IS もう1人の俺は戦争屋   作:悠連

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心を抉る言葉を・・・・

 

___簪視点___

 

1045鍵に書かれた番号と部屋に書かれている番号を確認して扉に手を掛ける。

 

部屋の中に人の気配はない、奥の窓が開かれている。

 

「あれ?鍵が空いてる?それに窓も・・・・閉め忘れ?」

 

私以外のルームメイトが先に来て空気の入れ替えの為に開けて何処かに行っているのかな。

 

こんな不用心な人と一緒の部屋か、気を使いそうだな。

 

そう思いながら扉を閉めて部屋の中に足を進めた瞬間、あっさりと喉仏を斬り裂くであろうナイフが添えられ、口を押さえられたが必要なかった。

 

添えられたナイフよりも口を押さえられたよりも一瞬あてられた殺気に全てを持って行かれた。

 

これでも"更識"の子であり日本代表候補生、生身での戦闘訓練は一通り受けているし普通の代表候補生より"裏"に精通してるはずだ。

 

だけど今、私は巨大な悪魔の手で握り潰されるのを想像した。

 

ソレ程の差を感じてしまった、理解してしまった。私が知ってる誰よりも"お姉ちゃんより"も圧倒的な存在だと。

 

そう思い身体が固まると殺気が嘘のように消えてバカみたいに優しい気配に包まれた。

 

「___落ち着いたら頷いて部屋の奥に進んで、分かった?」

 

途中からしか聞き取れなかったが優しそうな声を聞いてようやく落ち着き頷いた。

 

いつの間にか添えられていたナイフが消えて部屋のベットに腰を下ろして恐怖と優しさが混濁している人の顔を見た。

 

声を聞いた時点で分かっていた、男だ。分かっていたが此処はIS学園だ、男が居るなんてあり得ないと思っていたが優しそうな顔とは裏腹に目が私を疑っているのが分かる。

 

いや、わざと分からせている。ソレ程の差が2人にはある、分からせない様になんて簡単に出来るだろう。

 

「君に聞きたい事があるけど教えてくれないかな?」

 

私は無言で頷く。

 

「じゃあ、まず誰にこの部屋に行けって言われたの?」

 

「だ、誰にも言われてない」

 

なんだか随分久しぶりに空気を吸った気がする。

 

「じゃあ、何でこの部屋に来たの?ハニートラップ?」

 

「ち、違うそんな事し・・しない」

 

この人は何を言ってるのだろう、今の時代なら立場が逆ではないだろうか。

 

・・・・まさか、噂の織斑先生が連れて来たもう1人の男性操縦者なんじゃ。

 

「えーと、もしかしてだけど・・・・君も此処に住む予定があったりする?」

 

私が無言で肯定すると彼は慌てて部屋にある電話で寮長室へと電話をかけた。

 

「どういう事ですか千冬さん!?1人部屋じゃなかったんですか?女の子が私もこの部屋って言ってますけど!」

 

そう考えれば彼がIS学園の制服を着ているのも納得出来る。

 

「はい?1人の部屋に入れるから間違ってない?女の子1人の所に入れるって意味ですか?」

 

これで全てに辻褄が合う、彼は1人部屋だと思ってたはずだ。

 

織斑先生しか知らない自分の部屋に女子が来たのだ、男性操縦者である自分の部屋に。

 

どう考えても何か裏があるとしか考えられない、だからあんな対応をしたのだろう。

 

「はい、分かりました・・・・・・手なんて出しませんよ、そんな怖い声出さないで下さい。はい、失礼します」

 

そう言って電話を切った彼は私の方に向き直ると本当に申し訳なさそうに頭を下げた。

 

「本当にゴメン!てっきり何処かの国か企業のスパイだと思って!」

 

「気にしなくていい、あなたは2人しか居ない男性操縦者、それくらい用心して当たり前」

 

彼は驚いた顔をして私の顔を見て笑いかけた。

 

「ありがとう、君は可憐で聡明な人みたいだね」

 

「そ、そんな事無い・・・・これくらい誰でも分かること」

 

彼は私に右手を目の前に出した、その手を見て私が顔を上げると。

 

「俺の名前は詩乃崎 四季、君の名前を教えてくれない?」

 

「さ、更識 簪、わ私の名前・・・・」

 

そう言って彼の手を取った。

 

 

___四季視点___

 

 

まさか女の子との2人部屋だとは思わなかった。

 

なら一夏のルームメイトとシャッフルすれば良くね?と思ったが頭に束さんが浮かんだ。

 

多分だけど一夏のルームメイトって篠ノ之さんじゃなかろうか、それなら全てに納得出来る。

 

視線を戻すと目の前に座る女の子、水色の髪、赤い瞳に掛けた眼鏡、雰囲気がか弱さを滲み出ている。

 

___まるで自分に自信が無いかの様に___

 

「更識さん?」

 

彼女は自分の名字を聞くと身体が一瞬硬直して口を開いた。

 

「名字で呼ばないで、簪でいいから」

 

「別にいいけど、そこまで自虐的になる必要はないよ簪さん」

 

彼女が俺の顔をみた。

 

「君は自分が思ってる以上に優秀だよ、もう少し自信を持つといい。俺が保障する」

 

「っ!?て、適当な事を言わないで!会ったばかりで分かる訳ない!」

 

簪さんは図星を突かれたかのように息を飲むと一気に捲し立てた。

 

「君が優秀なのは分かるよ、俺に背後を取られた時に自分と俺の力の差がわかったでしょ?その後の対応も合格点だし、なにより状況だけで自分と俺の関係を把握して俺を許してくれた」

 

1つ1つ理由を挙げる度に簪さんは勢いを失くしていく。

 

「これだけあれば君が優秀なくらい分かるよ、それとも何か負い目でもあるの?例えば"更識"って名にでも・・・・」

 

部屋に乾いた音が響いた。

 

 

 

 

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