IS もう1人の俺は戦争屋   作:悠連

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1人で

 

一夏とデュノアさんと別れてピットに行くとボーデヴィッヒさんが目を閉じて腕を組んで座っていた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「言いたい事も殺りたい事も分かるよ、でも千冬さんに恥は掻かせたくないもんね」

 

ボーデヴィッヒさんは歯を食いしばっているのか微かに身体が震えている。

 

「このままじゃ戦いに集中出来ないよね、だから1つ提案があるんだけど聞く気ある?」

 

「・・・・言ってみろ」

 

絞り出した声に俺は笑みを浮かべた。

 

「まずトーナメントで有象無象を全て蹴散らす。最後に俺達が戦って勝った者が一番強い。これだけの舞台だ、誰でも認めると思うけど・・・・どう?」

 

ボーデヴィッヒさんは身じろぎ1つせずに俺を見た。

 

「・・・・貴様を最後にしろと?」

 

「その通り、分かりやすいでしょ?」

 

「いいだろう、必ず貴様を叩き潰して私が無二の存在になってやる」

 

自身ですら誰が為の無二の存在なのかを理解出来てないガキ。

 

「共闘なんて出来る訳ないよね、全て1人で終わらすつもり?」

 

「有象無象の相手など私だけで十分だ。貴様は邪魔にならないように後ろに下がっていろ」

 

「たいした自信だね。・・・・ホントに羨ましいよ・・・・」

 

そう言って俺は自分用に調整した訓練機の打鉄を纏い、自分のISを展開したボーデヴィッヒさんと闘技場へ飛び出した。

 

一斉に視線が突き刺さる、大半が驚愕や動揺だが中には俺を探る視線も混じっている。そして歓声、音の振動でアリーナ全体が震えている。

 

所定の位置に付くと目の前には既に一夏とデュノアさんが並んでいた。

 

「一夏、頑張ってアリーを引きずり出してね」

 

一夏に笑いかけながら並んでいるボーデヴィッヒさんの後ろに行った。

 

「え?四季は戦わないのか?」

 

「ちょっとは考えてくれ、俺とボーデヴィッヒさんが共闘なんて出来ると思う?」

 

デュノアさんは分かっていたようで一夏だけが納得したように頷いた。

 

「それに、ボーデヴィッヒさんが1人で十分だって」

 

「ああ、貴様らのような有象無象の相手など取るに足らん」

 

「そうかよ、ならすぐにアリーの所まで行ってやる」

 

アナウンスが試合開始までのカウントダウンを始める。

 

五、アリーナの喧騒が段々と静まっていく。

 

四、そして完全に静寂に包まれる。

 

三、そろそろアリーに変わろうかな。

 

二、一夏がやけに力んでる、開始と同時に突撃かな?

 

一、あれ?何か忘れてる気が・・・・

 

「「叩きのめす」」

 

開始___一夏とボーデヴィッヒさんの声が重なると同時に一夏が《瞬時加速》を使い《零落白夜》まで併用した。

 

「ああっ!!思い出したっ!!」

 

アリーに"代わる"事も忘れるほど焦り前のボーデヴィッヒさんの足にスライディングするが間に合わない。

 

「ふん・・・・」

 

ボーデヴィッヒさんは何事もないように右手を前に出して得意の慣性停止能力《AIC》を展開するが足が止まる、一夏は思惑通り進んだと思い顔がニヤけた。

 

第三アリーナの騒動が終わって俺が勧誘から逃げていた時、一夏に教えた。一夏だけが出来る《AIC》の簡単な破り方を___

 

ボーデヴィッヒさんは《零落白夜》自体を《AIC》では止められないから一夏の腕や身体を止めるだろう。

 

ワザと雪片弐型を握りを甘くして突きを放ち《AIC》で止められた瞬間、すっぽ抜けて雪片弐型だけを飛ばしボーデヴィッヒさんに攻撃する。

 

その時に《零落白夜》を使って雪片弐型のエネルギー刃がすぐに消えない様にすると同時に柄を隠す。

 

「なっ!?」

 

止めた筈なのに青白い刃が自分に向かってくるのをボーデヴィッヒさんは対応出来ない。そして俺の後ろからのスライディングにも対応出来ない。

 

ボーデヴィッヒさんの左足から身体を地面に落とす、なんとか身体への直撃は避けさせたが右肩のレールガンに突き刺さり爆発、エネルギー刃の消えた雪片弐型は爆風で宙に舞った。

 

「これで終わりだぁ!!」

 

《AIC》が消えて身体が動くようになった一夏が空中で雪片弐型を取り、再度エネルギー刃を展開して斬りかかった。

 

「ふうっ・・・・!」

 

息を吐きながら左回転でボーデヴィッヒさんと俺の位置を換えてそのまま左後ろ回し蹴りで雪片弐型の柄を蹴って軌道を逸らした。

 

「なっ!?ぐうっ!」

 

回転を止めずに右回し蹴りを一夏に打ち当てて一夏の後ろから迫っていたデュノアさんへ飛ばした。

 

「くぅっ!だ、大丈夫!?」

 

「ああ、これくらい___」

 

一夏を受け止めて声を掛け合う2人の言葉は最後まで紡がれなかった。2人に投げた1つの手榴弾の閃光や音や衝撃や熱に遮られて。

 

爆発するまでの間に俺はボーデヴィッヒさんを掴み後ろに跳んで距離を置いた。

 

「・・・・とりあえず、何か言いたい事があるなら聞くけど?」

 

膝をついて怒りに震えているボーデヴィッヒさんに話しかけた。

 

「黙れっ!!どうせ貴様が教えた事だろうっ!?」

 

「当たり。ゴメン、教えてたことをスッカリ忘れてた。でも、ボーデヴィッヒさんだって油断してなかったら喰らわなかったでしょ」

 

「っく・・・・」

 

ボーデヴィッヒさんは顔を伏せて自らの否を認める。

 

「だぁかぁらぁ、この試合は黙って見ててね」

 

一気に展開した刀を左手の甲、右肩、左足、右足、計四本を突き刺してボーデヴィッヒさんを地面に縫い付けた。

 

「っ!?き、貴様ぁ何を!?」

 

「正直言うと今のボーデヴィッヒさんじゃ戦力にならないんだよね、だから此処で大人しくしてて、分かった?」

 

子供に諭すように優しくボーデヴィッヒさんに笑いかけて、身体をアリーに渡した。

 

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