バカと科学と魔法学園   作:ジェネラルOD

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今回は最新のテクノロジーっぽい話です。(注)他作品要素あり!


第3問 腕輪と科学とFCS

「今日からこのクラスの担任となりました。福村 慎一郎です。よろしくお願いします」

 

教卓の前で挨拶をする福村教諭。

 

「では、何か質問のある人はいますか?」

 

福村教諭がFクラスを見渡しながら尋ねる。

 

「先生、すきま風が冷たいです」

 

「新聞紙とガムテープがあるのでそれでなんとかしてください」

 

「せんせー俺の卓袱台の脚が折れているんですけど」

 

「木工用ポンドがあるのでそれでなんとかしてください」

 

「先生、俺の座布団の綿が少な過ぎて尻が痛いです」

 

「我慢してください」

 

福村教諭が生徒の質問を即答していく。

 

「明久、すごいよ、あの先生。みんなの質問を全部即答した」

 

「スピードはともかく対応はどうかと思うんだけどね…」

 

そのやり取りに感心する明日香とやや呆れ気味の明久。するとそこへ

 

(ガラガラ!)「遅れてすみません!」

 

と一人の女子生徒が謝罪の言葉と共に入って来た。彼女の名は姫路 瑞希。明久や明日香達の幼なじみである。

 

「なんで、Fクラスにいるんですか?」

 

唐突に1人の生徒が尋ねる。解釈によってはいじめに聞こえるかもしれないがその生徒の疑問は間違っていない。なぜなら彼女は本来ならAクラスと言う学年最高レベルの学力を持つクラスの中でも上位に入るほどの実力者なのだからだ。

 

「あ、あの。私、振り分け試験のときに熱を出してしまって…」

 

瑞希は先程の生徒の質問に答える。

 

「なるほど。実は俺も熱があったんだ」

 

「魔法化学の熱の問題だろ。あれは難しかった」

 

「実は弟が急病で…」

 

「黙れ、一人っ子」

 

「昨日、彼女が眠らせてくれなくて…」

 

「「「今年一番の大うそをありがとう」」」

 

彼女(瑞希)を見るとFクラスは本当にバカばっかりだと思える。

 

「はいはい、皆さんお静かに」

 

福村教諭が出欠表でバンと教卓を叩く。すると

 

(バキ!ガラガラガラ!)「あ…」

 

思わず間の抜けた声を漏らす福村教諭。無理もない。出欠表で叩いただけで教卓が崩落したのだから…

 

「あ…すみません。予備を用意しま…「先生、俺が直しましょうか?」…え?」

 

不意に割り込んで来た声にまたも間の抜けた声を上げる福村教諭。

 

「先生、ちょっと失礼しますね」

 

声の主は健太だった。彼は懐から取り出す工具数点とどこから持ってきたのかと言いたくなるような木材を小脇に抱えて福村教諭の横に行く。

 

(ガキャ!バキ!ズギャギャギャン!)

 

どう考えても机の修理で発生しないような音を立てながらも5分もしないうちに教卓は新品同様に直された。

 

「おぉ…ありがとうございます。天月君」

 

感心しながらも健太に礼を言う福村教諭。

 

「どういたしまして~」

 

と適当な感じで戻る健太。

 

「では、教卓も直った所で次の話に移りますが…吉井君とオーフィラス君。ちょっと運ぶ物があるので手伝ってください」

 

福村教諭は明久とアルトを呼び教室を出る。

 

「はーい。アル、行こう」

 

「おう、めんどくせーけど行くか」

 

明久とアルトがめいめいに立ち上がり、福村教諭について行く。

 

「観察処分者も大変だねぇ~」

 

明日香がじじむさい口調で呟く。

 

「なら、お前もなるか?観察処分者」

 

教室の入り口でアルトが振り向き明日香に尋ねる。

 

「やめとくよ~」

 

明日香がお気楽口調で返す。

 

「なら、言うなっての」

 

とアルトはジト目で明日香を見てぶっきらぼうに呟くと教室を出て行った。

 

