スミマセン、遅れました。
「お客様、ようこそ@クルーズへ。此方へどうぞ」
店内に入った俺達をメイド服を着た人が席へと案内してくれる。
「おお~、メイドさんを見ても鼻の下を伸ばさないとは。お姉さん的にはポイント高いぞ」
3人とも席に着いてそんな事を言ってくる更識会長へジト目を向けた。
「・・・・何故にメイド喫茶?パフェが高い理由がメイドさんの御奉仕ですぅ!とか言ったら殴りますからね」
「・・・・お姉ちゃん・・・・」
隣の簪さんの雰囲気も怖いのだろう、更識会長の顔が少し強張っている。
「い、いやだなぁ、そんな怖い顔しないで2人とも。ここは季節のフルーツを使ったデザートが売りなお店だから期待しても大丈夫よ」
俺と簪さん他のデザートも見る為だが、更識会長は一番高いパフェを頼むつもりなのに俺達と一緒にメニュー表を見ている。
口には出さないが__近い__、そしてメニュー表はもう一つある。
だから、3人とも密集してみる必要は無い。元はと言えば俺が簪さんも一番高いパフェを頼むと思っていたのが原因だ。
俺だけがメニュー表を見ていたら横の簪さんが自分も見てもいい?と言われたので2人で見ていたら簪さんの反対側から更識会長が近づき一緒にメニュー表を見る事になった。
「あ、コレにしようかな・・・・」
簪さんは色とりどりのデザートに夢中で気付かないが肩が触れ合う程2人の距離が近い、そのせいで髪からシャンプーの香りと簪さん自身の香りが混ざり合い、一振り10数万の香水にすら出せないような香りがしていた。
ちなみに更識会長のはワザとやっている。むしろ薄着で感触がモロに分かる程の柔らかい胸を押し付けるので暑苦しい。
・・・・あれ、半分くらい男の本能に流されている気がするけど暑苦しいのは本当だ。なので早く注文しようと思い簪さんに話しかけた。
「簪さんは何を注文するか決まった?」
「うん、決まっ__あっ・・・・!?」
顔を俺の方に向けた簪さんは触れそうなほど近くに俺の顔がある事に今さら気が付いたのか顔を赤くして離れた。
「ごめん、近かったね」
「う、ううん。私の所為だから謝る必要なんて・・・・」
モジモジする簪さんを見て俺の横でニヤニヤしている人が居る。
「そこ、ニヤニヤしない。簪さんが決まったのなら注文しますからね」
「お姉さんは決まってないのか聞いてくれないなんて意地悪だなぁ」
「どうせ、遠慮の欠片も無く頼む気でしょう。聞く事すらアホらしいです」
更識会長は頬を膨らませながら俺の頬を指でツンツンと突いてくる。ソレを無視しながら呼び出しのチャイムを鳴らした。
「・・・・くぅぉおこぉおかぁああ・・・・!!」
その瞬間、入口からメイドさんを押し退けて髪を分けた鬼女が来た。
少し頬がコケて目の下にクマを作り息を荒げている鈴の姿は正に鬼女と言うに相応しいモノだった。
「まさか此処まで追って来るとは、機嫌が悪いなら大人しく寝といた方がいいぞ」
俺が頬を掻きながら言うと鈴はゆっくりと息を整えた。
「な、なんで逃げるのよ!?あの状況から言ったら抱きしめ合う所でしょ!!」
「一体何の話をしているんだお前は?」
「どういうことか説明してくれませんか?四・季・様、何から何までも・・・・」
俺は呆れていると後ろから声を掛けられて振り向くと執事服を着たシャルロットが頬笑みを浮かべていた。その背は怒りの炎で景色が揺らいでいる様に見える。
「四季、いくら私と言えど見た事の無い女を2人も連れている所を見れば・・・・さすがに怒るぞ・・・・」
そのシャルロットの隣にはメイド服と共に絶対零度の殺気を纏っているラウラが立っていた。
「私達も色々と話を聞きたいわ。ねえ、簪ちゃん」
「うん、ホントに突然だけど聞きたい事が出来たの・・・・」
ニッコリと怒りの笑顔を浮かべている更識会長と無表情で佇んでいる簪さんが俺の両サイドに立った。
あれ?おかしいな、泣きそうだ。誰か助けてくれないかな・・・・
「全員、動くんじゃねえ!」
男がドアを蹴り開けて雪崩れ込んで来た。見ため銀行強盗な3人の男が怒号を上げる。
俺達の方に注目していた客が何が起きたか分からず呆然としていると店内に銃声が響いた。
「きゃあああああっ!?」
「騒ぐんじゃねえ!静かにしろ!」
自分達が発砲して脅かした癖に勝手な事を言ってるなぁ、でもナイスタイミング!
