それがシャドウ相手でも同じです。
「それで君たちは一体何者何だい?」
ヘスティアは目の前にいるエルフ二人に問いかける。
この前花のモンスター郡に追われたところを彼女達が助けてくれた。どうやらベルとシドの知り合いのようだが二人とどういう関係があるのか聞きそびれた。
事件が落ち着いていた頃、ヘスティアたちの本拠地に金髪と銀髪のエルフの少女が来訪してきたので、彼女達を教会の中へ招き入れた。
来客をもてなすよう、テーブルとソファを綺麗に配置し、ベルとヘスティア、アルファとベータが対面する形に座り込む。
「改めて自己紹介するわ。私の名前はアルファ。」
「私はベータと言います。」
「私たちはシャドウガーデンに所属していているわ。」
「シャドウガーデン?」
「昔、僕とシドとアルファが世界に暗躍する悪の組織の野望を打ち砕くため、創設した組織です。秘密結社的な奴です。ちなみにシドが組織のNo1シャドウを名乗り、僕は組織のNo2アルバスを名乗っています。」
「君らはここまで筋金入りだったのか」
アルファとベータの自己紹介にベルは簡潔に補足説明をする。
ベルとシドは重度の中二病であることは十分理解したはずだが、まさか二人は女の子とぼくがかんがえたかっこいいそしきを本気で創っていたなんて思わなかった。
前回のシャドウガーデンの構成員たちとモンスターとの戦いを見たけど十分強かったよ。
しかも二人ともそんな組織のリーダー格だったとは
わざわざ正体隠して、陰の実力者になりたくて零細派閥に入りましたなんてもう意味が分からないよ。
「神ヘスティア。貴方のことはヘラから伺っているわ」
「ちょっと待てい。なんでそこでヘラが出てくるんだ!?」
ヘラは数多くの神々から恐れられており、ゼウスですらも頭が上がらない。
ヘスティアとヘラは天界から友人だ。
あに気難しいとヘラと隔てなく接する数少ない女神だ。
ベルがヘスティアの眷属になったことを知ったときは安心したようでいた。
「ヘラ様は私たちに恩恵をくれた神様です。シャドウガーデンは言い換えれば新生ヘラ・ファミリアと言えるでしょう。ヘラ様が主神になってくれるよう交渉してくれたのはアルフィア様とアルバス様のおかげです。」
ヘラ・ファミリアはかつて世界最強の派閥として君臨した存在で、あの恐れ多いヘラに眷属にしてくれと頼むのは容易ではない。
だが、シャドウガーデンの盟主たるシャドウには大きな恩義がある。
盗賊に拐われたメーテリアの忘れ形見ベルを救出したこと、アルフィアの不治の病を完治させたことだ。
特に後者は一生かけても返せないほどの恩義でもあり、
ヘラはシャドウガーデンに全面協力することとなった。
アルフィアとベルの要望でシャドウガーデンの構成員に恩恵を与え、主神を努めることとなった。
ちなみにシドはシャドウガーデンの動向については全くと言っていいほどに関心が無かったので、知ろうとはしなかった。
「それで私たちはこの世界に巣食う癌ディアボロス教団、それに連なる者たちを駆逐することが目的よ。」
「そのディアボロス教団って一体何なんだい?」
ヘスティアはその中二病センス全開な組織に質問を投げかける。
「話をすると長くなるなるけどいいかしら。」
アルファは魔神ディアボロス、三人の英雄の子孫、悪魔憑きの真実について解説し、本題のディアボロス教団の概要を話す。
「....つまり魔神ディアボロスの力を私利私欲で悪用する組織で、私たちの敵でもあるのよ。」
「君たちはつらい想いをしていたんだね.......」
年端もいかない少女がを人間扱いされず、悪意に晒されてきた事実は孤児の守護者の神格を持つヘスティアにとっては無視できない話だった。
「(それにディアボロス教団。にわかに信じ難い話だけど嘘は言っていないんだよね。)」
下界に降臨した超越存在は嘘を見破る能力を持つ。
下界の子供が詐術に長けたとしも、神様にはそれが通用しないのだ。
先ほどのディアボロス教団に関してはベル君達は嘘は付いていないことが分かったので、ディアボロス教団自体存在していると確信を持っていることになる。
「神様。今まで黙っていてごめんなさい。こんな話聞かされても誰も信じないだろうし、馬鹿にされると思っていました。」
「気にしないでくれ。君の言っていることは最もだ。」
