皆様の暇つぶしになれれば幸いです
m(__)m
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とても嬉しいです(^^)
どうも。漏瑚の言うとおり、五条に瞬殺された
だが、そんな状況でも俺様は常にポジティブだ。後ろ向きの考えなんて俺様には似合わねぇ。
ありゃ、正面から呪い合うのは無理だ。生前がそうであった事も思い出せた。
五条と呪い合うには人質が
あんなんでも教師。生徒の一人でも人質にすれば抵抗できねぇ筈だ。
そんな事を考えていると、気絶していた順平が目を覚ました。
「う、うーん?あれ?ここ、どこですか?」
「かかか。ようやくお目覚めか、クソの役にも立たなかった順平くぅうん」
「青江さん?あ・・・そうか、僕、五条悟を前にした瞬間、意識が飛んで・・・青江さんが助けてくれたんですね‼」
「おいこら、怒られてんのに嬉しそうにしてんじゃねぇよ。キモいな」
「ご、ごめんなさい。えっと、それでその、今の状況は?五条悟はどこに?」
「あ?あー。あれだ。テメェみたいな足手まといが居たんじゃ勝てねぇからな。取りあえず逃げてきた。此所は帳の中だ。ほら、アレ見ろよ」
俺が指さす方向にある森林地帯では、花御の呪力に寄って活性化した植物が大地を覆っていた。
「俺様の仲間が暴れてる。今のうちに高専の生徒を何人か攫うぞ」
「さ、攫うって・・・何のために?」
「
「は、はい!」
順平を伴って高専内を駆ける。周囲に存在する神社仏閣、建物の殆どは
人間の匂いを辿れば、十割十分で高専関係者。加えて交流会の最中である今なら、十中八九、高専の生徒だ。ガキの一人や二人、攫う位は俺様ならワケない。かかかかかー。
そうして走っていれば、直ぐに見つけた。女が三人。一人は巫女服。後の二人は制服を着ているから生徒だろう。
「おい、居たぜ。順平。どれにする?」
「ど、どれって、そういう言い方は、あんまり良くないんじゃ・・・」
俺様の呪力に気が付いた女どもは直ぐに警戒と敵意を向けてくる。それに圧されて言葉が尻すぼみになる順平を笑いながら、俺様は品定めをする様にニヤニヤと嫌らしく嗤う。
「かかか。ナニ言ってんだよ。テメェ、あの乳だけは及第点の同級生で童貞を卒業しなかったじゃねぇか。だから、選ばせてやるって言ってんだぜ?二人とも
俺様の言葉で女どもの視線が
巻き添えになった順平が涙目になっているが、知ったことじゃねぇ。
「なんか、言語にし難い程のクソ野郎が来たんだけど、呪詛師ってあんなのしかいないわけ?」
「よく見なさい。一人は呪霊よ。アンタ、顔だけじゃなくて目まで悪いの?」
「はあ⁉こんな時にケンカ売ってんじゃねーよ‼」
茶髪と黒髪がそれぞれ騒いでいる。
それを庇う様に巫女服の女―――
「アンタ達。気を付けて、あんなでもアレは特級レベルよ」
歌姫の言葉で茶髪と黒髪に緊張が奔るのがわかった。
「特級呪霊。五条から聞いていたけど、まさか本当に
「かかか!なんだよ、嬉しいぜ。テメェも俺様の事を覚えていてくれたのか?」
「忘れられる訳がないじゃない。生前の自分が仕出かしたこと、まさかアンタの方こそ忘れた訳じゃないでしょうね」
「あんただと・・・ハァ?敬語使えよ。先輩だぞ」
「“青江貞次”は死んだのよ。アンタは只の、“呪い”でしょうが」
「かか、かかか、かかかかかー!違いねぇなあっ‼」
決めた。生徒の他に
「順平。そっちの生徒二人はテメェが
「に、二対一ですか・・・二人とも顔が怖いし、正直、遠慮したいんですけど・・・」
「かかか、ビビるなよ。見た感じ、生徒は二人とも二級以下の雑魚だ。俺様が鍛えてやったテメェの敵じゃねぇよ。ただ手は抜くなよ。油断すりゃ、人間なんて呆気なく死ぬからな」
「わ、わかりました。その、青江さんもお気を付けて!」
誰に物を言っているんだと笑いながら、歌姫の方を見る。
緊張感を奔らせながら、無手で構える歌姫に対して俺様は呪力で日本刀を形成する。
それを見て歌姫は驚きの表情を見せていた。
「『構築術式』⁉どうしてアンタがそれを・・・、死後、術式が変化したのかしら?」
「かか、術式なんかじゃねぇよ。呪霊の肉体が呪力で出来てんのは知ってるだろ?だから俺らは肉体の再生に反転術式なんて高度な
「そう、ほんと、悪趣味!」
斬りかかる俺様を歌姫は体術のみで捌いていく。足払い。目潰し。金的。優麗な動きに含まれるのは手弱女の攻撃。脅威の欠片も感じはしない。
歌姫の術式『
