___鈴視点___
誰かが言ってた。
一夏の優しさは分かりやすい、ソレは無意識の内に誰かから一夏自身を守るモノでもあり、人をダメにする優しさだから。
四季の優しさは分かりにくい、ソレは自分の意思で誰かの為に四季自身を傷つけるモノでもあり、人を変える優しさだから。
多くの人は一夏を好意的に思うだろう、人は無意識の内に自分を守るから、自分を守る為に相手を傷つけないように優しくするからだ…
多くの人は四季に嫌悪感を抱くだろう、人は自身が傷つく事を恐れるから、自分を傷つけるのも相手を傷つける事もいとわないからだ。
しかし、自分が変われる事が出来たら四季の優しさに気が付くだろう、愛おしく思うだろう、感謝の念を覚えてるだろう、そして哀しく思うだろう。
自分が傷ついても相手の為の優しさは多くが気付かれず無駄に終わるから。
傷ついた事すらも多くの人には気付かれないから。
だから、一夏よりも四季は優しい。人としてズレているほど優し過ぎる。
子供の頃のアタシはその言葉の意味が分からなかった、だから一夏が好きだった。
アタシを守ってくれる、助けてくれる、一緒に居てくれる、だから一夏が好きだった。
その時の四季は付かず離れずでアタシ自身から何かしないと何もしてこなかった。
だから子供の頃のアタシは四季の事がよく分からなかった。
だけど両親が不仲になり中国に帰る事になり泣いていると初めて四季から話しかけてきた。
変わり続けろ、考え続けろ、自分の望む結果が得られる様に。
その時の言葉を聞いてアタシは四季の事を分かった気がした。
四季は相手に何かしてあげるのではなく、相手が自身で何かする事を・・・・強くなる事を望んでいると。
アタシは中国に帰ってから頑張れば頑張るほど四季に感謝した。
頑張るのは自分だ、更に強くなる為には自分で考えなければならない、自分で何かしないといけない。
まるで四季と接していたみたいな感覚を思い出しながら、アタシは大勢の人を抜き中国の代表候補生になるまで強くなった。
ある日、テレビで世界初の男性操縦者が見つかったニュースを見て鼓動が止まった気がした。
アタシの好きな人がテレビに映っていたからだ。
この一年ほとんど頭に浮かばなかった顔だが、久しぶりに見て鼓動が早くなるのを感じた。
すぐにIS学園に行く為に関係者を脅すとアッサリIS学園行きが決まった。
自分の望む結果が得られる様に、また私は四季に感謝していた。
変われたから、強くなったから、望む結果が得られるから。
期待を胸にIS学園に向かう途中、連絡で君の知り合いが案内役をすると入り、一夏だと思っていたがゲートにいたのは四季だった。
頭が現状を理解できず、つい憎まれ口を叩いてしまったが、ずっと思っていた事は違った。
しかし、どっちにしろ何処か恥ずかしくて本当の事は口に出せなかった。
久しぶりに一夏の姿を見た、やっぱり懐かしさで胸が一杯になったが頭の何処かで違和感を覚えていた。
どうして四季と会った時には懐かしさを覚えなかったのかは分からなかったから。
放課後、一夏の訓練をねぎらう為に差し入れを持っていき一夏と二人きりになったが何故か話に挙がるのは四季の事ばかり、だが四季が専用機の開発を手伝っていると聞いて嬉しくなった。
アイツも言葉通り変わり続けたんだと思って。
その後、一夏が女の子と同室と聞いてアタシは急に怖くなり約束の事を覚えているか聞いた。
__料理の腕が上達したら、毎日アタシの酢豚を食べてくれる?__
幼い頃の口約束だったがアタシにとっては告白と同じ意味だった。
だけど一夏は意味を履き違えていた、中学の時に一夏に告白した子が泣いていたのを思い出した。
泣かせている張本人の一夏がその事に気付いてないのにカッとして一夏の頬を叩いていた。
部屋からでた後、アタシは自分に嫌悪感を抱いた。
