一級呪詛師の青江さん   作:白白明け

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皆様の暇つぶしになれば幸いです
\(^o^)/




クソな提案

【受肉】。“黄泉(よみ)がえり”。

青江から出た言葉を、世迷い言だと言い切ることが五条悟には出来ない。

何故なら彼は五条悟(自分)先輩(パイセン)と呼ぶ唯一の存在(クソ野郎)

その言動は悪意に塗れ、その行動には害意が有り、行く道は非道であったが、その口から“嘘”が出た事はなかった。

 

青江は常に高らかに悪事を(うた)う。

 

「【受肉】に必要なモンは、“器”と“魂”。そして、“器”に“魂”を定着させる“術式”だ。その内、術式に関しては呪詛師界隈じゃ有名な降霊術のババアにやらせるから問題はねぇ。器の目星も付けてるから、心配すんな。残る魂、こいつはちっとばかし厄介だが・・・テメエが居れば何とかなると俺様は思ってる」

「・・・」

「かか、考え込むフリは止せよ。答えなら漏瑚たち諸共、非術師(猿ども)(みなごろし)にした時点で出ている筈だぜ」

「・・・」

「かかか、だから、止せって。・・・おい、聞いてんのか?」

「ああ、()()()()()()?」

 

五条の指先が仰向けに倒れる青江の額へと向けられる。

手印により象る形は拳銃。弾丸よりも恐ろしい呪力の塊が、青江を祓う(殺す)為に放たれた。

 

「クソが!死んだらどーする⁉」

 

踏みつけにされる下腹部を捨て、妖怪(てけてけ)の様に上半身のみで這いずりながら窮地を脱した青江は、五条悟を睨み付けながら肉体を再生。

新しく生えた下半身の調子を確かめる様に数回ジャンプした後、五条悟を睨みつけた。

それに対して五條悟は面白く無さそうな表情を浮かべたまま後頭部を掻いた。

 

「睨むなよ。パイセン、僕の事を何だと思っているわけ?確かに僕は一般人を戦いに巻き込んじゃったけどさ、それとこれとは別だろ。これでも僕、結構良い先生なんだよね。昔の悪~い先輩に(そそのか)されて、可愛い教え子を裏切れる訳ないじゃん」

 

五条悟の一人称(言葉遣い)が、“()”から“()”に戻っていた。

それを聞き逃す筈もなく、青江は己の失態に舌打ちをする。

衝撃の呪いの言葉は、衝撃過ぎて五条悟に逆に冷静さを取り戻させていた。

 

「それに僕は、そんなことを傑が望むとも、思わない」

「かかか、だから、ズレてんだよ‼テメエはッ、なあアアア‼」

 

青江が刀を抜いて五条悟に襲い掛かる。

引き抜くは青江一門の至宝。妖刀『にっかり青江』。試し斬りにて断胴三体を成し得る名刀。

しかし、刃が届かないなら肉を斬れる筈もなく、青江の攻撃は五条の無下限術式によって阻まれる。

当たり前の結末。当然の帰結。

それを嗤い、呪詛は吐かれる。

 

呵呵呵(かかか)‼」

 

所詮は幻覚。格下にしか通用しない雑魚術式。

そう考え青江の術式に対して抵抗せず、カウンターを選んだ五条悟の選択は正しく、青江が見せた幻術が五条悟を傷つけることはなかった。

 

見せる幻覚は三年間の青い春。

 

「―――ッ⁉」

 

その幻覚に魅せられて、五条悟のカウンターが外れる。

代わりに青江の拳が五条悟の顔面に叩きこまれた。

 

「ほらな、正直に生きようぜ」

 

顔面に叩きこんだ拳すら、無下限術式によって防がれ止まるという不様(ぶざま)

両者の間の力の差は明らかで、アキレスと亀の逸話すら、両者を計る定規にはなり得ない。

それでも一方は嗤い。

一方は笑えていなかった。

 

「グチグチとめんどくせぇ事を考えんなよ。夏油がどう思うか、じゃねえ。大事なのは、自分(テメエ)がどうしたいかだろ?」

「自分の事しか考えないとか、パイセンってマジでクソだよね」

「本来ならテメェが俺様の様であるべきなんだぜ?何しろ“最強”だ。一人で一国落とせる暴力(チカラ)を持ってるくせに、なんでスカッと生きねぇかねえ。俺様がテメエなら、今頃、俺様は総理大臣だぜ?」

 

