黒の契約者の要素が少し入っています。
詳しくはwikiでの確認を・・・・
夜中、月明かりが窓から入り真っ暗な廊下が照らされている。
そのまま歩き、ある部屋の前に立って静かにドアを開けた。
中には男が2人、俺に撃たれた銀行強盗の男が縛られて座ったまま項垂れており、もう1人は幼さが残る顔立ちをしたスーツを着ているというか着せられている様な男が何かを書いている。
「どう?全部話したか?」
「はっはい!もう隠してる事は無さそうですっ!」
声を掛けられて気が付いた幼さの残る男は席から立ち上がり少し緊張しながら応えた。
「ぅぁ、お前・・・・なんなんだよ!お前等は!?」
目の前の反応でようやく気が付いた銀行強盗は俺の顔を見て恐怖に染まりながら呟いた。
「後で教えてやるから少し待ってろ。さて結果を聞く___までも無いだろうけど、一応聞こうか」
「は、はいっ!っとぅわっ!?」
視線を何かを書き終えた男に向けると紙を俺の近くに行こうとして緊張で足をもつれさせた。
「・・・・その前に、お前は何でそんなに緊張してるんだ?」
「すっすみません!あのっ創設者様にお会いするのは初めてなモノでっ」
慌てて立ち直した男は紙を胸に抱えて居住まいを正した。
「俺の顔を拝むくらいだ。お前は幹部の1人じゃないのか?」
「はい、幹部に選ばれてなったばかりでイキナリ創設者様にお会いする仕事を・・・・」
男は段々と尻すぼみになっていき俺から目を逸らしていく姿を見て溜め息を吐いた。
「はぁ、組織って言っても出来て5年そこらの子供の様なモノだ。たかが俺みたいなガキに会うだけで緊張しなくていいから」
「で、ですが・・・・ホントにこの組織には感謝と尊敬と崇拝と礼讃をいくらしても足りないくらい素晴らしいモノで僕のような人間が幹部に選ばれただけでも身に余るのに__」
「黙れ、お前はアイツ等に・・・・お前より更に上の幹部に選ばれたんだ。お前には資質や能力があるから選ばれたんだ。自分を卑下する事はアイツ等と組織を侮辱する行為だと思え」
言葉を遮り少し殺気を出しながら言うと男は息を飲んだ。
「・・・・すみませんでした。自分に何処まで出来るか分かりませんが期待に応えてみせます」
殺気に怯えずに気を張り直した男は確かに優秀だと思い、笑みを抑え切れなかった。
「そう、それでいい。それでは結果報告を・・・・」
「はい、創設者様がおっしゃった通り組織には不適格です。それに聞き出した情報は余りに不透明で裏は何も分かりませんでした」
「ホントに聞くまでもなかったな、ならME技術の使用を許可する」
そう言いながら男に背を向けてドアへと向かった。
「分かりました。その後はどうなさいますか?」
「全て上に報告したのち次の指令に従え」
男が了承して頭を下げるのを横目で見ながら部屋を後にしようした。
「待ちやがれ!何なんだお前たちは!?俺に何をするつもりなんだぁっ!!」
銀行強盗の振り絞った咆哮で足を止めて振り返った。
「お前は一体何があって組織に入ったか答えられるか?」
頭を下げたままの男に向けて言うと男は少し震えた後に顔を上げた。
「僕は学生の頃に複数の女性から暴力や誹謗中傷を1年以上受けた後に退学させられました。理由が自分たちよりも成績が良いから。退学させられた僕をスカウトしたのが組織でした」
「スカウトの内容は?」
「貴方が復讐したいモノは?と聞かれました」
「なんて答えたんだ?」
「___世界___と答えました」
「そっか。と言う訳だ、俺達が何か分かったろ?」
答えに満足した俺はにんまりと笑みを浮かべて銀行強盗の方を向いた。
「じょ、女尊男卑反対の団体か!なら、俺もそうだ!犯罪に手を染めたのも女からの濡れ衣を着せられた所為でっ___」
「違う。少し考えてみろ。今の女尊男卑な世界が5年も続いてんだぞ、もうとっくの昔に不平不満が爆発してなきゃオカシイだろ」
俺の言葉の意味が分からず口をパクパクさせるだけの男を見て笑みを消した。
「もういい、これからお前に何をするのかを教えてやる。ある機械でお前の頭の中を弄って記憶だけを取り出す」
「まっ待ってくれ!俺は何も隠していない!ホントに全部話したんだ!!」
「お前の足りない言葉をお前の記憶で補完するだけだ。合理的だろ?それにお前たちの銃の入手ルートを割り出さないと話にならないんだよ、裏ルートの銃の取引は俺達が管理してるからな」
俺の言葉の大きさと闇の深さを理解したのか顔を青ざめた。
「平和な国ほど大きな事件を起こしやすいって?違うな、管理されてるから大きな事件が起きにくくて平和なんだよ。お前たちは偶然上手くいっただけだ」
「っこ、この国には犯罪者に人権がある筈だ!こんな勝手なことが許される訳・・・・」
「俺の言葉で察しろよ、世界中の女尊男卑で起こる不平不満を調整してんだぜ。国や世界が裏で認めてないとでも思ってるのか?」
既に自分は助からない事を改めて理解したのか男が固まった。
「後はお任せ下さい創設者様」
固まった男の後ろに大きなフルフェイスのヘルメットを持った男がお辞儀した。
「そうする・・・・名前を聞かれてもないし、聞いてもないがいいのか?」
「はい、僕は既に創設者様の思想に全てを捧げています。創設者様にお叱り頂いただけで十分です、僕の事は忘れて下さい」
そう言って顔を上げない男が面白くて部屋を出てドアを開けた。
「アリー・アル・サーシェスだ、覚えなくてもいい」
ドアを閉める直前に呟いてから何も言わずドアを閉めた。
『おいおい、なんで偽名じゃなく俺の名前を言ったんだ?本名を言うにしても自分の名前を言っとけよ』
夜道を歩いてる途中で頭にアリーの怪訝そうな声が響く。
「別にいいじゃん、理想に妄信してる奴にはホントの創設者の名前を教えたくなっただけ」
『ったく、それならテメエもだろうがよ・・・・』
そんな事を言い合っていると背後の月明かりで映し出された俺の影が二つに分かれている様に見えた。