「雄二!明日香!アル!ちょっといい?」
日にちも変わった次の日の放課中、僕は悪友と幼なじみの2人に声を掛ける。
「んあ?なんだ?明久」
「どうかしたの~」
互いに談笑をしていたアルと明日香が廊下に出てくる。
これから話すことはアルや明日香にとって面倒になることは間違いない。だから慎重に……。
「あ、あの、じつはさ…」
僕が話し始めようとすると……。
「遅れてスマン。用があるならさっさとしてくれ。魔召戦争の計画作りの最中なんだ」
遅れて雄二がノートを見ながら廊下に出てきた。
「そう!それ!それをやろう!」
雄二の発言に思わず反応して叫んでいた。
「「「は?」」」
3人はいきなりの僕の発言に目を丸くする。
「…明久、それってのは魔召戦争のこと?」
少し考えた素振りを見せた後に明日香が尋ねてきた。
「うん!ほら、ひめ……僕って身体弱いじゃん」
「なるほど。姫路のためか」
「明久、ウソは良くないよ」
「バカは風邪ひかねぇからな」
何故だ、僕の理論装甲が僅か1秒ほどで崩壊した。
「まぁ、ホントはそうなんだけど……それとアル、君にはバカって言われたくない」
だが僕は目的について素直に認めよう。だが、僕は断じてバカではない。
「まぁ、確かに姫路さんだけじゃなく東谷さんや初穂ちゃんも体弱いしねぇ」
明日香が詰め寄ろうとするアルを抑えながら話す。
「OK。その話に乗った」
明日香がパチンと指を鳴らして僕の案に乗ってくれた。
「アルと雄二は?」
明日香が2人の方を向いて話す。
「フン。俺は端っからそのつもりだ。瑞希のこともあるがミナとバカやるにもあの教室じゃ狭すぎる」
「俺も目的こそ違うが魔召戦争をやることには変わりねぇしな」
と2人も僕の案に乗ってくれた。これはありがたい……!
「へぇ~アルはともかく雄二まで賛同するなんてねぇ。キミも姫路さんのため?」
明日香が間延びした口調で尋ねる。
「いんや。俺の場合は学年最下層である俺達Fクラスが学年最上層のAクラスをぶっ倒して世の中お勉強が全てじゃねぇってことを証明してやるんだ」
ニヤリと獰猛な笑みを浮かべながら話す雄二。
あの目は真剣な時の雄二に目だ。雄二のヤツ本気でそんなこと考えているのか……?
「ふーん、なかなか面白いこと考えるじゃん」
明日香は雄二の考えに聞いて笑みを浮かべる。
「みんな……ありがとう!」
僕は心の底から3人に礼を言う。
「気にしないで。僕ら幼なじみでしょ?」
「右に同じくだ」
「さっきから言っての通り、俺は自分の目標のためだ気にすんな」
3人共めいめいに返事をする。
「よし、なら今日の昼休みに俺が考えた主要なメンバー集めて臨時会議でもするか」
雄二がその場をまとめ授業に向かう。
「僕らも行こうか」
「そうだね、そうしよう」
「面倒くせぇけどな」
僕と明日香、アルも続けて教室に入ると同時に授業開始のチャイムが鳴った。
☆★☆
午前の授業が終わり、昼休みに入るまでに雄二はFクラスの主力と成り得るメンバーを集めた。
「で?話ってなんだよ」
メンバーの1人に選出された龍月が雄二に尋ねる。
「あー、ここで話すのもなんだ。昼飯持って屋上へ行こうか。そこで話す」
と雄二は返した。
☆★☆
屋上へ向かう階段を登る僕達Fクラス主力(暫定)メンバーだったが……。
「……?どしたの?明日香。さっきからソワソワして」
明日香が変だ。さっきから妙に落ち着きがない。
「あ、いや、なんて言うかちょっと悪寒を感じちゃって……」
そう言う明日香は未だにソワソワとし続ける。
……一体どうしたんだろ?
そうこうするうちに僕達は屋上に着いた。雄二が屋上への扉を開けると……
「待っていたわ兄さん」
「ヤッホー、みんな♪」
2名ほど先客がいた。
1人は流れるような黒髪にくびれたライン。胸元は服の上からでも分かるような出っ張りが特徴的な女子生徒。
もう1人も似たようなプロポーションに短めの金髪に碧眼、白人であろうと思われる白い肌を持つ女子生徒だった
「あ、
と黒髪の女子生徒を見て顔が青ざめる明日香。
なるほど、原因はこれか。
「兄さん。先生から兄さんがFクラスに行ったって聞いたわ」
アリサと呼ばれた少女はその大きな瞳をジト目全開にして明日香に歩み寄りながら話す。
「そ、そう。アパートでそうなるって話さなかったっけ?」
「1ミリも」
「アリサが忘れているってことは?」
「絶対にあり得ません」
「ゴメン。実は話していませんでした」
「ええ、そんなこと分かりきっています。私が言いたいことは……」
明日香の目の前で歩みを止めたアリサは一息入れると
「遺言は?」
「死にたくないでござる」
「じゃあ、死んで」
と言うとアリサは明日香の目を的確に潰す目潰しを繰り出す。
それをイナバ○アーの要領で回避した明日香だがアリサの逆手がガラ空きになった明日香の鳩尾に叩き込まれる。
痛みに体をくの字に曲げる明日香。そこへ止めと言わんばかりに必殺のかかと落としを明日香の後頭部に叩き込む。
“ドゴン!!”
