「・・・・そうだな四季。すまん、シャルル。つい熱くなってしまって」
「いや、俺もついカッとして怒鳴ってしまった。悪いな2人とも」
互いに謝る2人を見て、デュノアさんは怯えを失くした。
「き、気にしなくていいよ。それより僕の今後を話すって?」
「そうだ、シャルルはこれからどうするつもりだったんだ?」
「え?だからハニートラップなんてするつもり無いし、このまま国に帰ろうかなって」
「そして帰ったら解剖されると・・・・」
俺の言葉に一夏はハッとしてデュノアさんに近づいて肩を握った。
「な!そんなのダメだ!そ、それなら四季の言うとおり今までと同じように周囲には男として扱うからIS学園に残ればいい!」
「でも、君達にまで迷惑が掛かってしまうよ」
「そんなモン今更だ、このまま国に帰って解剖されてみろ。逆に一夏の精神に多大な悪影響が出ちまうよ」
一夏に目で合図すると意図を理解したのか大げさに身振り手振りを始めた。
「そう!その通りだ!このままシャルルが帰るなんていったら無理やりにでもついて行くぞ!」
「そうなればハニートラップが成功になってしまうな。どうする?デュノアさん」
俺と一夏の問答を見てデュノアさんはクスクスと笑いだした。
「う、うん・・・・フフフ、そうだね。僕も実家や政府の思惑通りになんてしたくないし、一夏の為にも此処に残るよ」
一夏は分かりやすいくらい喜びだした。
「そ、そうか!ありがとうシャルル!でも皆を騙してる間に何か考えとかないと・・・・四季?」
「俺は別に男装を止めても問題ねえと思うがな、たしかIS学園は他国からは不干渉かなんか条約でなかったっけ?」
「あっ!確かあったぞ!!えーと、特記事項第二十一、本学園における生徒は在学中において国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合は外的介入は原則として許可されないのもとする」
水を得た魚の様に一夏がスラスラと声に出す。
「ああ、それがあれば三年間は政府の命令だろうと、国が戦争を起こそうと、親父が危篤だろうと、全て今はIS学園のルールに従ってますって胸を張って言えばいいんだよ」
「そう!つまりIS学園にいる三年間は大丈夫って事だ!それだけ時間があれば良い案の一つや二つ余裕だぜ!!」
「それに今回はフランスだけが良い目をしようとしてるからな。他の国がよってたかってフランスを責めるだろうから、IS学園への干渉も無いとみていい」
デュノアさんは急に捲り立てられた所為で戸惑っている。
「す、凄いね2人とも。僕なんかじゃ思い付かない事をスラスラと・・・・」
「フッ・・・・俺達は天才だからな。・・・・な!四季!」
一夏はカッコつけて言ったは良いが途中で恥ずかしくなったのか俺に同意を求める。
「知らねえよ!照れるくらいなら謙遜すりゃ良かったじゃねえか!日本の美徳は謙遜じゃなかったのか!?」
「っ、フフフフフ・・・・ホントに面白いね2人とも」
うろたえる一夏を見てデュノアさんが笑いを堪え切れなくなった。
俺と一夏は顔を見合わせて互いに笑う合うと誰かの腹の音が鳴り、それで再び笑い合うと食堂に向かう事にした。
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「ねえ?1つ聞いてもいい?」
食事が終わり、一夏とも別れて部屋でくつろいでいるとベッドに座ったデュノアさんが話しかけてきた。
「ん?どうぞ、聞くだけなら」
「うん。僕が二年前に引き取られた話をしていた時、凄くつまらなさそうな顔をしてたけど何で怒りが混じっていたのか教えて欲しいんだ」
あの時に顔に出ていたのか・・・・一夏は気付かなかったんだけどな。
「俺もまだまだか・・・・いいよ、答えてあげる。君はこの二年間は確かにつらいモノだったかもしれない・・・・だけど君は母親が死ぬまで愛されて生きてきたはずだ、今の君を見れば分かるよ」
それが何の関係があるのか分からずデュノアさんは首をかしげる。
「十何年も愛されて育ってきた君が少しつらい時があっただけで愛された記憶が薄れて自分がどうでもよくなった事に苛立ちを感じたんだ」
「っ___________」
母親との記憶でも思い出したのかデュノアさんの目に涙で潤んでいく。
「いや、これは嫉妬だな。俺は実の親に人としては愛されなかったから、愛されて育ったデュノアさんを羨ましく思ったんだと思う」
デュノアさんは俺を何かを聞きたそうな目で見つめている。
「君の想像通り俺の親は死んでるよ。研究者でな色々ヤバい事に手を出していたみたいでアッサリと殺されたよ。まあ俺はモルモットとしての扱われていたから目の前で親が死んだけど少しの感慨も無かったんだけどね」
そう言って笑いかけてもデュノアさんは何で俺が笑っているのか理解できない。
「何で生きてるの?って顔してるね。生きている理由は俺の中にアリーが居てくれた事と、俺が生まれる前から遺伝子を弄られた人間だったからだよ」
デュノアさんはそんな事を聞いてないかもしれない。でも何故か言葉を紡ぐのを止める事が出来ない。
「だから俺はモルモットとして扱われた。だから俺は生きている。だから俺は君に嫉妬した。・・・・だから俺は君を助けようと・・・・」
それでも自分は今まで誰かに助けられて生きてきたから、言葉にしなかったが頭に浮かび俺は沈黙を選んだ。
「余計な事まで言ったね、疲れてるみたいだ。先に寝るからデュノアさんが寝る前に電気を消してね」
そう言って俺は窓側のベッドに身を沈ませた。