神の宴
下界にそれぞれ降り立った神達が顔を合わせるために設けられた会合だ。
オラリオに起こった出来事、事件の情報を共有する神々の社交場であるが、くだらないことや面白いことで盛り上がることが多い。
「本日はよく集まってくれたみなの者!俺が!ガネーシャである!!今回の宴も・・・・・」
と今回の宴の主催者ことガネーシャが挨拶をしている。
場所はガネーシャ・ファミリアの本拠、【アイアム・ガネーシャ】だ。
像の形を建物だが入り口が胡坐をかいた股間の中心なのだから構成員達の間でも不評らしく、彼等彼女等は泣く泣くこの建物を出入りしているらしい。
暇を持て余した神様たちが発信するオラリオ中の最近のニュースや噂が流れ巡る。
「知っているか。ついこの間、オラリオに出店した百貨店が限定フェアをやっているんだって!!今度一緒に行こうぜ!!」
「確かオーナーが黒髪ロングのエルフだっけな。めっちゃ美人だったぞ」
「ナツメ・カフカ先生の新作が明日発売だ!それとオラリオにサイン会を開く予定だぞ!!これは行くしかないだろ!!」
「銀髪巨乳眼鏡エルフは至高!!」
「シロンのコンサートが近々開かれるのよ。見に行かない手はないわ」
「彼女のスタイルが羨ましいわ。どうしたらあんな風になるのかしら。」
オラリオに有名人が来るのか、みんなテンションが上がっているようだ。
「僕のような貧乏ファミリアには縁の無い話なんだけどね。」
ヘスティア・ファミリアは結成したばかりの新興派閥だ。
娯楽に回せる余裕は無いのだ。
ヘスティアは身長で届かないので、給仕に頼んで台を持ってこさせ、テーブルの奥の料理をタッパーに詰めている。
「あッ、ヘファイストス!」
現れたのは右目を大きな眼帯で覆った女神、ヘファイストス。真紅なドレスを身にまとっている。
「ええ、久しぶりヘスティア。元気そうでなによりよ。………もっとマシな姿を見せてくれたら、私はもっと嬉しかったんだけど。…言っておくけどお金はもう一ヴァリスも貸さないからね?」
「し、失敬な!ボクがそんな神友の懐を食い漁る真似なんかするもんか!そりゃあヘファイストスには何度も手を貸してもらったけども…今はおかげで何とかやっていけてるさ!」
「たった今、目の前でただ飯を食い漁って挙句持ち帰ろうとしてるじゃない」
「うっ…、いや、これは、どうせ残るんだし…、持って帰って食べさせてあげようかと…」
「ほーほー、立派ねそのケチ臭い精神。わたしゃあ、アンタのそんな姿に感動して涙が止まらないわよ」
「ぐぬぅ………」
ヘファイストスはついこの前まで、ニートだった神友の図太さに呆れた。
「ふふ………相変わらず仲がいいのね」
「え…フ、フレイヤ?」
「あら、お邪魔だったかしら、ヘスティア?」
目の前に現れたのはフレイヤ。容姿の優れた神達の中でも群を抜いており、その美貌に魅了された男神、下界の子たちは数知れない。
ロキ・ファミリアと同じくオラリオ最大派閥のフレイヤ・ファミリアの主神でもある。
「ボク、君のこと苦手なんだ」
「うふふ、貴方のそういうところ、私は好きよ?」
処女神と美神。相反する神性なのかヘスティアはフレイヤのことを好意的に見れないのだ。
「おーい!ファーイたーん、フレイヤー、ドチビー!!」
ヘファイストスとフレイヤ、ヘスティアが話しているにさらに現れたのはロキ、朱色の髪と糸目ながらもその下にある朱色の瞳の女神。
オラリオ最大派閥とオラリオ鍛冶系ファミリアの主神が揃う中、零細派閥の主神が一柱いるのは場違いだが、そんなことお構いなしに会話を続ける。
「なんだロキじゃない」
「何しに来たんだよ」
「かーーっ、理由がなきゃ来ちゃあかんのか?まじKYやん、このドチビ」
「あ゛?」
出身は離れているヘスティアとロキだが、その仲の悪さは神々の間でも有名だった。
下界で会ったときから眷属を持たないヘスティアを馬鹿にしたことから始まった。
あともうひとつの原因は一目瞭然。ロリ巨乳とロキ無乳である。
周囲にいる男神たちが煽り立てる。
「ドレスなんて珍しいわねロキ。いつもは男物の服なのに」
