一級呪詛師の青江さん   作:白白明け

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皆様の暇つぶしになれれば幸いです。

先日、日刊ランキングに乗っていました!
とても嬉しかったです!
ありがとうございました!\(^_^)/




クソの張り合い

 

 

行動の指針は常に“好き”と“嫌い”で決めるのが、俺様のやり方だ。

“嫌い”な事よりも“好き”な事を探せと凡夫は言うだろう。

だが、俺様は違ぇ。

“好き”に生きたいゃ、“嫌い”な奴をぶっ殺せば良いって知っているからな。

・・・俺様が今、一番嫌いな(ぶっ殺したい)奴は誰だ?

考えるまでもねえ。あの胡散臭い顔がニヤけ面になるのが我慢ならねえ。

夏油のガワを被った羂索を殺す。

 

「かかかかかー!その為に現代最強の呪術師である五条悟を仲間に引き入れられたのはッ、偏に俺様の人徳があってのことだよなあー!」

「ねえ、青江(バカ)

「ああ⁉誰がバカだ、菜々子(クソガキ)。テメェ、人徳が溢れ滲む俺様にそんな口、聞いてっと、五条悟(後輩)が黙ってねぇぞ」

「その五条悟。なんか、どっか行ったわよ」

「はあ⁉」

 

周りを見渡すが、確かに五条悟の姿はどこにもない。

 

「どういうことだ?地下ホームから出て、菜々子&美々子(クソガキ二人)と合流するまでは確かに一緒にいたが・・・迷子か?」

「ねえ、青江(アホ)。これ・・・五条悟が渡せって」

 

美々子に手渡された紙を見ると、其処にはデフォルメされた五条のクソ似てる似顔絵が描かれていた。

舌を出す(あっかんべえ)五条の似顔絵の下には二言。

 

『僕は僕で動くから、パイセンもがんば!裏切ったらパイセン殺すからよろ☆』

 

紙を握りしめたまま震える俺様の後ろで、菜々子と美々子が陰口を叩く。

 

「青江、めっちゃ舐められてね?」

「青江は・・・アホだから、仕方ない」

「あはは!そかもね!」

「うん。そかもな」

 

俺様は紙を呪力で焼き、地面に唾を吐き捨てる。

 

「クソが。まあ、いいさ。最初からあのチャランポランを当てになんかしちゃいねえ。あのクソが夏油の受肉に協力するってんなら、その時まで別行動は願ったり叶ったりだぜ。・・・俺様には別に()()()()もあるしな」

「・・・ねえ、その話なんだけど、マジなんだよね。夏油様の受肉」

「ああ?かかか、呪霊(俺様)は嘘を吐かねぇ。人間(テメエら)とは違えのさ。マジさ。(おお)マジ。夏油の死体(ガワ)が綺麗に残ってんだ。良い具合に残穢(ざんえ)も残してるってんなら、利用してやらねぇ理由がねぇだろ」

 

菜々子の視線は不安げに揺れていた。

それに寄り添う美々子もまた同じような不安を感じている様子だった。

怖えよなあ。()()()()

五条は夏油が受肉(そんなこと)を望んでいるとは思わないと言っていた。

おそらく事実だ。奴の物語は終った。

親友にトドメを刺されたんなら、悔いを残さず逝ったはずだ。

それをたたき起こそうってんだ。何を言われるか、わかったもんじゃねぇ。

 

だがな、それでも―――

 

「もう一度、会いてぇんだろ?」

 

―――それでも人は、願わず(呪わず)にはいられねぇのさ。

 

「好きだったんだもんなぁ」

 

仮面を外してしまった所為で、もう表情を隠すことは出来ない。

クソガキ共の瞳に映る俺様の表情(かお)は酷いモノで、我ながらに肥だめの方がマシだと思えたが・・・それでいいのさ。

 

「かかか、同じさ。死者の墓に手を合せるのも、死者の蘇生を望むのも、どっちも生者の都合だろ。だったら、好きにしようぜ。呪霊(俺様)呪詛師(テメェ)らも、いつだって“自由”だ」

