「今日はですね、なんと転校生を紹介します!しかも2人です!」
朝のHRで山田先生が言った言葉にクラスの皆が騒ぎだす、確かに色々とおかしい。
この時期に転校生が来る、2人ともこのクラスに入る事、そして転校生が入って来た事でクラスが静かになった1人は男の制服を着ていたからだ。
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました、こちらに僕と同じ境遇の方が居ると聞いて本国より転入を__」
話は最後まで聞けなかった、クラスの女子の歓喜の叫びという名のショックウェーブが炸裂したからだ、耳がキーンってする。
「来た~!全ての男子が我がクラスに!!」
「美形!守ってあげたくなる系の!」
「地球に生まれてよかった~!!」
濃い金色の髪を後ろで束ね、中性的な顔立ちに礼儀正しい振る舞い、まさに貴公子って言葉が似合う。
「あー、騒ぐな。静かにしろ」
一夏と箒の大遅刻を思い出したのか、千冬さんが面倒臭そうな顔をしながらクラスを黙らせる。
「み、皆さんお静かに!まだ自己紹介が終わっていませんから~!」
自己紹介するまでもない、もう1人の名はラウラ・ボーデヴィッヒ、長い銀髪を腰まで伸ばし背が低い、そして右目に眼帯、左目が紅い、パッと見るだけでくーちゃんに似ている事が分かる。
そして、くーちゃんの完成形と私はラウラ・ボーデヴイッヒのなりそこないだと。
「貴様が__」
自己紹介を終えたボーデヴィッヒさんが一夏の前に殺気を洩らしながら立った。
「一夏!朝からチャック開きっぱなしだけど!」
「えっ!?マジかよ!?」
一夏が自分の股間を確認する為に頭を下げると頭上を平手が素通りしてボーデヴィッヒさんは右手を真横に上げていた。
「バカが見る~、豚のけつ~」
「開いてねえじゃん!ていうか古いし腹立つ!!」
一夏は気が付いていないがクラスの皆は手を上げたボーデヴィッヒさんを見ている。
「ったく、ん?どうかしたか?」
一夏は嘆息しながら座ると右手を真横に上げたボーデヴィッヒさんに訊ねた。
「一夏ぁ!昨日お前が五反田妹とベロチューしている時の画像データが此処にあるんだけどぉ!」
クラスの視線がボーデヴィッヒなんて知るかぁ!!と言わんばかりに俺に突き刺さった瞬間、俺が顔を傾けると数ミリ横を黒いモノが通り過ぎ窓枠に突き刺さった。
黒いのは出席簿であり、人の頭にも突き刺さりそうな勢いで投げたのは我らが担任の織斑千冬先生だ。
ちなみに顔は怖くて見られない。
「ちょ、お前いかがわしく言うなよ!蘭と犬を撫でてたら顔を舐められただけだろ!」
一夏が焦りながら立ち上がり弁明をすると皆が落ち着いた。
「全員早く席に着け、次は第二グラウンドに集合だ。すぐに着替えて集合するように織斑・・・はいい、詩乃崎!デュノアの面倒をみてやれ」
「ちょ、千冬姉!何で俺はいいんだようっ!?」
最後に千冬さんに殴られて舌を噛んだらしい憐れだ。
「織斑先生と呼べと何回言えば理解するんだ貴様は、そういうバカな部分があるから詩乃崎に頼んだんだ」
「うう、ひゃい」
デュノアさんは見慣れていない所為か一夏を心配しているがそんな時間はない。
「デュノアさん、詩乃崎四季って言います宜しくね」
「!?は、はい。此方こそ宜しくお願いします!噂は本当だったんですね、織斑先生が2人目を連れてきたって」
「うん、それよりも早く移動しよう。ホントに時間が無いから・・・・失礼!!」
「えっ!?ちょ、ちょっと!?」
「!?まさか、四季!俺を置いて__」
デュノアさんを抱え上げて助走をつけて窓から外に飛び出した。
「う、うわあああああああああああ!?」
デュノアさんの叫びを聞きながら飛び出した窓にワイヤーを掛けて地面まで一直線に降りた。
抱えたデュノアさんを下ろしながらワイヤーを回収して笑った。
「ごめんね、どうせ校内は新しい男性操縦者を見ようと人で一杯になるからコッチの方が早いんだ」
「う・・・・そ、そうなんだ・・・・さすがに心臓に悪いよ」
デュノアさんは胸に手をあてて息切れ切れになりながら声を振り絞った。
「ま、待ってくれ四季!俺も__」
「定員は1名様まで、分かってんだろ?さっさと走れい!間に合わなくなるぞ!!」
ち、ちっくしょー!と言いながら一夏は窓から顔を引っ込めて走り出した。
「い、いいのかな?」
「いいの、千冬さんからデュノアさんを頼まれてるから。それにレディファーストは紳士の嗜みだよ」
ウィンクしながら言うとデュノアさんは照れながら顔を上げた。
「あ、ありがとう・・・・ってな、何を言ってるの!?僕は男だよっ!!」
つられてお礼を言うが俺の言葉に反応して誤魔化し始めた、正直言って抱え上げた瞬間に疑問が確信に変わってしまった。
「・・・・そ、とりあえず早くグラウンドの更衣室に行こう!ショートカットしたとは言っても時間は無いよ!」
デュノアさんの手を取り走り出した、握った手は柔らかくて豆や節々などの硬い所すらない、何処かのお嬢様みたいな生活でもしていたような。
「う、うん・・・・分かった」
そして異性に手を握られてデュノアさんは顔を赤くして照れている。
更衣室に着いていきなり制服の上を脱ぐとデュノアさんは可愛い声を上げながら目をそむけるが異性の身体が気になるのかチラチラと見ている。
「どうかした?」
「い、いや何でもないよ」
「よし、中に着てきたから着替え終わり。早く行こうデュノアさん!」
「う、うん・・・・また手を・・・・」
そう、もう一度デュノアさんの手を取って歩き出すと小さな声で抗議している。
どう考えてもバレバレである、一体どうしたいのかすら分からない、何でこんな純情で分かりやすい子が男って嘘を吐くんだろう、この女の子は?