___四季視点___
生徒会室に呼び出されると暗い部屋に簪さんのお姉さんの先輩がいてスクリーンにアルケ―を纏って戦ってる姿が映し出されていた。
「まあ、そうだろうと思っていたけどね。実際に見るまでは信じてなかった」
「・・・・・・先輩は___生徒会長だったんですね。初めて知りました」
「あれええっ!?話が噛みあわないけどコレはコレで随分な発言だよ!?」
先輩は椅子から立ちあがって驚きを口にする。
「落ち着いて下さい会長。あ、先輩から会長にランクアップですね嬉しいですか?」
「別に嬉しくないわよ!それよりも私が疑い始めた時から気付いていたんじゃなかったの!?」
会長は机を飛び越えて俺の襟を取って揺らしてくる。
「ええ、疑われている事には気付きましたけど、誰が疑っているかまでは興味無かったんです」
「戦った時に、もしくは戦った後で気付かなかったの?私ロシアの国家代表だし、"裏"では有名だと思うんだけどな!」
「うーん、国家代表は千冬さんしか知らないし。更に深い"裏の闇"に居る人間だから周りも知らず、周りからも知られず、ですから諦めて下さい」
襟を持つ手から力が抜けて肩をガックリと落とした。
「そ、そうよね。"血染めの天使(ブラッティ・エンジェル)"からしたら私なんて小物よね・・・・」
「いえいえ!その名を知ってるだけでも凄いですよ!各国の上層部ですら極一部の限られた人間しか知らない事なんですから!!」
落ち込んだ会長のケアをしている俺、何でこんな事を・・・・
「それに、たぶん会長が初めてですよ。"血染めの天使"の正体を知った人は」
「・・・・ありがとう、少しは気が楽になったわ。君が"血染めの天使"と考えれば全てに納得がいくもの」
なんとか立て直した会長は俺の目を見た。
「織斑先生が独断で君を連れてきたのも、君が強いのも、簪ちゃんの専用機開発を手伝ったのも、私ですら分からない機能を設計できるのも、そして君がISを使えるのも・・・・」
「ですね、けど1つ勘違いしてます。世界初のIS男性操縦者は一夏ですよ」
会長は一瞬目を見開いて少し考えてから言葉にした。
「ISが発表されてアラスカ条約が結ばれた時に"血染めの天使"が出た筈、つまり5年前は違う人が機体を操っていて織斑一夏くんがISを動かしてから機体を譲り受けたの?」
「違います、5年前から小学4年生の時に俺は"血染めの天使"でしたよ」
会長が言葉を信じきれてないようだが黙って続きを待ってくれた。
「簡単な話です。あの機体自体がISじゃない、いくら同じ戦闘能力でもアレはISじゃないんです。IS学園に来てからですよ、初めてISを動かしたのは」
今の会長が考えている事は何となく分かる、男性でも使えるISと同等の兵器が存在すると世界に知られたら言うまでもなく世界を巻き込んだ大混乱になる。
「ちなみにこの事を知ってるのは製作者以外だと会長だけですよ。どうです?嬉しいですか?」
会長は青い顔をしながらもニッコリと笑った。
「嬉しくないわね。まるでパンドラの箱が勝手に開いたみたい」
俺はニッコリ笑い返した後、会長に背を向けて部屋から出ようとした。
「心配しなくてもIS学園に居ますよ。その方が監視もしやすいでしょ?それに簪さんの機体も完成させてないし」
「そうね、監視は無意味かもしれないけど簪ちゃんの機体は君じゃなきゃ完成させられそうにないのも」
ドアノブに手を掛けた所で思い出した事があったので振り返った。
「会長、ついでだから聞いても良いですか?」
「うん?なにか欲しいモノでもあるの?」
会長は胸元をはだけさせて艶美な雰囲気を出しているが、それよりも重要な事だ。
「会長の名前を教えてくれませんか?ずっと知らないままだったんですよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙。それしか言えないほど沈黙が2人に降りた。
「・・・・・・・・あの・・・・」
その後、本気で怒った会長との鬼ごっこが始まった、校舎全体に人払いをしていた所為か後ろから怒鳴り声が聞こえながらである。
何とか聞き取れた名前が"楯無"と"刀"だった・・・・一体どっちが本名なんだろう?分からないから更識会長と呼ぼう。
そう考えながら食堂へと向かっている途中で後ろから付いて来ている奴に声を掛けた。
「何か用か?鈴」
「・・・・何処に行ってたのよ?」
明らかに鈴の元気が無い、そういえばラウラに負けてから避けられていたような。
「事情聴取と守秘義務についての説明と書類へのサインの為に部屋に監禁されてた」
「半分嘘ね。シャルルっていう子が別の場所に入って行ったのを見たのよ」
もっともらしい嘘だが長年の付き合いのコイツには通じなかった。
「どうせアンタがラウラ・ボーデヴィッヒを止めたんでしょ?なんらかの方法を使って、だからアンタは別の場所で事情聴取はホントに受けていた・・・・違う?」
「正解。ご褒美に1つだけ秘密を教えてあげる。分かりやすく言えば俺の専用機体を使ってラウラ・ボーデヴィッヒを止めたんだ。だから違う場所で事情聴取を受けていたんだ」
「それも半分嘘ね・・・・何でかは分からないけど・・・・」
ありゃ?根拠が無いのに嘘だとバレた。まあ今回はシラを切るつもりだけど。
「たぶん次はシラを切るつもりよね。なんとなく分かるようになったのよ、アンタは抱えてる秘密が大き過ぎて多過ぎる。だから親しい人を傷つけない様に嘘を吐く」
鈴は両手で俺の顔を近づけて至近距離で睨んだ。
「分かるのよ、アンタに気を使われてるのが、アタシを気遣ってくれてるのが、今のアタシを見極めてどの秘密を教えるのか、全部アタシの為にやられたら誰だって気付くわよ!!」
もっとアタシを信じなさいよ!言葉にはしていないが涙を目に溜めながら俺を非難する目がそう言っている。
「少し違うな、鈴が言った事は全部自分の為だ。俺が傷付くのが嫌だから誰かの為に動いてる様に見えてしまう。ただそれだけの事だよ」
少しの間、2人で見つめ合ったまま動かなかったが鈴が力を抜いて手を離した。