6日後、放課後、第三アリーナ、土下座した2人、その前に立つ修羅、呆れ果てる俺。
状況は混沌だった、邪神が出てもおかしくな・・いや、仁王立ちしてる修羅こそ邪神なのかもしれない。
「詩乃崎、余計な事を考えなかったか?」
ヤバい絡まれてしまう、何とかしなければ。
「いえ、自分にも責任の一端がありますが・・・・これは予想外だなぁっと」
「ふん、まあいいだろ・・・・それよりも今はこのバカモノ共が先だ」
土下座した状態でも2人が怯えで身体が強張るのが分かる。
「「すみませんでしたぁ!!」」
この2人、名を織斑一夏、篠ノ之箒という。
何をしでかしたかと言えば最後の夜の特訓でド深夜まで寮の中庭で特訓していやがった。
それだけでも寮長である修羅あらため邪神の千冬さんが怒るのは自明の利。
それだけに止まらず2人揃って大寝坊をかましやがった。
クラスは同室である2人同時に授業に来ない為、駆け落ちをしたのではないかと噂がたち。
IS学園の上から下まで大混乱に陥り授業にならないと苦情が起きた。
騒動が何とか落ち着いた4限目の始めにボロボロになった2人が千冬さんに連行されて来た。
反省と書かれた紙を背中に貼りながら土下座する2人の姿は憐れではあったが同情はしない。
それよりも関係各所に説明をしなければならない千冬さんに同情してしまう。
「反省文20枚だ、明日提出しろ・・・・遅れる事は許さん」
完全に人を殺す目になっています、2人とも顔を上げずに返事をし千冬さんは上のピットへ向かった。
あの状態の千冬さんと少しの間とはいえ2人きりになる山田先生・・・・俺が行くまで頑張って下さい!
心の中でエールを送りながら目の前のバカ2人に話しかけた。
「おい、そこのバカモノ共・・・・こっち向け」
2人して正座したまま俺を見た。
「少なくとも篠ノ之さんはしっかりしてると思ったけど一夏との稽古で舞い上がってた?」
「う・・・・一生の不覚・・・・すまない」
「俺が頼みこんで特訓をしてもらったんだ、箒は悪くない俺の所為なんだ!」
「違う、戦いの前の日もしくは夜は明日に備えて休むのが常識だ。お前ならまだしも剣道をしていた篠ノ之さんがその事を知らない訳がない」
一夏が庇おうとするが俺からすれば同罪である、一瞬で切り捨てると篠ノ之さんは更に落ち込んでしまった。
「すまない、本当にすまない」
「反省してるならいいよ、じきに一夏の専用機が来ると思う・・・・一夏」
名前を呼ぶと一夏は俺を見て次の言葉を待った。
「勝て、変に気張る必要はない。全ての要素でオルコットさんに負けているが・・・・それくらい引っくり返せるだろ?」
「もちろんだ!何とかしてみせるさ!!」
挑発とも取れる笑いを一夏に向けたがアイツは気合いのある返事をした。
その言葉を聞き先生達が居るピットに入ると邪神と怯えた子犬がいた。
「山田先生、織斑の専用機が来ましたよ。下にいるあいつ等に教えてやって下さい」
「は、はい!織斑君!織斑君!来ました、織斑君の専用機!!」
その後、一夏はすんなりと白式を纏いアリーナの中まで飛び出した。
「勝てますかね?一夏の奴・・・・」
「ふん、知るかあんなバカモノ・・・・」
まだ少し怒っているが心配なのか声に覇気が無い。
「・・・・変わらないですね、昔から一夏を想う気持ちは・・・・嫉妬しちゃうなぁ」
「・・・・・・・・うるさい・・・・・・・・」
山田先生は一夏とオルコットさんの試合に夢中になっている。
過去を悔いるかの様な千冬さんの顔には誰も気が付かない。
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「まったく、あそこまで持ち上げてこの結果か、大馬鹿者」
「まだシールドエネルギーが半分はあった筈なのに、白式のふぁ、ふぁーすとしふと?っていうのが終わったら急にエネルギーが減っていったんだよ!」
一夏は負けた、皆が驚くほどオルコット相手に互角以上に渡り合ったが調子に乗った所にミサイルを受けた。
普通なら多少ダメージを負う程度で済み、まだ戦闘を続けられた筈だ。
長期戦にして上手くいけば接近戦に持ち込めただろう勝機もあったはずだ。
だが、どんどんエネルギーが減っていき何とか接近して一太刀入れかけた所でブザーが鳴り、一夏は負けた。
「まっ、しょうがないよ一夏、敗因は機体の特性とも言うべきものだし気にする必要ないよ」
「くそ~・・・・次は四季の番だよな!頑張ってくれ!!」
「はいはい、ちょっと待ってねぇ・・・・」
訓練機である打鉄を纏いコンソール画面を開き眼鏡をかざした。
__コアネットワークに接続、上位意思により使用制限を解除します__
コンソールにそんな言葉が表示されたが誰も見えていない。
「う動いている・・・・詩乃崎君も動かしていますよ!織斑先生!!」
山田先生が興奮しながら千冬さんに話しかけている。
「ほう、山田先生もお疑いになられていたんですね?」
「あ!いえ・・・・その目の前で新たな男性操縦者の誕生を見ると・・その・・・・」
「織斑先生、山田先生を苛めてないで俺に何か言う事はないですか?激励とか」
「無い」
たった一言、その言葉に笑いながらカタパルトから射出された。
空中に停止すると前方に補給済みのブルーティアーズを纏ったオルコットさんが居た。