スミマセン、遅れました。
そして、暗い話が続く・・・・
心地良い、例えどんなに最高級なベットで寝ようとも、どんなに高名なマッサージ師にマッサージされようとも、ここまでの心地よさは感じられないだろう。まるで自分が人魚になって水の中を漂っているみたいだ。
「おい、起きろガキ。いつまで死んでいる気だ?」
近くに誰かいる、聞こえた声は渋い男の声で呆れが混ざっている。
どこかで聞いた事のある気がする声だけど、どうしても顔が浮かばない。
「なら、目を開けな。どうせ見ても分からねぇだろうがな」
その声に少し苛立ち、重たい瞼を開けた。広がった視界に俺は絶句した。
暗い視界に流れる線を引いた光に遠くで輝いている星々を見て一瞬で理解した。ここは宇宙だと。
水の中を漂ってる気がしたと思ったが俺は宇宙を漂ってたらしい。
「呆けてんじゃねぇ、こっち向けガキ」
後ろを振り向くと髪を無造作に伸ばし腕を組んだ男の人が立っていた。
周囲が暗く、流れる星では視界は安定せず顔が良く見えない。
「こ、ここは何処なんだ!?なんで俺は宇宙に?」
「良く思い出せよ、お前は此処に来る前にロケットにでも乗ったか?」
臨海学校で海に来て、束さんが来て、四季が戻って来て、そして箒の専用機の紅椿が・・・・
「そうだ、銀の福音を撃墜する作戦で国籍不明の船を庇った後に具現化限界をした箒を庇って俺は攻撃を受けたんだ」
「思い出したか、なら此処は何処だ?」
エネルギーが無い状態で攻撃を受けたんだ。どうなるかなんて・・・・
「俺は死んだのか、なら此処は黄泉の国への道中って所か?」
「残念、似た様なモンだが此処はソレじゃねぇ。思い出せよ、ISには絶対なんたらがあるだろう」
「絶対防御か?それってエネルギーが無くても発動したのか?」
「ああ、発動するぜ。ただしISのエネルギーが戻るまでは意識がISのコアネットワークに取り込まれるがな」
「それじゃ此処は・・・・コアネットワークの中か?」
俺はまるで宇宙の様な光景に目を奪われながら答えた。
「そうだ、コアネットワークの中だ。良かったな、ISに気に入られねぇと此処には入れない・・・・つまり、気に入られなかった奴はどうなるか分かるよな?」
「どう、なるんだよ?」
俺は質問の意味が分からず首を傾げて男に質問を返した。
「こっちが聞いてんだけどな。いや、もう分かってんだろ?自分の出した答えから逃げてんじゃねぇぞガキ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺もそこまで子供じゃない、言われた通り俺が思った答えから逃げている。今回は誰かから教えられたからじゃ逃げられない。
「黙ってんじゃねぇぞガキ。サッサと言えよ」
「・・・・死ぬ・・・・」
俺の答えを聞いて男は大きな声で笑った。
「その通りだ!やっぱ分かってんじゃねぇか!」
「でも!ISは操縦者の命を守るように作られてんだろ!?それが助ける命を選ぶような機能がある訳がない!!」
「テメェは一からISを作れるのか?テメェはISの何もかも知ってんのか?テメェはISが何なのか分かってんのか?ええ!?答えろよガキィ!?」
そう言われた俺は黙るしかなかった。
「最後のくらい答えろよ、皆言ってんだろ?ISはパートナーみたいなモノだってな。という事はどういう事か分かるよな?」
「ISのコアの1つ1つに人間と同じ自我があり意識があり・・・・好き嫌いだってある」
絞り出した俺の答えに男は更に大きな声で笑った。
「そうだ!その通りだ!!ここまでアッサリ答えを出せるんだな!たった今、疑惑が確信に変わったぜ!」
この言葉に俺は焦燥感が胸から湧き上がるが言葉に出来ない。そして男の言葉も止まらない。
「一体お前は今まで何回とぼけた振りをした?今まで何回知らない振りをした?今まで何回自分から逃げた?ええ!?答えろよガキィ!!」
言われた、考えない様にしていた事が、自分が周りに見せてきた思いが、自分を守る為の殻が、全てこの男にバレた。気付かされた、逃れない様にされた。
「頼むからよぉ、答えてくれねぇかぁ?・・・・フゥハハハハハハハハハ!!」
「・・・・黙れ、黙れぇえええええっ!!」
沈みかけた意識が男の嗤い声で怒りに変わり怒鳴ってしまった。
「クハハハハハハハッ!そんなんじゃ何時まで経っても弱いままだぜ!変わるんじゃなかったのか!?ええ!?」
「だから努力している!変わる為に皆と一緒に強くなっている!!」
「今のテメェが強いってかぁ!?弱えだろ!何も変わってねえだろうが!!」
怒りで叫んだはいいがアッサリと返されて俺は黙るしかなかった。
「言われただろうが!変わりたいのなら自分で考えろってな!常に自分の力や立ち位置を考えて行動しろって意味なんだよ!ソレを考えもせずに行動するからテメェは弱えんだよ!!」
その言葉は四季や鈴が言っていた言葉だ。
「考えれば分かる事だろ?自分の今の力じゃ何もかも守る事なんて出来ないってよ!お前がした行為は只の自己満足なんだよ!」
俺が作戦を捨ててまで国籍不明の船を庇った事を言っているんだろう。
「あの後、お前が仕留めそこなったISが何をしたか教えてやるよ。街に住んでいる何の罪もない人々を殺してるぜ」
その言葉に俺は頭が真っ白になった。
「ちなみにお前が助けた犯罪者たちはピンピンしてるぜ。どういう事か分かるよな?お前は犯罪者を助けて善良な市民を殺したんだよ!!」
「そ、そんな__」
「嘘だよぉ、ホントどうしようもねぇガキだなぁ」
「ふざけるなっ!!人の命を簡単に言ってんじゃねぇ!!」
「ふざけてんのはテメェだろうが!!今の話が起こり得ないとでも本気で思ってんのかぁ!?ンな訳ねぇだろぉ!あと1日2日すりゃ俺が言った通りになるだろうよ!!」
「そ、そんなこと俺がさせない!いや!俺じゃなくても皆が止める筈だ!!」
「今回も逃げてるじゃねぇか、自分がしでかした事を他人に責任を擦り付けて後で皆の所為じゃないって慰めるつもりかぁ?そりゃそうだ!テメェの自己満足の所為で仕留めそこなったからなぁ!!」
話せば話すほど自分の思いが壊されていく、自分がどこまで薄っぺらい存在だったか思い知らされる、自分が生きてきた意味さえ無意味だったと言われているかの様だった。
「それで、テメェはどうすんだよ?このまま中途半端な思いを垂れ流すなら死ね。テメェの所為で人が死ぬかもしれねぇ事を自覚しろ、そしてどうしたいか決めろガキ」