IS もう1人の俺は戦争屋   作:悠連

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苦痛に感じる

 

___ブリュンヒルデ___こう呼ばれる事は始めから好きじゃなかった。

 

今は、あの時からは、苦痛に感じている。

 

第一回モンド・グロッソで優勝した時に思った。この力があれば守りたいモノを必ず守れる。守りたいモノに守られずに守る事が出来ると。

 

そんな傲慢な考えはあの時に砕け散った。第二回モンド・クロッソ決勝戦前、一夏が誘拐された。

 

もちろん分かっていた。自分が有名になれば弟である一夏は狙われる事は。だから日本代表になって一夏の安全を国という巨大なモノから買い、一夏自身ISの事に関して知る事すら禁止して関わらせない様にしていたが・・・・それでも誘拐された。

 

考えれば当たり前の事だ。実の姉が世界一になるかもしれない大会を見に行く事は。

 

だが、一夏は自分が狙われている。少し考えれば分かる当たり前な事だ。

 

しかし、一夏は考えなかった。・・・・私も分からなかった。姉弟ならば分かって当然の事が分からなかった。

 

それでも手にした力で私は一夏を助けた。そう思っていた。目の前で助けた一夏が殺されるまでは。

 

その時の事はよく覚えていない。ただ、頭も心も何もかもが怒りに支配されていた事だけは覚えている。

 

怒りに身を任せていると赤いビームに貫かれて死んだ筈の一夏が視界に入った。息をしているからか胸が微かに上下している。

 

ソレを見て止まった私に目の前の赤いモノは言った。

 

___甘い幻想だったんですね___

 

私は我を見失っていても聞き覚えのある声だと思っていると赤い機体は飛び去っていった。

 

その後、私が助けて殺された一夏はクローンで一週間しか生きられず、赤いモノが届けた一夏が本物だったと知った。

 

私は自分自身が可笑しくなって盛大に笑った。自分に呆れた、自分が悔しくなった、自分が情けなくなった、自分の何もかもがバカみたいに感じた。

 

結局、私は何1つ満足に守りきった事など一度たりともない事に気がついた。近くに居る人どころか自分さえも・・・・友や弟、果ては殺そうとしたモノにまで、いつも誰かに守られていた事に気がついた。

 

その日から、私はブリュンヒルデと呼ばれる事が苦痛に感じた。こんな小さくて弱い人間が世界最強かと思うと呼ばれる事が苦痛になった。

 

そして、私は変わる事にした。守りたいモノを守る事が出来ないのなら私の手が届く範囲で誰かを助けよう、誰かを守れるようになろうと。

 

だから、私はIS学園の教師になった。教師として生徒を守れるように誰かを助けられるようにと思って。

 

教師にも慣れ、束の仕業で一夏がISを動かしIS学園に入る事になった時に決めた。

 

私を守ってくれた1人である四季をIS学園に入れる事を。束に言うとアッサリと簡単な計画を立てて一緒に四季を半強制的だったがIS学園に入れた。

 

四季がISを動かせるだろうと確信していた。少なくともISの知識なら私よりも上だろう。束から頼まれてISの操縦をする為に知識を身に付けた私と違って、四季は束と一緒にISを開発したのだから。

 

おそらくISが女性にしか使えないのも何かの意図があっての事だろう。その意図が何なのかは分からないが。

 

予想通り、四季は周り上手く合わせていたが私は1つ大きな事を忘れていた。四季の中に居るアリー・アル・サーシェスの存在を。感謝はしている、四季を助けて間接的に私を守ってくれた1人でもあるから。

 

だが、私の記憶では学園生活という平和な日常には合わない人間像だった。その記憶通りイギリス代表候補生と問題を起こし決闘が決まったり、ドイツ時代の教え子とも問題を起こした。

 

候補生との決闘や無人機の乱入を見た時に何故か嫌な予感がしていたが、無人機をバラバラにした小さく白いビットが全てを思い出させ理解させた。

 

あの白いモノは一夏のクローンを殺した時のモノではないかと、白いモノを操っていたのは殺そうとした赤いモノだったと、そして赤いモノの正体は四季ではないかと、私が殺そうとしたのは四季ではないのかと。

 

アリー・アル・サーシェスに話を聞くとアッサリと答えたが四季自身が気にしていないと言われて私はホッとして深く考える事をしなかった。

 

だけど、ドイツ時代の教え子がVTシステムに飲み込まれ、無謀に突撃しようとした一夏を止めてくれた時の四季の目を見てしまった。私はその目がナイフの様に心を刺し貫いた錯覚を覚えた。

 

その目は哀しさが満ち満ちていたから、普通に見れば殺気の所為で怒りに見えただろう。しかし、私は分かってしまった、四季の声色を聞いて思い出したからだ__甘い幻想だったんですね__赤いモノが去り際に言った言葉を思い出したから。

 

一夏の鈍感さに呆れていたが私は一夏よりも酷いなと思い、私は自分自身に呆れていた。一夏と同じで人の言葉を鵜呑みにして自分で考えもせず勝手に人の想いを判断して分かったつもりでいたのだから。

 

普通に考えれば分かる事だ、親しい人を助けて届けに来た、親しい人の過ちを正した、傍から見れば感謝されてしかるべき事をした筈が助けた相手に殺されかける。どう考えても傷つかない訳がないだろう、頭では理解してても心は傷ついたに決まってる。

 

私はそんな事さえ分かっていなかったのだ。そして四季の初恋が私だと聞いた。その事は更に私の心を抉った。

 

私は自分が信じれなくなった。ブリュンヒルデと呼ばれようと友に信じて下さいと言われても、私は自分自身を信じれなくなった。

 

そんな状態の私が立てた作戦は酷いモノだった。全て他人任せで目の前の分かりやすい力に釣られて大雑把な作戦を立てた。

 

そして結果が失敗だった。戦闘海域に国籍不明の船が居たらしく一夏はソレを庇ってエネルギーを切らし、箒は力に酔っていた自分に幻滅してISの具現維持限界をした。

 

一夏は箒を庇って銀の福音の攻撃を喰らって撃墜した。海に落ちる寸前の2人を助けたのは四季だった。

 

負傷者を抱えた状態でも何とか攻撃を避けていたが援護が無い状況では捕まるのも時間の問題かと思ったが四季が国籍不明の船を攻撃して撃沈させると銀の福音が動きを止めた。

 

その隙を逃さず四季はファングと呼ばれるビットを使って牽制をしながら撤退した。

 

一夏は重症だったが無事だったと確認した後、私は余りにも幼稚な作戦に呆れた。確かに銀の福音を警戒させずに一撃を加えるのはワンチャンスだけだったが、戦力を此処に置いとく理由にはならない。作戦は失敗したかもしれないが救助した後の援護くらいは出来た筈だ。

 

私は自分に自信が無いと言って考える事をせず、安易な作戦を立てて失敗したら誰かにフォローして貰う。

 

結局、あの日から何も変わっていない。私は自分自身が何かした事が一度も無いと思い知ってしまった。

 

 

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