ベートざまぁ!!、わからせてあげたいを期待してた人
本当にすいません
「ここが豊穣の女主人か」
ベルとシドがダンジョン探索を終えた帰り、背後から何者かの視線を感じ、振り向いたら誰もいなかった。
すると銀髪の町娘に声を掛けられて、店の宣伝を受けた。
シル・フローヴァさん。酒場で働いているそうだ。
ベルもシドも最近懐が潤ってきたので、ここで贅沢しようと外食にした。
店内にはいると、カウンターの中のドワーフの女将さんにヒューマンや猫人やエルフの給仕が料理を運ぶ姿が見えた。全員女性しかいない
「ベルさん、シドさん。」
薄純色髪のウェイターさんが声を掛ける。
「やってきました。」
「はい、いらっしゃいませ。お客様二名はいりまーす!」
シルは腹に力を入れ、大声を放つ
「ではこちらにどうぞ。」
「は、はい………。」
カウンター席。角だった。正面には女将さんがいて、注文の時も目立つことは少なそうだ。
「アンタらがシルのお客さんかい?ははっ、冒険者のくせに可愛い顔してるねえ!」
ドワーフの女将さんは豪快に気さくに話しかける。
「何でもあんたらアタシ達に悲鳴を上げさせるほど大食漢なんだそうじゃないか!じゃんじゃん料理を出すから、じゃんじゃん金を使ってくれよぉ!」
「「!?」」
突然のデマ情報に、ベルとシドはシルの方を見る。
「ちょっと、僕いつから大食漢になったんですか?!僕自身初耳ですよ?!」
「ぼったくりは勘弁してくださいよ」
「…………えへへ。」
「えへへ、じゃないですよ?!」
この女あざとすぎる。流石にアルファたちはこんな仕草はしないぞ。
「それより何か頼もうよ。僕はカルボナーラで」
「じゃあ僕はペペロンチーノで」
注文を済ますと店内の雰囲気を観察する。
テーブルでは厳つい顔の冒険者達が、酒を飲みながら武勇伝を語りあった。
そんな客達の間を給仕達が店の中を慌ただしく行き来する。
そんな見目の良い給仕に、鼻の下を伸ばす男達も結構いる。彼女たちの働く姿を肴にお酒を飲む人もいるみたい。
中には酔っ払いながらボディタッチする人も。
瞬間給仕のエルフさんに返り討ちにされた。
豊穣の女主人の店員の人たちは実は強いんじゃない?
普段は酒場で働いているが、かつては凄腕の冒険者だったり、殺し屋だったり、テロリストだったりするのかな。
友達のピンチにいざとなればすぐに助けてくれる謎の助っ人として現れる。
シドは落ち着いた様子で陰の実力者の妄想を捗らせる。
「御待ちどうっ!」
明るくて楽し気な店の雰囲気を味わっていると、女将のミアさんが両手に一つずつ大きな皿を乗せてドンッと、僕たちの目の前に持ってきた。
「冒険者ってのは、体が商売道具だからね。腹一杯食って力をつけなっ!」
ベルとシドは出された品を味わいながら、談笑をする。
「ニャー! ご予約のお客様ご来店にゃ!」
猫人の店員さんの元気な声で予約していた団体の客が来たと知らせてくる。
扉から美男美女の様々な種族の集団が入って来たのだ。美女率が高い。
すると周りが騒めき始めた。
『おおっえれぇ上玉!』
『バカッ!エンブレムを見ろ!ロキ・ファミリアだぞ!!』
『げぇマジかよ!!』
オラリオ最大派閥ロキ・ファミリア。
団長のフィン・ディムナを筆頭に副団長のハイエルフのリヴェリア・リヨス・アールヴ、金髪の女剣士アイズ・ヴァレンシュタインといった有名な第一級冒険者が勢ぞろいしている。
まさか何度もネームドと会う機会があるとは思わなかった。
「ベルさん、シドさん。ロキ・ファミリア様はうちのお得意様なんです。」
「そうなんだ。」
「よっしゃぁ、ダンジョン遠征みんなごくろうさん!今日は宴や!飲めぇ!!」
赤髪で糸目で関西弁らしき方言の女神様が音頭を取って、そこから【ロキ・ファミリア】の人達は騒ぎ出した。
女神とドワーフが飲み比べをしたり、アマゾネスが小人族の団長にお酒を注いだり、ハイエルフの副団長が行儀良く食事を取ったり、女子の集団が互いに労いの言葉を掛け合ったり、団員たちが酔っぱらった女神の悪ふざけに悪ノリしたり様々だ。
ロキファミリアが宴を始めてから数時間後の事であった。
「よっしゃぁ!アイズそろそろあの話、皆に披露してやろぜ!!」
ロキファミリアの団員であるベートが話し始めたのだ。
「あの話?」
「あれだって、帰る途中何匹か逃したミノタウロスの事だよ!最後の1匹お前が5階層で始末しただろう」
「ベートさん、あれは」
ベートはアイズがミノタウロスを倒したと勘違いしていた。アイズが弁解しようとしたが、ベートはアイズの話を無視した。
「そん時にいたいかにも駆け出しのヒョロ臭えガキどもが。せっかく助けてやったのに礼の一つもなく泣き出してビビッてやがるんの!!それでよ、喚き散らしながらどっかに行っちまって、うちのお姫様助けた相手に逃げられてやんの!!」
「アハハ、そりゃ傑作やぁー!冒険者怖がらせてまうアイズたんマジ可愛いーー‼」
