「全商品十割引って何なんだよ。もうこれ実質タダじゃん。」
「まぁまぁ。ガンマ達は僕らのために頑張ってくれたんだし、厚意は受け取ろう。」
ミツゴシ商会を後にした一行は本拠地へ帰宅する。
ルーナ会長ことガンマから主達ヘスティア・ファミリアに贈呈品として受け取った高級な菓子が入った紙袋を手提げに抱えた。
さらに今後ヘスティアファミリアがミツゴシ商会の全ての商品が十割引き実質タダで購入できるという破格の特典も付いてきた。
神様もついこの間まで貧乏生活していた身だ。いきなりこんなVIP待遇をされても素直に喜ぶことはできなかった。
神様はいつもより疲れたのか僕ら二人より一足先に帰った。
「僕たちオラリオに来て、ファミリアを結成したのはいいけどこれからの方針はどうする?」
「まずは陰の実力者の引き立て役となる主人公いやオラリオの派閥は何処にするかだ。」
シドがいうにはオラリオで陰の実力者を目指すのはいいもの具体的に何をやるのかはあやふやなのだ。
陰の実力者。物語において主人公でも英雄でも無い。ラスボスでも悪役でも無い。陰の立場から圧倒的な実力者を示す存在。
「最有力はロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアだ。現オラリオ最強最大の派閥だから、引き立て役にすることで裏に隠れていた圧倒的強者陰の実力者プレイが捗る。確かアストレア・ファミリアという主人公力高そうな正義の派閥もあったんだけど、今は消えちゃったのが残念だけど」
「オラリオに突如現れた謎の実力者。それを独自に追う最大派閥。このシチュエーションでいこう。」
ベルとシドは今後の陰の実力者ムーブについての議論を白熱させる。
すると目の前に小さな女の子がこちらに向かって駆け出し、シド達一行とすれ違う。
「あっちだ!」
「クソどこへいきやがった!」
「まだ遠くへ行ってない筈だ。探せ!」
後に続き見た感じ荒くれ者の集団が現れる。
「おい。そこのガキ共。この辺で小人族の女のガキを見なかったか?」
「見てないよ」
「知らない」
二人は口を合わせることなく嘘をつく。
もし、この荒くれ者達に本当のことを教えればあの小人族の少女がどんな目に遭うのか想像できる。
そんな片棒は持ちたくないので適当にごまかす。
「おいおい嘘は良くないぜ。あのガキは確かにここを通り抜けた。必死に逃げたガキぐらいてめえらも見えた筈だ。」
「そんなこと言っても知らないものは知らないです。」
しらを切る態度に厳つい面の男が苛立つ。
「どうやら痛い目をみなきゃ分からないようだな」
荒くれ者達がシド達を囲み、下卑た視線を向け、嘲笑している。
「その手に持っているものは最近噂のミツゴシの商品だろ。そいつをくれたら見逃してやってもいいぜ。」
男達は目の前にいる弱者から搾取する感覚が快楽に感じるかニヤニヤと笑みを浮かべる。
ミツゴシ商品はオラリオで人気のブランドだ。
需要が高いため、転売すれば莫大な金が手に入るほどに。悪党にとって、大金を抱えている冒険者成りたての田舎者の子供はいいカモだ。
「(オラリオの治安悪すぎ。)」
「(見た目が弱そうなモブを見て、金品をカツアゲするチンピラ崩れ。実にテンプレ通りだ。)」
ベルは呆れ、シドはなぜか感心している。
「(ベル。ここでやることは分かってるな)」
「(勿論。)」
まぁ七陰が僕らにタダでくれたプレゼントをこんな連中に明け渡す気は無い。
僕は一瞬の内、男の顔面に掌底を当て、その衝撃を放つ。
男は宙を飛び、地面に跳ね飛ばされ、意識を失う。
「てめぇ......やりやが…ぐばぁ・・」
続けて剣を構えようとした仲間の一人二人を抵抗する暇を与えず、無駄の無い洗練された徒手空拳で迅速に制圧する。
「シド!こいつらは弱いぞ!さっさと片付…」
手応え的に相手はレベル1だ。
駆け出しでも同じレベル同士の喧嘩ならこの街では珍しくも無い。
実力者バレすることは無いだろう。
後ろを振り向くとシドが地面に亀のように縮こまり丸くしゃがみ、暴漢集団から蹴りを浴びせ続けられる光景が見えた。
「やっやめて…くれ…命だけは命だけはお助けを…」
「ぎゃははは!なんだコイツ!すげー弱えぞ!」
「本当に冒険者かよ!情けねえ!」
「ついでに身につけている装備も全部剥ぐか!」
「ベル!俺に構わず、早く逃げ…がはぁ」
必死に叫ぼうとするシドの腹に蹴りが入った。
今回の陰の実力者ムーブはこういうテンプレートなチンピラに囲まれて、必死に抵抗する勇敢なモブがみっともない命乞いをする情けない友人モブを助けるシチュエーションだ。
二人揃って命乞いをするパターンもあるが、一応世間的にはベル・クラネルは派閥の団長という身なので、陰の実力者ムーブに固執して周りに舐められそうな真似をすると派閥の面子が傷付き、神様にも迷惑が掛かる。