「フヒヒ、それはなファイたん。どっかの貧乏神がドレスも着れないのに大慌てでパーティーお準備してるって小耳にはさんでな……思いっきり笑ってやろうと思ったんやぁ、なぁ?ドチビィ?」
「「「(ウゼェー)」」」
三柱同じく心の中で思う。
「そのためにわざわざ笑いものになるとは滑稽だ。なんだい?その見ていて悲しくなる絶壁は‼」
「グフッ‼‼」
「おまけに登場の仕方もフレイヤの二番煎じだったじゃないか?」
「ゲハァッ‼‼」
「ひょっとしてパーティーを盛り上げに来たお笑い芸人さんなのかい?ならチップは期待するといいさ‼君の存在自体がギャグだからね!いるだけでネタを振りまいているんだから!」
「うがああああああ‼‼」
ヘスティアの容赦ない口撃にダメージを受けるロキ。
半泣きになりながらヘスティアの頬を掴み、引っ張るロキ。
抵抗するヘスティアだが、残念ながら一部を除いて幼児体型の体では手も足も出ずに抵抗は空を切った。
ロキの手が縦横無尽に動き、ヘスティアも手足をバタバタと暴れさせる。
ヘスティアの双丘が上下に揺れ、ロキは直視する。
「コヒュッ!……ヒュー、ヒュー、き、今日はこの辺にしてやるわ……」
持つ者と持たざる者の格差をまざまざと見せつけられたロキは既に瀕死だ。
ワナワナと体を震わせてその場を離れる。
「今度会うときはその貧相なものを視界に入れるんじゃないぞ!」
「うっさいわボケェ……」
さらにロキに追い打ちをかけるヘスティア。
ついに会場から飛び出したロキの目元にはとめどない涙があった。
「丸くなったわね、ロキ……」
「ただのやられ役にしか見えないんだけど……」
「下界ここに来る前までは暇つぶしのために、どこかの神達に殺し合いをけしかけていたのよ?今の方がずっと可愛いわ。何より危なっかしくないもの。ロキは子供達が大好きみたいね。だからあんな風に変わったのかもしれない。」
「………甚だ遺憾だけど、まぁ、子供達が好ましいっていうのはボクもロキに賛同してあげるよ。」
「へぇ、前まで『ファミリアに入ってくれなくて子供達は目がなーい』、なんて言ってたくせに………貴方のファミリアに入った子たちのおかげ?」
「ふふん、まぁね。ボクにはもったいないくらい、すごく良い子たちだよ。」
ヘスティアは初の眷属二人について聞かれたことに鼻が高くなる。その二人は他人には理解しがたい目標を持っているため、叶えるために零細派閥を選んだという理由があるが、それでも自分を選んだことを嬉しく思う。
「確か、白髪の赤い目をしたヒューマンと黒髪のヒューマンの二人だっけ?【ファミリア】ができたってあんたが報告しに来た時は驚いたなぁ………。しかも二人同時に勧誘だなんて。」
ヘファイストスがあのぐーたらヘスティアがつい最近ファミリアを結成したことに感慨深くなる。
笑みを浮かべてそれを聞くフレイヤ。
「……それじゃあ、私はもう行くわ。」
「え?もう帰るの?まぁ!まだ来たばかりじゃない」
「ええ、今日は探し物に来たのだけど、もうそれは見つかったみたい。」
そういうとフレイヤは立ち去った。
今ここに残っているのはヘスティアとヘファイストスの二柱だけ。
「……で、あんたはどうするの?私はもう少しみんなの顔を見に回ろうかと思うけど、帰る?」
この言葉に、ピクっと反応。ヘスティアは当初の目的を思い出したからだ。
「もし残るんだったら、どう?久しぶりに飲みにでもいかない?」
「う、うん、えーとっ………。」
ヘスティアは口ごもるが、今日神の宴に来た目的を思い出し、口を開く。
「ヘファイストスに頼みたいことがあるんだ!」
「……一応聞いておいてあげるわ。な・に・を、私に頼みたいですって?」
また、金を貸してくれと言うんじゃないかと考えて、険しい顔になる。
「実は…ボクのファミリアの子達に、武器を作ってほしいんだ!」
アポロン・ファミリアと戦争遊戯することになったら助っ人は誰にするか
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