スミマセン、間に合わなかった・・・・
___四季視点___
ある国の港町、何もない港は火で包まれ地にへばり付くのは血みどろの人間の山、その中に生者の気配をさせるモノは1つたりとて無いのが誰が見ても分かる。
そして視界に映るだけでも五つの軍艦が炎を上げながら沈んでいく、中から人が脱出する様子はない。艦と共に運命を終える気なのか既に死んでいるのかは分からないし興味も無い。
「はあ、ホントに君達は懲りないねえ。死ななきゃ治らないのかな?もう死んでるか、来世からやり直してくれ」
溜め息を吐いて息を吸うと久しぶりに嗅ぐ血の匂い、火薬の匂い、人が焼かれる匂い、五感を鋭敏にするパイパーセンスの欠点とも言うべきモノかもしれない。
「クハハハハ!少し物足りねえが、やっぱこうでねぇとなぁ!人間同士、争ってこそだろぉ!!」
機体から発するアリーの声は弾んでいる。正直どうでもいい、俺達が手を出したのは最後だけだ。それまでは俺と束さんを求めて勝手に国同士で潰し合っていた。
この中で一番の強者をほったらかしにして弱者である自分達の身を更に弱らせていったのだ。残った弱者を狩る事など赤子の手を捻るよりも簡単な事だった。
「さてと、大破した機体からコアを抜き出しとくか。少しくらい計画の足しになるかな」
追加パッケージのヤークトを装備したアルケ―を纏いながらISが撃墜した箇所めがけて潜水を開始した。
「ISが守った人が居ればついでに助けるか・・・・」
まあ、こんな事にISを使っている連中を守っている可能性なんてゼロに等しいけど、そんな事を考えながらコアの回収を始めた。
_______一日前_______
更識会長の計らいで常に無人の第三整備室で簪さんが泣きそうになり、その後ろに居る更識会長から痛いほどの視線が突き刺さっている。
「えっ・・・・四季くん、学園から居なくなるの?」
更識会長が手配したパーツが出来上がり組み立てを始めた中、近々IS学園から外出する事を伝えると何故か話が大きくなった。
「ここまで来て逃げ出すとは、お姉さん感心しないなぁ」
俺を見る更識会長の目が怖い、半分ヤル気の目になっている。
「違いますって!新しい機能を使えるようにするモノを貰いに行くんですよ!組み立てと調整だけなら新しい設計図もありますし簪さんと更識会長の2人で十分でしょ!?」
簪さんと更識会長は顔を見合わせて頷き俺との距離を詰めてきた。
「送ってもらえばいいでしょう?何故わざわざ貰いに行かないといけないんですか?それと一体どこの誰に貰うつもりなんですか!?」
問い詰める2人に対して俺は意地の悪い笑顔を浮かべた。
「簪さんはともかく、更識会長はもう全て分かってるでしょ。あの時2人きりになって俺に迫った時に教えたじゃないですか。だから俺に聞く必要はないかと」
「・・・・お姉ちゃん、どういうこと?」
簪さんの首から上がグリンと動いて隣に居る更識会長を睨みつけた。
「うひゃ!?ちょ、ずるいわよ!そんな逃げ方するなんてっ!!」
「でも事実でしょ。その後、誰も居ない校舎で追い回されましたし、怖かったんですよ」
「お・ね・え・ちゃ・ん。説明を・・・・」
更に怖くなっていく簪さんに怯えながら更識会長は頭を高速回転させて言い訳と説明を考えてるに違いない。
「後は姉妹水入らずって事で俺は失礼しますね。では、臨海学校の後で完成させますから期待して下さい!」
「あっ!ほら簪ちゃん!四季君が逃げて行くわよ!止めなくてもいいの!?」
「私はお姉ちゃんには色々聞く事が出来たから・・・・」
た、助け__ドアが閉まる直前に助けを求める声が聞こえた気がしたが気にする事を止めた。触らぬ神に祟りなしである。
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「四季!IS学園から出て行くってどういうことだよ!?」
部屋に戻って荷造りをしていると何処で聞いたのか今度は一夏に問い詰められた。
「だから、何で話が大きくなっていくんだ?別に帰って来ない訳じゃない一時的な外出だ、臨海学校は現地集合になるくらいだ」
「そ、そうなのか。なんか無駄に心配して損した気分だぜ」
一夏は力が抜けたように地べたに座り胡坐になった。俺は荷物をまとめてドアの前に立った。
「もう行くから、という訳で皆への説明は頼んだぞ一夏」
えっ!?ちょ待__ドアが閉まる直前に一夏の不満声が聞こえた気がしたが気にする事を止めた。厄介事は押し付けるべきである。
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「四季、どういうことか説明しろ」
正面ゲート前に千冬さんが待ち構えていた。たぶん千冬さんも話を誤解してる気がする。
「誤解ですよ。臨海学校には参加するつもりですから心配しなくていいですよ」
「・・・・ここから離れたら守れなくなってしまう可能性も・・・・」
「一夏の事ですか?それなら大丈夫ですよ。近辺で何かが動いている気配も無いですし、IS学園内部に居れば安全でしょう」
千冬さんは黙って首を振った。
「もしかして俺ですか?それこそ心配いらないですよ」
そう言って千冬さんの横を通り過ぎようとすると肩を掴まれた。
「ホントに大丈夫ですよ。知ってるでしょ?俺はブリュンヒルデと同じくらい強いんですよ。たとえ一国に狙われても切り抜けれますよ、自分を信じて下さい」
その自分が信じきれないんだ__肩を掴まれた手を振り解いて歩き出しゲートを抜ける直前に千冬さんとは思えない弱々しい声が聞こえた気がしたが歩を止める事はしなかった。
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そして、束さんに仕組まれた場所で俺を狙っていた全ての国が鉢合わせになり戦闘が起きた。