-観察処分者についてはいずれ説明することになるだろう-

 

 

「いや~やっぱりアルをからかうのは面白いねぇ~」

 

明日香はケラケラと笑いながら話す。

 

「コイツ、ぶっ殺して良いかしら…?」

 

「落ち着け。コイツも一応アルトの幼なじみだ。アルトが悲しむぞ」

 

そんな明日香を見て殺意が沸き立たせた美波とそれを制止しようとする龍月がひそひそと囁き合う。

 

☆★☆

 

数分後、両手にアタッシュケースを持った僕とアルは福村先生に連れられて教室に戻って来た。

 

「吉井君、オーフィラス君、ありがとうございます。ついでに中身も配ってくれますか?」

 

「「はーい」」

 

僕とアルは福村先生に言われた通りアタッシュケースを開き中身をクラスのみんなに配った。

 

「腕輪…?ですか?これ…」

 

姫路さんが配れた物を手にとってまじまじと見つめている。

 

「えーこれは開発者本人に聞くのが一番ですね」

 

福村先生はそう言うと健太君の方を向いて、

 

「天月君。よろしくお願いします」

 

と一礼して教卓から離れた。

 

「よし、任せろ」

 

と健太君はゆっくり且つ堂々と教壇の前に立った。

 

「これは俺と師匠が学園長の協力のもと試行錯誤を…」

 

「健太。前置き要らん」

 

健太君の前置きが長くなりそうになったのを察知したのか龍月君が横槍を入れた。健太君には悪いけど龍月君が正しい。彼のご高説は無駄に長いからね……。

 

「チッ、わかったよ。んじゃ、10分ぐらいで……わかった。無駄なく行くから。だから睨むなリュウ」

 

龍月君の睨みがさらに強くなったところで健太君が折れた。あの自由人の健太君を抑えるところ流石は幼なじみと言うべきか…。

 

「コイツは文月チャットシステム。通称“FCS”だ」

 

健太君はざっくりとかつ簡潔に腕輪の説明をした。理解できるからいいけど彼の話の長さは極端過ぎると思う。

 

「チャットっつうことは通信機能か何かなのか?」

 

腕輪を眺めていた巧が健太君に質問した。

 

「そうだ、その通りだ。まぁ、論より証拠。まずはソイツを腕輪に付けて付けた手を下にスライドさせてくれ」

 

健太君が身振り手振りでみんなに指示をする。

 

「こう?」

 

僕は指示された通りに手をスライドした。すると…。

 

 

『ようこそ、文月チャットシステムへ』

 

 

と表示された表示枠(サインフレーム)が出た。

 

「そうだ、それがFCSだ。コイツを付けていれば学園内で半径5メートル圏内に同じクラス同士なら誰とでもチャット通信が可能だ」

 

健太君がつらつらと説明していく。

 

「じゃあ、みんな。ちょいと文字を打ち込んでチャット会話をしてみてくれ。それとチャットに参加する時はHN(ハンドルネーム)を付けるのを忘れないようにな」

 

と健太君は説明を終えて教壇から下りた。

 

 

***

-チャットシステム内-

 

・武具師:『僕、明久だよ~。おお!ホントに会話感覚で使えるよコレ』

 

・Yug:『雄二だ。確かに便利だなこりゃ』

 

・みずき:『姫路です。コレって音声入力もできるんですね』

 

・373:『美波よ。日本語入力以外にも英語やドイツ語なんかの外国語設定もできるのね』

 

・ART:『アルトだ。確かに日本語の読み書きが苦手な俺らにとっちゃありがたい話だがな』

 

・演劇男:『秀吉じゃ。しかも、外国語はワシらに分かりやすいように日本語変換されておる。便利なもんじゃのう』

 

・発明王:『ハァーハッハーこれが俺自らが考えに考え、苦心の中で設定した素晴らしき…』

 

【“発明王”様の通信を打ち切りました】

 

・龍の月:『龍月だ。なるほど、面倒臭いヤツのチャットは途中でも打ち切ることができるんだな。便利だ』

 

