あの夜の出会いから時が流れ、ベルは10歳となった。
自分と同い年であるシドに教えを乞い、武術、体術、モンスターの戦い方、対人戦、サバイバル術を中心に鍛えた。
あと精神力を制御する一環で頭を岩に打ち付けながら魔力魔力魔力と叫ぶわけの分からないものもあったがそれは
必要なことであるかでは定かではない。
陰の実力者になる修行は着実に進んでいる。
一行は近隣を荒らし回っている盗賊が拠点にしている廃村の情報を受けて、実戦もか兼ねた討伐を行った。
当の盗賊たちは宴会で気が緩んでいる。子供2人が仕掛けるには絶好のタイミングだろう。
「景気が良いね。盗賊さん。有り金全部渡してもらおうか」
「罪の無い人を殺したし、仕方無いよね」
理不尽極まりない台詞を言うと黒髪と白髪の少年2人は着ている衣服から黒い鋭利なものを取り出し、目の前の盗賊達を斬り刻んだ。
「て、てめぇらいったい何者だ……?」
「な、舐めてんじゃねぇぞガキどもが! 俺はこれでもオラリオでは……!」
瞬間、盗賊とシド達の間には距離があったにも関わらず、黒い弾丸が盗賊の胸に命中した、
シドがこの世界に転生して、開発したというスライムソードとスライムボディスーツ。
魔法やスキルを使って、身体能力や武器の強化をするとき、精神力を消費することになる。
さらに精神力を扱うときそこにはどうしてもロスが出る。例えば普通の鉄の剣に精神力を100流しても実際に伝わるのは10程度で、ミスリルの剣でも100流して50伝われば高級品と言われるぐらい、極めてロスが多い。
そこでシドはスライムに着目した。
スライムの精神力の伝導率は驚異の99%しかも液体なので自由に形態可能。
スライムはモンスターの中でも最弱に部類に相当し、ドロップアイテムの価値はかなり低い。
冒険者が好き好んで戦うモンスターでもないので、ダンジョン以外の場所でも意外と多く生息するため、確保が容易だった。
通常この世界のモンスターは魔石を失うと灰になる。
スライムも例外ではないので、取り扱い方を間違えると、スライムの粘液もろとも灰となるので、素材を剥ぎ取る際はかなり苦労していた。
そうして試行錯誤を繰り返し、確実なスライムのゼリー化に成功し、をついにそれを全身に纏いボディスーツ化することに成功したのだ。鎧と違って軽く音も鳴らず快適で、むしろ身体の動きを補助してくれる。精神力次第で強力な防御力を上げることができる。
熟練の冒険者でもあったザルドやアルフィアはこの武装の性能を知ったとき、驚愕した。
精神力次第で自由自在で柔軟に対応可能に戦闘手段が構築できる武装なんて聞いたことないだろう。
もし、この武装が大昔に存在したら、人類のダンジョン攻略が捗り、三大クエストも多大な犠牲を出さず人類の悲願を達成できただろう。
今まで使っていた武器や鎧が時代遅れになるような感覚だった。
現在のオラリオにこのような規格外な武装は存在しないので、もしも公表すれば世紀の大発明となったかもしれない。
「師匠(マスター)、今日もスライムボディスーツの調子は良かったよ」
「ベルもだいぶ使い慣れてきてるし、これからどんどん高度な戦術が身に着けられるね」
盗賊たちが全滅後、僕らは辺りを見回す。
戦利品は馬車数台あった。そして複数の商人の死体。
「仇はとったし、荷物も有効活用するから安心して成仏してくれ」
「商人の人たち全員死んでるし、僕は止めやしないけど。」
僕らはまずまずの戦利品をゲットし、 これが全て陰の実力者の活動資金となるのだ。
「ん あれ?」
「奴隷? 捌けないからパスだけどさ」
僕は念のため檻の覆いを剥ぎ取った。
「これは……予想外」
中には何というか……腐った肉塊が転がっていた。辛うじて人型は留めているが、性別も年齢もまるで分からなかった。
しかし、まだ生きていた。いや、意識もあるのかもしれない。檻を覗き込む僕に肉塊がピクリと震えたのだ。
「ベル、殺す必要は無いよ。この波長は覚えがある。魔力暴走だ」
「……魔力暴走?」
「まあ僕に任せてよ。隠れ家に持っていこう」
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シドが肉塊を色々弄ったら金髪エルフの少女が現れた。
金髪長髪エルフ。僕の好みのタイプが目の前に現れるとは思いも知らなかった。
しかも全裸で。
こんな可愛い子を肉塊にしやがった世の中マジで許せまじ
「ザルドやアルフィアで実験したおかげで思ったより、早く終わった。」
「師匠(マスター)、非道なこと言っている自覚あります?」
陰の実力者のなるための修行で女性への関心が薄れている二人はあられもしない金髪エルフを見ようともしない。
ゼウスが知ったら悲しむだろう。
こうして軽口を言い合っていると、金髪エルフの少女が目を覚ます。
「あっ目を覚ますみたいだよ」
「どうしよっかな。あっ……そうだ!」
「何をする気なの?」
「ここが陰の実力者の初舞台ってね」
いきなり木箱の上に片膝を立てて座ったシド。これはお爺ちゃんが言ってた中二病がよくやるものだって言ってた。師匠(マスター)って実は中二病?
