陰の実力者に出会うのは間違っているだろうか   作:加佐麻央

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遅くなって申し訳ありません。

突然ですが回想に入ります。

過去にベルが七陰とどういう関係を築いているのか書きたいと思い、始めました。

次にザルドとアルフィアの過去描写も足りなかったと思ったのでどこかで書いていきたいです。


幕間の物語 アルファ

悪魔憑きを発症してから全てを失った。

 

家族からも親しい友人からも隣人からも。

 

仲間意識の高いエルフでも醜く成り果てたそれを自分達と同じエルフだと認めたく無いだろう。

 

 

 

結果私は故郷から追放されて、彷徨ってたところを盗賊に捕まった。

おそらくこの後悪魔憑きを処分する団体に高値で売り飛ばされることになる。

その先でどんな目に遭うか分からない。

今のほうがマシだと思えるような仕打ちをうけるかもしれない。

 

どれだけ助けを乞うても腐肉に変貌したせいで声が出ない。

 

_もういいや

 

私は生きることを諦めた。

 

こんな私を助けてくれる存在なんてこの世にいない。

 

 

 

記憶が朧気だが、ある夜、悲鳴が聞こえた。

盗賊に襲われたか容赦なく虐殺されたか定かではないが

私は意識が朦朧としてはっきり覚えていなかった。

 

目を覚ますと廃れた小屋で寝ていることに気づいた。

それどころか長い金髪に白く穢れのない肌、悪魔憑きにかかる前の肉体に戻っていた。

 

朽ちて腐りゆく体を治してくれたのは自分と年が近い二人の男の子。

直接治してくれた黒髪の男の子はシャドウ、もう一人の白髮の男の子はアルバスと名乗った。

 

彼らの目的は私のように悪魔憑きにかかった女性を貶め、非道な実験を行うディアボロス教団を潰すことだ。

 

私は彼らの目的に乗った。

 

これ以上私のような犠牲者を生み出さないためにも、悪魔憑きにかかった女性が暮らせる世の中を作れるとその想いを胸に秘めて

_____________________________

 

問題は彼女をどこで生活させるかだ

 

年頃のエルフの女の子を一人廃村の劣悪な環境下で生活させるのは酷であろう。

せめて、真っ当なな生活環境で過ごすべきだとベルは提案した。

 

まずシドはベル達が暮らしている家から遠く離れた両親と姉一人の四人一家の男爵家の長男である。

大変優秀で次期当主が約束されている姉と比べて、平凡でたいして何も期待されていない弟。

家庭内での発言権は弱く、元悪魔憑きの浮浪児の少女の面倒を見れるかは分からない。

 

 

なので元冒険者のザルド、アルフィアを頼った。

半ば隠居暮らしをしていて、世間から離れている彼らの所なら多分元悪魔憑きのエルフの少女一人は面倒みれる余裕はある筈だ…

早速アルファをゼウス、ザルド、アルフィアのもとへ引き合わせた。

 

 

 

 

「べっベルがパツキンの美少女エルフを拾っただとぅぉ!!!」

 

祖父は私の方を目を合わせて、目を凝固しながらも挙動不審になる。

 

「でかした!!よくやったぞ!!」

 

アルバス......いやベルの祖父がなにやらテンションの高い声で盛り上がる。

 

「それでお爺ちゃん達に頼みたいんだけどアルファを家で面倒見てもいいかな?」

 

「儂は全然構わない!むしろWelcome!!」

 

ベルは祖父なら絶対受け入れてくれると確信はしていたが、その理由がなんとなく分かった。

 

「狒々爺少し黙れ」

 

「おいベル。ちょっとこっちに来い。どうしてこうなったか説明してくれ」

 

ベルは呼ばれて、祖父、義母、叔父の三人の下へ歩んだ。そして、祖父を除く二名は真剣な表情でベルに問いかける。特に義母は冷え切った目つきで無言のままである。

ベルの義母は私の方を鋭く睨んだ。

伝説の冒険者の眼力はエルフの小娘を萎縮させるのに十分で、私は声も出ず、震えていた。

 

 

これが家族会議という奴だろう。

 

「ベル。あのエルフを引き取ったのはまさか自分好みの女に仕上げて、奉仕させるつもりか。私はお前をそんな子に育てた覚えはないぞ」

 

お義母さんの冷たい眼差しはベルをつい怯ませる

 

なにせ引き取った自分達の妹と弟分の子供が同い年の女の子を拾って帰ってきたという事実が問題である。

 

何か間違いが起こったからでは遅いのだ。

 

「もしくはあの爺にいらんことを吹き込まれたか。」

 

理不尽なとばっちりに祖父は怯える。

 