「ぷふっ、ごめんなさい、アイズっ、ちょっと我慢できない」
「……」
ベートの発言にロキ・ファミリアの団員は笑っていた。宴の雰囲気作りに苦笑いする者や駆け出し冒険者の失敗を笑いものにしようとする態度に冷ややかな視線を送る者など様々だ。
「しかしまぁ、野郎のくせに泣くわ泣くわ。見ていて胸糞悪ィ奴だったぜ。だったら最初から冒険者になってんじゃねぇよ」
「……うわぁ~」
「ドン引きだぜ。なぁアイズ?」
「……」
ベートは調子よく話すが、肝心のアイズは何も言い返せないようだ。
「いい加減にしろ。そもそも17階層でミノタウロスを逃したのは我々の不手際だ。巻き込んでしまったその少年に謝罪することはあれ、酒の肴にする権利などない。恥を知れ」
リヴェリアが自分と同じ第一級冒険者の醜態とそれに便乗する団員たちを叱る。
聞いた団員たちは冷静になって、気まずい気持ちになる。
「ゴミをゴミと言って何が悪い!!アイズはどう思うよ?自分の目の前で震え上がるだけの情けねえ野郎を。あれが俺達と同じ冒険者を名乗ってるんだぜ?例えばだ!俺とあのビビり野郎だったら、どっちを選ぶってんだぁ!!オイ!!」
「ベート、君酔ってるね」
フィンが苦笑いしながら、止めに入ったが、ベートはヒートアップした。
「聞いてんだよアイズ!!お前はもしも、あのガキに言い寄られたら受け入れるのか!!そんなはず無えよなぁ!!自分より弱くて軟弱な雑魚にお前の隣に立つ資格なんて無えよな!!他ならぬお前自身がそれを認めねえ!!雑魚には吊り合わねぇんだよ。アイズ・ヴァレンシュタインにはな!!」
「(あれミノタウロスから逃げ出した駆け出しのヒョロ臭いガキって僕たちの事だよね?)」
「(うん間違いない。あの酔っぱらっている人も近くにいたし。)」
本当はミノタウロスを倒したのはベルで、アイズは後からやってきた形になるのだ。
普通大勢の前で勘違いで思い込んでいる他人の失敗を肴に笑いものにしようとする狼人に怒りの感情を抱くのが当然である。
「(むしろ僕たちのこと雑魚冒険者と思い込んでいるのは好都合なんじゃない?)」
「(うん。あの狼人さん。目が節穴で正直助かった。このまま勘違いしてくれればいいんだけど)」
だが、この二人は陰の実力者である。実力を隠し、モブに徹している二人は弱者と罵られようが、それを貫くのである。弱者として見られた方が自分達の活動がやりやすいのである。
あのロキ・ファミリアのレベル5の第一級冒険者だ。
オラリオ最大派閥の幹部が酒の席で、笑いものにしているくらいだ。疑う者はいないだろう。
ロキ・ファミリア側が当分僕らのことを実力者と疑うことはないだろう。
もし、そうなったときはこの酒場の一件を持ち出せばいい。
あの恋愛クソ雑魚狼人さんに感謝の一つは贈りたいものだ。
ベートのあまりの醜態に業を煮やしたフィンたちは力づくで黙らせている。
さらにその騒ぎを聞きつけたミア母さんはロキファミリア達を怒鳴りつける。
「(それにあの狼人さん。剣姫のことが好きなのかな?だけどプロポーズの仕方が酷くない?)」
「(あんな原始人じみた告白、普通の女子だったらまず嫌われるって。)」
「(第一級冒険者が自分より弱そうな奴を引き合いにして、マウント取っている時点でダサいよ。聞いている女の子の方も反応に困るよ。)」
「(だよね~。あれが自分と同じ冒険者を名乗っているんだ。嫌な顔はするよ。)」
陰の実力者になるため、恋愛事も削いできた二人でもこれぐらいは分かる。
「(きっとあれだ。普段あの子に告白する度胸が無いから、酒を飲んだ勢いで酔っ払うことで自分の気持ちをストレートに伝えようとするあれだ。)」
「(愛の形は人それぞれなんだろうけど、相手の行動に一切疑問を抱かなくなるなんて、やっぱお酒の力は怖いなぁ)」
色々とボロクソ言う二人だが、そろそろ退店しようと席を立つ。
一方ロキ・ファミリア達は暴れたベートの説教をしている。
「「ごちそう様でした!!」」
二人は会計を済ませ、店を出る。
「天下のロキ・ファミリアたちの反応を見れたし、今後の陰の実力者としてどう動くかも決まったし!」
「今日はいい気分だ。帰りにその辺にいる盗賊や不良冒険者狩りにいかない?」
夜道を楽しく歩いて、ベルとシドは真夜中の食後の運動に出かけた。
アポロン・ファミリアと戦争遊戯することになったら助っ人は誰にするか
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ジミナ・セーネン
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ジョン・スミス
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スタイリッシュ・盗賊・スレイヤー
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七陰の誰か一人