「かかか、ほらほらどうした?早く俺様を何とかしねぇと、俺様の弟子に大事な生徒が
「くっ」
順平にそんな事をする度胸はねぇだろうが、俺様の言葉で歌姫の表情は歪む。強者の言動に左右される弱者。
その
そんな気位の高い弱い女が、巫女服を着て歩いているんだ。俺様の性癖が歪んだのは仕方がねぇ。
生前はなけなしの理性がブレーキを駆けていたが、呪霊となった今は関係がねぇ。
「なあ、歌姫!テメェはッ、どんな声で泣くんだろうなぁアアア!かかかかかー‼」
「あんまり、舐めんじゃないわよ!」
「かかか!弱者があがくさまは美しい。俺様好みの女が巫女服を着て、踊ってくれって言うなら、幾らでも付き合うぜ!」
順平が生徒二人を片付けるまで、歌姫と遊んでいるかと考えていた俺様の視界に不快なモノが入ってきた。
俺様達が戦い始める前から、
「チャーンス!」
声と共に振るわれる柄が手の異様な刀。
俺様はその刃を歌姫が反応する前に刀で受け止めていた。
「え?」
「ん?どしたの?仲間じゃんよー、俺ら」
歌姫を背後から襲った金髪サイドテールの呪詛師、
所詮は
だからこそ、コイツ如きに楽しみを奪われるのは我慢ならねぇ。
「・・・見てわかるだろ?コイツは今、俺様が遊んでんだ。テメェも遊びたきゃ、玩具は自分で探すんだな」
「ふーん、そっか。なら、あっちの女の子達に遊んで貰おうかな」
「ま、待ちなさ―――「ダメだ」
生徒を心配する歌姫の言葉を遮って、春太を止める。
「そっちも見てわかるだろ?順平が戦ってるんだ。テメェ如きが手を出すんじゃねぇよ」
「ふーん、でもさ、こっちも駄目。あっちも駄目。それじゃ、俺が楽しくないじゃん」
「かかか、知るかよ。自慰でもしてろよ。クソ野郎」
「・・・へえ、そういう事を言うんだね?俺さ、コレでも
春太は薄ら笑いを浮かべながら俺様に刃を向けて来た。
「かかか、分かってねぇのはテメェの方だぜ。まさか俺様が自称仲間の
敵意には敵意を返すのが俺様のやり方だ。クソ生意気な
「か、かか、何しやがる。胸が、当たってんぞ?」
「当ててんのよ。これなら、流石のアンタも動けないでしょ」
「おい、おい、目の前の、呪詛師が、見えてねぇのか?」
「ソイツが何者であれ、アンタの仲間じゃ無いなら問題ない。コレでこの場は拮抗状態よ。アンタが動けば私が絞める。逆にソイツが動けば私は緩めてアンタにソイツを斃させる」
「アハハ、お姉さんってば、頭いいねー!俺はお姉さんが動こうとしたら斬ればいいんだね!ジャンケンみたいだ!」
嗤う春太。
歌姫の緊張を含んだ息遣いが耳元で聞こえる。春太の思考回路が読めないのだろう。
当然だ。真っ当な人間なら、まず呪術師には成らない。呪詛師は更に其処から外れた存在。
呪術師の中でも真っ当と言って良い人間性を持つ歌姫にクソ野郎の考えなんて読める筈がない。
歌姫は作った拮抗状態が、春太のさじ加減一つで壊れる事を察していた。
この拮抗状態。壊す手段は俺様にもある。術式の使用。呪句と共に幻覚を魅せる俺様の術式を、歌姫は首を絞めることで封じたと思っている様だが、まだ肺の中に空気は残している。無駄に喋ってしまったが、後一言二言を言うだけなら可能だ。
だが、この拮抗状態。中々に悪くない。俺様を嫌っている歌姫が嫌々ながらに抱きついてきていることは・・・・・・・・・控えめに言って最高だ。我ながらキショいが、本心だ。
本心。本音のみで動くのが呪霊だ。だから俺様が此所は“快楽”に従う。
「かかか」
「喋らないで」
まずい。歌姫の首を絞める力が強まった。肺の中の空気も消費してしまった。
しかし、まあ、更に強く抱きしめられるのは悪くない。寧ろ良い。どうせなら肺の中の空気を全て使い切ってしまおうかなんて考えがよぎった瞬間、俺様たちを覆っていた“帳”が上がった。
五条悟の侵入を防いでいた“帳”の消滅。それはつまり
「“帳”が上がった⁉」
「マジィ?30分も経ってなくない?逃げよっ」
歌姫が驚き、春太は逃走を選択。俺様は驚いた歌姫の力が弱まった隙に拘束から抜け出して、
遙か上空。其処に立つ五条の眼には俺様の姿がバッチリと見えているだろう。
「かかか、勝てねぇからって戦わねぇで逃げるのはクソにも成れねぇ雑魚の選択だぜ。来いよ、五条。第二ラウンドだ!」
五条の眼には俺様の口元の動きすら見ているのだから、何を言ったのかわかっただろう。
だと言うのに、俺様の言葉に一度は反応しかけた五条は、俺様の側に歌姫が居るのに気が付くと戦意を霧散させ、手を振ってどこかへ飛んだ。
