久しぶりの一夏視点!
そして事後処理に時間がかかりそう
___一夏視点___
目が覚めると一度見た事のある天井だった。
「ここは、保健室か。また世話になったのか俺は」
「気が付いたか」
カーテンが引かれる確認する前に行動、前と同じ千冬姉だろう。
「このバカモノ、お前が暴れた所為で腹の傷が更に開いて血の流し過ぎで気絶したんだ」
「はぁ・・・・」
まだボーっとして頭が働かないけど段々と何があったのかを思い出していく。千冬姉が立ちあがった所で赤いISを身に纏った四季の姿と何があったのかを完全に思い出した。
「待ってくれ千冬姉!」
「・・・・血が少ない状態で興奮するなバカモノ」
千冬姉は足を止めて振り返るが声にいつもの覇気がない事に今さら気が付く。
「聞きたい事があるんだ・・・・」
「・・・・お前が四季に何かした訳ではない」
言わずとも俺の聞きたい事を千冬姉は答えてくれたが答えになっていない。
「でも、アイツとは長い付き合いだけどあんなにも怒った所を見た事がないんだ。その怒りの矛先を俺に向けられた事も・・・・」
「お前と四季の付き合いは確かに長いだろう。だが、お前は四季について言葉に出来るのか?」
「えっ?」
「お前は四季についてどれくらい知ってるんだって聞いている」
何故そんな事を聞いて来るのか分からないまま俺は昔からの友である四季について考えた、思い出してみた、言葉にしてみた。
「えっと、いつも優しい笑顔で居るけど、他人に合わせるのが上手くて、身内以外とはそんなに仲が良くなくて・・・・」
「それで?」
「それで・・・・優しくていつも俺を助けてくれる・・・・」
「・・・・それだけか?」
「・・・・・・・・あれ?・・・・・・・・」
そんな訳ない、一番古い写真の次には束さんや箒達と映っていて、それからずっと一緒に写真にも映っていて俺と一緒に居た筈だ・・・・なのに。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
こんな事は無かった、千冬姉との2人で居る時に胸が締め付けるような痛みを感じるなんて事は。
「その程度なんだ、お前が四季について知ってる事は。お前が四季に抱いているイメージだけなんだ。お前が思っている四季の存在は周囲が思っている四季の存在よりも薄いんだ・・・・」
「そ、そんな訳ない!いつも四季は優しくて俺が困ってると必ず助けてくれて__」
「そこだ、お前は四季がお前以外に誰を助けたか知ってるか?」
俺は四季と居た記憶を思い出してみる。あった1つだけ。
「む、無人機の攻撃から箒を守った・・・・これは助けたって言うんじゃ・・・・」
「ああ、あとボーデヴィッヒも助けたと言えるかもな」
黒い泥からボーデヴィッヒを助け出した時の姿が頭をよぎる。
「な、なら2人・・・・」
「答えはな、分からないんだ」
俺は答えの意味が分からずポカンとした。
「ど、どういうことだよ千冬姉?少なくとも2人は助けている筈だろ?2人よりも多いのか?」
「確かに2人よりは多いだろう、だが正確な数は誰にも分からないんだ。絶対に四季も分かっていない」
ますます訳が分からなくなった、四季自身が知らない内に誰か助けたっていうのか?
「もしかしたら四季は助けたかもしれない人なら分かっているかもしれない」
本気で意味が分からなくなった。言葉の単語は理解できるが合わさると途端に無茶苦茶になる。
「意味分かんねえよ千冬姉。助けた人の記憶が無くなったとでも言う気?」
「違う。助けられた事に気付いていない、理解できていない、四季の存在が頭から無い。だから誰を助けたかなんて四季自身にも分からないんだ」
「な、なんだよそれ?そんな事あるのかよ」
「お前は四季が誰かから助けを求められて助けに応じた所を見た事があるか?」
言われてから気が付く、そんな事は一回もない・・・・自分を除いて。
「四季は命に危険が無い限り誰かを自分が助けるとは思わない。もし自分が誰かを助けたらその誰かは何も変わらない、そう考えてるからだ」
そこで俺は新たな疑問が頭に浮かぶが千冬姉の話が終わるまで待った。
「たとえ自分が疎まれようとも、憎まれようとも、傷つこうとも、アイツは誰かの為に助けないんだ。必ず誰かが自分の力で考えで解決出来るようにするんだ」
「な、なら何で俺は助けるんだ?」
千冬姉の答えを聞かずとも分かる・・・・けど聞かずにはいられなかった。
「四季は一夏、お前とそして私にも平面上の優しさで誤魔化しているんだ」
今まで四季と居た時間が崩れていく音が聞こえた。
「その優しさは他から見れば甘くて羨ましいモノに見えるだろう。だが、その優しさは人をダメにする優しさだ」
千冬姉の声が段々と聞いた事が無いほど弱々しくなっていく。
「四季はソレを嫌っているが私達は別なんだ。必ず私達を守る為に、私達が何も出来なくても自分がなんとかするつもりなんだ。つまり___私達だけが四季から見限られてるんだ」
手を握り震えている千冬姉に俺は何て声を掛ければいいのか分からないけど何とか考え出す。
「お、俺はともかく何で千冬姉まで?せ、世界最高の俺の姉だぜ・・・・き、気のせいだって」
「私達に接する態度が明らかに変わった時期がある。それは第二回モンドグロッソ・・・・お前が誘拐された時だ」
その時は黒い車に乗せらる時に眠らされて何があったのか覚えてないけど千冬姉が試合を放り出して俺を助けに来たと聞いている。
「私はドイツが掴まされたと思われる情報に踊り、お前が監禁されている所からお前を助けたと思っていた。だが違ったんだ、私が助けたお前は一週間で死ぬクローンだったんだ。それに気付かずぬか喜びしていた私の目の前でクローンが赤いビームに貫かれて死んだんだ」
聞いた事のない話だ、俺のクローン?そんなバカな事が・・・・
「そしてクローンを殺し、本物のお前を助けて届けに来た赤い機体を私は本気で殺そうとした。怒りで我を忘れ何を言われたのか何を言ったのかも覚えていないが赤い機体が逃げる前に聞こえた言葉がある
___ただの甘い幻想だったんですね___
そして今日、あの時に疑いが確信に変わった。その赤い機体は・・・・私が殺そうとしたのは四季だったんだ」
助けた筈なのに助けた相手に殺されそうになる。感謝されるかもしれない・・・・少なくとも俺なら感謝されると思っただろう。
俺はそこまで考えて頭が真っ白になった。