「あれ、私は……?うそ…………私の身体が……元に戻ってる」
先ほど醜い肉塊だった自分が、気がついたら元に戻っていることに困惑しているようだった。
「君を蝕んでいた呪いは解けた。最早君は自由だ」
呪いってなんだ?
「呪いって・・・?」
「ああ、呪いというのは……君達『英雄の子孫』にかけられた呪いのことだ」
えッそれ聞いた事ない。なんか早口になっていない?
「驚くのも無理はない。だが君も知ってるだろ?アルゴノゥト、エピメテウス、フィアナ騎士団。有名な英雄譚と並んで、三人の英雄が『魔神ディアボロス』を倒し、世界を救ったお伽噺を。──あれは本当にあったことさ」
ああそれお爺ちゃんから昔聞いたことがある。
人間とエルフと獣人の三人の英雄が悪の魔王を倒したという
「魔神は死の間際に呪いをかけた……それが君を腐った肉塊へと変えたものの正体さ。だが何者かによって歴史は捻じ曲げられ、君達『英雄の子孫』は『悪魔憑き』などと呼ばれ蔑まれることになった」
……初耳なんですけど。あとでお爺ちゃんに聞いてみよう。
「はっ……!!」
「その黒幕の正体は……そうだな。黒幕は……まだ教えることは出来ない。知れば君にも危険が及ぶ」
「一体何者なのっ!?」
「そ、そうか……ならば教えよう」
「──……『ディアボロス教団』」
「『魔神ディアボロス』の復活を目論む組織だ。奴らは闇派閥の背後に隠れて、決して表舞台には出て来ない」
「さらに言えばかつて最強の眷属と言われたゼウス・ヘラファミリアが黒竜に敗れて、オラリオから追放されることになったのも奴らが裏から手を回していたからだ。」
なっなんだってー!!
「そして、ゼウス・ヘラがいなくなって、抑止力を失ったオラリオに闇派閥の大抗争を勃発させ、それに乗じて、オラリオ中枢に紛れ込み、裏から暗躍するようになったわけだ」
「我等の使命はその野望を陰ながら阻止すること……かな」
そんな馬鹿な。師匠(マスター)がそこまで考えていたなんて
あとで叔父さんとお義母さんに今の話を伝えなきゃ
「我が名はスタイリ……いや我が名は『シャドウ』。……陰に潜み陰を狩る者」
「隣にいるのは我が弟子にして、右腕にしてゼウスとヘラの子孫の『アルバス』だ」
なんか勝手に決められた!!
確かアルバスって純白って意味だったけ。ちょっとかっこいいかも
「『英雄の子』よ。我等と共に歩む覚悟はあるか?」
「病……いえ、呪いに侵されたあの日……私は全てを失いました。醜く腐り落ちるしかなかった私を、救ってくれたのは貴方です。貴方達がそれを望むと言うなら、私はこの命を懸けましょう。──そして、罪人には死の制裁を」
「敵はおそらく闇派閥とかだ。真実を知らず操られている人もたくさんいるはず。オラリオ、冒険者ギルド、現在オラリオ最強と言われているロキ・フレイヤファミリアも同じだ。」
「でも立ち塞がる者に容赦はできない」
白熱した二人がそういうとシドは彼女の手を取り、スライムボディスーツの一部を分けて、彼女の体を覆った。
「他の『英雄の子孫』達を探し出して、保護する必要もあるわね?」
「……えっ?」
「組織の拡張と並行して、拠点を整備しないと」
「……は、はあ」
「そのための資金集めも」
「ほ、ほどほどにね」
この子優秀過ぎないか
「じゃあ……僕らの組織は──【シャドウガーデン】」
「それから君は『アルファ』と名乗れ」
「アルファ……アルバス……アルファ」
そんなに気に入ったのかな
「ねぇ……アルバス?」
「なに?」
「私のことアルファと呼んでほしいの……」
「うん分かった。よろしくね、アルファ。」
「ええ。よろしくね」
アルバスことベルは生まれて初めて自分と同い年には見えない大人びた雰囲気を持つ金髪エルフと握手をした。
後に散々出鱈目なことを吹いたシャドウことシド・カゲノーはお義母さん達にこっぴどく説教を食らいましたとさ
ゼウス「英雄の子孫?ディアボロス教団?何それ?」
アポロン・ファミリアと戦争遊戯することになったら助っ人は誰にするか
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ジミナ・セーネン
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ジョン・スミス
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スタイリッシュ・盗賊・スレイヤー
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アルフィア
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リュー・リオン
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七陰の誰か一人