「あ?俺様以上の脅威が生徒に迫ってやがったのか?」
思わず口に出した疑問に返答はないが、今、考えられる俺様を放置する理由はそれくらいだ。
だとするなら、花御の元に向かったと考えるのが妥当だが、次の瞬間に五条の呪力が現れたのは別の場所だった。
「・・・瞬間移動できる奴の考えは分かんねぇなぁ。かかか、まあ、それならそれでいい。当初の予定通り、人質を取ってぶっ殺してやるよ!順平!そろそろ女の一人や二人、コマしたか‼」
「いえ!すみません!負けました‼」
「ハァ⁈」
情けない事を言いながら、順平が俺様の隣に退いてくる。
驚きながら順平が戦っていた生徒二人を見るが、二人には傷一つ無い。
「テメェ、女に負けるとか情けねぇとは思わねぇのか‼」
「いやぁ、時代はジェンダーレスですし。・・・その、ごめんなさい」
アハハと後頭部を掻きながら笑う順平に舌打ちを漏らすが、責めるべきはコイツではなくコイツと相手の力量を測り損ねた俺様自身だろう。
「チッ、謝るな!テメェならあの二人相手でも勝てると思ったが、俺様とした事が相手の実力を見誤った。考えりゃ、あの
「は、はい!ピンピンしてます!」
「ならいい。・・・かかかかかー!歌姫‼今日のところは見逃してやる!感謝するんだな!かかかかかー‼」
「あ、待ってください!青江さーん!」
俺様と順平は、そうして戦線を離脱した。
青江が逃げて直ぐ、残っていた呪詛師は五条によって捕縛され、特級呪霊-花御も撃退された。敵対する呪力が感じ取れなくなったことでようやく一息を付いた歌姫は青江が“順平”と呼んでいた呪詛師と戦っていた生徒二人-
「二人とも、無事よね?」
「・・・ええ、まあ」
「・・・そっすね」
二人の身体に目に見える外傷はない。それなのに元気がない二人を心配する歌姫に、野薔薇は整った顔に不快感を滲ませながら語る。
「あの前髪ジャマー、完っ全に手を抜いてやがった。式神を出しても防ぐことにしか使わねぇし、真面な攻撃の一つもしてこなかった」
「そうね。あれは銃弾を溶かす毒かしら、そんなものがありながら、これ見よがしにばら撒くだけで私たちの身体には
手を抜かれ、あまつさえ敵に気遣われ、野薔薇と真衣のプライドはズタボロだ。だが、其処でくじける二人では無く、歌姫が慰める前に二人の口から出た言葉が
「「次に会ったら、泣かす」」
「ハハッ、初めて気が合ったな」
「ウフフ、嬉しくないわ」
美少女二人にロックオンされたことを順平はまだ知らない。
「青江・・・先輩。相変わらず雑魚キャラの捨て台詞がよく似合っていたわね」
歌姫は完全に見逃された形の生徒二人を見てそんな事を呟いて、一つの妄想を頭の中に思い浮かべる。
(もし仮に青江先輩が生前の記憶を色濃く残しているなら、アイツは私たちの敵だけど・・・完全に
生前の青江貞次は非術師を“猿”と呼び食い物にする呪詛師だったが、術師に対しては人並みの情は持っていた。
己の死を持って後輩の夢を叶えようとするほどに面倒見も良かった。
(だから私も、嫌いにはなれなかった。五条や夏油が懐いていた。・・・“帳”が上がって五条が此方に来なかったのは、たぶん青江先輩の側で私が
歌姫は自分の掌を見ながら、学生時代を思い出す。
―――良い術式じゃねぇか。
入学して直ぐの頃、誰かに頼らなければ戦えない術式に不甲斐なさを感じていた自分の前に現れたよく笑う先輩は、よく術式を褒めてくれた。
人一倍欲深く、人一倍笑い、人一倍怒る。人間が前向きに生きるためのエネルギーの塊の様な人。普通の人生を歩んでいたら絶対に出会えなかった。
―――良いねぇ。何度見ても、良い舞だ。だが、衣装を変えればもっと良くなる。俺様が用意してやるよ。あ?金なんて気にすんな。後輩は黙って奢られてればいいんだよ。かかかー!
少しだけその笑顔に憧れた。
もしかしたら初恋だったのかもしれない。
(まあ、その恋心みたいなものは、直ぐに砕けたけど)
―――あ、傑!見てよ!青江パイセンが歌姫をエロい格好で踊らせてる!
―――ああ、悟。ホントだね。青江先輩は巫女服フェチだけじゃなく、脇フェチでもあるからね。ノースリーブ巫女とは、よくやるよ。
(でも・・・楽しかったのも事実なのよね)
思い返す青い春。
其処に確かに存在した青江貞次という人間。
(私も、
彼を解放したいと歌姫は思った。
そして、決意を胸に野薔薇と真衣を呼ぶ。
「アナタたち、強くなるわよ」
歌姫の言葉に二人の返事は再び