難産です
ちょっと・・・・疲れたorz
叩きつけられた一夏の元にゆっくり向かうと一夏は頭を掻きながら少し悔しさと俺を責める様な目をしていた。
「・・・・四季、もしかしなくても手加減してたろ?」
「もちろん、俺は一夏の特訓に付き合っているんだ。お前を速攻で倒したら特訓も糞もないだろ?」
一夏は理解はしたが納得してないのか悔しさを感じながら目を伏せた。
「少しは強くなったつもりなんだけどな。初めてセシリアと戦った時よりもボロ負けしちまった」
「当たり前だ。そのセシリアさん相手に訓練機で圧倒した相手にIS操縦者ぺーぺーのお前が善戦できるとでも思ったのか?」
俺とセシリアさんの戦いを思い出したのか一夏は黙っている。
「それにな、代表候補生ってのは血反吐を何度も吐きながら長い時間努力してなるもんだ。たかだか放課後、生温い訓練をしていただけの奴がアッサリと追いつけるとでも?思いあがンじゃねえよ。その考えは努力してきた奴等をバカにしてると思え」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「まあ、お前がした努力はお前を裏切ってはいない。明らかに反応速度も上がってるし瞬間的な出力の出し方も上手くなっている」
「そ、それって・・・・?」
俺の言葉を聞いて一夏が顔を上げて俺を見た。
「・・・・分かりやすく言えば、お前は確実に強くなってる。だから悲観的になる必要はねえよ」
「・・・・あれ?なんだろう、四季に言われると何故か信じられる。何処かスッとしたぜ、ありがとな」
笑いながら感謝を言う一夏の顔からは悔しさが抜けていた。
「当たり前の言っただけだ。それよりもだ、白式の機体制御PICをオート制御にしてるだろ」
「えっ?そ、そうだけど・・・・それがどうかしたのか?」
一夏は困惑しながらも肯定した。
「だろうな、中途半端に機械的な動きが入るから動きに無駄が出来る。だから俺の攻撃を中途半端に受けて体勢が崩される。崩されてから立て直すのに時間が掛かるから更に無駄が多くなるし隙が大きくなるんだ」
「ど、どういうことだ?」
今の説明だけじゃ理解しきれなかった一夏に対して実演して見せる。
「つまり、マニュアルで機体を制御していたら崩された体勢からでも攻撃が出来るが、オートで機体を制御していたら攻撃よりも先に自分の体勢を整えようとするから隙が生まれるし相手も次の攻撃が出来るって訳だ・・・・分かったか?」
「な、なるほど・・・・説明つきで実際に見たら今まで俺がどれくらい無駄な動きをしていたか良く分かる・・・・」
一夏は顎に手を添えながら何度も感慨深そうに頷いている。
「だから、これからISの操縦はマニュアルにしろ。そして動きまくってマニュアルでの操縦に慣れろ」
「お、おう。なら早速・・・・」
一夏は空中ディスプレイを操作して操縦をオートからマニュアルに変えてから飛び回ろうとした所を俺は右手を伸ばして白式の足を掴んだ。
「なんで足を掴むんだ?」
「今日はコレで終わりだ。いくら手加減したと言っても白式に蓄積されたダメージが消えた訳じゃない。その上初めてのマニュアルだろ、これ以上白式に無理をさせるんじゃねえよ」
よく見ると白式の肩やウィングにヒビが入っている。
「あ、分かった。この後・・・・そうだ!久しぶりに遊びに行かないか!?」
「あ~、別にいいが・・・・今日は篠ノ之神社で祭りがある事を覚えているか?」
そう一夏に提案するとアッサリと食い付いた。
「あ!色々あり過ぎた所為で忘れてた・・・・」
「それじゃ、シャワーを浴びてから一緒に行くか?」
「おう!祭りなんて久しぶりだなぁ、今から楽しみになってきたぜ」
一夏はうきうきしながら更衣室へと向かって行く。
「そういえば今年は箒が神楽舞をするらしいからソレも期待しないとな・・・・」
「そっか!ますます祭りが楽しみになってきたぜ!」
一夏に同意しながら一緒に更衣室へと向かった。
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圧巻だった、まさに神に捧げる舞に相応しいと言えるモノだった。
優雅にされども力強く、そして何よりも動作の一つ一つが美しく通り過ぎた後に線を描いていた。
しかし、見惚れて自分の目的を忘れる事はない。神楽舞が終わると同時に眼鏡の淵のボタンを押すと音もたてず録画が終わった。
ふと隣を見ると一夏が見惚れて呆けていたので気付かれない様にその場を後にした。
用事が出来たから帰る、箒への労いの言葉を俺の分も掛けてやってくれ。とメールを送って人気の無い所まで行きアルケーを纏って空へと飛び上がった。
いつも通り何も無い空中でアルケーを解除すると空中に降りると扉が現れる。
「お届けモノですよぅわあっ!?」
扉に向かって同じかけ声をすると上から不思議の国のアリスの恰好をした束さんが降ってきた。
「待ちわびたよぉっ!早速ブツを束さんに見せて魅せてっ!!」
「はいはい、コレがそのブツです。納得いくまで御堪能下さい」
そう言って掛けていた眼鏡を束さんに掛けると俺が見てきた箒の神楽舞の再生が始まった。
「なにも此処で見始めなくても・・・・」
1つ溜め息を吐いて動かなくなった束さんを抱えて扉から中へと入り、研究室の椅子に座らせてから振り向くと壁の角から銀髪が少し見える。
俺は含み笑いをしながら驚かそうと静かに近づいて角を見ると銀髪のカツラがぶら下がっているだけだった。
「あれ?何処にぃっぎゃうっ!?」
またしても上からくーちゃんが降ってきて下敷きにされた。
「し、四季様!大丈夫ですか!?」
掛けられる声が何故か優しい、上に乗ってる本人さえ予想外みたいだったようだ。
「な、何でこんな事を・・・・?」
「た、束様がこのタイミングでの、この罠なら引っ掛かるからと言って・・・・その・・・・」
「あ、あの人はぁ・・・・」
「あ、あの・・・・四季様?」
静かに怒りに震えている俺にくーちゃんは恐る恐る声を掛けた。
「今日のあの人のご飯は茶碗一杯のご飯だけにしてやる。くーちゃん、今日は洋風の料理にも挑戦しようか」
「え?それはいいのですが・・・・束様の御夕飯は・・・・」
「ん?なんだって?」
最高の笑顔で言うとくーちゃんは少し顔を青くしながら何もありませんと言って俺と一緒にキッチンへと向かった。