え?全然上手くない?何のことですかね?
「……です。よろしくお願いします」
自己紹介は続く。明久の顔馴染み達にも順当に順番が回って来た。
「…………土屋 康太。よろしく」
無愛想極まりない挨拶で済ませたのはムッツリーニこと土屋 康太である。
「木下 秀吉じゃ。1年間よろしくなのじゃ」
100人中100人が美少女と断言される性別秀吉こと木下 秀吉。
彼はその見た目から女と見られがちだが正しい性別は男なので予防線を敷いておく。
「一応言っておくがワシは男じゃぞ。おなごと間違えぬよう気をつけて欲しいのじゃ」
「「「ウソだ!!」」」
某アニメのネタ絶叫のクラスのメンツにがっくりと肩を落とす。
「はぁ…、まぁ、良い。それとワシの妹の初穂に妙なマネをするのは許さんからの…」
一瞬凄まじい殺気を放った秀吉が自分の席に戻る。
「き、木下 初穂です。よ、よろしくお願いします…」
と初穂が簡単な挨拶をボソボソと言う。それだけで周りの男連中は大歓声を上げる。
顔を真っ赤にしながら、自分の席に戻るのと入れ替わるように龍月が前に出る。
「九十九 龍月だ。そっちの木下 秀吉同様に男だ。間違えないように」
龍月が鋭い目つきでクラスのメンバーを見渡す。
「おい、マジかよ。あれで女じゃ無いのか?」
「俺、あいつとの恋愛小説『雪色の恋』がノベル化が見えていたのに…」
「俺なんかあいつとのハリウッド映画『シンデレラロード』が上映されたと言うシチュエーションまで頭にできていたのに…」
「「「お前、すげぇな!!」」」
「クスクス。リュウ、全然、男認識されてね……ゴルゥゥゥファ!」
完全に女認識されている龍月を笑った健太の眉間に無言でかつ全力でシャープペンシル(ペン先)を叩き込む龍月。
「ちなみに俺はさっきの秀吉ほど優しくないので、そこのバカみたいなことになりたくなかったら俺の認識を改めておけ」
沈黙の走るクラスをまたも鋭い目つきで一睨みすると龍月は自分の席に戻っていった。
「ぐ…。つ、次は俺だな…」
ふらついた足取りで教壇に立つのはわりと少なくない血を出している健太だ。
「天月 健太だ。趣味は発明と研究だ。まぁ、1年間よろしく」
健太は至極あっさりとした挨拶だけで教壇を後にする。
***
・龍の月:「なぁ、健太の挨拶、変じゃなかったか?」
・道化師:『確かにやたらと短いね』
・ART:『ぜってーなんか裏があるぜ』
・373:『3人共考え過ぎじゃない?』
・発明王:『やーい、やーい。リュウ達ざまーみろ!俺が挨拶が短くたってなんらおかしいところはないZE!』
・373:『前言撤回。絶対なんか裏があるわ』
・ART:『ミナの言う通りだ』
・龍の月:『島田は間違っていないな』
・道化師:『島田さん。グッジョブ』
・発明王:『なぜだぁぁあ!?なぜ敵が増えたぁぁあ!?』
・みずき:『それは自業自得なんじゃ…』
・武具師:『同感だね…』
***
チャット内通信がほど良く終わったところで健太君が肩を落としながら自分の席に戻った。
「うっし、次は俺だな」
アルが教壇に立つ。
「アルト・オーフィラスだ」
アルは簡単な自己紹介から始めた。
『おい、あれが噂の「
『ああ、多分そうだろう。かなり腕が立つって噂だ』
アルの中学時代の噂を聞いていた一部の生徒達がヒソヒソと話し合っている。
確かにアルは身体能力で言っちゃえば今、日本にいる僕ら幼なじみの中で一番強い。僕や明日香なんか比では無いと思う。その能力は喧嘩以外に使って欲しかったと何度思ったことか。
「ちなみにそこの吉井 明久、姫路 瑞希、風見 明日香は俺の幼なじみでそっちの島田 美波は……俺の恋人だ……」
アルは頬赤らめて言った。
(大胆だなぁ……)
アルは良くも悪くも大胆だ。その大胆さに何度助けられたことか。