超越存在が嘘では無いと判断されても信じるかどうかは別の話だ。
妄想癖の激しい狂人が、そう信じていただけの虚構だと一笑されるのがオチだ。
確かにベル達の話は妄言の欠片を感じさせない本気の言葉のように感じた。
「僕は君たちを信じるよ。」
ベル達が妄想で話していないことは曇りなき目を見れば分かる。
「神様…。」
「流石お二人がお選びになった女神様。」
ベルとベータがヘスティアの徳の高さに感服している。
「そこでお願いがあります。今後シャドウガーデンの活動でアルファ達がこの教会に立ち入る許可を取りたいのですが、神様。問題無いでしょうか?」
ベルは教会の主でもあるヘスティアに提案、許可を求める。
自分達(シドを除く)がオラリオに来た目的はオラリオに潜むディアボロス教団と配下の闇派閥の駆除であり、何も知らないヘスティアを利用していたことに後ろめたく思うが、アルファ達にとってはディアボロス教団の壊滅は譲れないものであり、妥協はしたくない。
自分勝手な提案だと思うが。
「それくらい構わないよ。アルファ君とベータ君。気軽に遊びにおいでね。」
「っ!!ありがとうございます。ヘスティア様!!」
「ありがとう。もし何かあったらシャドウガーデンが支援します。それじゃ私たちはこれで。」
「僕は彼女たちを見送りに行きます。」
アルファとベータは善神ヘスティアに感謝の念を込めて礼をし、ベルは彼女たちの横を歩き、教会を出る。
「めっちゃいい子で美人だよね~。ホントにベル君とシド君は隅に置けないな~。」
ヘスティアが自分の子がガールフレンドがいることを微笑ましく思う親の気分でいたとき、ちょうど入れ替わりで誰か教会に入ってくる。
「ただいま~。」
「おかえりシド君。どこへ行っていたんだい?」
ヘスティアはモンスター脱走事件後、陰の実力者っぽいイベントを探してくると言い出したきり帰ってこなかったので、心配していた。
「冒険者崩れの盗賊団っぽい人と交戦したのかな」
シドはこの前の出来事を遠い昔のように思い出した。
「それとさっき君の仲間のアルファ君とベータ君から聞いたんだけど、君は本当にディアボロス教団を倒すつもりなのかい?」
ヘスティアはベル君たちからオラリオに来た真の目的を聞いた。
シドはこの場にいなかったので、彼にはどんな考えがあるのか聞いてみたかった。
「(ヘスティア様も僕たちののごっこ遊びに付き合ってくれているのかな?いや...待って確か神様は嘘を見破れるんだっけ?)」
シドは自分がお遊びに考えた設定にアルファ達が呆れながらも付き合ってくれて、当然ディアボロス教団が架空の存在であると分かった上で演技を続けていると思い込んでいる。
神はアルファ達がどれだけ演技達者でも嘘を見抜くことができる。
昔、ゼウス達にバレて怒られたことがあったけど、それでもゼウス達がこんな茶番劇にわざわざ付き合ってくれているのはもともと悪魔憑きだった彼女たちを受け入れるための組織を立ち上げるのに大義名分が必要であえて黙認してくれているのだと思っていた。
ヘスティア様は僕がアルファ達に嘘を付いて、好き勝手やったことに内心怒り心頭かもしれない。
しょうがない。ヘスティア様に知られた以上、正直に答えよう。謝ろう。
「ごめんなさい。
「.........え?」
神は下界の嘘を見破れる。先ほどアルファ達の言ったことは嘘では無かった。
シドのこの一言も嘘では無い。
同時に何かが矛盾したようだった。
下界に降りてから味わったことのない経験。その一言だけでヘスティアは一瞬時間が止まったような感覚が起きた。
まさか全てはシドの100%の嘘が100%の真実であったことから始まったとは誰も思わないだろう。
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黄昏の館
ロキ・ファミリアの本拠地で執務室に物々しい雰囲気で主神と幹部達が集まっている。
主神のロキに《
報告が終わって、執務室に残ったのはロキと三首領の四名だけだ。
「まず、最初にアイズを襲撃した男についてだ。」
団長のフィンが議題を出す。
フィン達はアイズ達が花のモンスターを相手に戦っている中でアイズはゴライアスの亜種らしい巨人を討伐中に謎の乱入者相手に妨害され、手も足も出ない事実を知った時は驚いていた。
