IS もう1人の俺は戦争屋   作:悠連

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優しい?

 

「・・・・っ!」

 

腹に銃弾を受けて目の前で膝から崩れ落ちたガキが歯を食いしばって跳ね起きた。

 

その勢いで下から首を刺そうとした扇子を持っている右手を左手で外にズラし、互いに触れ合う程の距離まで接近し左手の銃を顎に突き付け、右手で相手の左手を止めた。

 

「止めときな。せっかく拾ったその命、散らす事になるぜ」

 

「くっ・・・・ISスーツを着ていると分かっていたのね・・・・」

 

ガキは手心を加えられた事を理解したのか苦虫を噛んだような顔をしている 。

 

「そりゃな、そんな便利なモノを"裏"を知ってる奴が着ねぇ訳ねぇだろ」

 

「なら、何故まだ私を生かしてるの?」

 

「くくく、言ったろ?四季は優し過ぎンだって」

 

ガキは言った意味が分からないのか顔をしかめるが少しするとハッとした。

 

「まさか、あの子も手加減していたというの?」

 

「その通りだ、テメェを無傷で捕えようとしてた、だからテメェの身体を気遣って早く離れたんだよ」

 

あの時、関節が決まり左を無理に動かしていたらガキは肩を痛めていただろう。

 

「でも、何で・・・・」

 

「そっからは本人に聞きな」

 

既に身体の半分は四季に奪われているので抵抗を止めるだけで代わった。

 

「だ、大丈夫ですか!?いくらISスーツを着ていると言っても銃弾を受けたんですから!」

 

「え、ええ?心配無いわ、少し意識を失くしかけただけで・・・・」

 

先輩は急に"代わった"事に驚いたのか狼狽しながらも答えた。

 

「それだけですか?アリーはやり過ぎる所がありますから」

 

「大丈夫よ、それよりも何で手加減したの?」

 

もう先輩に戦う意思はないが俺から視線を離さない。

 

「・・・・はぁ、分かりましたよ。・・・・一目見た時から貴女が・・・・」

 

「・・・・え?まさか・・・・ちょ、ちょっと待って・・・・!」

 

身体を向き直して一息ついて先輩の目を見つめると何故か顔を赤くして狼狽し始めた。

 

「簪さんのお姉さんだと分かったからです、雰囲気は全然違うけど2人の共通点が多いですし」

 

「え、あ、うん・・・・そうか、そういう事か・・・・」

 

先輩の反応が急に冷めるのを見て、ふつふつと怒りが湧いてきた。

 

「そんなに嫌ですか?自分よりも劣る妹と似ているって言われるのが・・・・」

 

「っち、違う!そんなことない!少し自分に嫌気が差しただけで、簪ちゃんと似ている事は凄く嬉しいわよ!!」

 

慌てて取り繕ったが言葉に嘘偽りはなかった。

 

「でも・・・・私に追い付こうと自分を追い詰めていたあの子の姿は見ていられなかったな・・・・」

 

そう言う先輩の顔は悲しそうだった。

 

「・・・・ごめんね、いきなり攻撃したのは嫉妬していたからだと思う・・・・・・・・だって、私には何も出来なかったから・・・・」

 

悔しさで先輩の顔が歪む、確かに前の簪さんの精神状態では先輩が何を言っても無駄だったかもしれない。

 

「貴方と一緒に居る簪ちゃんは良く笑うのよ、私の隣では見たくても・・・・させてあげられなかった笑顔だったわ」

 

こういう時は黙る、一度決壊した感情のダムは勝手に全部吐き出してしまうから。

 

「何で歪んだのかしら・・・・望んでないのに、勝手に、いつの間にか、歪んじゃってた・・・・」

 

感情の決壊は無意識の内に身体に反応を起こす。

 

「どう・・すれば・・・・良か・・たの?わた・・しは・・・・どう・・すれば・・・・」

 

「たらればを考えても意味は無い、それよりも今と未来を考えろ」

 

残酷かもしれない、非情かもしれない、だけどハッキリと言うべき事だ。

 

「過去を悔むのは別に良い。だが、過去の所為にして今と未来をないがしろにするなよ・・・・それくらい分かっているんだろ?」

 

先輩は黙ったまま俯いた。

 

「簪さんは変わってきている、変わろうとしている・・・・先輩はどうするんですか?」

 

また傷つけない様に傷つかない様に距離を取るのか、傷つけても傷ついてもいいから距離を縮めるのか・・・・口には出さない。

 

「助言はしない、助けもしない、今まで逃げてきた貴方への罰です。せいぜい悩み苦しんで下さい・・・・望む結果が得られる様に・・・・」

 

先輩に背を向けて歩き出すと後ろから声を掛けられた。

 

「言ってた程、優しくないのね」

 

「アリーが何を言ったかは知りませんが"俺"は優しくないですよ」

 

千冬さんの頼まれ事を解決しないとなぁ、と考えながら歩を進める。泣いていた女の人を置いて。

 

______________

 

 

「げ・・・・」

 

「何が"げ"だ、こっちが言いたいよ・・・・」

 

正面ゲートに来たのは黒い髪をツインテールにしている容姿も雰囲気も猫の様な奴。

 

「千冬さんの頼み事ってお前の案内役とは・・・・久しぶり、鈴」

 

つい一年くらい前まで一緒に居た昔馴染み、名前を凰・鈴音という。

 

「か、考えてみれば変よ!何でアンタが此処に居るのっ!?」

 

「やっぱり情報を押さえていたか、あの2人は・・・・」

 

千冬さんと束さんが頭に浮かんだ。

 

「えっ?何?まさかアンタもISを使えるの?」

 

「まあね、それよりも案内役が一夏じゃなくて悪かったね」

 

「う、うううるさい!!ああアンタには関係ないでしょ!!」

 

ギャーギャーと騒ぐ鈴を連れて事務所まで歩いた。

 





結局、先輩の名前が出なかったなぁ。いつか必ずフォローはしますので許して下さい!
そして、ついに鈴が登場!!
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