と凄まじい音を立ててコンクリートの地面にヒビを入れながら叩き付けられる明日香。これは痛い。
「反省してね。兄さん」
アリサはそんな明日香を一瞥すると校舎に戻って行った。
「イテテ…流石はアリサ。メチャクチャ痛いや」
とアリサが去ると明日香は地面から顔面を引き抜いて呟く。あれで傷一つ付かない明日香は相変わらずだと思う。
「明日香、今回はアンタが悪いわね」
と屋上のもう1人の先客が明日香に話し掛ける。
「アンタがFクラスだって聞いた時アリサ、相当悲しんだらしいわよ」
ブロンドの女子生徒が明日香に続けて言う。
「まぁ、確かに悪いとは思っているけどさ…」
明日香がどこかばつの悪そうに呟く。
一応、罪の意識はあるらしい。あれなら反省の様子ならアリサもすぐに許してくれるだろう。
「ところでお前は何の用で来たんだ?リタ」
明日香に代わってアルが質問する。
「あーそうそう。アタシはちょっと陸から健太に伝言を頼まれててね…」
リタと呼ばれた少女は屋上に来た僕らFクラスメンバーを見まわした。
そして健太君を見つけると
「あー健太。陸がコレについて話があるから後で風紀委員室に来いだって」
リタがポケットから取り出した紙を僕らに見せる。そこには……
『万屋天月~文房具からパソコンまで機械系統なら何でも修理等をお任せ!料金は修理品に依ります~』
なるほど、健太君の自己紹介が短かった理由はこれか。
***
・龍の月:『この件について採決を取る……コイツが悪いと思うヤツは賛成ボタンを押してくれ』
・採決
賛成:12 反対:1
結論…コイツが悪い。
・龍の月:『決定だな。あきらめてシバかれて来い』
・発明王:『誰かぁぁあ!誰か俺の味方はいないのかぁぁ!』
・槍 姫:『た、楽しんでるわね…』
***
「んじゃ、伝言は伝えたからね」
体育座りでしょげている健太君を尻目にリタが軽いターンを掛けて校舎に戻ろうとするが……
「あっ、そうだ」
と何かを思い出したかのように僕らの方に振り返る。
「最後に1つだけ……」
リタが一息入れる。
「ゴホン……。リュウ!アンタの会社上手く行ってんだから振り分け試験の日の定例会議ぐらい欠席しなさいよー!!」
と龍月君を指差しながら一気に叫ぶと顔を赤くして校舎に駆け込んでいった。
「はぁ?定例会議は社長がいないと成り立たねぇんだが」
当の本人は全く理解できていないようだ……。まったく………。
***
・武具師: 『龍月君。罪なお人だね…』
・龍の月: 『待て、明久。お前にだけは言われたくない』
・武具師: 『へ?なんで?』
・TAC: 『早く気付けよ。この無自覚バカ共』
・みずき: 『……~////』
・824: 『……~////』
・演劇男: 『どっちもどっちじゃな』
***
「さてと、先客のせいで延びちまった昼飯タイムにしようぜ」
と雄二が全員に声を掛けると屋上の床にどっかりと座り持って来た弁当を広げる。僕や他のメンバーも雄二に続いて地面に座り弁当を広げる。
「はい。アル、今日のお弁当ね♪」
「おお!!サンキュー、ミナ♪」
島田さんがアルに手製であろう弁当を手渡している。
「ゴメンね、島田さん。わざわざアルのお弁当作ってもらっちゃって。あ、はい、健太。今日のお弁当」
明日香が島田さんに礼を言いながら健太君に弁当を渡す。
「サンキュー。島田はアルにゃあ出来過ぎた嫁さんだよなぁ」
健太君は明日香からの弁当を受け取り、ケラケラと笑いながら島田さんを茶化している。
「風見は気にしなくてもいいのよ。1人分多く弁当作ることぐらいなんてこと無いわよ」
と島田さんははにかみながら明日香に返す。なんと言うか……女性の鑑だなぁ……。
「お、アルの嫁さんのことを否定しないと言うことは……ゴブルシャアァァ!!」
茶々を入れようとした健太君がアルにぶん殴られて吹っ飛ぶ。そしてそのまま屋上の手すりに衝突した。あー、すっごく痛そう……。
「健太。人の恋路に茶々入れんじゃねぇ。ミナとは…まぁ、将来的には……あるかも知れねぇけど……」
あ、アルが惚気た。
***
・Yug:『うわ!あっちい!何だ!?サインフレームからいきなり熱波が!?』
・道化師:『え?何?運用開始していきなりの故障?』
・発明王:『……そ、それはFCSにセットされている、“カップル・ラブラブ・アツアツ・マシーン”通称“CLAM”だ…カップルと判定された2人のラブラブ度を熱波で再現するんだ……』
・TAC:『紛らわしいもん付けてんじゃねぇよ!?』
・武具師: 『ねぇ、健太君って昔からこんな感じなの?』
・龍の月: 『……ああ。1ミリも変わってねぇんだ。コレが』
・道化師: 『龍月も大変だねぇ』
・武具師: 『それは明日香が言えることじゃないんじゃ無いかな!?』
・道化師: 『え?なんで?』
・演劇男: 『やれやれじゃな』
・紅 葉: 『全くですね』
・隠 密: 『…………同感』
***
「さて、要らぬ客人もいなくなったしな、坂本。そろそろ俺達をここに集めた訳を話してくれ」
昼飯をつつきながら龍月が雄二に尋ねる。
「そうだな。ぼちぼち話しても良いだろうしな」
昼飯を開けた雄二が龍月の質問に応じる。
「お前らには俺達の計画に参加して貰いたい」
彼は一息入れると言いたいことを全て言い切った。
☆★☆
(あー、もう!リュウのバカバカバカ!)