アイズ・ヴァレンシュタイン
幼い頃からロキ・ファミリアで冒険者として生計を立てて、七年前の大抗争を経験した十代後半でありながらオラリオ屈指の第一級冒険者でもある。
年若い分、実力に未熟な部分もあるが、その彼女を打ち負かせる相手はオラリオ中では少ない。
「考えられるのはフレイヤ・ファミリアの仕業か。アイズに手を出した以上覚悟は決まっているんだろうな。」
ロキ・ファミリアはフレイヤ・ファミリアと犬猿の仲で有名だ。
主神同士が元々仲が悪いこともあるが、それが尾を引いて、眷属同士までもが敵対意識を持っているのが実情だ。
リヴェリアは我が子同然に育てた娘を突然襲った不届き者に対しては強い憤りを感じて、今でも魔法を放ちそうになるくらい周囲を魔力の圧力で潰すくらいだ。
「落ち着け。リヴェリア。結論を出すにはまだ早い。それにフレイヤ達がそんな事をする動機が無い。」
「そうやな〜。事件前にフレイヤと話はしたんやけど、うち等に喧嘩売る素振りは見せなかったんや。多分フレイヤは関係無いな。うちの勘やけど。」
「オッタル達の独断で襲撃も考えられないのう。アイズを襲撃した男の特徴には奴らは当てはまっておらんじゃろう?」
フィンは咄嗟に反論を言い、続けてガレス、ロキも推察を挟み、三名は感情が抑えきれずにいるハイエルフを落ち着かせる。、
「種族はおそらくヒューマン。亜人では無いと思う。」
アイズの目撃では白い外套とフードを被ってて、顔は見えなかったが、体格からして、ドワーフと小人族では無い。エルフの長い耳も獣人の耳もフード越しで膨らんでいる様子が無かったのだから違う。
消去法でヒューマン。
フレイヤ・ファミリアにはヒューマンの第一級冒険者がいないので候補から外れる。
「その男の名前はアルバス。シャドウガーデンと名乗る組織に所属しているらしい。あの場に他に仲間もいたそうだ。」
「シャドウガーデンなんて組織今まで聞いたことないぞ。」
「おそらく最近創られた新興勢力じゃろう。しかも第一級冒険者クラスの実力者がいるおまけつきでな」
「それにしても中二病患った神が考えそうな痛々しいネーミングセンスやな。組織名を考えた奴は愉快な奴に違いないで。」
シャドウガーデン。
聞いたことが無い組織で分かっていることは白い服装を身に着けていることと、第一級冒険者並みの実力を持っていることだけだ。
恩恵を授けている神が不明。どれだけの規模の組織なのかも不明。闇派閥と関連ある組織なのかも不明。目的と思想と行動方針も不明。
ひたすら悪の組織である闇派閥とは違って、実態も掴めない謎の組織という印象が強い。
今回、アイズの行動を妨げただけで、必要以上な攻撃は仕掛けてこなかった。
ロキ・ファミリアを直接害する意志は無かったと見える。
今後この組織はロキ・ファミリアを、オラリオに対して明確な敵になるのか、フィン達は懸念している。
「例な爆発はそのシャドウガーデンのアルバスとかいう奴がやったのか。」
ガレスは次の話に切り込む。
もう一つの議題でもあるダイダロス通りの爆発騒ぎについてだ。
モンスター騒ぎが沈静化した後、深夜のオラリオは青紫色の光と轟音でに包まれた。
夜眠りに着いた住人達は多くが目覚めて、大きな騒ぎとなった。
オラリオで一番の異変はダイダロス通りの区画一帯が消滅していて、大きな穴が空いてたことだ。
昨日のモンスター騒ぎから続き、市民と冒険者の間では混乱が広がっている。一刻も早く混乱を収めなくてはならないため、ギルドは至急原因究明の調査に乗り出した。
いくら調査しても原因が未だ判明せず、調査担当のギルド職員とガネーシャ・ファミリアは続く重なるイレギュラー対応で徹夜で疲労が蓄積しており、特にギルド長のロイマンはそれらの公式発表に加えて、ダイダロス通りの復興費の工面と各方面からのオラリオの信頼回復の具体案などの問題が山澄みで、今朝大量の胃薬を服用するところを職員が目撃したほどだ。
今回の爆発は神や冒険者にも目が離さないニュースとなっている。
あの爆発は誰が何の目的でどうやって行ったのかも不明だ。
「いくら正体不明の人間だからといって、流石に結び付けんのは気が早いやないか。」
