何とか今日中に投稿出来た
まだ話が進まない、初めて触れたなこの人に
___箒視点___
「箒っ!!」
後ろから私の名を大声で呼んでいる一夏の声じゃない。
一夏は目の前に迫る光の向こう側にいる、必ず黒い機体を倒す筈だから。
でも迫る光は私の命を容易に奪うだろう、そんな感覚すら曖昧な中で私の名を呼ぶ声はやけに頭に響いた。
その声の主を確かめようと後ろを振り向く前に私は襟首を掴まれて後ろの人と位置を入れ換わる様に振り回された。
振り回されながらも見つけた顔は詩乃崎四季だった、そして私は光に目が眩みゆっくりと意識を失った。
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私はISに嫌悪感を抱いている、いや憎んでいると言ってもいい。
平穏を、日常を、時間を、全て奪われたから。
だから、私はISを作った姉さんが嫌いになった。
そんな姉と昔から親しかった詩乃崎が苦手になった。
記憶で一番古いのは一夏が男子生徒から苛められていた私を守り男子生徒を殴った時だ。
当然、苛めていた男子生徒の母親たちが抗議を挙げて千冬さんが職員室に呼び出された。
その時、詩乃崎は目に光が無く__いらない__と言うとその場を離れた。
数日後、苛めていた男子生徒達が全員転校する事になった。
なんでも全員の親御さんに不幸があったらしく施設や親戚の所に引き取られるからだと先生は言っていた。
その時の私は意味が分からず、単純に悪い事をしたのだからバチがあたったのだと思い喜んでいたが詩乃崎だけは無表情のままだった。
その時からだ、姉さんと親しくなって私とも親しくなった。
そして姉さんの何かを手伝い始めた、今になって思えばソレがIS開発の手伝いだったんだろう。
しかし詩乃崎は小学二年生だ、難しい事は分からないだろう。だから朝早く姉さんを迎えに来て夜遅くに姉さんを家に送ってから帰る。
分かりやすく言えば、姉さんの生活の手伝いをしていたのだろう。
学校もよく休んでいた、先生も心配して手を尽くしたが詩乃崎は変わらなかった。
そして小学四年生の時、ISが発表された。
ISの圧倒的な性能を誰も信じなかったが2人は嗤っていた。
__計画を始めよう__
その言葉の後『事件』が起きた、世界中を巻き込んでのISのお披露目ショーだ。
世界中のミサイルがハッキングされ日本に向けて発射、それを一機のISが全て無力化、ソレを観測または強奪しようとした軍すら無力化、たった1日で世界はISに敗北した『事件』はIS至上主義にするには十分過ぎた。
そして、私の幸せな日常を破壊するのも十分過ぎた。
それから私は姉さんが嫌いになり、詩乃崎が苦手になった。
入りたくなかったが政府の命令でIS学園に入る事になったが嬉しい事が起こったのだ。
世界初の男性操縦者が見つかった、織斑一夏・・・・その名前を見た時、私は歓喜で心と身体が震えた。
だが、IS学園に入学して私は驚愕した・・・・織斑先生に連れられて来た二人目の男は詩乃崎だったから。
私は困惑したが、詩乃崎は自ら私に関わろうとせず、一夏と私に配慮してくれた事は嬉しくて素直に感謝した。
だけど私は段々と詩乃崎に気を使われている事に息苦しさを感じていた、古くからの知り合いなのに他人行儀な所とかが嫌だった。
しかし、私と詩乃崎の中は変わらない。どのように接すればいいのか分からない、苦手になった所為で昔の事も思いだせず詩乃崎とどれくらい親しかったのかも分からないからだ。
詩乃崎は自らは関わらない、これは今の関係を続けるには楽だが変えようとすれば厄介だと思った。
なにせ詩乃崎が私の事をどう思っているかが分からない、もしかしたら私の事が嫌いなのかもしれない。
そして何よりも、私自身が詩乃崎の事が苦手で接し方が分からないのが大きかったから。
だから、私の名前を呼んだのが誰か分からなかった。
意識を取り戻すと何かが焦げた様な匂いが鼻をついた。
誰かが覆いかぶさっている様で視界は暗いままだ。
私は記憶が混濁して何が起きたか思いだせなかったが何とか身体を抜け出すと身体が固まった。
服が焦げて破れ焼けついた背中が目に入ったから、先の焦げた様な匂いはコレかと頭が認識する前に膝の上にある顔を見た。
詩乃崎だった、私は一瞬で記憶が整理されて何が起きたか理解した。
私は一夏を心配するあまり激情に身を任せ、無防備な姿を黒い機体の前に晒しビームを撃たれた。
それから私を庇ったのが詩乃崎だ、だから詩乃崎は重傷で倒れている。
私は本当に色々な事が頭をよぎった、詩乃崎は私の事が嫌いなんかじゃなかった庇ってくれるくらいだ、私が詩乃崎を避けていただけじゃないか、私の軽率な行動の所為なのに何で詩乃崎が倒れているんだ、全て全て私の所為で・・・・
「あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
「うるさい、叫ばないで」
そんな場違いな声が耳に入った、気付かない内に出ていた声は一瞬で止まった。
「・・・・・・・・え?え?し、詩乃崎っ!?だ、大丈夫なのかっ!?」
本当にゆっくりと身体を起こした詩乃崎は疲れた顔をしていた。
「これが大丈夫に見えるか?ああ、背中よりも頭が痛い・・・・すぐにアリーに"代わって"眠りたい・・・・それと篠ノ之さんは大丈夫?」
本当に背中に火傷を負っていたのか自分の目を疑うほど詩乃崎は普通に対応している。
「あ、ああ、詩乃崎のおかげで何ともない礼を言う」
「そっか、まったく次からは軽率な行動は控えてよね篠ノ之さん」
「うぅ・・・・本当にすまない・・・・それと箒でいい、助けてくれた時みたいに名前で呼んで欲しい・・・・出来るなら気を使わないで欲しい・・・・昔みたいな関係に戻って欲しい・・・・虫のいい事だとは自覚している、だけど私から動かないとダメだと分かったから・・・・」
呆れられるかもしれない、否定されるかもしれない、拒絶されるかもしれない、でも今ここで言わないと私は2度と詩乃崎との中が変わらない気がしたから。
「・・・・うん、分かった。これからは昔みたいに箒って呼ぶね、そして俺の事も四季って呼んで昔みたいにさ」
私は嬉しくてただ頷く事しか出来なかった。