 

そして、枷は常に正義の側にある。

 

「かかかかかー!」

 

渋谷事変への五条の投入から既に30分以上が経つ。

あの五条(クソ)の最強っぷりを考えりゃ、未だに渋谷事変が解決しねぇのは信じられねぇ()()()だ。

加えて真人の野郎が祓われた事で改造された人間どもの手綱も外れた。

制御を失った改造人間どもは本能のままに生き残っている非術師(サル共)を襲い始めるだろう。

それに羂索だってバカじゃねぇ。俺様と五条の一部始終を覗き見していたあのクソ野郎が閉じた“帳”の中で隠れ(んぼ)をする筈がねぇ。今の奴に必要なのは第三者の介入。

奴が降ろしていた四重の“帳”の内、外側二つ目の呪術師を入れねぇ“帳”は払われている筈だ。

 

「待機していた連中を突入させるには、良いタイミングだよなあ!」

 

だからと言って都合が良すぎると俺様は笑わずには居られなかった。

俺様に遅れること五秒で菜々子と美々子の二人もその気配に気が付き、臨戦態勢を取るが、遅え。

俺様が居なけりゃ、二人とも戦闘不能(リタイア)させられてんぞと嗤い。

俺様が居た所為で、それが出来なかったサラリーマンを嘲笑う。

 

天下の公道。十字横断道で俺様は生前の仇と対峙する。

 

「見忘れる筈がねぇ眼鏡。趣味の悪りぃネクタイ。面白くねぇ仏頂面。かかか、やっぱりなぁ。遠目で見たときからそうじゃねぇかとおもってたぜぇ~。ひっさしぶり~、七海く~ん。元気でしたか~?」

「・・・」

「俺様は元気だぜ~。テメェに殺された時よりずっとなあ‼」

 

大きく手を広げて再会を喜ぶ俺様とは違って、七海の眼孔は人殺しのそれだ。

だと言うのに、その殺意を眼鏡で覆い隠す態度が気にくわねぇ。

 

「・・・私は“帳”を降ろしている敵を、二人は片っ端から一般人を保護してもらうという話でしたが、予定変更です。猪野君。伏黒君。三人であの呪霊を祓い、一緒に居る呪詛師二人を拘束します」

 

まだウジウジと生きてんだなと思って、溜息すら出そうになる。

 

「かかか!なあ、生前の恨みを晴らす事があのクソを裏切った事になると思うか?」

「油断しないように。生前の彼ですら、私を含めた一級術師三人で斃した相手です」

 

信号が赤から青に変わり、ゴングが鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、生前の恨みを晴らす事があのクソを裏切った事になると思うか?」

 

目の前に現れた呪術師たちを前に巫山戯た事を口走る青江に対して「当たり前じゃん!」と菜々子は(いきどお)った。

“自分達は夏油様に一番早く手を引いて貰った者だ”という自負が菜々子と美々子には有る。

だからこその執着。だからこその愛情。だからこそ場数も踏んでいる。故に目も肥えている。

三人の呪術師の内、二人は問題がない。自分達でも相手が出来るレベルだと思った。

しかし、一人は術師としてのレベルが違う。

 

青江が笑い転げる中で菜々子と美々子は一級術師-七海(ななみ)健人(けんと)の実力を看破していた。

 

「美々子!」

「わかってる」

 

菜々子と美々子がそれぞれの呪具(スマホと人形)を七海に向けた直後、二人の術式が発動する。しかし、それは七海を()()()()()

 

「嘘じゃん⁉」

「なんで・・・ッ」

 

二人が動揺するのも無理はない。七海の呪力の動きに波はなく、それは彼が術式を発動していないことを示していた。

あらゆる日本武術における基本動作である“すり足”。それを応用した動作によって術式が擦り抜けた様に見えただけであり、実際にはあまりにスムーズに避けたに過ぎない。

即ち、七海は体術のみを以て()()()

それが二人に隙を生み、七海の拳が二人に迫った。

 