私は頬を赤く染めながら階段を下っていた。私が恋する幼なじみは私の気持ちなぞ1ミリも汲み取っちゃいない。どうせ、"定例会議は社長がいなくちゃ成り立たねぇんだが"って思っているに違いない。アイツに恋してもうすぐ10年になるのだが一向に私の恋心に気付いた様子はない。………アイツって明久と同じぐらい鈍感なんじゃないかしら………?
私は屋上からの階段を下りきろうとしたとき不意に背後に気配を感じた。この感じは……。
「……陸。アンタそこにいるの?」
私は振り返って声を掛ける。
「……正解だ。よくわかったな」
階段と廊下の接した角から1人の男子が出てきた。しなやか体躯に少し赤みがかった茶髪、そして二重まぶたが特徴的な生徒だ。
「アンタの気配独特だからね」
「そりゃどーも。つーかお前のその特殊技能はなんだ?殺し屋にでもなるつもりか?」
「……でアンタは何しに来たワケ?第2学年六大頂第二位。風紀委員会委員長。Aクラス軍師の天海 陸君?」
私は長年の付き合いの幼なじみに単刀直入に尋ねる。
「幼なじみなんだから自己紹介みたいに長ったらしい呼び方は止めろ。俺は只単にあのメンバーの様子を見に行きたかっただけだ」
陸は辟易としたように話す。
「だったらアンタが直接行けば良かったじゃない」
「俺が直接出向いたら健太のバカは絶対に逃げるだろ。」
陸は私の質問に答えた確かにアイツなら全力で陸からの逃亡を試みそうだ。
「それに……」
「……?それに……何よ?」
私は陸が一息入れた理由が気になり尋ねた……。
「リタがリュウと離ればなれになって寂しがっていたから久々に会わせ……(カッ!)おっと、なんでも無い。」
……けどろくなものじゃなかった。私は陸の顔面目掛けてシャーペンを全力投球したが、陸は素早く回避してシャーペンは近くの壁に突き刺さった。……チッ、外したか……。
「次は目を狙うわ」
「お前、それ、幼なじみにすることか?」
「アタシ達らしいじゃない」
「まぁ、確かに……」
幼なじみ同士の他愛ない会話に私達は互いの苦笑した。
「それで?あの連中は本当にアタシ達の脅威に成り得るメンバーなの?」
私は前から思っていた疑問を陸に投げかけた。
「ああ、お前も見たろ?あのメンバー」
途端、陸の表情に真面目さが現れ、私の質問に答えた。
「そうだけど……それだけじゃAクラスは倒せないわよ?」
確かにFクラスには規格外に桁外れた生徒が何人かいる。私達の幼なじみである健太やリュウもその中の1人だ。だけどそれだけではAクラスの高得点者の数には圧倒的に足りない。個人がいかに強かろうが数の暴力にさらされればそれでおしまいだ。
「確かにそうだ。だが、Fクラスの代表はそれを可能にする」
陸は未だに真面目そうな表情で答える。Fクラスの代表って言ったら……。
「坂本のこと?アイツそこまでの実力があるの?」
学年最底辺のFクラスの代表だ。正直、実力があるとは思えないが……。
「ああ、俺が本気でFクラスから引き抜こうと思ったぐらいだからな」
陸にはかなり高評価だ。コイツが褒めるということは相当の実力者であることは間違いないはずだがどうにも信じることが出来ない。
「さいですか。まぁ、注意程度に気を付けておくわ」
とりあえず形だけの納得して、クラスへ帰ることにしよう。
「フッ、そうしておけ。油断しているとあっという間に寝首をかかれるからな」
陸は軽く笑って私と逆方向へと歩いて行った。その時の笑い声は背筋に氷が差し込まれた気分だった。気になって陸の法を見ると
「さぁて、どう挑んでくる?Fクラス。どんな方法で来ようとも俺は楽しみに待っているぞ…」
陸は意味深に笑いながら歩いて行く姿が妙に印象深く見えた。
すみません。実は6話を先走って投稿してました。訂正しときます