「いやはや、ホントにAクラスの設備ってすごいねぇ…」
「どこぞの高級ホテルだっつの設備投資し過ぎだろ」
俺と明日香はAクラスの教室を横目で見ながらその設備量に感嘆していた。
(あのババァ。こんなに金使って大丈夫なのか……?)
俺がそう思ってしまうほどAクラスの設備は豪華なものだった。リクライニングシートに小型冷蔵庫などの設備を豊富に揃え、極めつけは大型の映像魔法結晶まである。別棟にある1年生の校舎は共学であり教室は全て同じような設備だったからなおさらだ。
「おっ、あれは…」
俺はAクラスの前で突っ立っている1人の生徒を見つけた。
「おーい。健太。何してんだ?」
俺は声を掛けながらソイツに歩み寄る。
「…ん?あ、アルトに明日香か…」
振り向いて若干眠たそうに俺達を見るコイツは
「おう、健太。こんな朝っぱらから何やってんだ」
俺が歩みを止めて眠そうな健太に話し掛けた。
「いや、実は昨日師匠と新しいプログラムを作ったんだ。だから、今朝はその試運転をしてた…」
と欠伸をしながら話す健太はホントに眠そうだ。コイツの師匠は俺達の住むアパートの大家さんなんだがあの人昼夜を問わず実験、発明をしまくるからいくら人間離れした健太でもキツいんだろうな……。
「なるほどねーそれで健太もFクラスなんだね?」
話を一通り聞いた明日香がそんなことを言う。
「ああ、そうだぞ」
明日香の質問に何てことなしに答える。
「そうか、健太もFクラスかぁ……はぁ!?」
何気なくスルーしようとした俺だがすぐに驚愕の事実に気付く。
「…えっ!?…ちょっ!?健太、お前!?」
驚愕の事実に明日香の時同様、俺は唖然となった。
「やっぱりね。で、キミは何をやらかしたの?」
俺の疑問を汲み取ったのか明日香が健太に尋ねた。
「ああ、振り分け試験中に新しいロボットの設計図書いてたら監督官に放り出された」
と健太はケラケラ笑いながらのたまいやがった。
「俺が言うのもなんだがお前らバカだろ…」
…頭痛くなって来た…。
若干痛みを感じた頭を抱えながら俺達はFクラスへ向かった。
☆★☆
「…あのさ、ここ、教室だよね?」
「いや、どっちかっつうとボロ屋の方が近いなこれは」
「なんつーか、格差社会の一端を見ている気分だぜ…」
Fクラスに着いた3人は各々にそんな感想を漏らす。外見、雰囲気からボロ屋と言い、先程のAクラスには到底と言うか比べるのもおこがましく思えるほどのボロ教室である。
「ま、まぁ、とりあえず入るか…」
驚愕のボロさに引きながらも教室に入ろうとアルトが戸を開けると…
「(ガラッ!)アールーー♪」
アルト目掛けてものすごい勢いで駆けて来る少女がいる。
「お♪」
その少女の姿を見てアルトは嬉しそうな表情を浮かべると足元に荷物を落とし、一歩前に出てファイティングポーズを構える。
「アル(シュッ!)。今年は(ガッ!)一緒のクラスに(ヒュン!)なれたね♪1年間(ガキッ!)みんなで(ビュン!)楽しもうね(ゴッ!)♪」
「おう(ガッ!)。俺も(ブン!)お前と一緒の(バシッ!)クラスになれて(ビュッ!)嬉しいぜ!今年も一緒(ゴン!)にバカやるぞ!(ゴウ!)」
何気ない挨拶で死闘を繰り広げるこの2人は端から見たら完全に変人と見られるだろう…
「健太。今の挨拶中に行われた戦闘内容は?」
「パンチ3発キック3発。どちらも互いに全弾受けきっているな」
…その戦闘を冷静に観察するこの2人もであるが…だが、これが彼らの日常であり、彼らの周辺人物にとっては周知の事実なのである。
「「今年もよろしくぅぅ!!!!((ドゴン!))」」
互いの渾身のストレートが相打ちになったところで死闘は終了した。
「ハハ!ミナ!良いストレートだ。また、腕を上げたな!」
アルトが嬉しそうに言う。
「うん♪また少し腕の辺りを鍛えて来たわ!ウチの今の目標はアル。全力のアンタを全力で殴り倒すことなんだから!」
ミナと呼ばれた少女はニカッと笑うと大胆に宣言した。
彼女の本名は島田 美波。ドイツからの帰国子女でアルトとは1年生の後半から付き合っている恋仲だ。
彼女がこれほどまで明るくなった理由はこれは後々紹介することになるだろう。
「へへーん。できるもんならやってみな!」
と挑発的に言うアルトは美波に向けて拳を突き出す。
「言ったわね。後で後悔しても知らないわよ!」
美波もそう言うとアルトの突き出した拳に自分の拳を突き出してコツンと打ち合わせた。
「朝っぱらから何やってんだお前らは?」
教室の奥から1人の男子生徒がやって来た。