鉄がぶつかり合う様な音が響く。

 

菜々子を庇う為に覆い被さる美々子は、七海の拳を受け止める青江を見た。

 

「かかか。中年(おっさん)女子高生(JK)を殴るなよ。事案だぜ?」

「あなたと行動を共にしている時点で危険性は未知数。手加減をする理由はありません」

 

対峙する二人の口元は対照的だった。

一方の口角は吊り上がり、もう一方は一の字で結ばれている。

 

「渋谷を覆う“帳”。降ろした術師はあなたたちですか?」

「そうだって言ったら、どうすんだよ」

「・・・なにもかわりません。祓うだけです」

「なら、聞くなよ」

 

青江の左手に刀が現れる。それは呪力により身体から生やした(なまくら)だが、切れ味の悪さと強度だけは申し分がない。

横一線。七海は避けた。傷はない。

しかし、剣を振るった風圧でひび割れたアスファルトの破片が舞う。

当たれば致命。それを理解して七海も(なた)を抜く。

 

直刀と鉈の戦い。

リーチの部は明らかに青江にある。

それを()()

青江は()()()()()()

 

「呵呵!」

 

直後、影に潜り青江の背後を突いた伏黒(ふしぐろ)(めぐみ)の奇襲が外れた。

当てたと思った攻撃がカラぶった伏黒は魅せられた幻覚に舌打ちをした。

攻撃を外した事による体勢の崩れを青江が見逃す筈もなく、捨てた直刀を蹴りつけて伏黒へと飛ばす。七海は鉈でそれを弾いた。

その攻防の最中、三人の呪術師たちの残り一人。猪野(いの)琢真(たくま)が菜々子と美々子を拘束するために動いていた。

しかし、青江はそれも見逃さずに彼を蹴り飛ばしていた。

 

「お客さん!料金は前払いだコラ!」

「ッ⁉」

 

蹴り飛ばされた猪野が地面を転がる。伏黒は既に体勢を立て直し、青江に対して七海と直角線上にいた。

 

「かかか、ウチのJKリフレは高ぇぞ」

「ふざけんなし!」

「・・・きもちわるい」

「ああん?逆に金取るぞコラ」

 

「猪野君。大丈夫ですか?」

「はいっス。七海さん」

「すみません。外しました」

「かまいません。その調子でお願いします。猪野君は伏黒君のサポートを」

 

お互いに()()()()()()を認識しながら、両者は再び睨み合う。

 

(やっぱクソガキ二人じゃ話になんねぇな。クソが、夏油の野郎。甘やかしすぎだ)

(やはり生前に比べて呪力の量も出力も格段に増えている様ですね。しかし、戦い方に変化はない)

(足手まといが二人。自分の身くらい守ってくれりゃいいが、七海以外の術師もクソガキ二人より格上と見た。長引きゃ獲られんな)

(術式による攪乱。本命は呪力を帯びた刀による攻撃。問題は、単純な呪力量の増加によって生前よりも数段上に練り上げられていることでしょう。・・・握られた拳の痺れは、まだ引きませんか)

漏瑚を王にする(プランA)を主軸に動いていた頃なら、クソガキ共は見殺しにしても良かったが・・・、夏油の受肉(プランB)に舵を切った今はクソガキ共の価値は爆上(ばくあげ)だ。死なせるにゃ、惜しい)

(幻覚は多対一で真価を発揮する)

(幻覚でまずはクソガキ共をこの場から逃がす)

(枷を外させる訳にはいきませんね)

(悟られているか?俺様の天才的プラン)

 

「かかか。面倒だなあ」

「まったく、厄介ですね」

 

子供+αを前に、大人の意地がぶつかり合っていた。

 

 





呪霊組の強さは、

漏瑚≧真人(覚醒)>花御=真人≧陀艮=青江>陀艮(呪胎)

くらいの気持ちで書いてます。
ので!サシで戦うと!青江がナナミンに勝ってしまいます!
駄目だろ‼ヽ(`Д´#)ノ



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