なので強モブ役は僕が、弱モブ役は師匠(マスター)が進んで演じることになる。
本来なら力関係は逆だけど
「待ってろシド今助けるから…」
ベルは茶番劇だと知りながらも仲間を傷つけた悪漢共に怒り立ち向かうモブ演技をこなす。
「やめなさい。」
声が聞こえた方を向くと緑色の制服を着たエルフがいた。
見覚えがある。確か豊穣の女主人で見かけた給仕さんだ。
「彼らは私の同僚の友人達です。もう一人は伴侶となるヒューマンです。」
「なんだてめえは!!外野は黙ってろ!!」
暴漢は乱入者に怒鳴り声で威圧するが
「吠えるな」
「っ……!?」
見目麗しいエルフが発する一言はその場全員を威圧する。
「手荒なことはできるだけしたくない。私はいつもやりすぎてしまう。」
「う…うるせぇ!てめぇらやっちまえ!」
暴漢達が僕らから彼女へターゲットへ変え、一斉に襲いかかるが、エルフの給仕さんは冷静さを失わず、一人一人の攻撃を難なく躱し、携えた木刀で顔面、脛など急所を強打させ、意識を奪っていく。
ほとんどが地面に倒れていく中、最後の一人は勝ち目が無いと理解した。
「まだやりますか。」
「くそっ覚えてろよ!」
暴漢は謎のエルフの女性に束になっても勝てないことが分かるとすかさず、後ろへ振り向いて逃げ出すが、途中足が何かに引っ掛かって転んだ。
「は~い。そこまで。この辺で乱闘騒ぎの通報があって駆け付けたよ。」
殺伐とした雰囲気の中に、朗らかな声音がする。
そ声の主は活発で誰とも仲良くなれそうな女の子だった。その後ろに象の仮面を付けた集団がいる。
「お前は象神の詩!」
「ガネーシャ・ファミリアか!!クソ!!」
「貴方達ソーマ・ファミリアの冒険者だよね。同業者への一方的な恐喝に暴行。これはお縄行きだね。」
僕達を襲った暴漢全員は象面の男に取り押さえられ、署までご同行された。
「君達大丈夫?そこの黒髪の子はかなりボコボコにされていたけど?」
「はっはい!お陰で助かりました。ありがとうございます。(暴漢に絡まれるところをネームドに助けられる。実にモブらしい行動が出来た。)」
ついさっきボコボコにされていたシドは妄想逞しく心の底で喜んでいる。
「私はこれで失礼します。後のことは彼女に任せてもらっても大丈夫です。」
「ちょっと待って…リオン…少しくらい話を…」
エルフの女性は伝えたいことを伝えたらこの場から立ち去った。
憲兵の女性はそんな彼女を引き止めようとするが、拒絶する態度に一歩前へ出なかった。
エルフの女性が完全に立ち去った後は事後処理に取り掛かった。
「自己紹介が遅れたね。私はアーディ・ヴァルマ。所属はガネーシャファミリアだよ。」
「僕はベル・クラネル。こちらはシド・カゲノー。最近結成したばかりのヘスティア・ファミリア所属です。」
お互い簡潔に自己紹介を済ます。
「あっもしかして、君達ミツゴシ商品を買っていたの?」
「あっはい!オラリオで最近オープンしたばかりのお店だというので、せっかくなので何か買っておこうかなと思って。」
「うん気持ちは分かるよ、でも最近ミツゴシ商品を狙った窃盗被害が多いから持ち歩くときは気をつけた方がいいよ。私達も気をつけてはいるけどこないだ起きた謎の大爆発の件もあって中々手が足りないんだ。」
「「(なんかうちのせいですいません。)」」
最近のオラリオの治安悪化の理由は自分たちと無関係では無かったと察し、内心申し訳ないと謝罪した。
「そういえばさっきのエルフの給仕さんって知り合いなんですか」
「あ…うん…昔の友達だよ」
アーディは今までの明るさが一瞬消えたように沈んでいた。
原作ではアーディは大抗争で死亡する筈だったのですが、無事生存しています。
アストレア・ファミリアはある事件がきっかけで解散していますがリュー一人だけはオラリオで豊穣の女主人で働いています。
アーディとリューは次第に交流が無くなって疎遠になっています。
アポロン・ファミリアと戦争遊戯することになったら助っ人は誰にするか
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ジミナ・セーネン
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ジョン・スミス
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スタイリッシュ・盗賊・スレイヤー
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アルフィア
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リュー・リオン
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七陰の誰か一人