青江は何時までもムカつく顔面を殴ることが出来ないので拳を引き、両腕を広げながら五条悟の前に立つ。

そして、そのまま流れる様に姿勢を変えて繰り出すは“夜叉の構え(ふざけたポーズ)”。

少しだけ身構えていた五条悟の米神に青筋が浮かんだ。

 

「人生は最悪(クソ)だ!人は絶望(クソ)をする為に産まれて!後悔(クソ)をしながら死んでいく!ならばせめてッ、どんな物語(クソ)を捻り出すかッ、自分で決めて生きようぜえ‼」

 

呪いと祝いは表裏一体。

故に青江は笑顔で呪う。

めでたいと笑顔で祝う。

 

「きっとテメエは走馬灯で夏油を幻視()る!なら、イイジャねえか。軽い気持ちで!勢い(ノリ)で!【受肉】させてみようぜえ!それであのクソに怒られてもッ、安心しろ!俺様が一緒に半殺しにされてやるからよお‼」

 

どうして最強(お前)が他人の顔色を伺いながら、生きなければならないのか。

至極真っ当な疑問をぶつけながら、至極真っ当な幸福を語る。

 

「テメエが生徒(ガキ)共が大切だってんなら、守りゃ良いだろ。夜蛾や七海の野郎と戦いたくねえってんなら、呪術師を辞める必要ねえ。歌姫や冥冥のエロい身体が拝めなくなるのは俺様だってご免だね。だから、良いんだ」

「そんなこと・・・できるかよ!」

「出来るさ。()()()なら!」

「ッ⁉」

 

夏油傑を【受肉】させれば、総監部より呪詛師認定されて五条悟は呪術高専を追われる事になるだろう。だが、なら総監部の連中を鏖にしてしまえば言いと青江は答え(アンサー)を出す。

そうなった時、一体誰が五条悟を裁ける。

()()()()()()

()()()()()()()()()()―――

 

「他の特級が黙ってないだろ」

「乙骨憂太がテメエを殺すか?ないない。ありえない。ありゃ、テメエの事が大好きだろ。俺様は知ってんだ」

「憂太の他にも特級は居る。知らない訳じゃないだろ」

「俺様はテメエと夏油のクソの二人を相手に勝てる野郎なんて、知らねえよ」

「天元様も敵に回す事になるかも知れない」

「・・・いい加減、やらない理由を並び立てるの、止めろよ。萎えるぜ」

「ッ⁉」

「俺様を殺さねぇ時点で、答えは出てんだろって、ずっと言ってるじゃねぇか」

 

最後の一押しが必要か?

なら、手伝ってやると青江は笑った。

 

「器に目星がついてるって、言ったろ。教えてやるよ。羂索とかいうクソが、夏油の死体(ガワ)を玩具にしてんぞ。テメエ、野郎の死体をちゃんと処理しなかったろ」

「・・・マジ?」

「マジ。ムカつくだろ。俺様ですら、八つ裂きにしたかったんだ。テメエなら、どう思うか・・・かか、表情(かお)見りゃわかんな」

 

漏れ出す呪力が空間を歪める(マジでキレる三秒前の)五条を前に、青江は笑いながら告げた。

 

「本来、【受肉】には受肉体となる器が必要だ。受肉時、器となった身体の魂は消えちまうが、本人の()()が綺麗なまま有るなら別だろ。とりあえず降霊術でその死体に夏油の魂を()ろしてみようぜ?其処からの魂の定着は・・・まあ、なんとかなるだろ。最強(テメエ)なら」

「大事な部分を他力本願かよ」

「かかか、だが、悪い話じゃねぇ筈だ。試してみる価値はある」

 

五条悟は数秒考え込んで、答えを出した。

 

「いいよ。パイセンがどーしてもって、言うなら、やってみよう」

「かかか!そうこなくっちゃなあ!」

 

青江の熱烈な勧誘に屈した訳じゃない。

だが、夏油(親友)死体(身体)を弄ばれていると聞いて黙っていられる筈もなく、五条悟は青江の提案に一時的に乗ることにした。

最優先事項は渋谷事変の解決。平行して夏油傑の肉体の奪還。

それを終えた後のことは・・・その時に、考えればいいと結論付けた。

 

こうして最強の呪術師と最悪の呪霊が肩を並べて、渋谷を闊歩することになるのだった。

それを盗み見ていた羂索は、冷や汗を流しながら次の一手を模索していた。

 

 





さて、ここからどうやってハッピーエンドに持っていくか…

(´・ω・`)


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