思い出し、感動して戦慄して、焦った後にこの世界で真っ当に生きる事を諦めた。何しろ俺は小学六年(しょーろく)の時点で人を呪殺(やらか)していた。

相手は母親の再婚相手。目障りなそいつを呪殺した。俺の周りに呪力を持った奴はおらず、母親の再婚相手の死が俺の犯行だとバレることはなかった。

 

以来、俺の人生には『人を殺す』という選択肢が追加された。殺して(やって)もバレなきゃ怒られないなら、殺さ(やら)なきゃ馬鹿じゃんという思考回路(かんがえ)だ。邪魔な相手を殺し続けていけば、死体の山で人生の艱難辛苦という壁を楽々乗り越えられて、俺の人生バラ色だと考えていたのに、前世を思い出してしまった所為で俺のバラ色人生計画は崩れた。クソが。俺は舌打ちをしながら、次善の人生プランを講じる。

 

真っ当に生きるのはナシだ。というか、無理だ。一度、殺人(らく)を覚えてしまった以上、それを忘れる事は出来ない。我慢ができて二十年。以降、俺は再び殺す(やる)だろう。

『呪術廻戦』という物語の主人公サイドである呪術師には成れない。なら、呪詛師に成る他にない。だが、その選択には()()()という問題があった。

前世の俺がクラスメイトから借りて盗んだ(かりパクした)『呪術廻戦』という単行本では、最悪の呪詛師である『夏油傑』が()()()()()()乙骨(おっこつ)憂太(ゆうた)』に殺されて、ハッピーエンドで完結していた。

漫画の世界に転生した俺だが、ありがちな異世界転生チートは与えられなかった。俺の術式は『幻覚』。人一人を自殺に追いやるのはわけないが、『乙骨憂太(主人公)』に勝てるとは思えない。なら、呪詛師にとっての最強の味方である『夏油傑』を強化すれば呪詛師サイドが勝利する原作改変が出来るかとも考えたが、たぶん無理だろう。

『呪術廻戦』には主人公である『乙骨憂太』の他にも『五条悟』とかいう強キャラ感を醸し出すキャラが居た。物語の最後で明かされたのだが、『五条悟』は『夏油傑』の嘗ての親友だった。

そんなキャラ付けをされているのだから、『乙骨憂太』に負けた『夏油傑』と同じくらいには『五条悟』も強いのだろう。そうなると敵は強キャラ二人だ。勝てる訳が無い。

 

「俺はどう足掻いても死ぬのか・・・」

 

しかし、絶望する俺を神は見捨てていなかった。

母親の再婚相手を殺してから数年して、俺の元に黒づくめ男達が現れた。名探偵コ○ン(別の出版社)の世界線も混じっているのかと戦慄したが、そうでは無かった。

 

黒づくめの男達は“青江(あおえ)一門(いちもん)”を名乗った。

 

「あなた様の母親は我らの遠縁に当たる者。そんな者から産まれたあなた様が青江一門(我ら)相伝術式(そうでんじゅつしき)を継いでいる可能性があると聞き、はせ参じた次第」

 

なんか俺の術式がヤベーから、青江一門は迎えに来たらしい。

 

「・・・『幻覚』ってヤベーか?ヤバくねぇだろ。そりゃ、非術師()からしたらヤベーかもだけど、術師からしたら雑魚キャラの能力じゃねぇの?」

「我らの相伝の神髄は幻覚を見せることに(あら)ず。人の心を壊す事に有り。しかし、その特性上、()()()()にしか扱えぬ術式」

 

青江一門の瞳が俺を見る。その瞳は俺と同じ人殺しの瞳だ。

 

「あなた様は産まれながらにその才能を有している様子。なればこそ、我ら“青江一門”の長となるべき御方はあなた様を置いて他に居ません。この相伝故、理不尽にも呪術界から迫害された我らを救う光となってく下され。青江貞次様」

 

