陰の実力者に出会うのは間違っているだろうか   作:加佐麻央

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カゲマスの水着アルファとゼータのスタイルが抜群すぎる。

金髪エルフ好きの初心なベルだったら確実に悩殺されていた。








第16話 小さなサポーター

 

「そこの白い髪と黒い髪のお兄さん達。」

 

ベルとシドが今日もダンジョン探索に向かおうとしたとき声を掛けられた。

振り向くと大きなリュックを背負った小柄の栗色髪の少女がいた。

 

「サポーターをお探しではないですか。」

 

サポーター。

主に荷物持ちや魔石回収を担当する役職のことだ。

モンスターと戦う冒険者と比べると華が無く、あまり人気のない職業だと見られている。

世間ではサポーター=ドロップアウトした冒険者という風潮が根強い。

 

「見たところ二人はサポーター用のリュックも持っていないので、いないと思ったのですが。」

 

「(サポーターか。考えたこと無いな。魔石やドロップアイテムはスライムボディスーツに収納すれば済んだし。)」

 

スライムボディスーツは魔力操作によって攻撃、防御に使うだけではなく、一定の質量を持つ物体をスライムに取り込ませ、手ぶら持ち運びができる機能もある。

 

「(いやいや魔石回収をスライムボディスーツ頼りにするのは良くはないな。サポーターもいないのに大量の取得物を持ち帰ってくるのは周りから見れば不自然に見られるし、ここはあえてパーティーを組むか。)」

 

ベルは今後の冒険者活動について思案し、

 

「(他派閥といっしょにパーティーを組む。モブ冒険者行動リストを一つ消化出来る。あとこのサポーターさんのモブらしい動きを観察して参考にしよう。)」

 

シドは今後のモブ活動について思案した。

 

「いいよ。丁度サポーターが必要だったんだ。」

 

「ありがとうございます。お二人共。」

 

「申し遅れました。ソーマ・ファミリアのリリルカと言います。気軽にリリと呼んでください。」

 

こうしてベルとシドに加えてリリルカの3人パーティーでダンジョン攻略に挑むこととなった。

 

 

 

前回ベル達はダンジョンで5階層でミノタウロスに遭遇するという駆け出しにとって生死に関わるアクシデントに遭ったが、そんなことは些細なことだ。

 

ベルとシドが襲いかかるモンスターを斬り捨て、灰と化したモンスターが落とした魔石をリリが回収する。

 

「ベル様とシド様はお強いのですね。駆け出しとは思えません。」

 

「まあね。恩恵をもらう前、かなり訓練していたしね。」

 

「リリはなんで他派閥の人間とパーティーを組むの?自派閥に組んでくれる人はいないの?」

 

 

「リリはチビで、腕っ節もからっきしなので、魔石を拾う以外役に立たないです。ファミリアの方々は頼んでも仲間に入れてくれないんですよ。」

 

「それは気の毒だね。」

 

良いファミリアもあれば悪いファミリアもある。

リリルカのファミリアは後者に当たるだろう。

 

三人は世間話を交えながらダンジョンを進む。

 

 

 

「(それにしてもさっきからシド様がこちらを見ていますけど。)」

 

シドはダンジョンに入ってからリリルカの一挙一足を観察した。

そのおかげでリリルカはベル達の装備品を盗む為の観察を思うようにできないでいた。

 

「(まさかリリの正体に気付いたとか。いやいやお二人とも田舎上がりの鈍臭い夢見がちな冒険者であるはず。)」

 

リリは冷や汗をかく。

 

 

「(ふーん駆け出しの冒険者をターゲットに狙うサポーターを装った系の盗賊か。)」

 

シドはリリルカの動作を観察して、盗人の類だと看破する。

彼女がやけに自分達を褒め称えたり、ヘスティアから貰った武器のことを知りたがったり、ベル達の動きをサポーターにしては不自然に観察したりと明らかに違和感だらけだった。

 

大方冒険者を気を良くして、隙を生ませ、目当ての物を盗む気なのだろう。

 

リリルカは知らなかった。

この男シド・カゲノーは主に手癖の悪い破落戸相手にわざと財布を盗まれて、相手の分の財布も含めて盗み返すのを頻繁に行っている盗みのエキスパート。

 

レベル1程度の盗人の仕草なんて簡単に見破られる。

 

 

「(さてどう出るのかね。)」

 

普段のシドなら盗賊は見つけたら殺して、金を奪う金策手段の一つと考えていなかったが、目の前の小さな少女はその辺のモブ雑魚盗賊とは異なる印象を感じた。

 

 

 

「(それにしてもこのサポーターさんはなんか妙な魔力を持っているみたいだし、育てれば案外化けるかもしれない。一生を盗賊のままで終わらすのは惜しい逸材だ。)」

 

 

互いに思慮深くなりながらも今回の他派閥合同のダンジョン探索が終わった。

 

 

 

___________________________________

 

夜中のオラリオの路地で開店しているラーメン屋台。

一日のカロリーと塩分を一皿で摂取できる料理は健啖家な冒険者や食通の神々には人気だ。

 

その一人であるベルはダンジョン帰りの夜食で濃厚系豚骨ラーメンを食べている。

モンスターを狩って、運動した後にはこれが至高だ。

 

「すいませーん。チャーシュー大盛り追加でお願いします。」

 

ベルは注文したチャーシューを受け取り、それをラーメンの上に乗せるのではなく、右側の方へ移した。

ベルが座っている奥の席の隣には一匹の黒い野良犬のような影が見える。

いや野良犬というより、黒い犬耳に、太い尻尾、アマゾネスのような露出が多い衣装を身に着けている野生さを感じさせる少女が四足歩行で

飼い犬のような仕草で主人に眼の前のご馳走、餌を求めているようだった。

黒犬の獣人は餌はまだかまだかと尻尾を振っている。

 