「ちっ違うよ。お義母さん。アルファは悪魔憑きだったところを師匠(マスター)に助けてもらったんだよ。」

 

「何?」

 

悪魔憑きは存在自体が全否定される病気なのである。普通の人間にとっては悪魔憑きの患者に優しくしようとする者なんていない。

 

「そうか……好きにしろ…」

 

アルフィアは何か納得したのか静かに語る。

 

いつもの神経質で気難しいモンスターペアレントな義母には珍しかった。

 

「えっいいの?」

 

ベル自身お義母さんを説得するのは難問だと思ってた。

 

「あのアルフィアが許してくれたんじゃぞ。良かったなベル。」

 

「それとベル。一度助けた女なら最後まで責任取って面倒見ろな。約束だぞ。」

 

「ザルド叔父さんありがとう」

 

「それと我が孫がエルフの女子と同居することになったらどうするか儂が手取り足取り教えて…」

 

 

「福音」

 

ベルの祖父は空高く吹き飛んだ。

_______________________

 

最初はシドとベルから武器を使っての戦い方を教わった。

 

シドから剣術の基礎を叩き込まれ、実力が近いベルと模擬戦を行った。

 

だけど今の私の実力じゃベルには届かなかった。

 

元悪魔憑きである私はいつまでも誰かに守ってもらえるだけじゃ駄目だ。

悪魔憑きというだけで謂れのない害意を持つ者から身を護るため、強くなるしか無い。

 

私は一日一日の積み重ねを自分の糧となるよう修行に必死に励んだ。血反吐を吐くほどに。

 

シドが帰宅した後からも残ったベルに無理言って修行に付き合わせて貰ったが、ベルは嫌な顔はしなかった。

 

帰りが遅いとベルのおば…違ったお義母さんから叱られることもあった。

 

ちなみに就寝の時間、アルファが寝る部屋は同じ女性のアルフィアと同じ部屋だったので、部屋の中いる時間がとても恐ろしかった。

 

 

 

 

翌朝、アルファは台所に向かい、一人朝食の仕込みをしているザルドのもとへ向かった。

 

「起きるのが早いな。もう腹が空いたのか。」

 

「ええ。さっきまで、一人で稽古していたから休憩がてら。ザルド。あと朝食作るの手伝っていいかしら?」

 

「いいぞ。女の手料理ならベルや爺も喜ぶだろう。アルフィアはわからないけどな。」

 

アルファはザルドの指示通り今日の朝食の準備する。

野菜を食べやすいサイズに切り落とし、鍋に入れ、煮詰める。

 

 

ベルが叔父さんと呼ばれるザルドだが、アルファのことは可愛い一人娘ができたようで満更でもない。

 

 

「ベルとシドは何が好きかしら?」

 

「シドの方は何が好きなのか知らないが、ベルは甘い物以外ならよく食べるぞ。」

 

 

「そうなんだ。意外。」

 

「しかし、こうして見てみるとエルフらしくないな。俺が知っている限りでは偏屈な連中が多かったが。」

 

「私は元悪魔憑きだったから。」

 

同胞であったエルフ達からも存在を否定されたため、私はエルフとしての尊厳とアイデンティティも失ってしまった。エルフらしさに拘る理由も無くした。

 

「そうか。気を悪くしてすまんな。」

 

「ねえザルドは私を気味悪がらないの?」

 

悪魔憑きの症状を治ったとはいえ、周りは忌避感感じるのが当たり前だ。

かつて最強の眷属であるゼウスファミリアでも同じだろうと思ってた。

 

 

「別に俺はそう思わないけどな。世間のレッテルなんてクソ喰らえだと俺は思っている。」

 

 

ザルドはアルファの問いに素っ気なく答える。

 

「俺達はかつて黒竜討伐に失敗して、オラリオ中から責められて、追放された。いわば世間からのはみ出し者だ。ファミリアが無くなった以上世間体なんて気にしても仕方無い。」

 

世間から疎まれていた点ではゼウス・ヘラも似たようなものだった。

下界の悲願である三大クエストのうち二つを成し遂げたのに関わらず、三つ目が失敗しただけで咎められ、オラリオを追放される。正直あんまりな話だと思う。

 

「俺は名声なんぞに興味ない。満足して逝けるかどうかが重要だ。」

 

「剣も女も人生すらも思い立った時こそ至宝。うちのクソ爺の教えだ。ベルやシドもそうしたかったからお前を保護したんじゃないのか。俺達大人はそうしたガキどもの行動を見守るだけだ。」

 

「ベルとシドが私を...」

 

 

「アルファ。お前はベルのことが好きなのか?それともシドか?」

 

「そ…それは!」

 