神は俺を見捨てなかった。“青江一門”なんて原作にも登場していない雑魚集団を率いた所で主人公サイドに勝てるとは思えないが、面白いことは出来そうだと顔を歪める。

死ぬにしても、笑いながらに死にたい。人間として当然の感性だ。

俺は“青江一門”を利用する事に決めた。まずはこいつらを使って情報収集だ。

俺は『呪術廻戦』を借りパクした後、二回だけ読んで古本屋に売ったから、内容を其処まで鮮明に覚えている訳じゃない。だから、取りあえず“青江一門”に呪術界の情報を出来るだけ集めさせた。

 

其処で神は二度、俺に微笑んだ。

 

俺が転生したのは原作開始前だった。御三家とかいうヤベー家の五条家に『五条悟』は居たが、俺より年下。つまり俺が呪術高専に入学した場合、俺が先輩って訳だ。

原作の『五条悟』は強そうだったが、まさか学生時代から強い訳がねぇ。学生時代の年下なら、俺でも殺せ(やれ)る。なんなら同じく学生時代の『夏油傑』と協力したって良い。

二人は親友とか原作ラストで明かされていたが、所詮は卒業後に殺し合う仲だ。親友(笑)に違いねぇ。俺がちょっと唆せば、案外簡単に『五条悟』を殺するの協力してくれるかも知れねぇ。

そうなりゃ、万々歳だ。

 

ラスボス『夏油傑』と協力して、学生時代の『五条悟』を殺す。

そうすりゃ主人公『乙骨憂太』も倒せる筈だ。

 

俺の人生バラ色プラン。第二弾スタート。勝ったな!風呂入ってくる‼

 

・・・・・・・・・そう思っていた時期が、“俺様”にもありました。『五条悟』は学生時代から最強だったよ。クソが。『夏油傑』は『五条悟』の親友(ガチ)だったよ。クソが。仕方ねぇから俺様は一人で二人に挑み続けたが、全敗したよ。クソが。

 

・・・もう、いいや。次善プランは叶わなかったから、第三プランに移行だ。クソが。

呪術高専卒業後、生きている間は面白おかしく生きて笑って死んでやる。主人公に殺されようが、知ったことじゃねぇ。俺様は俺様のやりたい様に生きてやる。

“青江一門”?知るか、クソが。なにが”神髄は幻覚を見せることに(あら)ず。人の心を壊す事に有り”だ。どんな『幻覚』を見せても、『五条悟』も『夏油傑』も微塵も揺るがなかったぞ。クソが。俺様の卒業後、俺様とは関係ねぇ所で『夏油傑』は闇落ちして“呪詛師”になるし。やっぱ、原作に登場も出来てない雑魚を信じた俺様が馬鹿だったんだな。クソが。

 

ああ?俺様のやり方が温い?なら、二人に見せたのと同じ“地獄”をお前らにも見せてやるよ。

それを耐えられたら、お前らの鳴き声を聞いてやるよ。

 

 

―――“領域展開”『呵々(かか)大唱(たいしょう)

 

 

クソが。『呪術廻戦』。くっっっっそ、楽しいじゃねぇか。かかかかかー!

 

 

 





主人公 

青江貞次。

緑髪という点以外は、検索すると出てくる『にっかり青江』とは何もかもが違うクソ主人公。
術式の能力は『幻覚』。装甲悪鬼村正に登場する『”ニッカリ”青江貞次』から、能力とキャラクター性の一部を借りています。



夏油傑。

ラスボス(主人公談)。クソみたいな先輩が居た所為で少しだけ大人に成っている。
が、原作通りに闇落ちしている。クソ主人公に夏油様を救える筈がないだろ!クソが!



”青江一門”。

お助けキャラたちだったが、卒業と同時に主人公に殺害された人々。
クソ主人公の術式は彼らの相伝術式。名前はその内に出る。
たぶん、もう出番は無い。


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