島田さんも自分の席で顔を赤らめている。そりゃ、そうだろうな。あんな堂々と言われたら誰だって恥ずかしいだろう。
『『『………嫉ましい………』』』
途端、周りから凄まじい嫉妬の念と殺気が溢れ出る。
そりゃあ、あんな堂々と惚気をこぼされたら誰だって嫉妬したくなる。特にFクラスで作られたモテない男が作る異端審問会。通称、FFF団はその類の惚気を許さない。だけど……
「だから、今、言った4人にちょっかいかけたら殴る。手ぇ出したらシバく。泣かせたら殺す。傷付けたらこの世に産まれてきたことを後悔させて殺すからな…」
空気が一瞬で凍り付く。
コイツの殺気は
☆★☆
アルトが席に戻ると入れ替わるように美波が教壇に上がる
「えー、さっき、紹介されました。島田 美波です。ドイツ帰りで日本語の読み書きはまだニガテです」
彼女はあくまでも普通に自らの自己紹介を……
「最近の趣味はアルトとの殴り合い。目標はアルトを殴り倒すことです!アル!覚悟してなさい!!」
……するつもりは無いようである……彼女はあまり多いとはいえない胸を張り自分の彼氏を指差して宣戦布告をする。
「上等だ!かかって来い!いつでも相手してやらぁ!」
そんな彼女の宣戦布告に乗って来る彼氏も彼氏ではあるが…
***
・武具師:「あの、島田さん?流石に今の自己紹介は無いんじゃないかな?」
・373:『……?。アル、なんか、今の自己紹介おかしかった?』
・ART:『……?。いや。どこも可笑しくない見事な宣戦布告だったぞ?』
・武具師:『……なんで僕の友達ってバカが多いんだろ?』
・ART:『お前が言うな!!』
・373:『アンタが言うな!!』
・武具師:『ヒドくない!?』
・道化師:『え?どこが?』
・龍の月:『間違いでは無いな』
・発明王:『事実だからしょうがないな』
・武具師:『うわーん!僕に味方はいないのぉぉ!?』
・みずき:『あ、あの、吉井君。なんというか、その…頑張ってください…』
***
姫路さんの優しさに涙する僕を尻目に島田さんが席に戻り、椛、巧、姫路さんと自己紹介が続きとうとう僕の出番が来た。
「ヨッシャ、行くぞ!」
僕は意気揚々と教壇に上がる。
見よ!!これが3日間寝ずに考えた僕の自己紹介だ!
「吉井 明久です。ダーリンって呼んでください」
「「「ダァーリィーン!!」」」
クラス中で野太い声がこだまする。
自分の発言に心底後悔する自分がいた。
「すみません。思った以上に気持ち悪かったのでやっぱり止めてください…」
言った自分が言うのもなんだがあんな自己紹介はする方が間違いだった。
吐き気を催しながら席に戻ると明日香が
「流石は明久。もうクラス中の心を鷲掴みにしちゃったねぇ」
とケラケラと笑いながら話し掛けて来た。
「明日香、絶対に面白がっているでしょ…」
良い顔で笑っている明日香を殴ってやろうかと考えるも今はそんな元気すらない。
「さて、次は僕の出番だね」
明日香がピョンと身軽に教壇に上がる。
「風見 明日香です。特技は特に有りません。ありふれたごくふつうの生徒でーす」
***
・約全員:『『『ウソだ!!!!』』』
・道化師:『え?何その反応。失礼じゃない?』
・武具師:『明日香…去年の成績見て言いなよ』
***
明日香が通信を見て首を傾げながら戻ると
「ラストは俺だな」
最後に雄二がゆっくりと教壇に上がる。
「坂本 雄二だ。正直、このメンツを見ていると力不足を感じるが一応Fクラスの代表を務めさせてもらうことになった。1年間よろしく頼む」
簡単な挨拶を済ませて教壇をあとにする。
「ありがとうございます。では、これにて自己紹介を終わります。次の授業の準備をしておいてください」
福村教諭が締まりなくHRを締めて教室をあとにした。
はい。自己紹回終わりです。え?くどいって?知らない子ですね?