「あ?何だ雄二か」
アルトが横を向くとそこにいたのはたくましい体つきにライオンの鬣のような赤髪を持つ生徒。坂本 雄二がいた。彼は元々神童と謳われた少年だったがとある理由で不良になったが明久達との出会いをきっかけに変わり、かつての才能も戻りつつあるのだ。
「珍しいな。お前のことだからAクラスくらい楽勝だと思ってたぜ」
アルトがちゃかしも含めながら話す。彼は雄二の才能も認めているのだ。
「まぁ、確かにAクラスも目標にしたが、このクラスで上位クラスを倒すのも一興だと思ってな。」
と雄二はニッと笑って言う。
「なるほど、お前も物好きなこった。ところで明久は?」
アルトはそう言うと辺りを見回す。
「さぁな、さっき校庭を走っていたからそのうち来るんじゃないか?」
雄二がそんなことを言うと(ガラガラ!)と教室の扉が開いて5人ほどの生徒が入って来た。
「お、噂をすれば影」
雄二が入って来た生徒を見て呟く。その男子生徒は辺りを見回し、アルトを見つけるとまっすぐ歩いて来た。
「アル!今年もよろしく…って!?明日香!?それに健太君!どうして、ここに!?」
男子生徒は幼なじみに挨拶をしてすぐ近くにいるもう1人の幼なじみと中学からの顔なじみを見つけて驚愕する。彼の名は吉井 明久。アルト達の幼なじみで様々な諸事情を抱える少年である。
「うむ?ホントじゃの。明日香に健太じゃ。なぜにお主らがここに?」
明久に続いて顔を出したのは爺詞が特徴的な美少女である。美少女フェイスであるが彼はれっきとした男であり名を木下 秀吉というが家族以外で彼を男と見てくる人物は片手で数えるほどしかいない。
「ホントだ…風見君に天月君がいる…」
秀吉の後ろから顔を出すのは彼の同い年の妹、
「お、なんでお前らがここにいるんだ?」
「Aクラスじゃなかったんですか?」
さらに後ろから顔を出すのは長身と茶髪が特徴的な少年と紅色が強い茶髪が特徴的な少女だ。少年の名は
「グッモーニング。明久、秀吉、初穂ちゃんに巧に東谷さん。えらい驚き様だね」
「まぁ、俺らだしなぁ」
明日香と健太は挨拶した後事のあらましを話す。
「このバカ明日香!」
「まったく、お主らは…」
あらましを聞いた面々はめいめいに呆れたり憤慨していた。
「「まぁ、そういうことでよろしく~」」
当の2人は至極お気楽であるが…
「ところで秀吉と巧はバカだから分かるが木下妹と東谷妹はもちっと上を狙えただろ」
雄二は初穂と椛を見ながら言う。
「あ…私は体調不良で振り分け試験を受けてないんです」
「わ、私は途中退席しちゃったんです」
椛と初穂は申し訳なさそうにうなだれる。
「俺はその初穂に連れ添ったからFクラスになったんだ」
巧が続くように発言する。
「ゴメンね巧君…」
「巧、すまなんだ。そしてありがとうなのじゃ」
初穂と秀吉が巧に頭を下げる。巧は、まぁ気にすんな。と手を振りながら笑う。
「なるほどねー巧は明久と同じ理由なんだ」
明日香が呟く。
「風見君。あ、明久君も誰かを助けたの?」
明日香の呟きに初穂が尋ねる。
「ああ、明久も熱で倒れた姫路さんを助けたんだよ」
明日香が初穂の質問を返した。
「おい、お前らちょっとどいてくれるか?」
「…………通行不可」
なるほどと頷いていた初穂達の後ろからやって来た2人組が初穂達に声を掛けた。
「あ、九十九君…それに土屋君も…」
後ろを振り返った初穂が2人組を見て言う。
初穂達の後ろにいたのは黒髪に白メッシュが入った前髪に背中まで伸びた長い後ろ髪を1つに束ねた美少女と寒色系の髪に三白眼の少年だ。
前者は名を
後者の名は土屋 康太。寡黙な雰囲気と物静かな性格が特徴的だが性に関する欲望が凄まじく
「あれ?龍月君にムッツリーニ。ムッツリーニはともかく龍月君はなんでここに?」
明久が龍月の顔見て尋ねる。
「俺は会社の定例会議で振り分け試験受けてねぇんだわ」
龍月は若干面倒くさそうに言った。
「お、その疲れ具合を見るに明久以外にも聞いて来たヤツがいたな」
雄二は疲れ気味の龍月を見て尋ねる。
「ああ、Aクラス連中の何人かに聞かれた…」
龍月は溜め息をつきながら返す。
「ハハ、“第2学年の六大頂”様は大変だな」
「よしてくれ。なりたくてなった訳じゃねぇんだ」
雄二のちゃかしに龍月が溜め息混じりに返す。
(ガラガラ)「皆さん、席に着いてください」
とそうこうしているうちに担任教師がやってきた。生徒達は各々に席に着きHRを待った。
第2話終了です。
え?ヒロインが出てないって?気にするな!