一級呪詛師の青江さん   作:白白明け

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久しぶりの投稿になってしまいましたが、
皆様の暇つぶしになれば幸いです
(^^)




クソみてぇな救い

 

 

千葉県某所-商業施設内のフードコート。

交流会襲撃の翌日、俺様は羂索と顔を付き合わせて牛丼をかっ喰らっていた。

 

「漏瑚がヤられて直ぐに花御も重傷を負った。テメエと関わってから、俺様達には一つも利が無ぇって思うのは、勘違いか?」

「おいおい、言いがかりは()してくれよ。交流会襲撃を隠れ蓑にした真人の“蔵”への侵入は上手くいったじゃないか」

 

特級呪具“両面宿儺(りょうめんすくな)”の指、高専保有分6本。

同じく特級呪具、“呪胎(じゅたい)九相図(くそうず)”1番から3番。

交流会襲撃の最中に自分の手引きにより呪術高専から盗まれた品々の目録だけを見れば、ルーブル美術館にも匹敵すると嘯きながら、羂索はいけ好かねぇ顔を気にくわねぇ笑みに歪める。

眼前のテーブルに俺様的スペシャルディナーである三種のチーズ盛り牛丼が存在しなければ、唾を吐き捨てていただろう。しかし、流石の俺様だって好物を前にマナーを忘れる訳にもいかないので舌打ちをするのに止めて食事を再開する。

そんな俺様に溜息を吐きながら、羂索は言う。

 

「私は随分と君に嫌われているね。真人に無理を言って“蔵”から君の生前の愛刀まで持ってきて貰ったというのに、嘆かわしい限りだよ」

「かかか、真人の野郎に礼は言ったさ。だが、テメェなんぞに俺様が感謝する訳ねぇだろーが」

 

腰に差す愛刀、備中国青江派作の大脇差の一級呪具『にっかり青江』。

これからの戦いに向けて高専からコイツを取り戻せたのは幸先が良い。

 

「大体テメェ、コイツを俺様に取り戻させたのだって呪術師共との戦いに向けて俺様という戦力を強化したかっただけだろーが」

「なんだ、わかるのかい」

「胡散臭い顔にそう書いてあるぜ」

「呪霊の癖に聡いね。やはり生前、人間だったことが関係あるのかな?」

「かかか、殺すぞ」

 

鞘から刀を抜き、剣先を眼前に突きつけるが羂索は涼しい表情をしたままどんぶりを持つと、俺様の殺気など気にせずに丼の中に残っていた米と肉を一気にかきこんだ。

 

「ふう、ごちそうさま。君は私と居ても楽しくないようだし、お暇させて貰うよ。この後、真人との約束もあるからね」

 

余裕の態度に苛立ちながらも、刀を納め、俺様は羂索から出た言葉を拾う。

 

「テメェ、最近、真人の回りをウロチョロしてやがるが、何を企んでやがる?」

「酷いな。君とは違って真人は私との時間を少しは楽しんでいてくれているよ。少なくとも、君のようにずっと仏頂面ではないからね」

 

そう言っておどけながら、羂索は高専内に居る内通者に関しての情報を語る。

 

内通者(スパイ)を作るのに真人の術式(チカラ)を借りたのは知っているだろう?ただその“彼”も、そろそろ使()()()()()()から、処分してしまおうと思ってね。本当はもう少し使いたかったのだけれど、交流会襲撃が気に食わなかったらしい。仕方ないね」

 

手を振りながら、羂索がフードコートから去った。

暫くして、代わりに俺様の前に座ったのは女子()高生()二人組。

陰湿な(ジトッた)雰囲気のクソガキ共は相も変わらず生意気な様で、値踏みするような視線を俺様に向けてくる。

 

「ねぇ、なんで、“アイツ”と仲良くしているわけ?」

「やっぱり・・・生前の記憶なんて嘘?」

 

探りを入れる言葉に含まれる敵意。確かにコイツらからすれば、■■の(ガワ)を被った羂索と食事をしていた俺様は許せないのだろう。

だが、しかし、そういうところがガキなんだと俺様は二人を嘲笑う。

 

「敵を騙すならまずは味方からってな。テメェらの眼に俺様と羂索が少なからず仲良さげに見えたってんなら、俺様の演技の才能は計り知れねぇなぁ。かかかかか、なぁ、そう思うだろ?美々子に菜々子」

 

女子高生呪詛師の二人組。

ギャル系の美々子に清楚系の菜々子。

俺様が知る限り、■■に最も傾倒していた呪詛師。

 

小学生(ロリ)時代から知るテメェらも、今や立派な女子()高生()だ。もう少し大局的にモノを見やがれ」

「何を言っているか・・・全然、わからない。やっぱり、私たちを騙す気?」

「ウチらのこと、馬鹿にしてんじゃないでしょーね」

 

噛みついてくる二人を馬鹿にしているかって?