まさかの二者択一。どちらかを選べと言われてもすぐには選べない。

 

「二人の男を一人の女が両方選ぶのもアリだな。」

 

「〜〜〜〜!!」

 

「そろそろ出来上がる頃だ。鍋の火を消してくれ」

 

そう言うと火を消したがアルファは鍋の熱気に当てらてたのか顔を赤く染めた。

 

朝食もなるまでベルの顔をまともに見れなかった。

 

 

_____________________________________________________________________

 

 

 

 

 

 

「こっちは終わったわ」

 

「OK。アルファ」

 

朝食を終えた後、今日はベルと一緒に畑仕事

をしている。

私はベルの家族のもとで居候している身なので何かしら働く必要はある。

 

土を耕し、種を植えていった。

 

 

辺鄙な片田舎で金髪エルフの美少女が泥だらけになりながら畑作業している光景はお目に描かれないだろう。

 

「こんな日常を過ごせるなんて思ってもいなかったわ」

 

「アルファは今は楽しい?」

 

「ええ。貴方やシドとこうして一緒にいることが何より幸せだわ。勿論貴方のお爺さんや叔父さんやお義母さんも優しい人たちだったわ」

 

アルファは年離れしたクールな表情から年相応の感情になる。

 

「だけどディアボロス教団を駆逐するまでその幸せな時間は守れない。」

 

 

悪魔憑きが完治したからといって、再び社会に受け入れてもらえるかは分からない。

むしろ完治した悪魔憑きは貴重な実験サンプルとして、優先されるのが目に見えている。

結局教団をどうにかしない限り安息は訪れてこないのだ。

 

ベル達のように受け入れてくれる余裕のあるコミュニティはまだしもこの世界では極少数だ。

 

「私は貴方達が行ったように悪魔憑き被害者達を救いたい。」

 

「う…うん。ソウダネ。」

 

流石にベルはアルファを治した理由があまりなも酷いものだったので棒読みになる。

 

 

 

「前から気になったけど貴方とシドってどのように出会ったのかしら?」

 

「師匠(マスター)と出会ったのは昔僕が盗賊に攫われて、助けてくれたんだ。」

 

「私と同じだわ。」

 

「師匠(マスター)の盗賊を圧倒して薙ぎ倒す姿を見て、僕もあんな風になりたいと思ったんだ。すかさず弟子入りを志願したよ。」

 

「師匠(マスター)が課す修行はきつかったな〜。お義母さんよりもハードだったよあれは。」

 

ベルは目が遠くなる。

 

アルフィアの課す修行はベルを川底に縛り付けたり、モンスターの群れに放り込まれて、死の間際を体験するというものだったが、シドの課す修行はそれが生易しく感じるくらい狂っていた。

 

「師匠(マスター)の領域にはまだまだ届かないんだ。僕は師匠(マスター)の背中を追いかけるだけで精一杯なんだ。」

 

「そんなこと無いわ。貴方は十分努力してるわ。」

 

「ありがとう。そういやアルファはお義母さんと上手くやっていけているの?」

 

「う…うん…善処してみせるわ。」

 

「お義母さんは怖い人だけど根は不器用で優しい人だよ。心の中ではアルファを嫌ってはいないと思うよ。」

 

「それ本当なの?」

 

ベルとアルファは晴天の畑で作業を終えた後、昼食の時間まで軽く修行と稽古を行った。

 

 

________________________________________________________________________________

 

 

昼が過ぎ、ベルとザルドとゼウスは遠く離れた街へ買い出しのため、出かけていた。

家の留守番をしているのはアルフィアとアルファの二人だけだ。

アルフィアはソファに座り、読書を嗜み、アルファは自主的に部屋の中を掃除している。

 

喧しい男衆がいなくなったからか家内はいつもより物静かになっている。

 

 

「何だ。小娘。さっきから私の方をジロジロ見ていて。言いたいことがあれば言え。」

 

アルフィアの圧にアルファは怖じ付けながらも応える。

 

「あ…貴方はなんで私を受け入れてくれたの?」

 

「何だ急に」

 

「ザルドにも話したけど悪魔憑きだった私をあまり気にしてはいなったみたいだけど貴方はどうなの?」

 

ザルドは男らしい清々しい理由だったので、理解はできたのだが、目の前の気難しいアルフィアの心意はよくわからないでいた。

だからストレートに質問を投げかけた。

 

「悪魔憑きか…。」

 

普段は瞼を閉じている彼女の表情にはいつもの不機嫌さを感じない。

 

 

「かつてヘラ・ファミリアにも悪魔憑きの患者が一人いた。」

 

「……え……」

 

「ヘラも仲間達もそいつを見捨てずに治療法を必死に探した。だが治る見込みも無く、命を落とした。」

 

