「もう・・・・もう知るかぁっ!ここで全員叩き潰してやる!!」
既に半分正気を失っている軍人のガキは吠えながら構える。
「言われなかったか?大人しくしとけってな。大人しく出来ねぇなら俺が大人しくしてやるよぉガキが!!」
「っ黙れぇっ!なぶり殺しにしてやる!」
ガキは突っ込む俺に両肩のワイヤーブレードを発射するが身体を捻ってくぐり抜け左足で何かを蹴ってガキの頭上に跳び上がった。
「そんな程度で私の停止結界から逃れられると思うなよ!!」
「違う!下だ!下を見ろボーデヴィッヒ!!」
軍人のガキは跳び上がった俺を《AIC》で捕えようとして上に意識を集中していると弟が叫ぶが、間に合わねぇんだよ!ガキの足元に転がった手榴弾が爆発した。
「ぐあっ・・・・!?」
「隙だらけなんだよぉ!テメエはぁ!!」
さっき話してる途中で気付かれないように左手で展開した手榴弾をスカートアーマーの中に隠して跳び上がる直前にガキの足元へと蹴って転がし、跳び上がった俺に注意を向けてる最中で足元で爆発、そして____
「これで終わりだぁっ!」
「があぁぁっ!!」
下に落ちる勢いを全て刀に乗せて軍人のガキに叩きつけて地面に倒れた所を蹴り飛ばした。
「人様の戦いにぃ、水差してんじゃねぇよ!糞ガキがぁ!!」
そう言って後ろを振り向くと2人が固まっていた。
「おい、何やってやがる?せっかくの隙なのに呆けてんじゃねぇよ。背後から襲い掛かれよガキ共」
いつの間にかアリーナすらも沈黙に包まれていた。
「ちっ、しらけちまった・・・・もういいか」
身体の半分を四季に返すと背後から身が裂けたような絶叫が耳を突いた。
「るせぇなぁ、一体なんだよ?」
「ああああああああっ!!」
声の発生源は蹴り飛ばしたガキ、纏っている機体に紫電が走り装甲が黒くドロドロした泥になりガキの身体を飲み込み始めた。
「何だ?何だありゃあ?面白れぇぞ糞ガキィ!!」
ガキの絶叫が消えるとソコには生身が見えない全身装甲で黒いISを装備した女の形になっていた。
『ち、千冬さん?』
四季の言葉で納得する、どっかで見た気がする訳だ。特徴的な刀を持った姿はISを纏った千冬嬢ちゃんの姿に似てやがる。
『っ___!』
ソレは刀を腰だめに構えると俺目掛けて突っ込んで来た。迎撃しようと右足を落とすが左足が距離を取ろうと動いた所為で攻撃に対応しきれない。
「ぐっ、まずった!ちぃっ!」
崩れた体勢でソレが振るう横薙ぎに右手の刀を盾の様に構えるが弾き飛ばされて後ろに飛ぶが次の縦の一閃を避けきれず絶対防御が発動してシールドエネルギーがほぼゼロになる。
『ご、ごめん・・・・あの時の事が頭をよぎって・・・・つい』
身体を半分返してる時に迂闊だった、あん時の四季の顔を見ていた筈だろ。あそこで回避を選ぶのは当然の反応だ。
「もういい、どうせ教師が鎮圧に来るだろう。俺達がやるまでもねぇ」
「ふざけんな・・・・千冬姉のマネをすんじゃねえ!!」
姉と同じ動きをするソレを見て激情に身を任せた弟が斬りかかったが大振り過ぎてアッサリと逸らされて斬り飛ばされた。
「い、一夏!?」
あまりにシールドエネルギーが無かった所為か絶対防御が破られISが強制解除して腹に浅くだが切傷が出来て血が垂れていた。
「__れが・・・・それがどうしたああっ!!」
心配していたガキの制止を振り切り素手で突撃しようとしたところを俺が上から押さえ付けた。
「離せ!あいつ、ふざけやがって!ぶっ飛ばしてやる!」
「今のテメェじゃ邪魔になるだけだ、黙ってここで見てろガキ」
下で騒ぐガキを無視していると掛けている眼鏡から秘匿回線が開き兎が画面に現れた。
「なんだ?この状況で何の用だ?兎」
「黙れ、今すぐシっくんに"代われ"狂犬」
画面に映る兎は冷めた目をしている、ホントに好き嫌いがハッキリしてやがるな。
「___はい、既に半分"代わって"ます。どうしましたか?束さん」
「ごめんねシっくん!だけど、お願いを聞いて欲しいんだ」
束さんの顔が嬉しさに染まり次いで怖い声で話し始めた。
「あの不細工なシロモノは存在自体が許せないけど、いくら出来そこないでも"ちーちゃん"を他人に倒される事は我慢出来ないんだ。だから__」
「了解しました。ですが、アレを使ってもいいんですか?」
「もちろんオッケーだよ!今日の試合を見れば気付く人間も居るだろうからモーマンタイ!」
束さんは画面に一杯のGOサインを出しながら笑った。
「なら、今すぐ____ダメだ、四季は甘いんだよ。計画に関係ねぇ頼み事には報酬を求めろって教えただろ」
「お前に話してない。勝手にシっくんで喋るな狂犬」
「そうかい、だが事が終わるまでの時間稼ぎくらい俺でも出来るんだぜ兎」
俺と兎の間に沈黙が訪れるとアリーナに非常事態宣言がされて観客席の防護壁が閉じ鎮圧の為に教師部隊が向かうアナウンスが響いた。
「・・・・計画にあるコアの二重進化と太陽炉、同時搭載の機体を早めに渡す・・・・」
振り絞る様に出した声に思わず頬が上がった。
「いいねえ!さすが世界一の天災だぁ!太っ腹だねえ!!」
「ただしシっくんが倒す事、コレは譲れない。分かったら早くシっくんに"代われ"目障りだよ」
言われるまでもねえ、言葉に出す前に四季を押さえ付けるのを止める。
「ホントにすみません、あれでも俺の事も考えてくれてて・・・・」
「大丈夫、シっくんは悪くないから。それよりもお願いね・・・・私は不細工なシロモノを作り出した所を潰すから」
そう言って通信が閉じると一夏を押さえ付けたままの姿で打鉄を解除した。