「ああ。有力なのは闇派閥の残党の仕業とみるべきだろう」
ロキとリヴェリアは次々と意見を出していく
「(それにしてもあの爆発は色々不可解な点が多すぎる。)」
フィンは親指を唇に当て、思考に耽る。
あの爆発はなぜ人気のいないダイダロス通りで起きたのか。
もし闇派閥が仕掛けたとするならダンジョンの蓋の役割を持つバベル、ガネーシャ、ロキ、フレイヤの本拠地等オラリオにとって壊滅的なダメージを与えられる施設を狙った方が、効果的だ。
あれは闇派閥にとって何のメリットをもたらしたのかは想像できない。
「仮にあの爆発が闇派閥の仕業だとすると不味いかもしれないな。
「嘘やろ。あんなもんが何発も来るんか?」
「今回のモンスター襲撃もそうだが、一連の事件が闇派閥にとってオラリオ崩壊の予行演習だとしたら辻褄が合う。あんな爆発を何度も起こされたら流石に僕たちでもどうしようもできない。」
「正直侮ってたわ。まさか闇派閥がここまでの力を持っていたとは」
「そうだな。早急に対策を進める必要があるな」
最悪の展開に備えて、フィン達はロキ・ファミリアの今後の行動の方針を議論していく。
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「エイナ~。今日も書類整理終わらないよ~。手伝って~。」
「ごめん。ミィシャ。私も今抱えている案件で精一杯なの。他を当たって。」
「そんな~。今誰もかも忙しすぎて、声を掛けづらいよ~。エイナぐらいしかいないよ。」
いつも仕事を手伝ってくれるようねだる同僚の頼みを断り、事務作業が終わった後、次の仕事へ移行する。
ギルドの人気受付嬢エイナ・チュールはここ数日間、多大な業務に追われている。
怪物祭で起きた大量のモンスター脱走にダイダロス通りの大爆発の後処理だ。
とてもじゃないが一日では終わらない処理量で今日も残業は避けられない。
緊迫した時間に追われるよう早足で廊下を歩いている。
「あの爆発結局何だったんだろう?」
エイナがここ最近起きた事件を考えながら歩いたとき、階段近くで物凄い音が響いた。
「ふぎゃぁ!」
エイナは急いで駆けつけると、階段の降りた先で女性が倒れているのを見かけた。
「あの!大丈夫ですか!」
エイナは倒れた女性の手を取り、立ち直らせる。
「鼻血出ていますよ。良かったら私のハンカチを使ってください。」
「すみません。ありがとうございます。」
エイナは女性にハンカチを渡して、顔に付いた血をふき取った。
格好からして、倒れた女性はギルド職員では無い。
黒髪で妙齢のエルフの女性だった。
大人の女性として魅力的な美貌と聡明さを感じる瞳が知的な印象を与え、思わず釘付けになる。
高価なドレスを身に纏っているので、育ちの良い貴族令嬢だと思わせる。
「お見苦しいところをお見せして申し訳ございません。それに見ず知らずに関わらず、お助け頂き、心から感謝します。」
女性はただのギルド職員相手に上流階級の社交界で行うような丁寧なお辞儀をする。
「いえいえ!気にしないでください。」
自分とは縁の無い貴人らしい振る舞いに対応に思わず動揺する。
「私はミツゴシ商会の代表を務めているルーナと申します。本日はギルド長のロイマン様と商談があって参りました。」
ヘスティア「これどういうことなの?」
アポロン・ファミリアと戦争遊戯することになったら助っ人は誰にするか
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ジミナ・セーネン
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ジョン・スミス
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スタイリッシュ・盗賊・スレイヤー
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アルフィア
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リュー・リオン
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七陰の誰か一人