と、思い書いてしまった文章の供養です。
皆様の暇つぶしになれば幸いですm(_ _)m
生前、人であった記憶を持つ呪霊。普通に考えればその
やべーことになったと思った。
大凡、人の善性と呼ぶべきモノが俺様からは欠落していたのだ。
“無いよりは有る方が良い”。金然り、力然り、胸然り。人の善性なんて犬に喰わせて構わないものだが、“持たざるものは劣っている”。それが本質であると信じる俺様にとっては耐えがたいことだ。
捨てるのは良い。放棄するのなら構わない。しかし、最初から持っていないのなら、話は変わる。
持たざるものは、劣っているのだ。
故に劣等感に苛まれバケツの中に黒い吐瀉物を吐き出す俺様の背を摩りながら、頭の上に
「考え方を変えろ。貴様は既に人では無いのだ。失ったのでは無い。獲得したと考えれば善い」
「・・・おぇぇぇ、・・・なにを?
「“真実”だ。人間は嘘で出来ている。表に出る感情や行動には、必ず見返りを求める浅ましい裏がある。だが、負の感情。憎悪や殺意などは偽りの無い真実だ。其処から生まれた我々呪いには、真実のみしか無い」
「・・・・・・・・・おい、可哀想な俺様を慰める話じゃなかったのか?いつから倫理になった」
「労ることだけが優しさではない。いわば、真実を伝えることこそが“真理”。分かるか?」
「・・・・・・・・・いや、全然」
頭の中に脳味噌じゃなくて溶岩が詰まっている様な奴の話を真剣に聞いた俺様が馬鹿だったと思いつつ、背に添えられた手は
その温もりは俺様が求めて止まなかったものだった。・・・様な気がする。
意味不明。理解不能。だが、しかし、その温もりには乗せられてやってもいい。
「つまりはアレだ、超優秀な呪霊である俺様が人間如きに劣等感を抱くなんてクソだって話だな?」
「まあ、端折ればそうなる・・・か?貴様が立ち上がれるのなら、それでいい」
「テメェ、なんで俺様を気にかける?まさか俺様のことが好きなのか?なんてな、かか!」
「好いてはいる」
「え・・・キショ」
「勘違いするな。儂は呪霊が人間として立つ世を願っている。故、全ての呪霊を好いていると言っているのだ」
「かかか。
「ならば、立て。作戦行動を取れる呪霊は多くない。
「かか、かかか、かかかかかー!そりゃそうだ!」
俺様は吐き出した黒い吐瀉物の入ったバケツを持って立ち上がる。失ったモノを憂い嘆くのは
漏瑚に慰められるまで忘れていた。
そうだ。俺様はこうやって笑うんだ
「かかかかかー!じゃあ、漏瑚‼俺様は何をすれば良い‼機嫌が良いんだ、テメェの言うことを聞いてやるよ!」
「好きにしろ。本能の赴くままにあるのが、
「おう!じゃあ、好きにするぜ‼」
「――――って、ことが有ったんだ。だから、人であるテメェを俺様が育てた所で、漏瑚は文句言わねぇだろ。つーワケで、俺様がテメエを
「あの・・・えっと、ありがとう、ございます」
都内某所の高校から連れてきた順平に俺様が根城にしている廃ビルの一室で呪術の基礎を教えてやる。順平には元々、才能があった。術式は『毒』。悪くねえ。これで術式『
「毒、良いねぇ。毒、悪い奴の術式だぜ。かかか」
「それは偏見なんじゃ・・・」
「いいや、統計さ。術式には其奴の素質が表れる。遠い昔に最強を謳われた烈士の呪力は雷の性質を帯びていたって話もある。漫画やアニメで考えてみろよ。毒使いの良い奴なんて、いやしねぇだろ」
「・・・鬼滅の刃のしのぶさんとか」
「ありゃ例外だ」
「ワンピースのマゼラン所長は?」
「例外は案外、幾つもあるもんだ」
「あなたは、結構適当な人ですね」
「かかか!今頃に気が付いたのか!」
溜息を吐く順平。俺様を前に物怖じしない態度は良い。
「
「それは、諦めているからかも知れません。あなたと出会った時点で、僕の命はあなたに握られているんですよね。泣いても喚いても、殺される時には殺されてしまう。なら、無駄なことはしたくないんです」
「かかか、生意気だなぁ。だが、悪くねぇどころか、良いねぇ。人生は諦めることから始まる。そのことにその年で気づいているなんてなぁ」
「テメェ、才能あるよ」
その言葉を言った瞬間、順平の目が輝いたのが分かった。純粋だ。淀んでいるのに澄んでいる。淀むべき
なにが
そう考えていたとき、順平の方から答えを教えてくれた。
「・・・あの、暗くなる前に一度、家に戻ってもいいですか?」
「あ?なんでだ?」
「母に、心配かけたくないんです。書き置きだけして、必ず戻ってきますので・・・お願いします」
「かか、かかか、ああ、
「え、家に帰ってもいいんですか?」
「ああ。
「ありがとうございます!」
順平は笑う。母親。それがコイツを縛るモノか。ああ、分かるよ。何しろ俺様には人間だった頃の記憶がある。それがどれだけ大切で、それがどれだけくだらないかを良く知っている。
廃ビルから出て行く順平を見送って、その後に気づかれない様に後を付けて、順平が家のリビングで母親と二人で食事をしているのを隣のマンションの屋上から眺めながら、仮面の下の口角を吊り上げる。
「
ああ、俺様ってばやっぱりクソだ。
都内某所、
吉野順平が通う高校の職員室に彼の担任である教師-外村は居た。
時刻は既に午前0時を回る
外村は今日の昼休みに学校の敷地内で起きた暴行事件の後始末に追われ、残業代の出ない時間外労働を強いられていた。
「まさか仲の良かった佐山のグループがなぁ」
疲労混じりの溜息が出る。外村は余分な脂肪の付いた顎を撫でながら警察からの渡された資料を眺める。
校舎裏で起きた暴行事件。生徒達の騒ぎを聞きつけた教員が駆けつけた時には、既に
「仲間内で話していたら、佐山が突然豹変して襲い掛かってきた・・・か。佐山は警察に記憶が無いって証言しているらしいが・・・
大学で教員免許を取得した後、直ぐに教師になった外村には社会人として学校以外で働いた経験はなく、学校以外の社会は外村の理解の外だ。故に学校内で済ませられる問題以外は手に負えない。
「明日は西村と本田の見舞いに行って、女子生徒の方は・・・男の俺じゃない方がいいか。中村先生にお願いをしよう。それから佐山にも会いに行ってやらんと。後は、アイツらと仲が良かった生徒が何か知っているかも知れないし、俺の出来る範囲で話を聞いてみるか」
それでも自分が可能な範囲で現状を好転させようと動く外村は優秀ではないが、善い教師と言えた。
「つまんねぇな」
外村にも聞こえる声で溜息混じりの声が聞こえた。
「な、なんだ、いま、声がしなかったか・・・?」
自分以外居ない職員室で唐突にハッキリと聞こえて来た男の声。それに驚き椅子から立ち上がった外村の足を
「う、うわっ⁉だ、だれか、いるのか・・・⁉」
「テメェは順平が抱える
外村には見えない
「あのクソ共と親しかった奴ねぇ。順平より上にあるこの“
かか。
かかか。
かかかかかー。
特徴的な笑い声を残して
残された外村の股からは生暖かい液体が流れ出していた。
漏瑚さんのキャラデザが好きです。
雑魚っぽいのに強者であるのが、たまらないのです。