「あー、犯人一味に告げる。君達は既に包囲されている。無駄な抵抗は止めて大人しく投降しなさい。繰り返す__」
外から警察と思しき明らかに古い呼びかけがあるが男達は笑って威嚇射撃をして逃走車を要求する。
「高い金払って手に入れたコイツさえあれば俺達は最強だぜ」
この場に居る5人はISを持っている事を知らない男達は各々手にした銃を眺めながらニヤニヤしている。まるで大海をしらないミジンコみたいなモノだ。もしくはミジンコ対ライオンの構図だ。
と思っていると男達が人質である客を1か所に集めようとして俺達の方を見た。
「おい!なにしてやがる!お前達もさっさと言う事を聞け___へぇ、えらく綺麗所が揃ってるじゃね・・・・っ!!?」
銃を此方に向けながら下品な笑みを浮かべていた男達に向かって俺を包囲していた乙女たちは片手に1つずつテーブルを持ち投擲した。
数は10個、狭い店内で固まっていた男達に逃げ場は無い。
なすがままに蹂躙された男達から骨が折れる鈍い音や悲鳴が一瞬聞こえて店内は静寂に包まれた。
重なったテーブルの下から結構な量の血が広がっていく。
ソレを見た俺は遅まきながら理解した。あ、死ぬかも俺。
周りの漢乙女達は何事も無かった様に笑顔を浮かべたまま段々と近づいてくる。
「っふっざけるんじゃねえええええ!!」
重なったテーブルがプルプルと震えたのち、一番体格の良い奴が怒鳴り声を上げながら手にしたハンドガンとサブマシンガンを両手に一丁ずつ構えた。
「死ねええええ”ぎゃあっ!!?」
男が引き金を引く前に炸裂音が響き男は立ったまま2回もんどり打って倒れた。
「不意打ちするのに声を出すなよ、バカか?」
俺は男の両肩を左手に出したポケットピストルで撃ち抜き呆れながら溜め息を吐いた。
「うる、うるせえええ!!こうなったら全部吹き飛ばしてやる!!」
男は膝で立ち、自分の懐に目を向けるが何も出来ない事に気が付いた。
「腕、腕が動かねえっ!?痛くねえのに何でだああ・・・・痛くない・・・・?」
男は違和感に気付いて顔が真っ青になった。
「俺が撃ったのは肩じゃなくて首筋だ、神経が切れてるから動かないし何も感じないんだ。それに、アンタの腹に爆弾が巻きつけてある事くらい見た瞬間に気付いてたよ」
言いながらゆっくりと近づいて顔を近づけた。
「アンタには聞きたい事が出来たんだ。嘘偽りなくスラスラと答えなきゃ・・・・楽に死ねないよ・・・・」
底冷えするような声色で耳元で囁くと男は訳が分かっていないが恐怖で何も言えず泡を吹いて倒れた。
「・・・・下手すると、死ねないのは俺かも・・・・」
背後から5人の漢乙女達が迫って来るのを感じて頭をフル回転させた。
ナイフで男の腹から爆弾を切り取りながら外へと飛び出て爆弾を上に投げて信管を撃ち抜いた。
辺りが閃光と爆風に包まれてパニックを起こした観衆に紛れて走った。
___逃げる為に___