「ほらデルタ。チャーシューだよ」

 

「アルバス〜!ありがとうなのです!」

 

「今その名で呼ぶのはまずいからベルと呼んでね。」

 

「分かったなのです。アルバス。」

 

「分かっていないじゃん。次間違えたらチャーシュー抜きにするよ」

 

「それはあんまりなのです。アル…いやベル!」

 

「まぁいいか。ほらチャーシュー。」

 

ギリギリ間違えそうになったもの、なんとか言う事ができたのは良しとしよう。

ベルは大量のチャーシューが盛られた皿を地面に置いた。

デルタはベルから受け取ったチャーシューを無我夢中で爆食いした。

 

 

「アルバスおかわり〜!」

 

「はいアウト。チャーシューの追加は無しね。」

 

七陰の四席「暴君」のデルタ。

七陰の中で獣が如きパワーと恵まれた戦闘センスを持っており、戦闘能力は僕やシド、アルファを除き、屈指の実力を持つ。

戦闘能力に特化した分、聡明な七陰の中で知能が低い。可愛げはあるけど。

デルタ自身、弱肉強食精神で育ったためか弱い人間には従わない

僕とシドとアルファに勝負を挑んで、負けて、力の差を思い知って、軍門に下った経緯がある。

 

 

 

夜食を食べ終えた後、二人は夜道を歩く。

もっともベルがデルタを肩車にして歩いている形だが

デルタの年頃の成長した肉体が密着している。

 

「デルタこれは流石に目立つんだけど」

「デルタ、アルバスやボスに中々会えなくて寂しかったのです。だからこうして触れ合ってるのです。」

 

「この都市にいる連中みんな弱っちいなのです。」

 

オラリオにいる間、好戦的なデルタは血の気の多い荒くれ者達に絡まれたりしたが、全て返り討ちにしたそう。

 

「今すぐアルバス達と一緒にダンジョンとやらに入って狩りに行きたいのです。」

 

「デルタ。このあとミツゴシで緊急会議がある。また今度ね。」

 

「えぇ~」

 

デルタは子どものように駄々をこねた。

 

 

 

『ミツゴシ商品の転売問題について』

 

ミツゴシ商会の会議室のホワイトボードに書かれている。

 

そして絢爛な家財が並ぶ部屋で卓上を囲うのはベルと五人の少女達。

 

アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン。

 

現在オラリオで活動中の七陰が全員集まっている。

 

ちなみにシドは別行動をしている。

 

 

「ミツゴシ商会はオラリオに進出してから売上は好調、客数も伸びています。その多くはシャドウ様の陰の叡智によって、再現出来た商品でこの世界においてかなり需要を占めています。」

 

ガンマは今までの業績を振り返り、今日までの自分たちがここまでの地位に上り詰めたことを多少誇りに思いながらも喜々として語る。

 

「だけどその希少価値に目をつけた卑しい人間が商品を大量に買い占めて、当店の適正価格より高値で売買している。」

「あまつさえ購入者から窃盗行為をする輩まで増える始末。」

 

「下手人はソーマ・ファミリア。レベル1~2の冒険者の数が多いだけの、あまり評判が良くない集団です。」

 

ソーマ・ファミリア。

 

酒神ソーマが神酒を作るための資金稼ぎに眷属を増やしたのが発端だった。

資金稼ぎに貢献した眷属は褒美として神酒を与えられる。

だが、超越存在が作った極上の酒は只人を正気にさせられるものではなく、やがて神酒に溺れ、堕落していた。

酒神ソーマはそんな人間達に失望し、放置。

神が派閥運営に携わっていないことをいいことに一部の強欲な者は好き放題動いていた。

 

「(ソーマ・ファミリア。もしかしてリリが僕らに近づいたのって金目当てだったからか)」

 

「主導者は団長のザニス・ルストラ。闇派閥、あるいは教団とも繋がっている可能性もあります。

 

ザニスは小悪党の金の亡者であり、こういう人物は教団にとっては扱いやすい駒になる。

おそらく教団についての情報は期待できないだろう。

 

ベータは今までの調査結果をまとめて伝える。

 

「楽して金を稼ごうだなんてムカつく連中なのです。」

 

「これはミツゴシの経営に支障をきたす問題だわ。早急に解決しなくてはいけない。」

 

アルファは顔を顰めて声音が低く語る。

 

 

「私達シャドウガーデンは転売行為を行っている組織を根こそぎ叩き潰す。」

 

「今回の件、アルバス、ガンマ、デルタ。貴方たちに任せるわ。私とベータ、イプシロンは教団の動向を探るわ。」

 

 

「うん分かった。」

 

「お任せを。私たちが築き上げた商会をこんな下賤な輩が荒らしたからには相応の報いを受けさせてもらいます。」

 

「勿論なのです。久々にアルバスと一緒に敵を皆殺しなのです。」

 

 

ベルはアルファの判断に応え、ガンマは今回の犯人に対して静かな憤りを、デルタはあまり深く考えず、とりあえずいつも通り動くつもりでいる。

 

 

 

 

 

アポロン・ファミリアと戦争遊戯することになったら助っ人は誰にするか

  • ジミナ・セーネン
  • ジョン・スミス
  • スタイリッシュ・盗賊・スレイヤー
  • アルフィア
  • リュー・リオン
  • 七陰の誰か一人
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