四日後の放課後、3人に増えた専用機開発に断りを入れて先に帰らして貰う事にした。
授業で着替えた時に更衣室のロッカーにナイフを一本忘れたのを思い出したからだ。
「正直あの2人の作る空気が耐えられないんだよな・・・・」
長い間すれ違っていた所為か先輩が簪さんにベッタリなのである。それを簪さんは表面上嫌がっているがホントは嬉しくてしょうがない感じが独特の空気を醸し出している。
「新しく書いた設計図があれば大丈夫だろうし、まだ先輩が手配したパーツだって出来ていないし、あの空気が冷めるまで離れようかな、一夏達の特訓に付き合うのを理由にして・・・・」
圧縮した空気がドアを開ける音を聞きながら更衣室の中に入ると・・・・
「わああああああっ!?!?」
「うぐぅっ!!」
女の子の悲鳴と打撃音と男の苦痛の声、一体何があったんだ?
そう思ってロッカーの陰から顔だけを出して確認すると、下半身裸のデュノアさんとデュノアさんのと思われるISスーツの下の部分を手に気絶している一夏。
「あ~~、状況理解。どうせ一夏がスッ転んで偶然近くにいたデュノアさんのISスーツに手を掛けて転ぶと同時に脱がした、デュノアさんは訳が分からず自分の股間を見て顔を赤らめている一夏に驚いて膝蹴りを顎に見舞ったって所だよね。デュノアさん」
「しし詩乃崎くん!よよ良く見ただけで分かったね!どどどうしよう!?だだ大丈夫かな一夏!?」
自分の下半身を隠しながら一夏の手からISスーツを取り返し一瞬で穿いて慌てて取り繕っている。
「ん~、たぶん一夏も気付いちゃったし、もういいんじゃない?男の振りをするのは」
デュノアさんは一瞬だけ目を見開いたが何となく気付いていたのかすぐに自嘲するかのように笑った。
「やっぱりバレていたんだね。変だと思ったんだ、部屋のルールがキッチリしてるし、必ずシャワーは外で浴びてくるし、なにより呼び方がデュノアさんから変わらないんだもん」
「まあね、あんまり他人を偽名で呼びたくないんだ」
「一応、いつ気が付いたのか教えてくれない?報告書に書かないといけないからさ」
「デュノアさんを抱えて窓から飛んだ時に気が付いた、その後で手を握って確信した」
言葉を聞いてデュノアさんが信じられないと頭を振った。
「そんな・・・・あらかじめ知っていた訳でも、一目見て気付いた訳じゃないの?疑いの眼差しや嘘を吐いてないか常に目を見て確認していたのに・・・・」
「甘い、確認じゃ分からないよ。そういうのは経験に基づく感覚か、相手の矛盾を見つけて常に考え続けないと気付かない」
「そっか、今までやってきた事は全て無駄だったんだね・・・・」
またデュノアさんが自嘲しながら俯いた。
「そんな事よりも俺が一夏を背負うから部屋に戻らない?そろそろアリーナの閉館時間だし」
「そ、そんな事よりも・・・・いや、君にとってはそんな事なんだね・・・・」
デュノアさんは達観した顔で俺達の後ろに付いて部屋に戻った。
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「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「なあ、2人とも何時まで黙っているつもり?」
一夏が起きてから30分2人向かい合って黙り続けている
「デュノアさんは分かる、誰かさんに襲われかけて怯えているし、女の子だってバレて何を言われるか分からないから怖くて黙っているかもしれない」
俺は黙ったままの一夏を睨みつけた
「おい、強姦魔。何で黙ってんだ?仮にも女の子の下半身をひん剥いて股間をバッチリと見てんだろ?警察に突き出して__いや、千冬さんに全部バラしてやろうか?」
一夏は泣きそうな顔をしてデュノアさんに日本のDOGEZAをかました。
「す、すみませんでしたぁ!!じ、事故だったんですぅ!それにシャルルは男だと思ってて!!それでそれで!!」
流石に一夏が憐れに思う。そこまで千冬さんが怖いか・・・・うん、怖いよね。言い過ぎたか・・・・
「最初から謝っとけば良かったんだよ。デュノアさん、俺からも謝罪する。すまなかった、謝れば許される事ではないかもしれないけど一夏を許してやって欲しい・・・・」
「べ、別に怒ってないよ、僕も男だって嘘を吐いてたのも悪いし仕方がないよ」
少し戸惑いながらもデュノアさんは許してくれた。
「し、四季ぃ~」
一夏が泣きそうな顔で一緒に頭を下げる俺を見ている。
「俺に言うんじゃなくてデュノアさんに言えバカモノ・・・・もちろん、今まで通り周囲には君を男の子として扱うつもりだから心配しなくていい」
「えっ!?何で?詩乃崎くんは気付いてるんでしょ?僕は男性操縦者である君たちのデータを盗む為のスパイだって!」
今度こそデュノアさんは取り乱して俺に詰めよった。
「心配しなくていい、君の本当の役割はスパイなんかじゃないから」
「ど、どういう事なの!?」
「一つ目は仮にもフランスの代表候補生が男でIS学園に入学したのに世間に知られなさ過ぎる。二つ目はデュノアさんがスパイに不向き過ぎる。そして三つ目がデュノアさんを男だと隠す気が余りにも無さ過ぎる」
「そ、そういう事か・・・・」
デュノアさんはフラフラと力無く近くのベッドに座りこんだ。正座したままの一夏は話についていけずに首を傾げた。
「分かりやすく言うと、あまりにもデュノアさんが可憐で天然過ぎて同室になった男は時期に女だと気が付いて手を出すだろうと考えたわけだよ。つまりハニートラップってやつだ」