騒ぎが収まらないまま全校集会は終わりを告げ各自教室へと戻っていった。
「とりあえずコレで生徒会への苦情も減りますよね?」
舞台裏で隣に居る更識会長へと話しかけると
『抽薪止沸』と書かれた扇子を口の前に広げた。
「うん、コレで私達は大丈夫だと思うけど四季君は大丈夫なのかな?これから学園祭が終わるまで常に狙われる事になるだろうけど・・・・」
「ろくな心配してない癖によく言いますね。
ま、ガキの頃から狙われて生きてきたんですよ。今さらガキの百や千増えても大したことじゃないです」
「・・・・・・・・・・・・」
何も感じていない事をハッキリと言うと予想に反して更識会長が沈黙していた。
「・・・・えーと、どうかしましたか?」
俺は更識会長の沈黙が作る空気に耐えきれなかった。
「ホントに心配してるのに・・・・」
「えっ!?そんな今まで更識会長だって____その口に当てている手を除けて貰っていいですか・・・・?」
更識会長は涙目で口に手を押さえた姿のまま微かに震えている。
「・・・・ふふふ、初めてじゃないかしら?君を焦らせることが出来たのは」
更識会長は人懐っこい笑いをしながら、さり気なく目に浮かんだ涙を拭った。
「・・・・そりゃ半分本気でしたから俺だって少しは反応しますよ」
「と言う事は君は本気だったら反応するって訳ね」
俺は苦笑しながら歩き出した。
「言葉で察して下さい。さっきの俺相手じゃ誤魔化し切れないって言ってるんです、気をつけて下さいね」
「っ~~!?」
視界に入っていないので更識会長がどんな反応をしているか分からない・・・・という事にしよう面倒臭いし。
進める歩を止める事無く俺も教室へと向かった。
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「すみません、生徒会との話し合いにより遅れました」
そう言いながら教室に入ると皆は学園祭に出すクラスの出し物を決めている最中だった。
「あ、分かりました。詩乃崎君も学園祭の出し物について考えて下さいね。ちなみに皆の案は前に出ていますので」
山田先生が示した先にはウンザリした一夏の姿とホストクラブやツイスター、ポ〇キー遊びに王様ゲームと書かれていた。
「これって全て最初に男って文字がありますけど主に俺と一夏しか働きませんよね?」
クラスのほとんどが無言で頷いている。
「あ、アホか!誰が嬉しいんだ!こんなもん!四季も何とか言ってくれ!!」
俺の姿に気付いた一夏が息を吹き返しクラスに反撃を試みる。
「私は嬉しいわね。断言する!」
「そうだそうだ!女子を喜ばせる義務を全うせよ!」
「織斑一夏は共有財産である!」
「お願い!先輩もうるさいのよ!」
「私達を助けるためのメシアになって!」
そこらかしこから挙がるわ挙がるわ意見や要望の前に一夏の反撃は勢いを失っていく。
「山田先生、ダメですよね?こういうおかしな企画は」
「わ、私はポ〇キーなんかいいと思いますよ・・・・?」
「ポ〇キーって古い気が・・・・」
一夏は最後の希望とばかりと言わんばかりに山田先生を頼ったがソレは地雷を踏む行為だった・・・・そして俺も地雷を踏み抜いてしまった。
「古いっ・・・・そうですよね、こんな年増の意見なんて古臭いですよね・・・・若かったのは昔の話ですよね・・・・」
く、暗い!あまりにも暗過ぎる山田先生を見てアレだけ騒がしかったクラスがお通夜みたいな空気になってしまった。
「・・・・よし、記憶飛ばそう・・・・」
「へ?今なんて言った・・・・?」
俺が呟いた一言に一夏だけが気付いて問いかけるが俺は答えずに懐からト〇ポを一本だけ取り出して山田先生の肩に触れた。
「山田先生、ト〇ポで俺と遊んでくれませんか?こうやって・・・・」
「え・・・・?」
山田先生が虚ろな顔をしながら俺の方を向いて口を小さく開けた所にト〇ポを入れて咥えさせ俺は反対側を咥えた。
「ふやっ・・・・!?へっ・・・・!ふえっ!?」
山田先生の肩に触れていた手を顎に移して離れない様にしてホントにゆっくりとト〇ポを食べていく。
「はっはえええ・・・・!?」
慌てるが段々と大人しくなっていく山田先生に触れる一歩手前で止まり山田先生に微笑みかける。
「っ・・・・?」
「最後は山田先生から・・・・」
血が沸騰しているみたいに顔を赤くしている山田先生は忙しなく目を動かした後、震えながら覚悟を決めたように目をギュっと閉じて短く息を吸った。
「っ~~~~!!!」
声にならない声を上げながら最後の距離を詰めて2人が触れ合う。
「ふあっ・・・・!?」
わけがなく、俺は顔を逸らして山田先生の耳に息を吹きかけると山田先生は糸が切れた人形の様に気を失った。
「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」
崩れ落ちる山田先生を抱きとめて俺は達成感に浸って思わず呟いた。
「よし」と
「よし、じゃねえよ!!お前なにやってるの!?」
一番早く回復したのは一夏だった。
「なにって山田先生の記憶を飛ばしていた」
「アレがか!?見てみろ!皆あまりにも刺激的過ぎて固まってるじゃん!!」
クラスを見渡すと確かに全員が顔を赤くして固まっている。中には鼻から赤いモノが流れ出してる人まで居る。
「いいか一夏、こういうのはな中途半端じゃダメなんだ。かと言って最後までしてもダメ、一番良い所の前で終わる。そしたら起きた時アレは夢だったんだって思う。覚えておくといい」
「一体なんの話をしてるんだ!?」
気絶した山田先生を椅子に座らせてから一夏に向き直った。
「・・・・なんの話だっけ?」
「知らねえよ!!」
一夏の叫び声でようやく気がついた人がチラホラと出始めた。
「それとクラスの出し物はメイド喫茶でいいんじゃね?シャルロットとラウラには衣装とかのツテがあるみたいだし・・・・な?」
「そ、そうなの___かぅっ!?」
一夏はシャルロットとラウラに聞こうと2人の方を見た瞬間、恐怖で舌を噛んでしまった。
「あるにはあるけど、一応聞いてみるよ」
「そうだな、おそらく大丈夫だと思うぞ」
「「だから少しの間、時間を貰うね」」
俺は既に窓から身を投げ出しておりISを完全展開した2人が後に続く様に飛び出した。