IS もう1人の俺は戦争屋   作:悠連

3 / 81
世界最高の罠を………

 

今の状況を説明しよう。

 

頭に麻袋、首に両手首に両肩に腰に計6個の枷とそれぞれの枷から鎖が6本伸びていた。

 

その6本の鎖を1人の女性が持ち俺を引っ張っていく。

 

言っておこう俺はドMじゃないぞ!っと。

 

…………嵌められたとしか言いようがない。

 

何故なら鎖を持つ女性は会う約束をしていた古くからの知り合いで世界最強と呼ばれる人。

 

しかも俺を嵌める為の罠を兎と呼ばれる世界最高の頭脳を持つ女性と一緒に計画した。

 

その場で逃げる?バカ言うな世界最強がソレを許す訳ねぇ。

 

隙を見て逃げる?バカ言うな世界最高の頭脳が作った罠にソレは無ぇ。

 

結果どうしようもねぇ、言われるがままに付いて行くしかない。

 

ちなみに鎖を持って前を歩いている古くからの知り合い、世界最強、ブリュンヒルデ、様々な呼び名があるが本名を織斑 千冬という。

 

この状況に至るまでの経緯を説明しよう。

 

__________

 

 

待ち合わせの場所で待っていると前に黒いワンボックスカーが止まり助手席のドアが開いた。

 

「お久しぶりです千冬さん」

 

「ああ、久しぶりだな四季」

 

運転席には少し癖がある黒い長髪を後ろで束ねている武人というに相応しい覇気を纏っている女性が居た。

 

ただし、その覇気すらも自らの美貌に華を添えるかの様な凛とした容姿をしている。

 

誰に聞いても美人と答えるが実際に対面すると覇気に呑まれず「美人ですね」って言える人が何人いるだろうか?

 

「お変わりなく、いつも見ても綺麗ですね千冬さんは」

 

ちなみに俺は関係ない。

 

「ふっ、世辞はいいから早く乗れ。行くぞ」

 

若干だけど千冬さんの頬が赤くなっていたが見て見ぬ振りをした。

 

「それにしても何かありましたか?こんな所まで俺を訪ねて来て」

 

走り出した車の中で隣の千冬さんに話掛けると。

 

「別に何かあった訳では無いさ、久しぶりにお前に会いたかったが理由って言ったらダメか?」

 

悪戯めいた眩しいほどの笑顔に普段なら照れたかもしれないが千冬さんがそんな顔する訳がない。

 

嫌な予感が全身と第6感に訴えかけてくる。

 

__早く逃げろ__と。

 

「っ千冬さん前見て運転して下さいよ」

 

声が裏返りかけたのを何とか抑えたが千冬さんにはバレ掛けてるだろう。

 

__こいつ気付きかけてる__と。

 

「ん、そうだな一旦止まるか」

 

道の端に止まろうと右前に視線を向けた瞬間。

 

助手席から飛び降り様とドアノブに手を掛けた更に瞬間。

 

車のあちこちから枷付きの鎖が飛び出し首と両手首と両肩と腰を捕えた。

 

こんな改造車を作れるのは束さんしか。

 

と思い千冬さんの方を見ると両手で麻袋を広げて俺の頭に被せようとしている顔だった。

 

そのときの千冬さんの表情はずっと見ていたいと思うほど綺麗な笑顔だった。

 

その瞬間、思った。

 

ああ__この人ドSに磨きが掛かってる__と。

 

___________

 

 

その後、麻袋を被ったまんま飛行機に乗った時点で明らかに束さんが絡んでいる事が分かりどうしようもないと諦めた。

 

くーちゃんが言っていた事を思い出していた『束様がこれから大変になると思うけど頑張ってね』という言葉を。

 

こういう事ですか、大変になるとは。

 

また車に乗せられて最後にモノレールに乗ったが案外恥ずかしいという思いはなかった。

 

人間視界を奪われて長い時間、行動していると辺りの状況がどうでも良くなるみたいだ。

 

建物の中に入ったらしい気温が落ちたのが肌で感じる事が出来る。

 

千冬さんを見てから俺を見るのか視線をちょくちょく感じる事が出来る。

 

「いいぞって言うまで此処で待っててくれ」

 

千冬さんがそう言って少し離れた、もちろん鎖は持ったままだ。

 

たぶん部屋の扉の前で止まっていると思う若干声が聞こえるが疑問が浮かんで来た。

 

やけに女の人の声が多い気がする事だ。

 

一体どこに連れられて来たのだろうか?女性団体?んな訳ないか。

 

などと考えていると音の衝撃波に襲われた。

 

麻袋を被っていたはずなのに耳が聞こえない、スタングレネードを使われたみたいだ。

 

「あの織斑先生は何故その………鎖を持っているんですか?」

 

しばらくすると気弱そうな声の誰かが千冬さんに訊ねた。

 

その中で場所を特定出来る言葉を聞いた。

__先生__と。

 

「ん、もういいか。いいぞコッチに来てくれ」

 

声と鎖の方へ歩いて行き千冬さんの隣に立った。

 

周囲のざわめきが大きくなっている。

 

それと同時に嫌な予感が大きくなっている。

 

「麻袋を取るぞ、覚悟しとけ」

 

最後の一言だけ小さく聞こえると麻袋が取られて一日ぶりの視界が入った。

 

同時だった、自分の頭が固まるのと自分の居る空間が固まる瞬間が。

 

先に膠着から抜け出したのは俺だった。

 

何故なら頭の何処かで理解していたからである。

 

「な、なんじゃこりゃあ………」

 

小さな呟きは百年に一度の大波かという程の音の波に呑み込まれて消えた。

 

その時の俺の姿は殉職した何処かの刑事より死相が立ち込めていたでいたであろう。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。