・隠 密:『…………康太。確かに便利』

 

・発明王:『切られた!俺の発言途中なのに切られた!っていうかもう打ち切りシステムを使いこなすとか流石リュウだZE!』

 

・龍の月:『あーはいはい。わかった、わかったから落ち着け。そのテンションうざいから』

 

・発明王:『扱いひでぇ!!この鬼!それでも、お前は俺の幼なじみか!!お前がそこまで言うなら俺も言ってやる!何“龍の月”って?厨二病満載じゃん。お前その顔でそのセンスって相当……』

 

【“発明王”様が強制退場されました】

 

・紅 葉:『椛です。なるほど。強制退場と言うシステムもあるんですね』

 

・TAC:『巧だ。つーか椛、お前何呑気なこと言ってんだよ!!天月のヤツ、九十九に殴り飛ばされてんだぞ!』

 

・824:『初穂です。凄い。壁に人型が…』

 

・道化師:『明日香だよ~。これも幼なじみだから成し得ることなんだよ~』

 

・武具師:『なんでだろう。否定できない』

 

・ART:『明久。なんで俺を見る』

 

・道化師:『おやおや、2人共。互いに見つめ合っちゃて~そんな関係なんですか~?』

 

・武具師:『んなわけあるか!!』

・ART:『んなわけあるか!!』

 

・373:『風見。ちょっとこっち来なさい…』

 

・道化師:『え?あ、ちょっと、島田さん?何でそんな怖い顔してんの?人の関節はそっちにまがらなあぁぁい!』

 

【“道化師”様が強制退場されました】

 

・武具師:『なるほど。意識を失っても強制退場になるんだね』

 

・ART:『ミナ、グッジョブ』

 

・みずき:『あの、2人共も風見君を心配したほうが…』

 

【“発明王”様、“道化師”様が再入場されました】

 

・龍の月:『チッ』

・ART:『チッ』

 

・武具師:『2人共、流石に舌打ちはどうかと思うんだけど…』

 

・みずき:『そう思うなら、なんでさっき助けなかったんですか…?』

 

・発明王:『と、とにかく、やり方はわかったな…一旦、チャットシステムを閉じるぞ…』

 

***

 

ふらふらとおぼつかない足取りで再び教壇に立つ健太。

 

「な、何か他に質問はあるか?」

 

健太がクラスのメンバーに聞く。

 

「じゃあ、質問」

 

明日香が手を挙げる。

 

「健太が今朝言ってたシステムってコレのこと?」

 

明日香が手首にはめた腕輪を指して尋ねる。

 

「ザッツライト。その通りだ。学園長の依頼を受けて作ったんだ」

 

明日香の質問に軽く答える。

 

「もう一つ質問だ」

 

明日香に続いて雄二が手を挙げる。

 

「学園長はなんでコイツを作らせたんだ?あと、コイツの具体的な用途は何だ?」

 

と雄二が質問する。

 

「あー、後者から答えるが、コイツの使用用途は教員が生徒への連絡用と…」

 

健太は一息間を空けて。

 

「この学園の名物。魔法試験召喚戦争に使うぞ」

 

と告げるとニヤリと笑う健太。

 

「なるほどな……」

 

雄二も同じくニヤリと笑う。

 

「天月。今日の帰りでもいいからFCSについてもう少し詳しく教えてくれ」

 

と雄二が健太に依頼する。

 

「いいぞ。教えてやるよ。それと俺のことは健太でいいぞ」

 

健太はニッと笑いながら返す。

 

「わかった、なら、俺のことも雄二と呼んでくれ。健太」

 

雄二も笑いながら返す。

 

「他に質問は無いか?無いなら終わるぞ~」

 

軽い感じで話をまとめると健太は教壇を降りた。

 

「天月君、ありがとうございます。では、続いて自己紹介を始めましょう」

 

と福村教諭が話を切り出す。




第3話終了です。ここで出た他作品。わかる人にはきっとわかります。

3話でようやくFクラス主要メンバーが揃いました~
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