あの後、医療班が到着して集中治療室に運ばれている途中で四季は気絶した。
ここまで大げさにする必要はねぇが、今は医療室のベッドの上で四季は寝ている。
音も無く誰かが部屋に入って来た、ここまで気配を消せる奴は俺が知る中じゃ1人しかいねぇ。
そいつは寝ている俺達に近づいてゆっくりと頬を撫でた。
その手を掴み一気に起き上がろうとしたが掴んでない方の手で身体の一部を押すだけで起き上がれなくなった。
「全治1カ月、絶対安静で全身麻酔が残ってる筈なんだがな」
「なるほどなぁ、だから身体に力が入りずれぇのか」
目の前には千冬嬢ちゃんが呆れながら立っていた。
俺は上半身と右腕が包帯で巻かれていた、どうやら背中だけじゃなく右腕も火傷をしていたらしい。
「お見舞いにきて悪ぃが四季は起きねぇぜ、死を見ていたらしいからな」
「言われなくても扉が斬り裂かれていた時点で分かっていたさ」
「ククク、ならどうした?まさか"俺"のお見舞いに来た訳じゃねぇだろ?」
「その通りだが、何か悪いのか?」
真顔で身じろぎ一つせずに言い切りやがった。
「・・・・っく、ククク・・・・ッハハハハハハハハ!!こりゃ一本取られたぜ!・・・・いいだろう、1つだけ嬢ちゃんの質問に答えてやるよ」
千冬嬢ちゃんは少し考えてから何かを覚悟して口を開いた。
「あの時、一夏の誘拐事件の時に一夏を助けて、私が助けたと思っていた一夏を殺し、私と戦ったのはお前か?それとも四季か?」
おそらく、黒い機体を喰い散らかしたファングを見て気が付いたんだろう。
「あん時、嬢ちゃんが助けたモノを殺したのは俺だ」
嬢ちゃんの顔がホッとしたのか緩んだ、が話はまだ続きがある。
「だがなぁ、嬢ちゃんが殺そうとしたのは四季なんだよ」
そうであって欲しくねぇと思っていた事実なのか嬢ちゃんは顔を青ざめた。
「何を気にしてるのか分かんねぇが、四季の奴が嬢ちゃんに何かしたか?あの後、少し接し方が変わっただけだろ?恨み事か何か言ったか?アイツは気にしちゃいねぇんだよ、殺されかけた事すら当然の反応だって笑っていやがった」
その笑いがどんなモノだったかは俺しか知らねぇがな。
「・・・・そうか、だからか・・・・私もまだまだガキだな・・・・」
「自分がガキだって言う奴はガキじゃねぇんだよ」
「いや、四季に比べたらって言葉が抜けてたな」
「知ってんだろ?アイツはズレてんだよ、人としてな」
「だな、痛感したよ」
そう言って嬢ちゃんは部屋を出て行った。
「ああ、ホントに面白ぇ奴だよ・・・・」
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突然とんでもない殺気を感じて飛び起きた。
周りを見ると俺が寝ていたベッドの傍に簪さんと鈴がいた。
どうやら殺気の発生源はこの2人らしい、いや鈴が一方的に垂れ流しているらしい。
俺が飛び起きた事すら気が付かずに互いを気にしている。
2人をその場に俺は逃げ出す事を決意。
音はもちろんの事、存在感すら周囲に溶け込むようにして部屋を出た。
扉を閉めると部屋の内線が鳴り出した。
どうやら医療器具を身体から外したのがバレて誰かが電話を掛けたのだろう。
そそくさと此処から離れると2人のデカイ声が建物中に響いた。
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眼鏡を掛けて通信記録を見ると山ほど束さんから連絡が来ていた。
屋上に行き、誰も居ない事を確認してから束さんに通信するとワンコールの途中で通信が開いた。
「シっくん!シっくん!シっくん!!良かった無事だったんだねっ!!」
画面一杯に束さんの顔が映し出された、3Dでもないのに飛び出してきそうだ。
「すみません、不測の事態の時は宜しくって言われながら油断しました」
「ううん、シっくんは悪くない。それよりも・・・・ありがとう、私の妹を守ってくれて」
束さんは微笑みながら感謝を口にした。
「くーちゃんにも大丈夫だと伝えてくれませんか?」
「ふっふっふ~、それなら横で聞いてるから大丈夫だよ~、ほらくーちゃん」
束さんが横からくーちゃんを抱え上げて画面に入れた。
「し、四季様!ご無事でなによりです!」
「心配いらないよ、知ってるでしょ?俺は生まれる前から丈夫だって決まっている事を」
言うと画面に映っている2人がジト目で睨んで来た。
「分かってるけど、そういう言い方はないよね~」
「はい、そうです。心配する事が悪いみたいじゃないですか」
「うっ・・・・ありがとう、こんな俺を心配してくれて・・・・嬉しい限りです」
2人は満足したのか、くーちゃんを横に降ろして本題に入る事になった。
「今回の無人機が暴走した原因は誰かが脳量子波でコアにハッキングした だね!」
「ええ、と言う事は犯人はあの時と同じ亡国企業でしょうね」
束さんの顔が笑顔だけど怒りで怖い事になっている。
「うん、ホントに何なんだろうねアイツ等・・・・計画の一部にすら入ってない分際で邪魔ばかり」
「大丈夫ですよ、いつか必ず潰し切りますから・・・・その時まで相手にする必要すらない、アイツ等が何をしようとも無駄でしょうから」
「そうだね!ごめんね、これからもソッチをシっくんにお願いするね!」
「了解です、またソッチにも顔を出しますから・・・・待っててね!くーちゃん!」
束さんが笑顔になり画面越しに手を振った。
「うん!期待して待ってるよ~っ!!」
画面が閉じて一息ついて部屋に戻った。
そこにはツインテールと水色の髪をした2人の鬼が居た。
どうやら部屋の都合がついて俺と一夏が同室になったらしい。
そして鈴に簪さんと同じ部屋だったのがバレた。
ケガ人なんだから大人しく寝させてくれないかなぁ・・・・無理か・・・・
次から原作二巻目に突入!
何で進まないんだろう・・・・