かかか、しているに決まっているじゃねぇーか。

 

「俺様が居なけりゃ、羂索のクソに良い様に使われていたのは目に見えてんだ。テメェらは黙って俺様の言う事を聞いてりゃ良いんだよ。羂索の()()を剥がす。その一点において、俺様とテメェらの利害は完全に一致してやがるんだからな」

 

羂索のいけ好かねぇ顔はいい。

だが、それが気にくわねぇ笑みに変わるのが気に入らねぇ。

 

「呪霊に虚飾()はねぇ。あるのは本心。其処は信用しやがれ」

「呪霊の癖に信用とか・・・ウケる」

「フン、そこまで言うなら信じてあげてもいいわよ」

 

・・・なぜ、このクソガキ共は素直に礼も言えねぇのだろうか。

そんな事を考えながら、次の一手を模索する。羂索の狙いは世の混沌。その一点におい呪霊組(俺ら)と奴の思惑は一致している。漏瑚は両面宿儺の復活を(もっ)て呪いの時代の到来を望み、羂索はそれに協力する姿勢を見せる事で、呪霊組《俺ら》の同盟は成っている。

俺様としては漏瑚の願いを邪魔する気は無い。呪いの時代の到来は、俺様自身も望むことだ。

弱者(非術師)が絶え、強者(術師)が栄える。呪霊渦巻く極楽浄土。

想像するだけで口角が釣り上がる。

 

だが、しかし、其処に羂索は必要ねぇってのが俺様の考えだ。

千年を生きた術師。生ける伝説である天元に匹敵する奴の実力は知っている。その上で何を考えているかが読めねぇ俺様に匹敵するクソ野郎だ。不確定要素が多すぎる奴を放って置くことは、漏瑚の障害になるだろう。

 

「取りあえず、奴のやること成すことは邪魔しとくべきだろーな。美々子。菜々子」

「なによ」

「なに?」

「テメェら、ちょっと男子高校生を誘惑(コマ)してこい。かかか、なに、相手は引きこもってロボット弄っているオタクだ。オタクに優しいギャルとして近づけば、テメェらみてぇなガキでも余裕だろーよ」

「・・・どうしよう、美々子。コイツ、やっぱり生まれ変わってもキショいんだけど」

「うん。もう吊るす?菜々子」

 

俺様がテメェら如きに祓われる訳がねぇだろーが。クソガキが。

内心で吐き捨てて、立ち上がる。歩き出した俺様の後ろを、文句を言いながらも二人は着いてくる。

コイツらはガキだが、大局を見れねぇ程に馬鹿じゃねぇようだ。

 

羂索のガワを剥がし、■■を解放する。

 

共通の目的にブレは()ぇ。漏瑚達と羂索が手を組んだ様に、呪霊と人間であったとしても共通の目的さえあれば一時的にだが、手は組める。呪霊と取引するなんざ、真面な人間のする事じゃねぇ。イカれた人間の巣窟である呪術師界隈においても、それは揺るぎねぇ。

だが、呪詛師ならば、呪霊とも手は組める。表の人間が出来ねぇ事が出来るってのが、裏の人間が持つアドバンテージ。

それを存分に生かし切り、俺様は羂索を出し抜き、■■を解放する。

 

(なんのために?)

 

脳内に沸いた疑問。考える必要すら無い愚問。

 

「・・・後輩を助けるのに、理由なんざ、要らねぇんだよ」

 

独り言を零して、俺様は今日もクソみてぇな世界を歩く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・後輩を助けるのに、理由なんざ、要らねぇんだよ」

 

前を歩く呪霊から漏れた本音(こえ)を聞いた。

 

「ねぇ、菜々子。やっぱり、信じてみてもいいかも」

「うん。ウチも少しだけ、そう思った」

 

 

 

 





メカ丸と三輪ちゃんのカップリングを成立させたいという思いだけが、指を動かします。

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