告白して泣いている子を見てアタシが思っていた事を思い出し、そして叩いた後に言った言葉にも吐き気がした。
次の日、アタシは何も考えないでラーメンを食べていると前の席に四季が座った。
四季にからかわれると素に戻るが、やはり四季は優しくない。
隠し事は無駄と悟ってアタシは全てを話した、思った事、思っていた事、自分に抱いた嫌悪感すらも。
アイツは人なら当たり前の事だと言った、本当の事かもしれない・・・・だけど自分に抱いた嫌悪感も本物だ。
「覚えてるか?変わり続けろ、考え続けろ、お前の望む結果が得られる様に」
もちろん覚えている、その言葉を胸にして頑張った結果がコレだ・・・・と愚痴ってしまった。
「・・・・なんだ、結局お前も俺の言葉の意味を履き違えてるじゃねぇか・・・・」
その言葉を聞いたけど理解できず否定された気がした、そして試合の後で答え合わせしようと言ってアイツは歩き出し振り向きもしなかった。
試合当日、私は答えが分からないまま空中で一夏と向き合うと一夏からプライベートチャネルが開いた。
「鈴、俺は誰が傷つくのを見たくない。手の届く範囲で誰かが傷ついているのは助けてきたつもりだ・・・・そして、俺が誰を傷付けたのか分からないんだ」
一夏ならそう言うと思ってた、本気で分からないんだろう自分が何をして人を傷つけているのか。
一夏の優しさは人をダメにする、誰かが言ってた言葉を思い出した。
「でも、目の前で鈴が傷ついたのは分かった・・・・だから!この試合で俺が勝ったら教えてくれ!頼む!!」
本気で呆れた、アタシが当たり前の様にやってきた自分で考えるや、自分で変わる事をしない一夏に対してだ。
その時、その事が四季の言葉の意味を解く鍵になりアッサリと答えを理解した。
そして自分自身が変わった事を自覚した。
すると、やけに可笑しくなり笑いが出た。
「フフフ、いいわよ!アタシに勝つ事が出来たらね!!」
こんな時、四季なら絶対に勝つ。だから優しくないって思われるんだ。
アタシは誰かが言ってた事を全て理解できた。
理解したらどうなるかも・・・・今、実感してる・・・・
そして一夏を一方的に追い詰めていたが不意の《瞬時加速》で距離を詰められた瞬間、アリーナの遮断シールドを貫いて全身装甲の黒い機体が現れた。
何とか一夏と連携して戦うが黒い機体は何かを待っているのか守りに入って時間稼ぎをしている。
不意に一夏がアレは無人機じゃないかと言い、無人機なら勝てるから手伝って欲しいと言った。
アタシは否定できず一夏を手伝う為に龍砲を溜めていると篠ノ之っていう子の声が響いた。
黒い機体は待っていたと言わんばかりに篠ノ之さんに遮断シールドを貫いたビームを使おうとした。
慌てて止めようとしたが一夏が目の前にきて撃つ事が出来ない。
どきなさいよ!いいから撃て!一夏とそんな問答をしてる間にビームが放たれた。
一夏が何か叫んでいるが、そんなことよりも誰かが篠ノ之さんを後ろに引っ張り身体を入れ替えた人を見た。
それは四季だったように見えた、呆然としたアタシは溜めていた龍砲を一夏の背中に撃ってしまった。
一夏は衝撃砲をエネルギーに換えると機体が金色の光に包まれ黒い機体に斬りかかった。
その後、呆然としていると一夏に斬られてセシリアって女の子に撃たれた黒い機体が再び動き出した。
篠ノ之さんが居た場所に向かおうとする一夏に右手の銃口を向けた瞬間、右手首が斬り飛ばされた。
黒い機体までもが呆然とする中、紅い光の粒子を放つ小さく白いモノが次々と黒い機体に襲いかかった。
まるで血の味を覚えた獣達の牙に喰い散らかれる様にバラバラになり最後に残った頭は紅いビームに焼き尽くされた。
少し掛け足過ぎましたか?
最後にファングが出ました!
はたして誰が動かしたのか?
まあ、バレバレですよね・・・・