 

アルファは黙々と話に集中する。

 

「シドの魔力操作の技術によって治せることを知った時は私の無力さを感じた。」

 

シドの緻密な魔力制御技術は魔力を器用に操るセンスと然るべき訓練を重ねれば誰でも身につけていけるものだ。

極めれば魔力制御による治癒行為も可能だが、ここまでは高等レベルになっていく。

 

元々高度な魔導士であったアルフィアはシドから魔力の精密な制御技術を教わり、治癒までできるレベルまで高めていった。

 

 

「シドから教わった技術をあの時、身につけていれば。私自身がこの技術を作っていれば。生涯の中そう考えたことは何度あったか。」

 

「私はあいつと同じ境遇の奴を救えば罪滅ぼしになるだろうと考えていただけの愚か者だ。」

 

それは神時代で誰より才能に愛された眷属が叫ぶ慟哭だった。

生まれてから天才と持て囃された自分への怒りだった。

 

 

 

私は悪魔憑きの家族と親類も例外なく否定する側になると思っていた。

アルフィアはそうはならなかった。

 

それがどれほど世界にとって異端なのか。まぁでも......

 

 

「いいえ。貴方はベルの言う通り優しい人だわ。」

 

優しさがあったからこそ悪魔憑きを見捨てなかった。

アルファの何気ない一言に不意を突かれる。

 

「生意気な小娘め」

 

らしくない捨て台詞を吐いたと思っている。

アルフィアは子供が苦手だ。自分を化け物を前にするかのごとく、見上げるから。

目の前の金髪のエルフは自分を化け物と見て恐れていない。

 

「貴方のことをお義母さんと呼んでいいかしら。」

 

「待て。なぜそうなる?」

 

 

_________________________________

 

夕食が終わり、就寝に入る頃だった。

 

「アルファよ...ザルドとアルフィアとうまくやれているようじゃな」

 

「ベルのお爺さん」

 

目の前に現れたのはゼウスと名乗る好々爺である。

 

最初に会ったときの印象は女性の顔と体をジロジロみて、「この色気でまだ十代ってマジ?」とにかく不埒だった。

 

「なんで私たちも部屋に入ろうとするの?」

 

「儂は可愛い孫娘と思っているアルファと一緒に寝るZOY。」

 

「…もしかしてアルフィアお義母さんに近づくつもり?」

 

「はて~何のことかの~~?」

 

図星なのかゼウスは年長者の余裕があるようにとぼける。

 

「それとお主に真剣に頼みたいことがある。」

 

「はぁ何?」

 

先程の好々爺っぷりから一転、声音が低くなった。

 

「儂の孫の性欲を取り戻してくれ」

 

「は?」

 

「ベルの奴シドと出会ってからは成長したのはいいのじゃが、悲しいことに女子との出会いや触れ合いに興味も興奮もしなくなったのじゃ」

 

ゼウスが言うにはベルはシドから過酷な修行を受け続け、強さを得た代償に女性に対する興味を喪失させたのだった。

 

この一点だけゼウスはシドに恨みを抱いている。

 

「男としてこんな悲しい事あるものか!このままじゃ不健全な青少年に育ってしまうわ!」

 

ゼウスは血の涙出るように訴えかけた。

 

「ベル達のことが好きなお主がベル達に保護されたのも何かの運命じゃ。どうかあの二人に性の喜びを教えてくれ!」

 

 

「喜んで引き受けるわ」

 

祖父から直々孫とのお付き合いの許可を貰えたアルファは心の底でガッツポーズをした。

 

好々爺は知らなかった。近くに恐ろしい義母がいるのを

このあとの展開はお察しである。

 

アルファはシャドウガーデンを結成、ディアボロス教団を潰す使命以外にもやることが増えた。

 

 

 





それぞれアルファに対して

ザルド 
可愛い娘のように思っている。

アルフィア 
ベル以外の子供が出来て、懐かれているのに戸惑っている。

ゼウス 
この娘将来えらい美人になるに違いない。そうだ。一生独身を貫くかもしれない我が孫たちの嫁にしよう


アルファから見た反応

ザルド 
ベルの叔父さん。料理が美味しい。

アルフィア
ベルのおば…お義母さん。怖いけど優しい。私もお義母さんと呼びたい。

ゼウス
ベルのお爺さん。見る目がいやらしいけど、頼みは喜んで引き受けるわ。

アポロン・ファミリアと戦争遊戯することになったら助っ人は誰にするか

  • ジミナ・セーネン
  • ジョン・スミス
  • スタイリッシュ・盗賊・スレイヤー
  • アルフィア
  • リュー・リオン
  • 七陰の誰か一人
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