この人の視点は初めてなのと難し過ぎる・・・・
___千冬視点___
「教官はどのような水着にするつもりですか?」
まだ少し緊張が残っている顔だが笑顔で私に話しかける少女の名はラウラ・ボーデヴィッヒ。
「そうだな、形は決めているが色をどうするか・・・・」
「きょ、教官にはカッコいい色が似合うと思います!」
ドイツで教官をしていた時の教え子でよく一緒に居たが今している普通の少女のような笑顔は見た事がなかった。
「それは私が女らしくないと言っているのか?」
「あっ!いえ!そういう事ではなくですね!?」
少し意地悪をするとボーデヴィッヒは慌てふためき、そんな姿を見ていると変わったんだなと感慨深く思ってしまう。
「フフ、冗談だ気にしなくていい」
私が少し笑うとボーデヴィッヒの顔が更に幸せそうなモノに変わった。
「本当に変わったな・・・・ボーデヴィッヒ、聞いてもいいか?」
「は、はい!何をでしょうか」
ボーデヴィッヒは胸を張り踵を合わせて握りこぶしを身体側に付ける軍隊式の気をつけをした。
「身構える必要はない。それに今は軍の中でも学園の中でもない。そんな畏まる必要はないぞボーデヴィッヒ」
「す、すみません。分かってはいるのですがつい・・・・」
ボーデヴィッヒは身体の前で両手をモジモジして目を逸らす。
「そうか、気にする必要は無いお前のやりたいようにすればいい。それで聞きたい事だが・・・・一体何がお前を変えたのか教えて欲しい」
ボーデヴィッヒは私を見ながら微笑んだ。
「四季です。四季が誰かの為と逃げていた私をラウラ・ボーデヴィッヒという存在に向き合わさせてくれました」
静かに話すボーデヴィッヒは顔は穏やかで今の幸せを噛みしめている様にも見える。
「それなら、仕方ないか。・・・・だが、何故お前は"ハーレム"を?一夏も何かしたのか?」
ボーデヴィッヒは呆けた顔をしたが覚悟を決めた顔をした。
「違います、織斑一夏ではありません。貴女です織斑千冬さん、私は貴女にとっての無二の存在になりたいんです」
「・・・・は?」
私はボーデヴィッヒの言葉を理解しきれず呆けてしまった。頭に浮かんだのは入学式の時のクラス女子達の反応だが、何か違和感を感じる。
「貴女は私のずっと一緒にいたい人の1人です。そして四季も、だから私は"はーれむ"と言うモノを作りたいんです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ボーデヴィッヒの純真で純粋な小さな子供の様な願いを聞いて、私は何故か小さな頃からの幼馴染の姿が今のボーデヴィッヒと重なった。
「す、すみません。そこまで嫌ですか?」
「いや、皆で一緒に居るか・・・・悪くないな。もう1つ聞いてもいいか?」
私の言葉を聞いて嬉しそうにしているボーデヴィッヒが頷いた。
「誰がお前に"ハーレム"という言葉を教えたか答えろ」
いかんな、声の中に怒りが混じってしまった。またボーデヴィッヒが軍隊式の気をつけをして固まってるではないか。
「じゅ、重要機密なので答えられません!!」
「ほう、ホントに変わったのだな。私の聞いた事に否を唱える事が出来るとは・・・・」
「な、仲間を売る事は出来ません!!」
「そうかそうか、お前が隊長を務めている"黒ウサギ部隊"の誰かだな?」
ボーデヴィッヒはしまった!という顔をして口を手で塞いだ。
「いいだろう、今回はこれで許してやる。そうだな、久しぶりにドイツにでも行って訓練をつけてやるのも良いかもしれんな。なあボーデヴィッヒ?」
「は、はいぃ。部下達も喜ぶと思います」
私が先を歩きながら言うとボーデヴィッヒは涙声で応えながら私の後ろを付いて来た。
「まあ、頑張るがいい。作るのも難しいモノだが、維持するのも難しいモノだろうからな」
あまり考えたくはないが、私と四季の間には言いようのない溝があるからな。ボーデヴィッヒの言う2人同時は無理がある。
「そうですか?私は作るのは難しいかもしれませんが維持は難しくないかと」
「ふ、まあ色々あるのさ私と四季の間には人には知らないモノがな・・・・」
「・・・・もしかして四季に何かされた事が!?」
私の自傷するような笑顔を見てボーデヴィッヒはハッとして私に問いかけてきた。
「逆だ、私が四季に酷い事をした事があるからな、四季が私を避けると思うぞ」
「そうなのですか、四季の初恋は貴女なのに今でも一緒に居るから大丈夫なのだと・・・・」
私は途中からボーデヴィッヒが何を言ってるか分からなかったが単語が頭の中で残っている。四季、初恋、貴女。
「わ、悪い。もう一度言ってくれないか?」
「はい?四季の初恋は貴女なのに今でも一緒に居るから大丈夫なのだと」
疑問を顔に浮かべて話すボーデヴィッヒの肩を私は掴んで迫った。
「ど、どういう事だ!?四季自身から聞いたのか!?」
「ち、違います!VTシステムから助けられる過程で殴られた時に四季の幼い頃の記憶が流れ込んで来たんです!その時の思い出で好きな人が織斑千冬だったと知りました!!」
私はようやく頭の処理が追いついたのか冷静になりボーデヴィッヒの肩から手を離した。
「そ、そうか。知らない事で驚いたみたいだ、悪いなボーデヴィッヒ」
「だ、大丈夫です。気にしないで下さい」
ボーデヴィッヒが何か言っているが私は思考の海に沈んでいた。そんな事にも気付かずに居た私に嫌悪感と、初恋の人に殺されかけた四季の気持ちを考えていると吐き気が込み上げる。
ふと、自身の懐で端末が振動している事に気が付いた。吐き気を抑えながら仕事へと頭を切り替えながら端末を見ると目を見開いてしまった。
___詩乃崎四季が提出した外出許可申請書と外部からの外出命令が一致しましたので詩乃崎四季の学園からの外出を許可しました___